黄金の羅針盤
part26-98~99・101


98 :黄金の羅針盤(1/2):2006/10/09(月)01:20:36ID:Z3Iv2XbR0
サンフランシスコから横浜へ向かう豪華客船の翔洋丸。
この船の甲板で白骨死体が発見され、船長の鷹取は発見者に緘口令をしくが
発見者の1人、一条菊子によって探偵である藤堂龍之介の元に話が持ち込まれる。
長旅に飽いていた龍之介は早速捜査にあたることに。

当初、船員たちの口は重く、思うように情報は集まらなかった。
しかし事務長の片桐が殺されたことにより、船長から正式に捜査を依頼されることに。
捜査を続けるうち、龍之介はチンピラの賀茂、写真家の青島夫妻、新興宗教の教祖である朝倉親子、
錬金術を研究しているという黒沼教授、翔洋丸を所有する亜細亜汽船のライバル会社、帝都商船の
幹部社員である平賀らと知り合いになる。その中でも龍之介に強い印象を残したのは
薄幸の美人である麻生多加子であった。

片桐は多くの船員から嫌われており、殺される動機には事欠かなかった。彼は計算高い人物で
平賀らと手を組み、帝都商船による亜細亜汽船買収に協力していたらしい。
また捜査を続けていくうちに、自室に引きこもりがちであった青沢キリ子の絞殺死体が発見される。
夫の豊彦はキリ子の実家の資産目当てに結婚したものの、その結婚生活は円満とは言い難く
明らかに疎ましがっているようだった。キリ子殺害の第一容疑者はこの豊彦であったが
しっかりとしたアリバイがあり、まだ犯人が誰なのか、龍之介には分からなかった。
白骨死体の正体、片桐、キリ子殺しの犯人を探して捜査を続けていくと、今度は
怪しげな言動で気味悪がられていた朝倉親子の父の方、朝倉元次が射殺されてしまう…。
翔洋丸が横浜にたどり着く直前、龍之介は船長の許可を得て、容疑者たちをロンジに集めて告発する。


99 :黄金の羅針盤(2/2):2006/10/09(月)01:21:25ID:Z3Iv2XbR0
最初に口を開いたのは、通信士の織田だった。
彼の父も造船技師として、亜細亜汽船で働いていたのだが、設計した船が海軍に徴発され
しかもその船は目的地に着くまでに沈没してしまった。当時、海軍窓口を務めていた片桐が
買収されたことにより、その責任は織田の父が負うことになり、織田の父はナイフで胸をついて自殺した。
成長した織田もやがて亜細亜汽船に入社し、翔洋丸で働くことになる。
父の敵である片桐も同じ船で働いていたが、織田にはもはや復讐するつもりはなかった。
しかし、船長の鷹取から、再び片桐が背信行為を働いていることを知らされ、激怒。
織田は片桐に迫ると言った。「片桐さん、あんたは人間のくず、どうしようもない人間だよ…」
そして父が自殺に使ったナイフを使い、片桐を刺殺したのだった。

次に口を開いたのは麻生多加子だった。
彼女は実家の窮状を救うため、若き富豪の麻生伊作と結婚したが、その夫婦生活は悲惨極まるものであった。
成り上り者の伊作は何事につけ強引で、多加子のことも単なる所有物としかみなしていない。
いつしか多加子は心を病んでいき、ある日、遂に多加子は伊作を銃で撃ってしまう。
死の間際、伊作の告白から、実は彼は本当に多加子を愛しており、愛されたいと思っていたことを知って
多加子は慄然とする。しかし伊作はすでに絶命していた…。
数年後、伊作の元に手紙が届く。「麻生伊作、16年前のお前の罪は翔洋丸にある。罪を償いたければ船に乗れ」
多加子は伊作にかわって罪を償うため、翔洋丸に乗り込んだ。

そして最後、龍之介に白骨死体の話を持ち込んだ一条菊子が真実を語り始めた。
彼女の父は若い男と一緒に金脈をもとめてアメリカに渡った。しかし、金脈を見つけたその日
父は若い男に裏切られ、命を落としてしまう。菊子は復讐を誓ったが、若い男が誰かもわからず
情報を集めながら時を待った。ある日、菊子は青沢豊彦と出会い、探していた男が麻生伊作であることを知る。
その時、既に伊作は殺害されていたが、菊子はそれを知らず、青沢と協力して、父の死体(白骨死体)を
翔洋丸に積み込むと、伊作のもとへ手紙を送り付けた。
全て麻生伊作に、自分の罪を自覚させるための行いだったが、船に乗ってきたのは妻の多加子だった。
やむなく菊子は多加子に復讐をすることにした。
疑いがかからないよう、青沢が疎ましがっていたキリ子と、菊子が殺したかった多加子を交換殺人することにしたが
青沢は煮え切らない。仕方なく菊子は先にキリ子を殺したが、それを朝倉元次に目撃されてしまう。
口封じのために元次を殺そうとする菊子。しかし、その元次の口から、麻生伊作と多加子の間でおきた
出来事を知らされ、自分の復讐が無意味であったことを初めて知る。
そして脅迫してきた元次を、多加子が伊作を撃つのに使った拳銃で撃ち殺した…。

菊子は最後に龍之介に語った。
「藤堂さん、麻生伊作にとって人生の黄金は、カリフォルニアの金鉱で見つけたものでなく
 多加子さんのことだったのかもしれない…。
 もし人生がこの広い海で、私がそれをいく船ならば、私は羅針盤のない船ね。
 広い海をあてもなくさまようだけの…」






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