TOAのティアタンはメロンカワイイ SS > 直接投下 > ミルキーウェイ

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ミルキーウェイ

「ルーク!どうしてここに!?」
ティアの声だ。ああ、なんだか懐かしい。
「約束・・・したから。」
月明かりに照らされた彼女の顔は、息を呑むほどに美しい。
俺は、ティアの体を強く抱きしめた。
「・・・・ばか・・・・。」
「おいおい、会っていきなり馬鹿はないだろ?」
「だって、だって・・・二年も待ってたんだから・・・」
「ごめん、ティア。」
俺は、そのまま暫くティアの体を抱きしめていた。ふと目を向こうにやると
ジェイドとアニスがにやついている。ティアの手を取って、みんなのところまで
ゆっくり歩く。

「みんな、心配かけてすまなかったな。」
夜の渓谷を6人で、談笑しながら下っていく。
たわいもない会話なのだが、俺にとっては夢のような時間だった。

「タルタロスを止めてあります。バチカルへ戻りましょう。」
「あれ?ジェイド、タルタロスが復活したのか。」
「ええ。まぁ。一晩もすればバチカルへ到着するでしょう。」
タルタロスに乗って、バチカルへ向かう。以前よりも揺れが少なく、乗り心地がよかった。
「ルーク、後でちょっと会議室に来てください。
 ローレライのことで聞きたいことがあるんですよ。」
ジェイドが俺を会議室の方へ来るように呼んでいる。
みんなのいる船室を出て、ジェイドと会議室へ向かう。
途中、ふと見たジェイドの横顔がいつになく悲しそうだった。

どうやら、ジェイドだけは気づいているらしい。

「ルークが私に隠し事するなんて、まだ60年は早いですねぇ。」
「ジェイドには隠しきれないだろうなとは思ってたけど、まさかいきなり勘付かれるとはなぁ。」
「ええ、まぁ私は鈍感な皆さん達とは、感性が違いますから。」
「はは、相変わらずよく言うよ。」
「ジェイド、俺は何日間こっちにいられるんだ。」
「あなたがエルドラントで姿を消してから二年・・・セブンスフォニムの乖離は、
 結合のおよそ50倍の速度で進みますから、ちょうど一週間というところでしょうか。」
「そうか。ありがとう、ジェイド。このことは、みんなには・・・・」
「分かりました。黙っておきますよ。」

そう、あれは、エルドラントでローレライを解放した時だ。
確かにあの時俺は、急速な音素乖離によって、アッシュは大爆発によって
二人の体はローレライと同化した。そこで俺の意識は一旦途切れた。
だが、その同化のあとしばらくして、俺は意識を取り戻した。朦朧としていたが、
アッシュとローレライのセブンスフォニムが、ゆっくりと俺の意識へと逆流し始めるのを感じた。
それから二年の間、俺の意識は、フォニムの結合を受け続けながら音譜帯を浮遊していた。
俺は、セブンスフォニムの意識集合体としてこの世にちゃんと存在していたのだ。
それが今日、タタル渓谷でのティアの大譜歌によって、俺はティアに『召還』された。
でも、セブンスフォニムの意識集合体は音譜帯以外では、急速に音譜乖離状態に陥る。

だから、俺がみんなと一緒に居られるのは、一週間だけだ。

明け方バチカルへ着くと、街や城の人を混乱させないためにこっそりと屋敷へ
行き、叔父上や母上、父上に挨拶を済ませた。その後、屋敷を出て街の方へ向かうと、
アニスが元気よく飛び出してきた。
「じゃじゃーん!これからアニスちゃんといく世界一周 6日間の旅にでかけるのだぁ!」
アニスの手には、ぎっしりと文字の詰まった紙がある。
そこには分刻みのスケジュールが書かれていた。
「アニス、そんなこといきなり言われても無理があるわ・・・」
ティアが頭に手を当てて、困った表情をする。
「えぇ~、でもティアが来ないとルークも来ないじゃん!!」
「そ、それどういう意味よ//////」
「まぁまぁ、いいじゃありませんの。一週間ぐらいは休暇を取ってもバチは当たりませんわ。」
ナタリアの一言で、一行はアニスの計画した旅行に向かうことになった。いつもながら
ナタリアの決断力には頭が下がる。

甲板で、ティアが一人、海を眺めている。そっと近づき、ティアの横に並ぶ。
「良かった。ティア、変わってないみたいで。」
「色々変わったわ。教団が再編成されて、私の役職も職務内容も・・・・」
「はは。やっぱり、ティアは何にも変わらないな。」
「(制服とかもデザイン変わったんだけどなぁ・・・?)それより、体はもう大丈夫なの?」
「・・・うん。大丈夫だよ。」
「そう・・・。本当に良かった。」

ティアを騙すのはつらかった。どんなことでも、ティアだけには正直になりたかった。
でも、咄嗟に口を出たコトバは、全部嘘だった。

みんなといると、時間はすぐ過ぎる。楽しかった世界旅行も、とうとう今夜で最後になった。
そして俺の体が譜石帯に戻るのも、ちょうど今夜あたりだろう。

夜は、ケセドニアで宿泊することになった。
(そろそろ、みんなに俺の体のことを言わなきゃな・・・)
俺は、宿のロビーにみんなを集めて、自分の体のことを詳しく話した。
「ごめん、みんな。だから俺、今夜にはもう帰らなきゃならないんだ・・・。」
沈黙と共に重い空気が漂う。その沈黙の中、ティアが口を開いた。
「・・・ばか。ルークのばか!!もう・・・もう知らないから!!」
ティアは瞳に涙を溜め、宿を飛び出していった。俺はどうしたらいいのか
分からず、呆然とその場に立ちつくしていた。
「相変わらず、ルークはお子様ですねぇ。」
「こんなとき、殿方のすべきことは一つですのに。」
みんなに促され、俺は宿の外へ追い出された。

(ティア、どこに行ったんだろう・・・。)

俺は、ケセドニアの街をひたすら走りまわった。それでもティアは見つからなかった。
ふと、空を見上げると月がでている。微塵の陰りもない、綺麗な満月だった。
何かに惹きつけられるかのように、俺は港の方へ向かって歩く。
ティアと月を見た、思い出の場所に向かって。
港に人影が見える。長い髪が月の灯りに照らされて、金色に輝いている。
「ティア、俺・・・。」
「ルーク、ごめんなさい。本当につらいのはルークだって分かってるの。でも私・・・。」
ティアをそっと抱きしめる。ティアの頬に涙がつたう。
「もう泣かないって決めてたのに。ダメね、私。」
ティアにかける言葉が俺には見つからなかった。俺は結局、ティアの心を
慰めることさえできないダメなレプリカなんだと、自分を責めた。
「ルーク、しばらく、このままでいさせて。」
「ああ。」

暫くしてから、俺とティアは港に寝そべって夜空を眺めていた。
「ティア、あそこに見える二つの明るい星、何か知ってる?」
「ごめんなさい、私は星のことは詳しくないの。教団では教わらなかったから。」
「あの二つの星はさ、ベガとアルタイルって名前なんだ。そして、その間にある
 無数の星の集まりをミルキーウェイって呼んでる。」
「詳しいのね。」
「ああ。昔、ガイにあの星にまつわる話を何回も聞かされたから。」
「あら、どんな話なの?」
「その昔、アルタイルって星は働きもののブウサギ飼いの青年、ベガって星は
 ぬいぐるみ織りの美しい天女だった。」
「(ブウサギとぬいぐるみ??/////)そ、それで?」
「うん。ある日二人は偶然出会い、そして恋に落ちた。でも、二人は自分のすべき仕事もせずに
 恋にかまけた。それに怒った天の神様が、二人の間に無数の星で川を作って、
 二度と会えなくしたんだ。その川がミルキーウェイ。」
「とても悲しいお話ね。」
「ああ。でもこの話には続きがある。あまりに落ち込む二人に見かねた天の神様は、二人に
 一年に一度だけ会う日を作ったんだ。だから、あの二つの星は、その日のために毎日
 一生懸命輝いてるんだ。お互いの姿をいつも見失わないように。」
そう言って、俺はゆっくりと立ち上がる。そして満月を眺める。
「ルーク?」
「リグレットが言ってたよな。人は誰かのために生きるんだって。
 それなら、俺はティアのために生き続けるよ。それがたった一週間だけだとしても、
 ティアに会うためにずっと生き続ける。」
「でも、あなたの体はもう・・・。」
「二年。二年経ったらまたティアに逢いにくるよ。必ず。だから、
 それまでティアにはずっと輝いててほしい。悲しそうなティアは見たくないんだ。
 俺は・・・ティアのことが好きだ。」
「ルーク・・・。私も・・・すき。」
聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で、ティアがそう呟く。
俺は、小さく震えるティアの唇にそっとキスをした。そのまま俺達は唇を
重ねたまま、お互いの温かさを感じていた。

「そのへんだけはちゃんとハタチになったようですねぇ、ルーク。」
「ジェ、ジェイド!?って、お前ら全員いたのか!?」
「あ~、ティア、顔まっかっかだぁ~。きゃはv」
「ちょ、ちょっとアニス!////////」
「まぁ、とりあえず一件落着・・・か。ルークのファーストキスも済んだことだしな。」
「ガイ、て、てめぇー! ナ、ナタリアもそんなに目そむけるのやめてくれ!」
「公共の面前で、はしたないですわ///」

それから、二時間近くみんなと港で騒いだ。最高に楽しい時間だった。
「みんな、ごめん。そろそろみたいだ。」
「ああ、必ずまた戻ってこいよ、ルーク。」
ガイがそう告げる。急に体が軽くなる。少しずつ意識が遠くなっていく。
俺はティアの手をとって、その目を見つめた。ティアの瞳がじわりと潤んでいる。
ティアが俺の体に身を寄せる。ティアの肌の温かさを感じることが、
自分がまだここ存在していることの証拠だった。
「俺、また必ず戻ってくるから。ちょうど二年後の俺の誕生日に、あの渓谷で。」
「ええ。私、もっと強くなるわ。ルークが変われたように、私も変わりたいの。
 だから・・・だから、ルークに私のことをずっと見ててほしいの。」
「ああ、見てるよ。俺はずっとティアのこと見てるから・・・。」
ティアの体を強く抱きしめた。少しずつ、肌の温かさが薄れていく。
意識が朦朧としていく・・・。
「ティア、ありがとう。」
俺はティアの耳元に小さくそう呟いた。
俺の体からフォニムが流れ出ていくのを感じる。そこで俺の意識は途切れた。


あれから二年が経った。
月明かりに照らされた彼女の顔が美しい。
ああ、なんだか懐かしい。静かな渓谷に、彼女の透き通った歌声が響き渡る。
                        -----END-----




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