最初に発見されたのは301号室カメラマンの荒井、次に発見されたのが102号室コーディネーターの矢野。
それぞれ自分の部屋で背中と胸を刃物で一突きされている。
最後の目撃時間は矢野が8:00、荒井が8:40、9:20頃に両名が死体で発見される。
剣が殺された順番がわからないと言ったことに対して刑事は素人呼ばわりをする。
同じような凶器で殺され矢野の胸にその凶器が残っていたのだから、順番は明白である。
順番が違う場合、凶器が2つ必要だし、何の意味も見受けられないと。
呂秋「今 私は推理した結果を知りたいのではありません。事実を知りたいのです」
次いで荒井の部屋で実況を。
死体発見時に窓の鍵は開いておりベッドカバーには凶器に付いた血を拭き取ったと思われる跡があった。
この現場を見てどう思ったかという呂秋の問い。
剣「かなり手馴れた人間の犯行だと思いました。
  犯人は被害者を殺すときに
  凶器を横にして刺していますし
  凶器の血をぬぐったと見られる跡は
  斜めに動かしてありました」
背中から心臓に刺す場合、普通に刺すと肋骨にあたってうまくいかない場合があるのだ。
さらに血を拭う歳に刃を斜めに動かすと凶器の幅が特定されにくい。
矢野の部屋。
正面から心臓を一突きで争った形跡はなく、窓には鍵が。
刺さったままのサバイバルナイフは刃を上に突き上げるようにしてあった。
これが同じ犯人のものと思うかという問いに剣はそうだろうと答えた。
剣「犯人は2人共に顔見知りで
  ナイフ術に長けた者 そういう人物が2人も
  この建物内にいたとは考えにくい」
呂秋も同意見だった。
呂秋が刑事に頼み、司法解剖の結果は修理した電話で逐一知らせてもらえることに。
崖下の捜索は夜明けと共に行われる予定だ。
次は前園が殺されたガレージだ。
彼は警察を呼んでくると言ってここを飛び出した瞬間に首を切られて殺されている。
普通は犯人が待ち伏せていたと考えるべきだ。しかし腑に落ちない点もある。
前園が犯人に首を切られたのだとすると、タイミングが良すぎた。しかも誰も犯人を見ていない。
姿どころか音もさせずに殺されたとはどういうことか。
それに、剣が出入り口付近で見た光る何かの存在も気になる。
今見ていても何もないので気のせいかもしれないが。
次は大きな音がした厨房だ。ここに鍵がかかっていたかはわからない。
前に板がおいてあり、ホテルの見取り図にも書いていなかったので扉の存在さえ知らなかったのだ。
だとすると犯人は矢野と荒井を殺害した後にここから出て行った可能性もある。
その場合、表で前園を殺しまたここを通って建物内に入ってきたことになる。
そして騒ぎに乗じて3階に駆け上がりやってきた浅倉の頭を殴り室沢を果物ナイフで殺し、
最後に若林の部屋に逃げ込んだことになる。
荒井の部屋。
友子が"誰か"が部屋に入ったのを目撃しており、それは間違いない。
そして入ったときには人影はなく、窓が開いていた。ベッドの上にここの鍵が。
そういえばここで変な金属片を拾っていた。
呂秋に見せると、それはハドメだった。手芸や革細工に使われるあれだ。
犯人が逃げ込む前に部屋を調べた時に落ちていなかったのは確かだが。
ハドメを何かに使ったのだろうか。
ここでは血のついたタオルも発見している。荒井と矢野の死体発見直後に見つけたものだ。
今は警察が鑑識にかけている。

だいたいの事情を理解した呂秋は自分なりに捜査をしてくると言い、
剣も自分で気になる点があるので今一度見回ることに。
それはガレージで見た"何か"だ。シャッターを通す柱には何かを強く縛り付けた跡が残っていた。
そこに電話が。
刑事の話では鑑識から以下のことがわかったと報告される。

  • タオルの血液は矢野のものと一致した
  • 矢野と荒井を殺害した凶器は同じものであると判明
  • 表に止めてあった車のタイヤは穴の大きさと空気の抜け具合から夕方の3時から5時にやられた可能性が強い。穴が2箇所

とも上であることから止まっている時に穴を開けられている。

ここで一つ頭の痛い話があった。
若林は一人だけ遅れてきており、タイヤをパンクさせるには無理がある、ということだ。
若林が犯人だとすれば全ては簡単なトリックで説明がつくという呂秋に、刑事は答えを求めた。
若林はあるものを使ってタイヤに穴を開けたのだ。剣がもっているハドメだ。
今の車はほとんどがラジアルタイヤなので空気が抜けるまでに時間がかかる。
それはタイヤ自体に穴をふさごうとする力が働くからだ。
しかしハドメを使えば穴が空いているままになるため、
空気が抜けた後にこれを回収すれば時間差トリックができるのだ。
これ単体で穴を空けるのは難しくても、アイスピックに通すなりして行えばハドメを残すことができる。
そして6:40に到着し、夕食をキャンセルして顔を見せないようにする。
皆が夕食の時間に食堂に集まった隙に3階の物置に潜む。
そして荒井が戻ってきたのを確認して殺害した。
荒井を殺害した動機、それは彼が301号室だったからだ。
若林は荒井を殺した後、窓の外の手すりにロープを掛けて下の自分の部屋に下りた。
その邪魔になる荒井を殺したというわけだ。
彼はバイトの前園も殺している。別に動機らしい動機はなくてもよかったのだ。
しかし刑事には疑問が生まれた。ロープはどうやって回収したのか。
別に端を結ぶ際に手すりに固定する必要はない。ロープを輪にしておけば回収は可能だ。
その後若林は矢野を殺害した。ナイフを抜かなかったのは荒井を殺した時のあまりの出血に驚いたからだ。
普通は人を何度も殺したことはない。2度目は1度目の経験をもとに抜かなかったのだろう。
そしてナイフについた自分の指紋を拭き取り、その際に血の付いたタオルを自分の荷物に隠し2階に上がった。
談話室に人はいたが、あそこは構造上、3階から下りてくる分には必ず気づかれるが、
1階から上がる場合は気づかれないこともある。
談話室の人間がテレビに夢中になっていた時にでも通っていったのだろう。
そして電話線を切断し、厨房の勝手口から外に出た。
厨房の勝手口を知っていた理由は?
内側から見れば板が立てかけてあるが、外から見れば勝手口があるのが見える。下見すれば発見は可能だ。
外に出た若林は武器を構えて正面の入口と車庫のシャッターの間で待っていればよかった。
ホテル内の誰かが非常口や勝手口から出てくるとは考えにくいからだ。
前園は大声で叫びながら車庫に飛び出していった。犯人にすれば待ち構えることは難しくない。
そして厨房の勝手口を通って再び侵入し果物ナイフを手に入れて潜み、
全員が厨房に集まっている隙に3階に上がった。
室沢を殺して2階から投げ落とし、その死体に注意が向いた隙に逃げる。
しかし友子に追いかけられたために自分の部屋に逃げ込むしかなく、
窓伝いに移動しようとしたが、手を滑らせて海に落下してしまった。
以上が呂秋の推理だ。完璧だと褒め称える刑事。
しかし剣は納得していなかった。
室沢が殺されたとき、犯人は荒井の部屋に潜み、浅倉を殴った後室沢を刺したはずだ。
若林が犯人だったとして、どうやってオートロックの荒井の部屋に入ることができたのだろうか。
そういえばそうだ。
しかし呂秋はそれは間違いだと指摘した。
犯人は浅倉を殴った後室沢を殺したのではなく、
物置に潜んでおいて、2人が上がってきたことを確認し、ドアの外にいた室沢を果物ナイフで刺し、
物置にあったアイロンで浅倉の頭を殴った。
浅倉は部屋のチェック中だったので犯人が部屋の中にいたのか外から入ってきたのかはわからないはずだ。
浅倉がアイロンで殴られた理由もそこにあり、唯一の武器であるナイフを室沢の殺害に使ってしまったためだ。
あのアイロンは長い間使われず物置にしまわれていたものだという。
刑事はまた呂秋を褒め称え剣を貶めた。
刑事「おい若ぞう お前なんかが相手になるお方じゃないんだよ。
   これでもまだ 先生の推理が間違ってるって言うのか?」
確かに呂秋の推理は完璧だ。しかし剣には違う気がしていた。
完璧すぎて犯人に仕組まれたように感じられるのだ。
刑事「お前 バカか カンペキでなにが悪い。
   何か根拠があって そんなことを言ってるのか」
剣「これは オレのカンです
  オレのカンが 犯人は別にいると感じているんです」
刑事「カンだって? バカバカしい。
   お前 自分より先に呂秋先生が
   解決してしまったもんだから 悔しいんだろ」
呂秋「私は まゆなからエリス事件のときの
   君の活躍を聞いている。
   その君が いい加減なことを
   言うハズもないと思っている
   私に教えてくれないか
   君は誰が犯人だと思うんだ?
   若林はいったい何者だと思っているんだ?」
剣「若林は・・・
  若林雅史という人は 初めから
  存在していないんじゃないかと思っています」
刑事「は?
   何を言っとるんだね 君は
   頭がおかしいんじゃないのか?
   じゃあ チェックインしたのは誰だね
   だいたい・・・」
呂秋「なるほど おもしろい意見だ
   つまり他の宿泊客の誰かが 若林を演じ
   1人2役を やったというんだね」
剣「そうです」
呂秋「そして すべての罪を若林にきせた・・・」
若林は誰にも顔を見せず夕食もキャンセルしている。これは若林が存在しないからではないだろうか。
呂秋「うーん おもしろい 実におもしろい意見だ」
そこに電話がかかってきた。刑事が電話をとりに行く。
呂秋「夜が明けてきましたね
   私は さっきの自分の推理が
   100%正しいとは思っていません
   私自身リアリティーを感じていないし
   何より 物的証拠がない
   黒須君 君は犯罪が行われていたときに
   現場にいた それは強みです
   そのとき感じたことや気づいたこと
   印象に残ったこと それらを大事にしなさい
   人間一番頼れるのは直感です
   君が感じたことを信じるのです」
そこに刑事が戻ってきた。若林は存在していた。
宿帳をもとに身元を調べたところ東京の雑誌社の社員であることが判明した。
そこに連絡を取ったトコろ、確かに伊豆に出張中だという。
しかもニュービーズにかなりの恨みを持っていた。
若林には2つ違いの姉がいたのだが、3年前に自殺している。
ニュービーズの連中に乱暴されたのが原因だという。
結局証拠不十分でビュービーズの連中は無罪放免になったそうだが・・・。
だが若林が伊豆に出張中だからといって、若林が犯人とは限らないのではないか?
刑事「君も しつこいね
   いい加減にしないと みっともないよ
   夜も明けたことだし
   しきに がけ下の捜索も始まる
   すぐに若林の死体が見つかるに決まってる」
もっともここでは死体があがることはめったにないと呂秋が指摘した。
それでも何かしら見つかるだろうと刑事が言う。
剣は気になることがあったので車庫に移動した。
車庫では傷を発見した先の柱の反対側の柱にも傷を発見する。ということは・・・。
前園殺しのトリックがとけた。これなら犯人は談話室にいながら前園を殺すことができる。
そこに電話がかかってきた。行ってみると刑事から驚くべき話が。
若林が発見されたのだ。写真と同一人物なので間違いないという。
しかも生きている。近くの浜に打ち上げられているのを漁師が発見したのだ。
刑事「この荒波を泳ぎ切るとは 若林のヤツ
   相当泳ぎに自信があったとみえる
   だからこそ 海に飛び込んだのでしょう
   これで この事件も解決です
   若林の意識が回復しだい逮捕します
   もうすぐ 先生の素晴らしい推理が
   証明されますよ」
一転して
刑事「どうだ若ぞう お前の推理はみんなハズレたな
   これでも犯人は若林じゃないって言うのか?」
剣「・・・・・・・・・・
  わかった!わかったぞ!!」
刑事「今さら何がわかったって言うんだ
   まさか 犯人が若林だってことが
   わかったなんて言うんじゃないだろうな」
剣「犯人は 若林さんじゃありません
  真犯人は別にいます」
刑事「なんだって! お前まだそんなことを・・・」
呂秋「君は真犯人が誰だと思うのですか?」
剣「真犯人は・・・
  浅倉です!」
刑事「なんだって!?
   バカバカしい
   浅倉は前園が殺されたとき
   お前と一緒にいたんだぞ
   それに犯人が 室沢を殺して
   1階の部屋に逃げ込んだときだって
   3階にいたんだ どうやって・・・」
そこに電話が。
呂秋「確かなのかね」
剣「はい 間違いありません」
呂秋「どうして そう思ったんだね?」
剣「会話です
  事件が起こっている最中の
  みんなの会話を思い出してみたんです」
ほとんどのキーポイントになっている発言は浅倉から出ていた。
若林の荷物を調べようと言い出したのも浅倉ならば、前園が警察に行くというのにも賛成していた。
窓を開けたのもその後厨房にみんなを呼んだのも浅倉だ。
建物を見回らなければ危険だと思わせるようにみんなを誘導したのも浅倉だ。
呂秋「なるほど・・・」
そこに刑事が戻ってきた。
若林が意識を取り戻したのだ。そして浅倉に海に突き落とされたと言っているのだという。やはり。
呂秋「・・・私にも 今やっと
   事件の全容が見えてきましたよ
   確かに 真犯人は浅倉です」
刑事「・・・・・・・・
   あの 私にはさっぱり訳が
   わからないのですが・・・
   どうして 浅倉が犯人なのでしょう」
呂秋「黒須君 井上刑事に
   最初から説明してあげてください」
剣「わかりました」
浅倉には目的があった。それはニュービーズの社員を皆殺しにすることだと考えられる。
では何故前園まで?刑事は疑問を訴えるが、それはいずれわかることだ。
浅倉はその罪をすべて若林に押し付けるつもりだった。
そして計画は成功した。若林が生きていたという1つの失敗を除いては。
浅倉はチェックインをした際に部屋割りを確かめ、自分の計画が成功しやすいように移動させた。
室沢と矢野は同じ一階だったから良かったが、荒井は3階だった。
そこで怖がりの室沢に自縛霊が出るといって荒井の真下の部屋を空けさせた。
これは後から若林がその部屋になることを計算してのことだ。
犯行当日ホテルに戻った浅倉は車のタイヤをパンクさせ、車庫にある仕掛けをした。
そして若林の部屋で彼がチェックインするのを待った。どうやってオートロックの部屋に入ったのか?
それは簡単だ。オートロックというのは自動的に鍵が閉まる。そのためロック部分は押したら引っ込むようになっている。
それを利用してロックの部分に薄い板のようなものを貼り付けておいたのだ。
室沢の部屋を変えた時にでも細工をしたのだろう。そうすれば若林の部屋へは自由に出入りできる。
若林が到着すると朝倉は若林をナイフで脅し、海に突き落とした。
外傷を負わせなかったのは後で若林が自分で飛び込んだように見せかけるためだ。
もっともそれがあだとなって若林は生きていたのだが。
その後若林の部屋から夕食をキャンセルする電話を入れ、
若林の部屋の鍵を奪いオートロックの仕掛けを外し何食わぬ顔でみんなと夕食をとる。
夕食後、矢野と一緒に1階に下りて行きそこで矢野を殺害する。
ナイフを刺しておき、いかにも後から殺されたように見せかけておき、
さらにタオルにわざと血をつけて若林の荷物に入れいかにも若林がやったように見せかける。
自分はアリバイを作るために急いで談話室に戻る。
そして美麗に渡すための鍵を取りに3階に上がり荒井の部屋に立ち寄る。
矢野を殺したサバイバルナイフと同じもので荒井を殺害し、そのナイフは海に捨てる。
談話室に下りた浅倉は剣達3人が戻ってくるのを待ち、トイレにでも行った隙に電話線を切断する。
そこで剣達によって死体が発見され若林が不在であることが判明する。
では前園殺害はどう説明するのか?
たしかに浅倉はその時剣達と一緒に談話室にいた。
その時トリックに使われたのが首切りワイヤーだ。これはベトナム戦争でゲリラが多用したブービートラップだ。
目に見えないほどの 細く丈夫なワイヤーを首の高さに張るもので、
主にバイクやジープなどの搭乗者を狙ってしかけられたものだ。
しかし、バイクやジープならともかく、そこまで正確に人間を狙えるものなのか?前園の高さにあわせて。
しかしあそこにワイヤーを張ったのは犯人が外にいると思わせるためのものだ。
殺す相手は誰でもよかったのだ。
それに、シャッターを少し閉めておき、一番小さい人間がギリギリで通れる位にしておけば身長差を消すことも可能だ。
そうすればそれよりも背の高い人間はかがんで通るため、首の通る位置は限定される。
首が完全に切断されなかったのは首の骨に当たったからだ。だからこそワイヤーが発見されなかったのだが。
その後のどさくさでワイヤーを回収した。
前園が死亡したとき、気分が悪いと言って厨房に行き、勝手口の鍵を開け、扉を少し開けておき、ナイフを入手する。
みんなと談話室に行き、それとなく窓を開ける。
ラピスの建っている場所は夜の間海から陸に向かって風が吹く。
だから海側の窓を開けると勢いよく風が吹き込み風圧で勝手口の扉が勢いよく開き、立てかけてあった板が倒れたのだ。
では室沢が殺された時に1階に駆け下りたのは誰か、浅倉だ。
室沢が浅倉と組みたがったのは、怖がりな室沢に自分には霊能力があるから安心などといったためだろう。
そうして次のターゲットである室沢と3階に上がる。自分だけ荒井の部屋に入り窓を開けロープを手すりに結びつける。
そして表に待たせた室沢を果物ナイフで殺害して投げ落とし、
騒ぎに乗じて階段を駆け下り、若林の部屋に逃げ込む。
窓を開け、用意したロープで荒井の部屋に戻ったのだ。そして自らの頭をアイロンで殴り倒れこんだ。
血の付いたタオルもハドメも浅倉が若林に罪を着せるための偽装工作だったのだ。

呂秋から見てもこの推理は呂秋のものより的を射ていた。
浅倉は何処か?
彼は病院で治療を受けていた。若林と同じ伊東病院でだ。ここのすぐ近くにある。
若林が危険だ。至急病院の警官に連絡をして浅倉を拘束してもらうように頼むも、病院に警官はいないという。
若林の部屋は外から鍵がかけられるから安心だなどと言うが、
実際はそういう鍵は外からなら簡単に開けられるものなのだ。
パトカーを出し至急向かうと、浅倉がナイフを手に荒井の病室に入り込み今にもという状況だった。
銃を構え投降を呼びかける刑事。
浅倉「くっ くっ くっ
   まさか 見破られるとはな」
刑事「武器を捨てるんだ!」
浅倉「接近戦で 一番有利なのが
   ナイフだってことを 知らねえようだな」
剣「やめろ!
  お前に 勝ち目はない」
スタンガンを構えた剣。しばしにらみ合いが続く。
浅倉「どうやら オレに勝ち目はないようだ
   ほらよ」
浅倉が床にナイフを捨てた。
剣「もう一つのナイフも 捨てろ」
浅倉「へへっ お見通しってわけかい」
飛び出しナイフだ。
刑事「若林が 生きていたのが誤算だったようだな」
浅倉「別に 若林が生きてたって関係ねえよ
   オレは時効まで 逃げおおせる自信が
   あったからな
   唯一の誤算は
   このうっとうしい探偵が
   いやがったことだ・・・」
歯をむき出しにして実に楽しそうに笑ってみせる浅倉。

剣「具合はどうですか?」
若林「もう大丈夫です」
何故若林は浅倉に狙われたのか?
彼には姉がいた。美しくスタイルもよく、モデルにスカウトされた。
ある日写真集の話がきて姉は大喜びで撮影に行き…例の件をビデオに撮られまでした。姉は思い悩み自殺してしまった。
彼はそのことを知りニュービーズの連中を恨んだ。
しかしいくら恨んでも姉は帰ってこない。仕事に打ち込むことで忘れようとした。
小さな雑誌社で記者をしていた彼はある日偶然ニュービーズの社長と同席してしまった。
姉の件は社長の指示だった。社長は若林が意図的に近づいてきたのだと思ったらしくひどく慌てた。
若林はつい恨みから「あんたはいつか地獄に落ちる」というようなことを言ってしまった。
それからしばらくして美麗の事務所から名指して取材に来てくれとの依頼があった。
今一押しの美麗の取材が小さな雑誌社にあるなどとうてい考えられないことだった。
そして実際に行ってみるとそこにはニュービーズの面々が。
社長の仕組んだことだとは見当がついた。
しかし彼は逆に考えてしまった。これは謝罪のために仕事を回してくれたんだと。
彼は連中の顔を見たくはなかったのであいさつもそこそこにして姿を見せないようにしていた。
取材だけしっかりやればいいのだと。
しかしホテルにチェックインして浅倉が待ち伏せをしていた時すべてを知った。社長は彼を殺す気だったのだ。
浅倉にナイフで脅され海に飛び込むことを強要された彼は一か八か賭けて飛び込んだ。
幸い泳ぎには自信があるし、ナイフで殺されるよりはマシだと思ったのだ。
崖にぶつからないように思いっきり遠くへ飛び込むも、ものすごい衝撃だった。
それ以降の記憶はなくどうやって浜まで泳いだのかも覚えていなかった。
さきほど剣が井上に聞いた話ではニュービーズはあちこちに借金があり、
金のためならどんなあくどいこともやっていたのだそうだ。
その実行犯だった室沢、荒井、矢野の口封じの目的もあったのだろう。
社長は3人に多額の保険金をかけ浅倉に殺すように依頼した。
その罪を若林に着せ一石三鳥を狙ったのだろうが、若林の悪運が勝ったのだ。
先ほどニュービーズの社長の逮捕状がとられたそうだ。
結果的に姉の仇はとられたのだろうが、すっきりしないという。
剣「それは あなたがまっとうな人間だからです
  あなたが まっとうな人間であることを
  お姉さんは 喜んでいることでしょう」
若林「そんなもんですかね・・・」

夕暮れの海
剣「話ってなんだい?」
まゆな「おじいちゃんから全部聞いたわ
    大変だったわね
    ご苦労様」
剣「そんなことを言うために呼んだの?」
まゆな「あなたにこの「ゆきが浜」の
    由来を教えてあげようと思って・・・」
剣「雪が積もったみたいに
  きれいな砂浜だからじゃないの?」
まゆな「ちがうわ
    ・・・昔 もう百年以上前のことよ
    ここには強く愛し合っている若い男女がいたの
    でも 身分の違いで引きさかれた・・・
    女の子は悲しみ この浜に入水自殺したの
    遺体は あがらなかった・・・
    それ以来 この付近の海でおぼれると
    絶対に遺体があがらないようになった・・・
    自殺した女の子の呪いだって
    いわれるようになったわ
    行ってしまうばかりで 絶対に帰ってはこない
    「行きが浜」(ゆきがはま)って
    呼ばれるようになったの」
剣「・・・そうだったのか
  雪が浜 じゃなくて 行きが浜・・・」
まゆな「でもね 若林さんは帰ってきたでしょう
    それって 若林さんのお姉さんが
    彼を守ってあげたからじゃないかしら・・・」
剣「・・・・・・・
  そうだね・・・
  きっと そうだ」
まゆな「わたし この海を忘れないわ・・・」
剣「え? なんか言った?」
まゆな「ううん なんでもない
    あ 千絵里よ
    ちえり- ちえり--!」





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