翌日の出勤。
 生徒が掲示板の前で騒ぎ立てていた。またも脅迫状が貼りだされていたのだ。

『呪われしエリスの教師達に告ぐ
 今すぐに 忌まわしき校則を撤廃せよ
 さもなくば犠牲者は増え続けるだろう
 我は死をつかさどる者なり
      「さまよう魂」』

 慌ててやってきた松木に生徒を教室に戻させ学長を呼んできてもらう。
 その間に現場検証を開始する。
掲示板には画鋲が貼ってあった。その下には紙片が覗けている。
こんなところから紙が破れているのは不自然だ。普通なら針のところから破れるハズだからだ。
画鋲を外し紙片を手にするとそれは指から崩れ落ちた。
ゴミ箱にはエリスニュースというプリントが入っていた。
 前日には掲示板に脅迫状はなかった。それは剣が確認済みだ。
 そこに神城が、遅れて松木と大野もやってくる。
仕事が遅いからだと怒鳴る大野に剣は犯人が内部のものであることはわかったと解説する。
 犯人には生徒に脅迫状を見せてことを大きくする目的があった。
しかし自分が疑われないようにするためには最後に帰ったり最初に登校はできない。
だから人が残っているうちに帰り誰かの後に登校してきたのだ。
帰宅する前にげた箱に脅迫状を貼った後、さらにその上にもう一枚の紙を貼る。
例の職員室に生徒は来るなというものだ。
その紙を止める画鋲の周りの部分に硫酸か何かの薬品をかける。
前もって実験しておけば夜に外れるように調節できるだろう。
外れて落ちたプリントは生徒がごみだと思ってゴミ箱に捨ててしまうという寸法だ。
 ここまではわかったが、犯人の特定にはいたっていない。
大野はそれでは意味がないとし、一週間以内に犯人を挙げなければクビにすると宣言した。
 しかし危険な薬品を使ったりとこれだけ用意周到なことはイタズラでできることではない。
大野に学校の閉鎖を頼むが、犠牲者が増える"かもしれない"という不確定なことで閉鎖はできないと断られてしまう。
剣が必死に頼み込むと本日土曜の授業が終わったら生徒をすぐに帰すということまでは譲歩してくれた。
校内を調査し回れるリミットは明日を含めて一日半。

 とりあえず大野達はそれぞれの仕事に戻り剣は画鋲を回収しにくるだろう犯人を遠くの陰で待ってみる。
しかし予想に反して犯人はまったく来なかった。
剣がここで張っていることに気付いたのだろうか。
もしくは画鋲のトリックを見破ったことを知っているのだろうか。
大野達には話したが、盗み聞きしていた可能性も十分にある。
もしや生徒が犯人で生徒ににまぎれて回収するつもりだろうか。しかし下校時刻でもそんな人物は現れなかった。
 仕方が無いので戻ろうとすると、警備員が大慌てしていた。
事務の酒井が屋上から飛び降りると電話を入れてきたそうだ。
 大慌てで屋上まで昇るが、
コの字型になっていて反対側の階段からしか行けない屋上から酒井らしき人物が飛び降りてしまう。
 すぐに階段を下りて酒井の下へ行く。酒井は即死だった。
警備員に学長と警察への連絡を頼み剣は現場の屋上に昇ってみる。
屋上には靴が揃えてあり他には何もなかった。

 とりあえず事務室まで行くと大野がやってきた。一緒に中に入ってみるとPCに酒井の遺書があった。
『私は今 罪の意識にさいなまれています
 世間のみなさまには
 大変申し訳ないことをいたしました
 このお詫びは死んでいたします
 私の秘密は こころの中にしまってあります
         酒井はるみ』
 自殺するほど気に病むこととは何だろう。
 文章もおかしい。
普通は死ぬ人間が遺書の中で使う場合、「こころのなかにしまっておきます」と書くだろうが、
ここでは「しまってあります」になっている。「こころ」が平仮名なのも不自然だ。
 気になったので周囲を見回してみる。すると戸棚が目に付いた。
そにに事典や法律の本に混ざって夏目漱石の「こころ」もあった。
 そのこころの中にはフロッピーディスクに納まった脱税の証拠があった。
 大野は慌ててそれを奪い取り剣と2人だけの秘密にした。
本来なら警察に届けなくてはならない証拠なのだが、探偵として捜査上の秘密は守れと言われては仕方がない。
『それにしても 何で酒井さんは脱税のファイルをあんなとこに隠したんだろう・・・
 しかも あんな謎かけみたいなことをして何の意味があるんだ?
 そして セキュリティー室にかかってきた電話・・・これは ひょっとすると』

 剣は再び屋上に昇った。そこにサイレンの音が聞こえる、警察登場だ。
 酒井が飛び降りた辺りを調べてみると、その下の段差にはストッキングの跡らしきものがあった。
『これだ!やっぱりそうか。とすると 酒井さんはどこから・・・
 いくら犯人が怪力でもこの金網を越えさせるのは無理だろうな。
 とすると・・・見取り図で調べた方がよさそうだな』
 そこに警官がやってきて剣に事情を聞きたがった。大人しく従うことに。

 剣は学長室で事情を話す。
PCからは酒井の指紋しか発見されていないためおそらく自殺だろうと言っている。
 剣は自分が他殺だと気付いたことを教える。
 あの屋上は一段低くなったところにひさしがあり、飛び降りるマネをしてそこに着地した。
そして2人がいなくなった後で階段を使って降りたのだ。
 では遺書は?それを説明するために事務室に。

 PCで遺書を調べていると文書1.txtというファイル名であることがわかる。
拡張子がついているということは一度保存しているということだ。
上書き保存してみようとしてもドライブが見つからないと出る。
これはこのPCにファイルは無いが他のPCから書かれたものをフロッピーで読み出したということだ。
そうすればここのパソコンのキーボードを使わずに遺書を書くことはできる。
 では酒井を誰かが屋上から突き落とし、
その後セキュリティー室に電話して目撃者を作っておいて飛び降りるマネをし
遺書も自分で書いてPCに表示させておいたということか。
 しかし警官の言うことは少し違った。おそらく酒井はその下の茶道室から突き落とされたのだ。
そこからは案の定酒井の指紋と皮膚の一部が発見された。
酒井は靴を履いていなかった。突き落とした後で取りに行くとは考えにくい。
だから前もって靴を脱がすためにここを選んだのだろう。
 セキュリティー室にかかってきた電話は女の声だったが、
ボイスチェンジャーがあるので女性とは限らないだろう。
 そこに林田警視と呼ばれる人相の悪い男がやってきた。
警官が剣のことを紹介すると林田は「黒須信介」のことを持ち出してきた。
父親だと言うとこの世で一番憎い相手であり死んでいい気味だと返ってきた。
激昂する剣。
 林田は取り合わず漱石のこころを持ち出した。
「おい お前。この本の中身を どこへやった。お前が隠したんだろう」
「何のことだ」
「とぼけるな。うちの署のボンクラどもに わかるハズがない。お前がどこかへやったんだろう。
「知らねえよ」
「本当のことを言わんと ブチ込むぞ!」
「できるもんならやってみろよ。他の警官が見ている前で 無抵抗のオレを逮捕状もなしに・・・」
剣の口上を遮って林田の拳が顔面に入る。
「公務執行妨害だ 逮捕しろ!」

 その夜剣を引き取りにきたのは冴木だった。
「相手が悪かったな・・・」
 林田兼三(はやしだけんぞう)は警視庁きってのエリート刑事だ。
以前はマル暴だったが捜査1課に転属になったようだ。
 林田はマル暴の中でも群を抜いた荒くれ者で彼がつぶした暴力団は50はくだらないだろう。
麻薬の売人も200人は以上は捕まえその検挙率は警視庁始まって以来とまで言われているそうだ。
しかし黒いウワサも耐えないらしい。
「犯罪を自らつくり出して 検挙してるとか
 林田に ワイロを送るのを断った暴力団がことごとくつぶされているとか 言われとるよ。
 あまりにも検挙数が多いんでやっかみもあるんだろうが・・・」
 貴重な捜査時間を無駄にしたことに腹を立てた剣は翌日に全力を費やすことを決意する。

 翌日、警察関係者以外は立ち入り禁止になっていた。
 途方にくれる剣の前に林田がやってきた。
本に挟まっていたものを出せば中に入れてもいいと言われるが知らないとはねつける。
「お前がここにいる間に 人が死んでいるんだ。
 お前は犯人に利用されているだけで何の役にも立たないクズだ。お前の父親と同じだな」
「何だと・・・」
「悔しいか。悔しかったら 俺を殴ってみろ!」
 震えた剣の拳が林田の前まで持ち上がる。しかし拳は目前で開かれた。
「にぎりっぺ(ハート)」
「きっ きっさまああっ!!!」
「うっきょっきょーっ!かけっくら(※かけっこのことだと思われる)だきゃあ 負けないもんねーだ、
 おしーり ペーンペン。逮捕したきゃ してみろよ。罪名「にぎりっぺ」で逮捕状とれるもんならな」
「くっ・・・・」
 路地裏で剣の拳が塀に叩きつけられる。

 病院に行き登坂に会う。彼女は来週に目の手術をするらしい。
 エリスに恨みをもつものだが、
在学中は嫌がっていた生徒でも卒業後にメリットを知ると掌を反してエリスに行ってよかったと言うらしい。
 では退学になった生徒はどうだろうか。
校則が厳しくなってからの退学者は7、8人で、彼女等は中等部は卒業しているとのこと。
 やめた生徒のほとんどは自主留学や結婚したりタレントになったりと恨んでいないだろうという。
ではやはりひとみと鈴木つかさが怪しいことになる。
 ひとみは「こうじろひとみ」というらしいが、担任ではなかった彼女には漢字まではわからないそうだ。
 名前や身分を偽ってエリスの教職員になることは不可能だろう。公的証明書の添付を義務付けられているからだ。
 それを確認したいが履歴書などは学長室にあるそうだ。
 今日はもうこれ以上の捜査の続行は無理そうなので明日にすることに。

 翌朝登校すると門前には林田がいた。本日は警察関係者と学校関係者以外は立ち入り禁止である、
学校関係者なら入館許可証ではなく身分証明書を見せろと言ってきた。
剣が学長にもらったものは入館許可証だ。これでは入れない。
 勝ち誇る林田。そこに前後にとても長い黒塗りの車がやってきた。
降りてきたのは理事長だった。
昨日友子が理事長のところへ行き事情を話し、それを聞いて剣の身分証を作ってくれたのだという。
「理事長・・・恩に着ます。ほらよ 身分証明書だ これで文句ないよな。
 くれぐれも 変なヤツを入れないよう 門番 がんばってくれたまえ」
「きさま・・・」

 中に入ると女生徒が悲鳴を上げた。その先で山田が血を吐いて倒れている。
女生徒によると急に苦しんで倒れたのとことだ。

 一体どうしたのだろうか。事務室で訝っていると松木がやってきた。
3年生が授業をボイコットしているそうだ。
教育実習生の鈴木さやかが鈴木つかさの姉であり妹の復讐にきたのだと大騒ぎしているのだ。
本人は否定しているが、生徒の1人がつかさの家に遊びにいった時にさやかを見たらしい。

 剣は学長室へと急いだ。そこには林田の姿もあった。山田が死んだらしい。
「またお前が第一発見者だそうだな。
 どうやったらそんなに人が死ぬところを見つけられるのか教えてもらいたいもんだ。
 ひょっとしてお前が殺してるのか?」
そんな捨て台詞を残して去っていく。
 履歴書は第三者に見せられないということで見せてはくれなかった。
 ならばと学長に鈴木さやかのことを聞いてみる。
すると、彼女は一人っ子であり、生徒の騒ぎは誤解だったことがわかる。
 学長には騒ぎを収拾してもらうためにその説明をしてもらうよう追いたて、
その隙に職員名簿を探すことにした。
 程なくキャビネットにあるのが見つかるが、そこには鍵がかかっていた。
さすがに今持ち出したらバレるだろうから
後で持ち出せるようにと引き出しから拝借した鍵でキャビネットを開けておく。
そして鍵がかかっているように見せかけるためにと500円玉を戸の間に挟めた。
 そして戻ってくる大野。大野がキャビネットを確かめるが、ファイルはあるし戸も開かないので安心したようだ。
 そこで松木と林田の声が聞こえる。どうやら彼女を無理矢理署に連れて行こうとしているようだ。
彼女は山田に頼まれてヨウ素剤を渡したらしい。
誰かから白血病や甲状腺ガンはヨウ素不足でなると吹き込まれたらしく、
松木はあまり関係ないと言ったのだがあまりにもしつこかったので少し渡してしまったらしい。
 山田の解剖の結果、身体中の臓器から出血しているというすさまじい状況で、
体内から多量のヨウ素が発見されたそうだ。
 ヨウ素を飲んだだけで臓器からの出血はあり得ないと彼女は拒むが、
話は署で聞くと林田は乱暴に連れて行こうとする。
 剣は松木が無罪ならいずれ真犯人を捕まえるからとここは大人しく警察に行ってもらうよう頼んだ。
松木は仕方がなくそれに従う。

 放課後、剣は帰ると言いつつ保健室に身を隠し、ついでに一眠りすることにした。
 ・・・目が覚めると真っ暗だった。腕時計の夜光塗料も光っていないということはかなり寝ていたことになる。
携帯電話は00時を示していた。
 外から入れないのなら中にいればよかったのだ。エリスの甘いところは建物の中に監視カメラがないということだ。
 学長室でファイルの中身を拝借し、帰ろうとすると警備員が見回りにやってきた。慌てて職員室へ隠れる。
ついでにここも調べておくことに。
 細川と三上の席は向かい合わせであり、登坂の席も近かった。これは関係あるのだろうか。
 剣が腕時計の時間を確認すると既に一時に近かった。もう行こうと歩き出したところで気付いた。
先ほどの確認時には夜光塗料が光っていたのだ。光を吸収などしていないはずなのに。
念のためもう一度先程の位置へ戻るとまた夜光塗料が光っていた。
目に見えないもので夜光塗料を光らせるもの・・・。
 その危険性に気付いた剣は大急ぎで保健室から大川に電話をかけた。
 程なく大川が科捜研の人間を連れてやってきた。

 翌朝の事務所。
 履歴書を見ていると鈴木さやかとつかさは確かに無関係だった。多い苗字が災いしただけのようだ。
 他には教頭の履歴書などもある。「木村康陽」。
証明書には読みがないので一瞬わからなかったが、ほどなく読みを見つけた。(きむらやすはる)。
 住民票にも免許証にも名前の読み方はのっていない。
氏名の読み方が書いてあるのは履歴書の手書きの部分だけなのだ。
つまりは氏名の読み方ならごまかせるということだ。
 大川から電話がかかってきた。やはり剣が予測していたものがあったそうだ。
そのケースを貸してもらえるように頼み学校を臨時休校にする手続きをしてもらう。

 翌日の学校。まゆなと千絵里が校門の前で待っていた。千絵里が剣を心配し、まゆなに同行を頼んだのだそうだ。
 既に来ていた大川に来てもらっているみんなを2階の会議室に集めてもらい、ついでにまゆなと千絵里も連れて行く。

 まずは今回の事件の流れを説明する。
エリスの健康診断で細川と三上がガンにかかっていることが判明する。
一ヵ月後に細川は亡くなり三上も入院した。
そして今から二週間前に脅迫状が貼り出された。差出人は「さまよう魂」。
最初は校則を撤廃しろという内容だけにイタズラと思ったが
三上がなくなり生徒が鈴木つかさの呪いだと怖がり出したため学長が一週間前に事務所に依頼をしにきた。
四日前の金曜日に登坂が倒れ救急車で運ばれる。直接の原因は過労だが白内障にもなっており入院が必要だった。
生徒は登坂のことも呪いだと信じ込み欠席者が続出。
そして翌日二回目の脅迫状が貼り出される。
内容は同じだが「つかさ」という文字が入っていたため「鈴木つかさ」を匂わせるものになった。
これは犯人が鈴木つかさの存在を利用しようとして目をそらさせるようとしたためだ。
しかし剣が薬品を使ったトリックを見破ってしまう。これにより紙と画鋲を回収できなくなってしまう。
これにより剣は犯人を絞り込むことができた。
その日の午後、酒井が偽装自殺させられる。
遺書をフロッピーからPCにコピーし四階の茶道室から突き落とす。
そしてセキュリティー室に電話をかけくつを並べひさしに飛び降りる。
目撃者がいなくなったら屋上に戻り階段で下りる。
そして昨日の月曜日に山田が死亡する。
これにより生徒の恐怖はピークに達し鈴木さやかが鈴木つかさの姉だというデマが飛び
授業をボイコットする騒ぎまで起こりだした。
エリス女学館の信用を失墜させることも犯人の目的だったのだろう。

ではどこまでが犯人の仕組んだことなのか。それは全てだ。細川や三上の死についてまでもだ。
どうやったのかと疑問の声を上げる大野。
剣は一つの容器を取り出しそれを皆に回して1人ずつがよく見るように指示をする。
大野、理事長、大川、神城・・・しかし神城はそれをまゆな達に渡すことができなかった。
「その容器の中身はからっぽですよ。神城さん あなたが犯人ですね・・・」
大野「本当なの!! 神城さん!!」
教頭「黒須さん どういうことですか。あの容器には何が入っていたのです」
 あの中身は「セシウム137」という放射性物質だった。これが細川と三上の机の間に取り付けられていた。
セシウム137からはガンマ線という放射線が出る。俗に言う「放射能」だ。
これは人体に有害で、これを浴びるとガンや白血病になることが確認されている。
ガンマ線は貫通力が強く木やコンクリートはもちろん分厚い鉛すら通り抜けてしまう。
毎日相当な量の放射線を浴びて彼らはガンになって死んでしまったのだ。
 彼女の本当の名前は「しんじょうかずみ」ではなく「こうじろひとみ」。
7年前に退学になった「ひとみ」だ。
教頭「あれは君が悪いんじゃないか。たしか他の生徒のサイフを盗んだんだろう」
 しかしそれは濡れ衣だった。学長が酒井と共謀してやったことだった。
父親が寄付金に反対していたから邪魔だったのだ。
様々な嫌がらせを受け、生まれつき茶色くカールがかかった髪をしていた彼女は染めろと言われ、
断ると細川と三上を使ってバリカンで刈られてしまった。
理事長「ひどいことを・・・」
 そしてある日体育の後に教室に戻るとクラスメイトの財布がなくなっており、
全員の持ち物検査をしたら彼女のカバンからサイフが出てきた。
彼女は職員会議にかけられ退学になった。無実を信じたのは登坂だけ。
酒井が教室に入るのを他のクラスの生徒が目撃していたのにも関わらずだ。
彼女は卒業パーティーに出ることだけを楽しみに嫌がらせにも耐えていたのだがそれもなくなってしまった。
転校することもできずに高校を中退せざるをえなくなる。
死に物狂いで勉強した彼女は大検に合格し大学に入れたが、それでもエリスへの復讐で頭がいっぱいだった。
そして放射線科に進む。研究用の放射性物質を手に入れられると思ったからだ。
管理は厳重だったがなんとか手に入れエリスに就職した。
髪を染めストレートパーマをかけ名前の読みを変えることで事務員になることができた。
そして盗み出した放射性物質を細川と三上の机の間に仕掛けたのだ。
それからの一年は毎日が楽しくてしょうがなかったそうだ。
そして2人が死んでから脅迫状を書き他の生徒も救おうとした。
「私は英雄気取りだった。生徒達も私に感謝するだろうと思っていた。でも 違った・・・。
 私はとんでもないあやまちを犯したのよ」
 登坂のことだ。
 就職後もよくしてくれたエリスで唯一尊敬できる教師だったが、
彼女も放射線の影響を受け白内障になってしまったのだ。
他の人に影響を与える前に恨みを晴らす必要ができた彼女は酒井を突き落とし脱税の証拠を本の間に入れておいた。
理事長「なぜそんなことをする必要があったのかね」
 普通に置いておけば学長が警察より先に見つけて隠してしまうのが目に見えていたからだ。
 では何故山田を?山田は何もしなかったはずだ。
「ふふ、そうね 何もしなかった・・・。あの男は私が退学になったときに退学を取り消してやるって言ってきたわ。
 そのかわり 自分のいうことを聞けと・・・。私はエリスをやめたくなかった・・・。
 だからワラにもすがる気持ちであの男の言うことを信じた・・・。
 私はあの男にもてあそばれるだけもてあそばれて結局退学になったわ。
 あの男は最初から退学を取り消す気なんてまったく無かったのよ」
「ひでえ・・・」
 だから彼女は山田に近づきヨウ素のことを吹き込んだのだ。
保健室でヨウ素剤をもらってくるように指示し、その後自分の持っていた「ヨウ素131」を飲ませる。
ヨウ素131も放射性物質の一つであるが、ヨウ素は体に必要な物質であるため鑑識も気付かなかったのだ。
ヨウ素131が出す放射線はアルファ線といい、ガンマ線の何倍も有害だが、
貫通力は無いので他の人間に影響を与えることはない。
飲んだ人間の体内で延々と放射線を出し続け体の中から組織を破壊していくのだ。
教頭「おお・・・なんてことだ・・・」
神城「・・・・・・・・・あと少し・・・あと少しで恨みを晴らすことができたのに・・・」
大野「こんなに何人も殺しておいてまだ殺したりないの? なんて 恐ろしい女なの」
剣「最後のターゲットは・・・学長 あなただったんですよ」
大野「わたし・・・? 私を殺そうとしてたっていうの!? ひどい女・・・お前は人間のクズよ!」
神城「クズはどっちよ! 理事長が口出ししないことをいいことに好き放題していたくせに!
   生徒たちから集めた寄付金を着服したり
   エリス女学館が学校法人なのを利用して脱税に脱税を重ねていたじゃないの!
   脱税したお金でぜいたくの限りをつくしてたじゃないの!! 山田だって あんたの愛人じゃないの!!!」
大野「な なにをバカな・・・」
神城「証拠だってそろってるのよ。洗いざらい全部 警察に渡してやるわ!」
大野「う うそよ・・・こんな女の言うことを信用しちゃいけないわ」
理事長「もう調べはついとるよ・・・ おまえさんを 学長にしたのは間違いじゃった。
    神城(こうじろ)さん 許しておくれ・・・。
    わしが間違っておった。わしがもう少ししっかりしておれば・・・」
剣「神城(こうじろ)さん。学長のことは警察に任せましょう。理事長からの告発で相当の罪を背負うハズだ。
  あなたからの証拠もあるし絶対に逃れられないでしょう」
神城「・・・・・・・・・・」
剣「・・・・・・・・・・最後に一つだけ聞かせてもらえますか?
  あのセシウムが入ったカプセルをまゆなちゃんが取ろうとしたときあなたは身を持って制しましたよね。
  どこかに投げ捨てるのならわかるのですが どうして自分で抱え込んだのですか?
  あなたにだって 危険でしょう」
神城「・・・私は・・・もう長くはないの。私の体は放射能に犯されてるわ。白血病なの・・・。
   皮肉なものよね。せっかく復讐から解放されたっていうのに・・・」

 後味の悪い事件のことを話す剣と友子。
 エリスは理事長が責任をもって建て直すそうで、新しい学長には登坂が就任して校則も作り直されるそうだ。
 エリスの生徒はほとんど職員室に出入りしないし、
放射線の強さは距離の二乗に反比例するから教室には届かないのだそうだ。
もっとも職員室の教師達は多少なりとも影響を受けているだろう。
友子「そういえば 剣ちゃんも放射能浴びたんでしょ。からだ 大丈夫なの?」
剣「そういえば さっきから頭痛が・・・吐き気も・・・」
友子「きゃあ 剣ちゃん」
剣を抱きかかえるが、剣の手が友子の胸を触った。
友子「きゃあ!なにすんのよ!!」
剣「最後の・・・願いを・・・」
友子「剣ちゃん・・・いいわ私の胸でよかったら・・・」
剣「じつは・・・オレの浴びた放射線は・・・グフッ・・・
  飛行機に1回・・・乗ったくらいの微々たるもので・・・
  人体にはまったく影響のないレベル・・・」
友子「おのれ――――っ!!!!!」
側にあったバットを掴むと剣の顔面めがけてスイング。
剣「げええええええ!!」
友子「フンだ 失礼しちゃうわ」
剣「お おまえは・・・放射性物質より・・・たちが悪い・・・  ガクッ・・・」




■■■クロス探偵物語第四話■■■

第四話 依頼者

彼女が宇宙人かどうか調べてもらいたいという男が事務所にやってくる。
長話を要約すると、
単にその彼女は病気で、
彼のもとを去る理由を自分は宇宙人で星に帰るという表現をしているだけだった。
男もそれはわかっているはずなのでお引取り願う。
                         END





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