TOAのティアタンはメロンカワイイ SS > スレ10 > 182-183

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私にはルークを止められない。

新生ローレライ教団、レプリカの大量発生、そして瘴気。
オールドラントは今、未曾有の危機に瀕している。
それでも三国が手を取り合い、新生ローレライ教団に対しては協力して抗戦、
レプリカに対しては彼らの国を創立することで一致。
ただし最重要事項である瘴気の除去・中和に関しては、
私たちの科学力ではどうしようもないのが現状だった。当然だ。
創世歴時代の技術を持ってしても、外郭大地を創る事で何とか危機を脱するのみで
根本的な解決には至らなかったのだから。

大佐やスピノザ博士によれば、
アッシュやルークの持つ超振動があれば、瘴気を中和することが可能かもしれない、らしい。
何千というレプリカの命と、超振動の使い手の命を犠牲にして。

――ルークは自分が犠牲になって瘴気を消すと決意した。

私たちにとって瘴気を消すことは最終目的ではない。
新生ローレライ教団、そしてその裏に蠢く兄さんの思惑を打破し
ローレライを音譜帯にまで解放するためには、
ローレライの鍵を扱える存在であるアッシュかルークの存在が不可欠である。

けれど一方、瘴気を中和するのにも、アッシュかルークの命が不可欠だ。

被験者とレプリカを比較した時、レプリカの能力は被験者より劣化している。
であれば、ローレライを解放すべきはアッシュであって、ルークではない。
だからルークが瘴気を消すのだ。自らを身代わりとして。

理屈では、そうだ。大佐やルークの言っていることは全面的に正しい。

彼は、死にたくない、と言った。
言いながら、彼の体もまた恐怖し、震えていた。

それでも彼は決意した。
自らの命とオールドラントで生きる人々の命を秤にかけ、
世界が救われるならばと、自らを犠牲にすることを決めたのだ。

陛下や私たちの前で決意を口にしたとき、彼の瞳は潤んでいた。

私だって、外殻降下作戦で自らの体が瘴気に冒され、寿命を縮めていると知ったとき、怖かった。
できることなら降下作戦なんてしたくなかった。だけど、できなかった。
外殻大地を降下させなければ、近いうちに大地は崩落し、多くの人の命が失われるのだ。
私に選択の余地はなかった。
怖かったけれど、気丈に振舞うしかなかった。

私が自らの犠牲を決意して、目の前の恐怖と向かい合ったとき――
いや、目の前の恐怖から目を背けて自分を誤魔化していたとき、
ルークは私を叱ってくれた。強いフリしすぎだと。
嬉しかった。
私が少しでも泣き言を言っていれば、彼はそれを受け止めてくれていたのだろう。

けれど、もし受け止めてもらっていれば、私の決意は鈍ったに違いない。

だから、私もルークを止められない。
私は常々、彼に「自分の頭で考えて行動しろ」と言ってきた。
彼も変わることを約束してくれた。
そして彼は今、私の期待通り、自らの頭で考え、決意し、行動しようとしているのだ。
彼は約束を守ってくれた。変わったし、成長した。だから、彼の決意を鈍らせるようなことは――

違う。
本当は止めたい。
私が止めることで彼が命を捨てずにいてくれるのなら、止めたいと思う。だけど。

「私にはあなたが必要なのだ」と言えば、彼は立ち止まってくれるだろうか。
「あなたを愛している」と伝えれば、ルークは私の傍にいてくれるだろうか。



今は同じ場所に立っているけれど、部屋の中にはドアがふたつあって。
彼は左のドアを開ける鍵を持っていて、左のドアに入ろうとしている。
私は右のドアを開ける鍵を持っていて、右のドアに入らなければならない。
それだけのことだ。彼と私の行く道は違えた。

もう、同じ場所には立てない。




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