王子さまLv1

王子さまLv1
要約版:part17-400

詳細版:part47-264~278,285



400王子さまLv1sage2005/08/14(日)16:57:07ID:Bq+SrJK1
王子さまLv1うろおぼえだけども書いておきます。
ノーマルと。ノーマルは、王子様と苦労人の従者の友情?どたばたストーリー。
ウホッは、まぁ・・・そのまんまです。会話と一部シーンの絵柄が変わるだけの違い。

王子さまことカナン・ルーキウスは第二王子。王家には召喚獣を呼び出す能力があるが、長男にしか伝えられないため、
兄王子が召喚獣を呼び出すのを見ているだけの退屈な毎日。
ある日、冒険者ギルドが街にできる。これ幸いと、カナンは冒険者ギルドに登録にいってしまう。
カナンの護衛役で苦労人の騎士セレストは、カナンはギルドを追い返されるだけだと考えていたが、なぜか登録が許可されてしまう。
そんなこんなでカナンとセレストは王国で立ち入り禁止だった、いくつかの洞窟へ冒険に向かうことになる。

○冒険者ギルドを開設した二人組みは、実はカナンのご先祖様に倒された魔王?の八つの羽のうちの二枚が具現化したもの。
○立ち入り禁止の洞窟は、カナンのご先祖様が魔王の羽の一枚を封印し、結界を複数の洞窟に分けて張った。←カナンは知らずにすべての結界を解除してしまう。

盗賊が出たり、国王が操られて、カナン達が反逆者扱いされたりとドタバタするが、カナンは最後の結界にたどり着く。
ギルドの二人組みはセレストを人質に、最後の結界を解くようにカナンに命令する。
カナンが追い詰められたその時、彼の中に眠る召喚獣を操る力が覚醒する。
だが、結界により封印されていた羽が暴走してしまう。

ラストバトル

ギルドの二人組みは、どこかへと去っていった。
王国はもとの姿に戻り、国王も正気を取り戻した。
洞窟はまた結界が張られ、立ち入り禁止となった。

セレストがカナンの部屋に行くと、カナンはいない。ベランダから彼を呼ぶ声がする。
そこには、冒険者の衣装を着たカナンが木の枝に腰掛けていた。
彼の肩には、召喚獣が乗っている。
あわてるセレストにカナンは笑いかける。
「一緒に冒険に行こう!」

終わり。

本気でうろおぼえです。

264 :王子さまLv1:2009/10/03(土) 21:40:09 ID:dEX7UtEK0
落ち着いているようなので投下いきます。
まずは一作目の『王子さまLv1』から。
プレイしながら書いているわけではないので
細部が間違っているかもしれませんがご容赦を。

とある世界、とある時代のとある大陸、
というかアリスソフトのランスシリーズによく似た世界。
その世界には『リーザス』『ヘルマン』『ゼス』『JAPAN』『魔物たちの地域』
などの国の他に、『自由都市地帯』という小さな国の集合体もあった。
今回の物語は自由都市地帯の中の一つの国『ルーキウス王国』が舞台である。

昔々、後に自由都市地帯となる地域でウルネリスという八翼の堕天使が暴れまわっていた。
そのウルネリスに多くの者が挑みそして敗れ去っていったが、
とある冒険者パーティーがウルネリスに挑み、ウルネリスを倒すことに成功した。
その後冒険者のリーダー、幻獣使いのルーシャス=ルーキウスは
みんなに勧められルーキウス王国を建国し皆に慕われる良き王様になったとさ。

そして600年後。
ルーキウス王国は、のほほんとした平和な王国として無事に王国歴600年を迎えていた。
王様が自ら幻獣を使って畑の刈りいれをして、その様子が一般公開される程に平和な国である。

そのルーキウス王国の第二王子カナン=ルーキウスは
ご先祖様にあたるルーシャスに憧れを抱いており、
ルーシャスと同様に冒険をしてみたいという危なっかしい望みを抱いていた。
そしてそんなカナンの望みを、王国騎士団近衛隊副隊長にして彼の従者でもある
セレスト=アーヴィングは心配していた。

そんなある日冒険者ギルド員を名乗る黒いスーツ姿の男レイブン=ロストハートが国王に謁見し
このルーキウス王国に新しく冒険者ギルドを設立したいと申し出た。
このルーキウス王国にはいくつかのダンジョンがあるが
それらは全て危険だからと閉じられていて、今まで人が入った事が無く中は手つかずなのだ。
そこで冒険者ギルドを作って冒険者に中を探索してもらって財宝を持ち帰ってきてもらえば
町は潤うのではないか?という事だ。
もちろんカナンは、これで冒険ができると大喜び。逆にセレストは危機を感じていた。

265 :王子さまLv1:2009/10/03(土) 21:40:53 ID:dEX7UtEK0
数週間後冒険者ギルドは無事に開設され、これで冒険者になれるぞと大喜びのカナン。
だが部屋の窓から外に出ようとすると先読みしていたセレストに捕まってしまう。
「おやめくださいカナン様!
第一カナン様が行っても冒険者登録などできるわけ無いでしょう!」
「出来るわけないのか。じゃあ試しに行ってみよう。
出来るわけ無いなら行ってみても構わないじゃないか。
本当に冒険者登録が出来なかったら僕も諦める」
「しまった…」
そんなこんなで冒険者ギルドへ行き登録することにしたカナン。
登録の際に戦闘能力を聞かれ、レベルは1で、炎の矢(メラのようなもの)なら使える、
きゃんきゃん(最弱の男の子モンスター)なら倒せるぞと答え、
これならさすがに断られるだろうと安堵しかけたセレストだったが、
レイブンは冒険者登録してしまうのだった。

だがまだ仮登録であり本登録のためには依頼を一つこなしてもらうと言われ
できるだけ難しいのをお願いしますと懇願するセレストだったが、
クエスト内容は『3日以内に新聞屋に、冒険者ギルドに朝刊を定期配達してくれるよう頼む』
という子供のお使いレベル。
それすらも大きな犬が寝ていて道をふさがれ一日ではクリアできないという体たらくだが、
二日目にちゃんと新聞屋へ着き依頼をこなす事とに成功した二人だった。
その後冒険者ギルドで、新聞屋で見かけたレイブンの秘書のユーリを紹介された後
カナンは冒険者として本登録された。
心配になったセレストは自分も登録し、二人でパーティーを組むことになる。
城へ帰る途中、カナンは魔法の足輪をやろうと言ってセレストに足輪を装備させる。
するとセレストは力が急速に抜けていくのを感じた。
これは装備した者をレベルを1までダウンさせるという呪いの足輪なのだ!
カナンは、セレストに強い存在として守ってもらうのではなく、
対等の存在として互いに助け合って冒険をしたかったのだ。
セレストはカナンと同じくレベル1の新米として冒険に臨むはめになった。

こうしてカナンとセレストの日帰り冒険者生活は始まった。
ギルドからの依頼ごとの日数に気をつけつつ、
城の者に悟られないように毎日数時間だけ冒険するのだ。

翌日冒険者ギルドから、年代物の壺を陶器職人がアイデアを得るために欲しているので
ダンジョンから取ってきて欲しいという初めての冒険者らしい依頼を受け、
張り切ってダンジョンへ入るカナンと仕方なくお供するセレストだった。
何の変哲も無い第一ダンジョンに入り、
いわゆる普通の敵の『普通モンスター』、
ハニワのような形をしている特殊な種族『ハニー』、
そして人間の男と同じような姿をした『男の子モンスター』、
それらと戦いながら壺を探して先へ進み、
壺を手に入れギルドへ持って帰ると依頼の報酬を渡されると同時に、
初代国王ルーシャスの残した遺産の捜索を依頼される。
今後巡って行くいくつかのダンジョンに居る封印の幻獣達を渡された入れ物に封印し、
遺産への道を開いて欲しいと言うのだ。

266 :王子さまLv1:2009/10/03(土) 21:41:39 ID:dEX7UtEK0
翌日ダンジョンの奥へ進むと、なぜかチーズケーキが落ちていた。
拾い食いするつもりでは無いが不思議に思い近づくと二人はロープの罠にかかってしまう。
そして罠を仕掛けた男の子モンスターハンターの男、白鳳が現れ
「男の子モンスターの幸福きゃんきゃんを捕まえるための罠が台無しになってしまった。
こうなったらかわりに捕まえてもらいましょう。そうしないと先へ進ませませんよ」
と、難癖をつけてくる。そのついでにガチホモの白鳳はセレストが気に入ったようだ。
ちなみに白鳳は、この世の全ての男の子モンスターを捕まえる事を目標としているらしい。
白鳳は明らかに高レベルの男の子モンスターを連れていて勝ち目がないので仕方なく、
一旦城に戻ってカナンの姉リナリアからお手製チーズケーキを貰い罠を仕掛けると、
幸福きゃんきゃんは見事にかかった。
だが白鳳の目論見が成功するのが悔しいカナンは、
幸福きゃんきゃんを捕まえようと近づいてきた白鳳を落とし穴に落とし、
幸福きゃんきゃんを逃がしてやった上に落ちた白鳳を踏みつけて先へ進むのであった。
その後ダンジョン最奥で封印の幻獣を倒して封印する事に成功し、
このダンジョンは無事クリアとなった。

第二のダンジョンも、普通の地下ダンジョンだった。
先へ進むと何故かボロボロの家屋があったので不思議に思って近づくと、
家から出てきたハニーの子供が緑色のピコハンで殴りかかってきた。だが当然痛くない。
「出ていけ、人間!」と人間への嫌悪感を露わにしてるが
家に近寄らなければ問題無いので放置して先へ進む二人。
最下層へたどり着くと、『すもう』と呼ばれる力士のような存在が道を塞いでいた。
すもうは、力技では絶対に動かすことはできず
マワシと同じ色のピコハンで叩く事が唯一の排除方法なのだ。
最初は落ちていた赤や青のピコハンで赤や青のマワシのすもうを順調に排除していったが、
封印の幻獣の手前に緑色のマワシをしたすもうがいた。
緑のピコハンは見つからないのであの子供ハニーに頼んでみようとボロ家へ行ったが
子供ハニーは聞く耳を持たない。
そんな子供ハニーに頼みこんでると、家から母ハニーが出てきた。
話を聞くと、人間に母ハニーが足を傷つけられ陶器性の体の足が欠けてしまい、
自由に歩けなくなってしまったのが子供ハニーが人間を憎む理由と分かった。
ならば母親の足を治してあげるから、
そうしたら緑のピコハンを譲ってくれとカナンが頼み、子供ハニーも了承した。

285 :王子さまLv1:2009/10/04(日) 19:34:00 ID:ewyWlA3+0
>>266>>267の間にこれが抜けてました、すいません。

以前のギルドの壺の依頼で知り合った陶器職人ゴロー日襷(ひだすき)に相談すると、
陶器でできた体を持つハニーの欠けた足に埋めるための良質な土と、
炎も特別なものが必要なので炎を吐く普通モンスター『うっぴー』を捕まえて来るよう言われる。
良質な土はすぐ見つかったが、問題はうっぴーの捕獲。
普通モンスターを捕まえるには『ゴールデン捕獲ロープ』という
レアアイテムが必要なのだ。そんな時白鳳と出会い、
白鳳がせっかく見つけたゴールデン捕獲ロープを盗賊団に盗まれてしまった事を聞く。
「もし盗賊団の所持品からゴールデン捕獲ロープが見つかっても、
それが白鳳のものだと証明するものはないだろう?」
そんな論法でゴールデン捕獲ロープを手に入れることを思いついたカナン。
盗賊団のアジト(ダンジョン内に張られたテント)へ行ってみると、
そこにいたのは、ドレッドヘアの屈強な男『アックス=ナタブーム』と、
ちっちゃい子供のような互いに姿がそっくりな子分達約20人だった。
しかも、親分であるナタブームはエプロンをかけて子分たちにプリンを作っている最中。
盗賊団というより保母さんと幼稚園児だ。
彼らナタブーム盗賊団は城下町で、人々が玄関に鍵をかけない位のどかなのをいいことに
いろんな物(主にパン)を盗んでいたこともあり、
成敗する理由は十分にあるとして勝負を挑んだカナン達。
幸いナタブームはともかく子分達は強くなかったので、
盗賊団全員を成敗してゴールデン捕獲ロープを手に入れ、
うっぴーを捕まえることができた。
そしてゴローと一緒にハニー一家の元へ行き、良質な土を欠けた部分に詰めた後
うっぴーの一兆度の炎で焼くと母ハニーの足は見事に完治した。
こうして緑のピコハンを譲り受けたカナン一行は緑のすもうを排除し、
無事にこのダンジョンの幻獣を封印しダンジョンをクリアしたのであった。

267 :王子さまLv1:2009/10/03(土) 21:42:21 ID:dEX7UtEK0
第三のダンジョンは、川と滝。いわゆる屋外フィールド。
ダンジョン突入前にギルドへ行くと、白鳳に『伝説の滝』まで一緒に行くよう依頼される。
セレストは嫌がったがギルドの正式依頼となっては断れず一緒に行くことに。
しかし途中で川をボートでのぼって行く必要があるのに、
川沿いの貸しボート屋を営むハニーに滝をのぼるためにボートを貸してもらおうとすると
盗賊団にボート『沈没丸』を盗まれてしまったと聞かされる。
今回の盗賊団のアジトはボートが無ければ行けないというパラドックスに陥いりかけたが、
ならば城の倉庫にある子供の頃カナンが使っていたゴムボートを使う事を思いつき
城に帰って倉庫へ入ると、ちょうど盗賊団が漁っている最中だった。
逃げられた上にゴムボートも盗まれてしまったが、
幸い逃げた先が歩いて行ける範囲だったので追いかけてゴムボートを取り返す。

その後ダンジョンの探索の途中で疲れてきたということで
カナンとセレストと白鳳は三人でティータイムを取ることにして、
レジャーシートを河原の近くの草むらに敷いて
その上で白鳳手作りお弁当を食べたり紅茶を飲んだりした。

その後沈没丸も取り返した一行は伝説の滝にたどり着いた。
ここで白鳳はここまできた理由を明かす。
それはこの滝の、滝にに落ちてから最初に見た人間を性別問わず愛するという不思議な力で
セレストを愛人にすることだった。
戦闘能力的に考えて勝ち目がないので逃げ回っていたカナンとセレストは、
よりによってその滝へ落ちて互いに見つめあってしまった。
互いに人生を諦めた二人だったが、そこへ盗賊団の子分が聞いて平気で滝の所まで来て、
お前ら何をやってるんだと聞いてくる。
子分の話を聞くと、盗賊団は最近この滝で洗濯をしているらしい。
そして滝に入ったところで何も起きないということだ。
つまり伝説はあくまで伝説。白鳳はガッカリしたが、
依頼達成は依頼達成なので報酬はしっかり払ったようだ。
その後滝の裏の洞窟に潜む封印の幻獣を封印し、このダンジョンもクリア。

ちなみに第三ダンジョンの探索の途中、盗賊団が倉庫から盗み出した
カナンの父のリプトン王が20代の頃の写真を発見する。
その写真の父は、カナンの兄リグナムそっくり。
ちなみに現在リプトン王は老化のせいで背がものすごく縮んでいる。
兄の眉間にいつも皺がよっている理由が分かった気がする、と呟くカナンだった。

268 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 21:43:02 ID:dEX7UtEK0
第四のダンジョンについてギルドに聞いてみると、
その第四ダンジョンに住む『泉の精霊』の部下である妖精が書いた、
泉の精霊と泉自体を救って欲しいという内容が書かれた手紙を渡された。
泉の精霊!美しい女性の姿の精霊が助けを求めている!これは冒険者冥利につきる!
とwktkしながらダンジョンへ急ぐカナンと心配しながら後に続くセレストだった。

が、着いた場所は温泉旅館『ドラグ温泉』。…確かに泉の一種ではあるが。
しかも精霊は、カナンいわく「病み上がりの文学中年」な外見の中年男だった。
その名も桜涯(おうがい)。ちなみに手紙を書いた牛乳瓶型の妖精はビバノノという。
おもいっきり落ち込んだカナンだったが、
冒険者ギルドに助けを求めているのは事実だから話を聞くことにした。
オクトマンという、いわゆるタコ人間が地下の温泉から侵攻して桜涯をお札で封印した上に
温泉の出具合のコントロールに必要な『わくわくの玉』を取られてしまったので、
オクトマンたちを倒してお札の封印を解いてわくわくの玉を取り返し、
温泉の危機を救ってくれというのだ。
とりあえず冒険を開始する二人だったが、
ここは温泉なので普通の冒険者装備の金属装備は湿気で錆びるし何より情緒が無い、
ということで防具が強制的にドラグ温泉の浴衣へ変更されてしまう。
ちなみに武器はカナンが石鹸入りネットでセレストはへちま。
しかもこのへちま、専用スキル『へちま剣士』をセットすることで強化できる。

とりあえずオクトマンの侵攻拠点である地下最下層の深い温泉へ行き深度を確かめると、
とんでもなく深いのでこちらからオクトマンを攻めるのは不可能だと分かる。
それを桜涯に説明すると、温泉の温度をコントロールする『湯加減の玉』を
使ってみてはどうかとアドバイスを受ける。
しかしこの湯加減の玉はドラグ温泉に厳重に保管されていて、
それを取るためには、温泉旅館ならではの要素を堪能することで手に入るペナントを
5つ手に入れる必要がある。

マッサージのペナントは、温泉旅館によくあるマッサージ機を使うことで手に入る。
マッサージ機の近くにジュースの入った冷蔵庫があるのを見て
「なあセレスト、いろんなジュースがあるな」
「ほんとですね、パャリースのオレンジジュースもあります」
「パヤリース?」
「パャリースです。ャを小文字で言うのがポイントですね」
なんてやり取りをしつつ、マッサージ機を使ってペナントを手に入れた。

なつゲーのペナントは、
温泉のゲームコーナーによくある数世代前のゲームをクリアすることで手に入る。
「うわっ、これ私が生まれた頃のゲームです、かなり年季入ってますよ。
画面もかなりガタがきてますし!」
写真すら気軽に撮ることはできず服装をしっかりして写真屋で撮ってもらうという
文明レベルなのに、なんでゲームが20年以上前からあるのかとか言ってはいけない。
そういう世界なのだ。
ともかく、正解の道をカンで選んで進んでゴールへ着くという単純なゲームをクリアし
なつゲーのペナントを手に入れた。

269 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 21:44:05 ID:dEX7UtEK0
グルメのペナントは、ドラグ温泉名物のドラグ(カニのようなモンスター)を、
自らの手で倒して、まるまる一匹食べることで手に入る。
かなり大きなモンスターなので倒すのより食べる事に苦戦したが、
なんとか食べきってグルメのペナントを手に入れた。

入浴のペナントは、ドラグ温泉の地下に点在する温泉に全て入ることで手に入る。
かなり熱くて入れなさそうな温泉もあったが、
『江戸っ子』スキルを装備して根性で入り、ペナントを手に入れた。

卓球のペナントは、
温泉の湯あがり後のスポーツとして定番の卓球の大会に優勝することで手に入る。
湯加減の玉をお宝として狙っている盗賊団の親分ナタブームや
激レアモンスターの温泉きゃんきゃんを捕まえるために来た白鳳も大会に参加するが、
激戦をなんとか制しペナントを手に入れた。

こうして5つのペナントを集め湯加減の玉を手に入れた一行は、
最下層の深い温泉に湯加減の玉を投げいれ限界まで熱くすることで
侵攻不可能にする作戦に出た。
すると潜んでいたオクトマン達が熱さに耐え切れず出てきた。
彼らを倒すことでわくわくの玉を取り返し、桜涯の封印も解け、ドラグ温泉は救われた。
そしていつも通り封印の幻獣を封印し、温泉ダンジョンクリアとなった。

その後、白鳳が温泉きゃんきゃんを狙っていることを知ったカナンは、
普段からちょっかいをかけられてる事の報復として
父である王様に激レアな温泉きゃんきゃんの存在を知らせ、
天然記念物として保護し、
密猟したら5年の懲役とすることで白鳳が捕まえられなくしてしまった。
…この行動が後で大きな騒動を引き起こすとも知らずに。

270 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 21:44:48 ID:dEX7UtEK0
第五のダンジョンは氷のダンジョン。
1階では、道具屋を経営している侍の雨雷剣豪(さめらいけんごう)が
侍っぽい姿の普通モンスターのサメラ~イと一騎打ちをしていた。
このサメラ~イは突然変異種の強い個体で、持っている魔剣オサフネと本人の技で
氷の柱を一刀両断してしまうくらいの強敵だった。
手出し無用だと雨雷が言っているので無事を祈りつつ先へ進む事に。
下の階へ進むとヤクザのような姿をしたハニーの一種『凶悪ハニーが』
「ぶ、ぶ、武器をよこせ!」とオドオドしながら武器を脅し取ろうとしてくる。
暴力団のハニー組の組員は氷を吐く普通モンスターとの抗争に備えて
武器を集めるよう組長に命令されているらしい。
だが、戦おうとすると怖がって逃げてしまった。
カナンはその凶悪ハニーが首にかけていたお守りが、
第二のダンジョンの子供ハニーのお守りと同じものだと気づく。
子供ハニーが以前父と兄が行方不明になったと言ったのを思い出し、
その兄ハニーがあの凶悪ハニーではないかと考える。
さらに下へ行くと、既に絶滅したモンスター『アンモス』が
生前の姿そのままで氷漬けになっているのを発見する。

大昔の動物の姿に感動した後でカナンが城に帰ると、城内は大騒ぎになっていた。
なんとカナンの兄のリグナムが、
帰郷中の母から送られた野菜の中に偶然紛れ込んでいた珍しい虫に刺され、
『一生高熱と咳と鼻づまりが治らない病』にかかってしまったのだ。
一生そのままな代わりに死の危険は無いが、このままでは一生ベッドの上。
しかも治療法は、既に絶滅したモンスターのアンモスの肉を食べる事だけだ。
リグナムの所へお見舞いに行ったカナンは
冒険者ギルドへアンモスの肉を探すことを依頼してはどうだと提案する。
冒険者ギルドを通して自分の行動と分からないようにして、
兄のためにあのアンモスの肉を取って来るつもりなのだ。リグナムは承諾した。

突然変異サメラ~イの剣なら氷漬けのアンモスの肉を取り出せる、
そう考え雨雷とサメラ~イが戦っていた場所へ行くと二人とも倒れていた。
といっても死んではいない。サメラ~イが斬った氷の柱が倒れ双方を直撃したのだ。
先に意識を取り戻した雨雷は、このサメラ~イは殺すには惜しい、
話も通じるようだし一緒に暮らして剣の技を磨きあいたいと言い介抱することにした。
その時、兄ハニーがサメラ~イの落とした魔剣オサフネを
武器を集めるという組長の命令のために拾ってしまう。
そしてサメラ~イ以外が持つと呪われる魔剣オサフネの魔力に囚われた兄ハニーは、
「畜生、畜生、組の奴ら、俺の事を三下とバカにしやがって!」
と叫びながらハニー組事務所へ向かっていった。
追いかけていくと、ハニー組の組員全員と事務所そのものがボコボコにされていた。
「組長!俺の家族の工場を騙し取ったのはあんただったんだな!信用してたのに!」
「そうだよ。お前が組に来た時は、とんだバカだと内心笑ってたんだよ!」
「畜生!畜生!もう何も信じないぞー!おろろーん!
今宵のオサフネは血に飢えておるわー!」
自暴自棄になった兄ハニーを説得するためにも家族の助けが必要と考え
子供ハニーと母ハニーを連れてきたが、
「偽物に決まってる!何も信じないぞ!」と、聞く耳を持たない。

271 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 21:45:33 ID:dEX7UtEK0
父ハニーならもしくは説得できるかも、と考え氷のダンジョン内を探し回ると、
モンスターの氷攻撃によって氷漬けになった父ハニーを発見した。
せめて遺体だけでも回収しようと
ファイアーレーザーのスキルで氷を溶かし遺体を取り出す。
すると、遺体の持ち物の中にボロボロになった家族の写真があるのを見つけた。
家族を捨てて蒸発したダメ親父だと思ってたけど本当は家族を想っていたんだ、
とカナン一行とハニー家族が感動していると、
遺体だと思っていた父ハニーが突然起き上った。
いわゆるコールドスリープ状態になっていて奇跡的に復活したのだ。
話を聞いてみると、家族の前から姿を消したのは家族を置いて逃げるためではなく、
工場を騙し取ってさらに兄ハニーを極道の道へ誘った組長を
包丁で刺し殺して家族を救おうとしたかららしい。
やはり家族想いのお父さんだったのだ。

しかしそんな父ハニーを連れてきても
「親父が家族を愛してただと!?そんなの嘘だ!嘘に決まっている!」
と聞く耳を持たなかったが、父ハニーの家族愛を否定した兄ハニーに
冷静にキレたカナンが、相手は魔剣を持っているというのに近寄って殴った。
「父ハニーはな、家族を本当に愛していたんだ!
お前を助けるために組長と戦おうとしたんだぞ!もう一度話を聞くんだ!」
父ハニーはその証拠の家族の写真と包丁を見せて
「お前に辛い思いをさせちまったダメ親父だが、
本当にお前が大事なんだ。頼む、元に戻ってくれ」
と頭を下げた。すると家族愛を感じた兄ハニーは涙を流し、
魔剣を手から落とした。家族愛が魔剣の呪いに打ち勝ったのだ。

こうしてハニー一家が全員元通りになって喜んだ後、
落ちた魔剣オサフネをそのまま拾うとまた呪われるので、
雨雷と一緒に住む事にしてマサムネと名付けられたサメラ~イに拾ってもらった。
ついでにアンモスの肉を斬ってもらうのを頼むと
魔剣を取り返したお礼として快く引き受けてくれた。
切り取ったアンモスの肉をギルドへ渡すと城へ急ぐカナンとセレスト。
城に戻った時には既にリグナムは肉を食べて回復していた。
リグナムはカナンの頭に手を乗せじっと見つめながら
「肉を持ってきてくれた冒険者に感謝しなければな」
と言ってきた。
カナンの冒険を知られたのかもと内心ヒヤヒヤなセレストだった。
その後氷のダンジョンの封印の幻獣も封印し、第五ダンジョンもクリア。

272 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 21:46:16 ID:dEX7UtEK0
第六ダンジョンへ行こうとすると、冒険者ギルドから
話を一旦聞いたら断れない程に機密性の高い依頼を受けてみるかと聞かれる。
聞くことにすると、600年前から存在するルーキウス王国の王冠が盗まれ、
第六ダンジョンの中に持ち込まれたので取り返すという依頼と聞かされた。
王国の宝を取り返すためにも第六ダンジョンへ急いだ一行だった。

第六のダンジョンは炎のダンジョン。
中に入ると、盗賊団の子分が泣いていた。
親分のナタブームが何者かに操られ、
所々で燃え盛っている炎の中に平然と入っていきながら
炎のダンジョンの奥へ進んでいるらしい。
子分達は必死に食らいついて止めようとするが、
ナタブームが炎の中に入ると子分は耐え切れず落ちてしまうのだ。
子分たちと一緒にナタブームを追いかけ、
途中の火は近くにある湧水から子分たちと一緒にバケツリレーで消火しながら進み、
熱した床の上で扉を一心不乱に開けようとしているナタブームを発見する。

熱した床が熱くて近寄れないので解除するための方法を探していると、
剣士の幽霊が、「この先に進むな、引き返せ」と言ってくる。
一行は幽霊の出現に驚き恐れたが、
ナタブームを助けるために進まなければいけないと断る。
何度も忠告してくる幽霊にカナンが
「ナタブームを救うためにも、ルーキウス王国の王冠を取り返すためにも、
ルーシャス様の遺産を見つけるためにも、先へ進まなければいけない」
と言うと、幽霊は
「そうか、ルーシャスの奴みんなのために王様になったか。あいつらしい」
と呟く。彼の名はロイ。
600年前ルーシャスと共にウルネリスと戦った冒険者パーティーの一員だ。
しかしなぜ冒険中に死んだわけではなく長寿を全うしたはずのロイの幽霊が
墓場等ではなくこんなダンジョンの中にいるのか?
それをカナンが聞くと、ロイは後の世に広まった冒険譚とは違い、
ウルネリスを倒した後崩れていくダンジョンで
落ちてきた瓦礫からルーシャスを庇い生き埋めになったのだと言う。
ウルネリスと戦う前に冒険者パーティー一同は、
「誰かがこの戦いで死んでも、後の世にはそれを隠して
全員生きて帰ってめでたしめでたしの話にしよう」
と取り決めをして、ルーシャスはその通りにしたのだ。
「ルーシャス様は、あなたの妹と結婚しました。その血筋は今でも絶えていません」
というカナンに、
「600年ここで一人だったが、今でも平和だと知ることができて良かった。
子孫もこうしてここにいることだしな」
と、カナンがルーシャスの子孫と見抜いたロイは答える。
「ナタブームとかいう男を助けるために先へ行くがいい。
だが気をつけろ、この先にあるのはルーシャスの遺産などでは無い」
そう言い残しロイは消え去った。

273 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:03:16 ID:dEX7UtEK0
熱い床を解除しナタブームの元へたどり着いたカナン一行は
戦ってナタブームを気絶させ、正気に戻すことができた。
封印の幻獣を封印して先へ進むと、白鳳が現れ、
今回のナタブームを操った犯人は自分だと言ってくる。
「王冠を返して欲しかったら追って来なさい」
と言って白鳳は大きな穴に飛び込む。
その後その穴から大量の水が出てきて一行はダンジョンの外まで流されてしまう。

とりあえずギルドに報告してから城へ帰ったカナンとセレストだったが、
廊下でリグナムに話しかけると様子がおかしい事に気づく。
「残念だよカナン、お前がセレストと共にクーデターを計画していたなんてな。
家族を処刑して王位を奪おうなどと、恐ろしいことを…」
王や姉、その他兵士も全員操られているようで、二人を捕まえようとしてきて
カナンとセレストは城内で次第に追い詰められていった。
だがその時、盗賊団が炎のダンジョンでの借りを返すべく現れ
カナン達を隠し通路へ導いてくれた。
中世の城によくある緊急脱出用の隠し通路。
平和な600年間で一度も使われず王族すら忘れ去っていたこの通路が
今日初めて使われたのだ。
こうして城を脱出したカナンとセレストは、
城の者に見つかりにくそうな町はずれの宿に宿泊する。
以前から冒険者みたいに宿に泊まることに憧れてはいたが、
まさかこんな形になるとはと落胆するカナンだった。

翌日冒険者ギルドに行くと、第六ダンジョンの白鳳が落ちた穴の先に
第七のダンジョンが見つかったのでそこで最後の封印の幻獣を封印し
遺産を見つけてほしいという依頼を受ける。
城のみんなが操られたのは王冠が関係しているかもしれないという予想から
城のみんなを戻すために後を追う必要もあると考えその依頼を受けた。
あの流れてきた水の影響で炎のダンジョンのほとんどが水浸しになっており
あの穴も水が溜まっていたが『潜水』のスキルで潜ることができた。

274 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:04:26 ID:dEX7UtEK0
第七のダンジョンは水のダンジョン。
あまり広くなく、先へ進むための扉の鍵を難なく手に入れる。
しかし鍵で扉を開けると、
その先には既に弓を引き絞っていつでも矢を放てる状態で待ち構えていた
男の子モンスター『神風』と、白鳳が待ち構えていた。
神風の放った矢でセレストは大怪我をし、その隙をついて捕らえられてしまう。
カナンはその後を追うが、白鳳が配置したモンスターと一人で戦う事になる。
特に魔法が一切無効であるハニー族との戦いは
魔法使いタイプであるカナンにはきつかった。

その頃セレストは白鳳に運ばれながらこんなことをした理由を聞く。
カナンの手引きで温泉きゃんきゃんが国策で保護され捕まえられなくなったので
温泉きゃんきゃんを捕まえるために、とある人物と共に王家を崩壊させようというのだ。
そこまでしてこの世の全ての男の子モンスターを捕まえる理由を、
セレストは最近白鳳に誘われて酒場で一緒に飲んだ時に聞いていた。
いつも白鳳の肩に乗っかってる小動物のスイはもともと白鳳の弟で、
とある理由でこんな小動物の姿に変えられ、
その姿を戻すためにはこの世の全ての男の子モンスターを捕まえる必要があったのだ。
「でも、例え温泉きゃんきゃんを無理なく捕まえられたとしても、
同じようにしたでしょうね。私は破滅主義者なんですよ。
破滅しそうな危なっかしいことを好き好んでしてしまう」
「でも、それを私に言ったという事は
誰かに止めてもらいたいのではないのですか?
あなたは心のどこかで誰かが引きとめてくれることを願っている。
あなたは可哀そうな人だ」

カナンが最深部へたどり着くと、
白鳳の他にギルドのレイブンとユーリがいた。
そしてセレストは、翼を片方だけ生やした女性に抱きしめられている。
そしてその前には大きな幻獣が眠っていた。
レイブンは言う。
「八翼の堕天使ウルネリスは倒されたのではなく封印されただけだ。
それもルーシャスが封印できたのはそこにいる8分の1である彼女フォンテーヌだけ。
残りの7翼は逃れ復活の機会を待っていたが、
ここにこうして早めに復活できた2翼の俺とユーリが戻ってきた。
唯一封印に囚われてしまった1翼であるフォンテーヌを完全に開放するには
ルーシャスの封印の幻獣を全て封印する必要がある。
だから冒険者ギルドを開き、ルーシャスの血族であるお前に封印させたのだ。
そして最後の一匹が、目の前にある大きな封印の幻獣だ。
封印のためには王冠を被った王族の者が血を一滴たらす必要がある。
さあ、依頼だ。依頼内容は封印獣の封印、報酬はセレストの命」

275 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:05:34 ID:dEX7UtEK0
セレストは自分の命なんかより王国の危機を救ってくれと言うが、
カナンはセレストの命を取る。
王冠を被りナイフで手を傷つけると一滴の血が封印の幻獣に落ちていく。
だがその一滴の血は封印の幻獣に落ちる前に
まんまるで青くてかわいらしい形をした生き物に受け止められた。
これは現代において幻獣使いが使役する幻獣。
ルーキウス王国において幻獣の召喚術は一子相伝で、
王様である父や王位を継ぐ予定の兄は召喚術を心得て数千の幻獣を操っていたが
カナンは幻獣使いの血を受け継いでいるものの今までその方法を知らなかった。
だがこの土壇場で一匹だけとはいえ幻獣を召喚する能力を開花させたのだ!
そしてそのカナンの力に反応し、封印の幻獣は目を覚まし、
何なりとご命令をと言ってくる。
カナンはセレストを救いだすことを命令し、
不意を突かれたフォンテーヌはセレストを離してしまう。
いつの間にか傷も治ったセレストとカナンは
ルーシャスが残した封印の幻獣と共にフォンテーヌに挑みかかる。

封印が完全に解けていないフォンテーヌは、あっさりと倒された。
完全に復活しておらず戦闘能力の無いレイブンとユーリは逃げる。
しかしカナン達は知らないことだが、
彼らは逃げる前にフォンテーヌの翼から羽根を一つ抜き取っていた。
羽根の一つさえ残っていればフォンテーヌはいずれ復活できるのだ。

白鳳は王族を狙うという大罪を犯したこともあり観念したが、
カナンとセレストは同情し見逃すことにした。
封印の幻獣は、いずれカナンが完全に使役できるようになるのを待つために
再び眠りにつくことにした。
ナタブーム盗賊団は、また別の国へ行くと言って旅立っていった。

城へ戻ると家族も兵士たちも元通りになっていた。
カナンは冒険者ギルドの二人が黒幕だった事は正直に話したが、
ウルネリスの復活については混乱を避けるために言わなかった。

冒険者ギルドが無くなったので全てのダンジョンは再び閉鎖され、
カナンとセレストの日帰り冒険者生活も幕を閉じた。
いつかまた冒険へ行ける日を楽しみにしていて
セレストはそれを心配している…そんな日常が戻ってきたのだ。

おしまい。

276 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:09:08 ID:dEX7UtEK0
最初の書き込みに書き忘れましたが、アリスソフトの女性向けRPGの王子さまシリーズです。
次はファンディスク『王子さまLv1.5』に収録されている
RPG的戦闘もある中編ノベル『王子さま1か月後』を。

ウルネリスの1翼フォンテーヌを倒し平和を取り戻してから1ヶ月後。
セレストは近衛隊副隊長としての仕事を終え食堂に入り、
既に引退したはずの元近衛隊隊長の父が勝手にメシを食ってるのを見てため息をついた。
セレストの父ルドルフは娘のシェリルがエリックというドラグ教神父と付き合っていて、
エリックが挨拶に来ようとするので、娘との交際など認めん!という頑固親父なルドルフは
騎士団の寄宿舎に先週から住み込んで避けているのだ。
奴が会いたいのなら騎士団に入隊してでも会いに来ればいい、
そうしなければ俺はテコでも動かんぞと言うルドルフだった。


妹とその恋人のためにあの頑固親父を何とかしなくては…
そう悩んでいるとカナンが「ならばテコで動かしてやればどうだ?」と言ってくる。
冒険への憧れの一環で魔法アイテムの書物を読んでいたら、
一回限りだがどんなものでも動かせる『黄金のテコ』なるものがあったというのだ。
それでルドルフを動かしてやること自体は魔法のアイテムに頼っていることになるが、
それを作るための材料作りをエリックがやれば間接的に自分の力で動かした事になり
ルドルフもエリックの実力を評価し納得するのではないか?ということだ。
そしてそれをカナンも手伝おうと言ってくる。どうやら人助けのついでに冒険したいようだ。
こうしてカナンとセレストとシェリルとエリックによる材料集めの冒険が始まった。

最初は第一ダンジョンに入り普通モンスタのーヤンキーの上位種『ばりヤンキー』を倒して
そのバットを手に入れることにした。ダンジョンを地図を書いて進み、
「メモを方眼紙代わりにして地図を書く…手動マッピングという奴だな!
ちなみに自動的に地図が書かれるのは自動マッピング。そっちは難易度的にぬるいな」
とか言いながら先に進んでザコと戦ったりするのだが、
カナンは戦いの最中でシェリルはともかくエリックも戦闘能力がほぼ無い事に気づいた。
攻撃力が低い上に、攻撃すると90%の確率で味方に誤爆するのだ。
RPGのお約束である僧侶系魔法とか神の奇跡とかも使えない。
だがカナンとセレストがフォローして、お目当てのバットを手に入れた。

翌日『精霊の涙』『ドラグの甲羅』を手に入れるためドラグ温泉へ訪れた4人。
精霊の涙を手に入れるために目にしみる煙を立たせるためにサンマを焼いてみたが、
温泉の妖精ビバノノに注意されてしまった。
そこでセレストがカナンのやんちゃに振り回された時の苦労話を語ると、
温泉の精霊である桜涯はほろりと涙を流したのであった。
ドラグの甲羅は前作のダンジョン攻略の時と同様、
生きたドラグを倒して丸ごと食べた後、甲羅を記念品として持ち帰る形で手に入れた。
その時カナンはエリックに、エリックはドラグを神聖な生き物として扱う
ドラグ教の神父だが殺して食べて大丈夫かと聞くが、
ドラグ教の教義は「ドラグはその体を美味しく食べさせてくれる、
そんなドラグのように周囲の人を幸せにしましょう」
というものだからドラグを殺して食べる事をドラグ教は否定してないので
問題ないとエリックは答える。

277 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:10:08 ID:dEX7UtEK0
そんなとある日、エリックがどんな生活をしているか見に行こうと、
カナンとセレストは眼鏡をかけて(二人はこれで変装したつもり)見に行くと、
教会の前の道の掃除をしている所にシェリルが来て楽しそうに話をしているのと、
そんな二人をカナン達同様変装目的でサングラスをかけて覗いているルドルフを見つける。
親父もやはりエリックの事が気になるのか、とか考えるセレストだった。
カナンは今ここで強引に会わせるという方法も思いついたが、
黄金のテコの作成をやり遂げてエリックの男粋を見せた方が良いと考え思い留まる。

こうして順調に材料集めは進んでいたが、
まだ書物の材料一覧を解読中だったカナンは解読を進めていって顔を青くする。
最後に必要な材料が『ゴールデンハニーの欠片』なのだ。
ゴールデンハニーとは、ものすごく大きくてケタ違いに強いハニーだ。
しかも出現する地域は行って帰ってくるのに数日かかる場所で、
王族のカナンと騎士団の仕事のあるセレスト、
パン屋のバイトをしているシェリルは一緒に行けない。
エリックだけで取りに行かなければならないのだ。
もっとも、4人で行けたとしても絶対に敵わないだろう。
カナンは、身分で強引に事を進めるのは気が進まないが、黄金のテコを作るのを諦め
王族権限でルドルフにエリックと会うよう命令しようかと提案するが、
エリックは黄金のテコを作る作れないの問題では無く
ルドルフにシェリルへの本気の想いを示すためにも困難から逃げたりはしないと、
ゴールデンハニーの欠片を取りに行く決意をする。

次の日、教会から旅をする許可を得たエリックは一人で旅立ちの準備をし、
旅に出ることを近所の人に知らせたために、普段から彼を慕う近所の人々に渡された
大量のおすそわけ料理パックを目の前にして悩んでいた。
一人の渡した量は少なくとも、10人20人となれば多すぎる。
旅の途中で数日かけて食べるにしても途中で腐りかねないし、何より重い。
かといってせっかく貰ったものを捨てるのも忍びない。
そう困っているエリックに、シェリルが私もついていって一緒に食べると言ってくる。
彼氏が父に会うために旅をすると聞いたパン屋の店長が、
気を利かせて数日の休みをあげたのだ。
こうして二人は、ゴールデンハニーの欠片を手に入れるために旅立った。

数日後、二人は無事にゴールデンハニーの欠片を手に入れて帰ってきた。
(ちなみに手に入れた方法は文中では触れておらず明らかにされていない)
カナンは黄金のテコを完成させるとルドルフが泊まっている部屋へ行く。
「いくらカナン様の命令でも、ここを動きませんぞ」
「テコでもか?」
「テコでもです」
「ならばこの黄金のテコで動かしてやろう。
これはな、エリックが集めた材料で作ったのだ!」
黄金のテコの片方をルドルフの足もとへ入れてもう片方にカナンが乗っかると、
部屋をブチ破ってものすごい勢いで遠くへ飛んで行った。
これで飛んで行った所へエリックが行けば会えると喜んだカナンとセレストは
急いで飛んで行った方向へ向かった。

278 :ゲーム好き名無しさん:2009/10/03(土) 22:11:43 ID:dEX7UtEK0
その頃、エリックとシェリルは雨雷の道具屋に住むマサムネに刀を返していた。
旅をするには装備が必要ということで店に行ってみたはいいが
所持金が足りず武器を買えないと悩んでいると、
事情を聞いたマサムネが魔剣オサフネ程ではないが十分に強い刀を貸してくれたのだ。
旅が無事に済んだことを報告し、
雨雷も含め4人で話をしている所へ黄金のテコで飛ばされたルドルフが落ちてきた。
幸いみんな大きな怪我はしなかったので一安心。

だが、いきなりルドルフが魔剣オサフネでエリックに斬りかかってきた。
マサムネが手入れ中だった魔剣を落ちてきた時に偶然手にとってしまい、
魔剣に呪われたのだ。
カナンとセレストも駆け付けたが、引退したとはいえ魔剣を持った元騎士隊隊長を
二人とも止められず次第にエリックは追い詰められていった。
「お義父さん、気をしっかり持ってください!」
「お義父さんと呼ぶなぁぁぁ!今宵のオサフネは血に飢えておるわぁぁぁ!
はぁ、はぁ、はぁ…」
ルドルフが落ち着いてきた様子を察知したマサムネは
「いかん、呼吸が整ってきた!正気の時と同じ技量で来るぞ!」と叫ぶ。
逃げられなくなったエリックへルドルフは上段から斬りかかるが、
エリックの腕にドラグの腕の甲羅のような物が発生し斬撃を防いだ。
厚い信仰心と善良な性格を持つエリックのために神が起こした奇跡か、
それとも短い間とはいえ戦ってきたエリックが無意識に身に付けた能力か、
それは分からないがとにかく助かったのだ。
魔剣を甲羅に弾かれた衝撃で手放したことでルドルフの呪いも解けた。

だが、落ちた魔剣をエリックが
「ああ、この魔剣のせいでお義父さんが変になったんですね。
マサムネさんにちゃんと返さないと」
とか言いながらうっかり拾ってしまった。
今度はエリックが呪われたと慌てる一同だったが何故かエリックは平気で
そのままマサムネに魔剣を返した。マサムネは言う。
「この者は心が透き通っており穏やかだ。少なくともエリンギの境地くらいにはな。
だから人の身でありながら魔剣に心を奪われなかったのだろう」
それを聞いたカナンは、エリンギの境地ってなんだ?と思いつつも
「どうだルドルフ、エリックはお前さえ呪われた魔剣の呪いを受け付けない精神力を持ち、
元騎士隊隊長のお前の魔剣での一撃を何の武具も使わず受け止め、
黄金のテコを危険を冒してまで完成させたのだ。それでも不満か?」
とルドルフにたたみかける。
さすがに参ったルドルフは、エリックとシェリルの仲を認めるのであった。

こうしてカナン達の短い冒険は終わったのだった。おしまい。

続編の王子さまLv2はまだ完成して無いので、後日書きます。

 
最終更新:2009年10月17日 17:15