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沈んで行く太陽が辺りを染める頃、彼女は部屋へ辿り着いた。 「…ふぅ」 ベッドに座り、ぼんやりと外を眺める。一日の仕事を終えた心地よい疲労感が、体を包む。 窓から見える景色…黄金に輝くセレニアの花々…その輝きが、あの日を思い出させる。あの日も、こんな夕焼け空だった。 「あれから、もう一年経つのね…」 長かった…一人の時間は、彼女に嫌でも自分の弱さを思い知らせる。大事な人を殺めた罪と、向かい合わなくてはならない。 泣きたい…でも泣かない。泣いてはならないと、教えられてきたから。 彼女は気付いていた。泣かないのではない。泣けないのだ。一度折れてしまったら、支えなしでは立てないから… 「ねぇ、貴方に話したい事が、沢山あるわ…だから…」 だから、早く帰って来て欲しい。背中を、押して欲しい。生きる事に疲れた自分の、生きる目的になって欲しい。 「ねぇ、ルー…」 言いかけて止めた。口に出したら、泣いてしまうから。溢れる感情を無理に押し込んで、立ち上がる。今はまだ、泣いてはいけない。 「約束する。必ず帰るよ」 「…そうよね」 聞こえたのは、彼の声…見えたのは、あの笑顔… 「約束、したもの。それに…」 彼は、自分の中に確かに居る。彼と過ごした日々が、自分に生きる力を与えてくれる。だから今は、それでいい… 「ずっと、ずっと待ってるから…」 まだ、笑える。まだ、待っていられる。明日からも、頑張っていける。そう、思った。 ---- #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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