TOAのティアタンはメロンカワイイ SS > スレ10 > 916-917

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その日、ベルケンドは集中豪雨に見舞われていた。
それは昼から猛威を奮っている。
ルークは椅子から立ち上がると、うんざりと窓の外を見上げた。
「うぜー、なんなんだよこの雨は」
激しく窓を打ち付ける雨。強風に煽られて舞い散る木の葉。
軽い気持ちで窓を開けてみると風が部屋に飛び込んできて、ルークは慌てて窓を閉めた。
「ちょっとルーク!窓なんて開けないで」
風で乱れた前髪を払って、ティアが言う。
「あなた馬鹿ですか?このような時に、何故窓を開けようという気になるのでしょうか」
呆れた様子でジェイドが言う。
その手は、机に積み上げられている何やら難しそうな書類の山を押さえている。
「ちょっと、どんなもんか見たかっただけだよ」
「ここから見れば判るでしょう?それに開けたらこうなる事くらい予想出来るはずよ」
「ああもう!悪かったって」
ルークは窓に顔を張り付けて、眼下を眺めた。風に飛ばされそうになりながら、急ぐ者の姿が見える。
「こんな時に帰ろうとしている人がいる・・・」
「それはそうよ、この雨のせいで宿が満室だもの。残念だけど泊まれないでしょうね」
「そのせいでこのクソ狭い部屋に6人も泊まるんだもんな。はあ、やだなあ・・・」
この豪雨のせいで他の客が宿に泊まるらしく、人の多いルーク達は一つの部屋に全員で泊まることになった。
ついその事に不満を洩らしてしまう。
「やだなあ・・・じゃない!あたしが嫌だっての!なんで男達と同じ部屋で寝なきゃいけないのよ~」
「そうですわ。このような狭い部屋で殿方達と共に寝泊りするのは大変よくないことです」
「はは、俺はナタリアの逆なんだけどな・・・。とにかく、ああだこうだ言ってもしょうがないさ。今日は大人しくここに泊まろう」
「ここって・・・この部屋にかあ?」
「嫌ならルークは外で寝れば?」
「いや、大人しくここで寝る・・・」
ティアは、努めて淡々と喋った。ルークはしぶしぶ納得する。
「でもよー、ベッド二つしかないぞ」
そう、この部屋にはベッドが二つしかないのだ。
「そうですねえ、調べてみたところ毛布も人数分ありませんね。これだと最悪、一人が犠牲になります」
「大佐、どうしますか?私なら椅子で平気ですが」
椅子で寝るのは慣れていないけど、寝てしまえばどうという事はない。
「何言ってんだティア。君をそんなところで寝かせるわけにはいかないよ、そういう役割は男のする事さ」
「そ、そうかしら・・・」
「ガイかっこいい~!やっぱり誰かさんとは違うよねえ」
「ふん、悪かったな!気が利かない男でよ!」
「そうですみなさん、じゃんけんで決めませんか?」
今までの流れを無視して唐突にジェイドが言う。
「じゃんけん、ですか・・・?」
「ティアだって椅子で寝たくはないでしょう?私だって嫌です。ですから公平にじゃんけんで」
ジェイドはにやりと笑った。しかし、その笑顔の裏には危険な顔が隠れている。ティア達は逆らってはいけないと本能で察知した。
「ふむ・・・ではみなさん、じゃんけんを」
「こうなったら絶対に負けませんわ!それに、私こういう勝負好きですの」
「うわぁ・・・ナタリアまで張り切ってるよ。あたしだって絶対に勝ってやるんだから!」
「俺だって絶対負けねえ!!」
「結局みんなベッドで寝たいんだな・・・。俺はどこでもいいよ、他のみんなで決めてくれ」

「別に、私は椅子でも・・・」
「何を仰ってるのですかティア。こういうのは大人数でやったほうが盛り上がりますのよ?」
「ナタリア、お前話がずれてるぞ」
「ははーん・・もしかしてティア、じゃんけんするのが恥ずかしいとか?」
「そ、そんな事ないわ・・!恥ずかしくなんてないんだから!」
そう言いながらも、ティアはもじもじと輪の中に入った。
「んじゃいくよー?恨みっこなしだからね。じゃんけん、ぽん!」
一人を除いてみんな右手を出す。
結果は、四人がちょき、一人ぱー。
「うわぁ・・・マジださー」
「はっきり申し上げますわ。私、あなたには失望しました」
「さすがですね。期待通り惨めな負け方をしてくれましたよ」
「その・・・あまり気を落とさないでね?」
「うるせえ!俺は悪くない!勝手にパーが出たんだ!悪くない!そんな目で俺を見るな・・・うぅ」
「(ルーク・・・お前、この負け方はないよ。・・・幻滅はしないが)」

「やったー、ベッドゲット!」
「ご愁傷様です。諦めて下さい」
アニスとジェイドが喜びを口にし、ベッドを手にする。
ティアとナタリアはというと、アニスの提案で3人で一つのベッドに寝ようと案が出たが、ティアだけそれを断わった。
単純に狭いからである。ベッドから落ちるなど恥ずかしい事この上ない。だったら椅子で寝たほうがいいに決まってる。

ティアは渡された毛布を眺めてから、おずおずと喋り始めた。
「ルーク、私の毛布使ったらどう?せめて毛布だけでも・・・」
椅子組みの毛布と椅子をかけたじゃんけんもルークの一人負けで終わった。
「いや。負けは負けだよ。毛布なし椅子なしで寝る」
「だけど・・・」
「ありがとな、その気持ちだけ受け取っておくよ」
ルークは、壁によりかかるよう座った。
その他のメンバー達も、それぞれ毛布にくるまりベッドで、椅子に座る。
ティアは椅子に凭れたまま、どうしたものかと考えていた。
やがて、部屋に静寂が訪れる。それぞれの寝場所から寝息が聞こえる。
隣にいたガイも眠りについたようだ。軽く開いた口から、息が漏れている。
ティアは考えて、結果ルークに毛布を差し出す事にした。
やっぱり可哀相だ。冷たい床で寝ているので風邪を引くような事があってはいけない。
ルークに気付かれないように毛布をかけて、ティアは再び椅子に腰を下ろした。
改めて見る、ルークの無防備な寝顔。
なんて幸せそうな顔をして眠っているのだろう・・・
人の寝顔を覗くなんて悪趣味だと思ったが、ティアは眠りにつくまでそれを眺めて過ごした。

朝、ティアは渡したはずの毛布に包まって目を覚ます。




  • ルークもやるなー。 -- エターナル (2008-04-06 18:48:09)
  • ルークかっこいいー。 -- シン (2008-10-10 23:19:13)
  • さすがルーク♪ -- 茶味 (2008-10-30 03:10:27)
  • ルークがイケメンすぎるwww -- 通りすがり (2010-11-15 19:42:15)
  • 帰って来たルークもこの位カッコよかったら… -- アカツキ (2011-11-19 18:16:09)
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