─うざい…。─
赤髪の青年は眉間にしわを寄せて心の中で呟いた。
青年の名は「ルーク・フォン・ファブレ」─。
キムラスカ王国では高名なファブレ公爵の息子である。
「ちょっと、ルーク。あなた何してるの?」
自分より先を歩いていた、見る者の心を惑わせる程の
美しい容姿をもった女性が、こちらを振り向いて凛とした声で尋ねる。
「別に何にもしてねーよ。いちいちうるせぇな。」
「『うるさい』とは何よ。何を思ってか知らないけれど、
あなたの歩きが極端に遅くて、遅れ気味だったから心配しただけよ。」
「遅くて悪かったな。
…へーぇ、お前みたいな冷血女でも、心配するんだな。」
「っ!!」
その一言に彼女は嫌悪感を露にする。
ルークから「冷血女」という不名誉な呼び方をされる、
その女性の名は、「ティア・グランツ」─。
ティアは一呼吸置いて、落ち着きを取り戻した。
「…あなた、自分の立場が分かっているの…?
行っておくけど、私は何時でもあなたを見限る事が出来るのよ。
死にたく無ければ、黙って私に付いてくることね…。」
「うっ…。」
いくら、ティアの事が気に入らなくても、死にたいというわけではない。
ルークは肩をガックリと落とし、しぶしぶと歩き出した。
(はぁ…。)
ルークもティアも心の中でため息をついた。
(ほんとに子供ね、全く─。憎たらしいというか…なんていうか…。)
(なんつーか、やりにくい女だよな…冷めた性格してるし…。)
どちらも似たり寄ったりの感情を持ちつつ、今日の目的地である○○○へと向かう─。
「ほら、あともうちょっとで○○○に着くから。」
「へいへい。」
「返事は一回でいいのよ(怒)」
「…へい。(うるせーな)」
空はかなり暗くなっている。いつモンスターが出てきてもおかしくはない。
二人は自然と身構える。
神経を尖らせ、周囲を警戒する二人…─。
赤髪の青年は眉間にしわを寄せて心の中で呟いた。
青年の名は「ルーク・フォン・ファブレ」─。
キムラスカ王国では高名なファブレ公爵の息子である。
「ちょっと、ルーク。あなた何してるの?」
自分より先を歩いていた、見る者の心を惑わせる程の
美しい容姿をもった女性が、こちらを振り向いて凛とした声で尋ねる。
「別に何にもしてねーよ。いちいちうるせぇな。」
「『うるさい』とは何よ。何を思ってか知らないけれど、
あなたの歩きが極端に遅くて、遅れ気味だったから心配しただけよ。」
「遅くて悪かったな。
…へーぇ、お前みたいな冷血女でも、心配するんだな。」
「っ!!」
その一言に彼女は嫌悪感を露にする。
ルークから「冷血女」という不名誉な呼び方をされる、
その女性の名は、「ティア・グランツ」─。
ティアは一呼吸置いて、落ち着きを取り戻した。
「…あなた、自分の立場が分かっているの…?
行っておくけど、私は何時でもあなたを見限る事が出来るのよ。
死にたく無ければ、黙って私に付いてくることね…。」
「うっ…。」
いくら、ティアの事が気に入らなくても、死にたいというわけではない。
ルークは肩をガックリと落とし、しぶしぶと歩き出した。
(はぁ…。)
ルークもティアも心の中でため息をついた。
(ほんとに子供ね、全く─。憎たらしいというか…なんていうか…。)
(なんつーか、やりにくい女だよな…冷めた性格してるし…。)
どちらも似たり寄ったりの感情を持ちつつ、今日の目的地である○○○へと向かう─。
「ほら、あともうちょっとで○○○に着くから。」
「へいへい。」
「返事は一回でいいのよ(怒)」
「…へい。(うるせーな)」
空はかなり暗くなっている。いつモンスターが出てきてもおかしくはない。
二人は自然と身構える。
神経を尖らせ、周囲を警戒する二人…─。
「…気をつけろよ…。」
「…あ、あなたに言われなくたって─」
(可愛くねえな、こいつ…。)
ルークはそう感じていたが、一方のティアは違った。
このような緊迫した状況にも関わらず、さりげなく気遣うルークに
一瞬、心臓が高鳴った感覚を覚えていた。
(な、な、何!?今の…さりげなく…!?)
<ドク・ドク・ドク…>
ますます鼓動が早くなるのを覚えるティアであった。
しかし、その一瞬の気の緩みが─
「グガァァァァァァッ!!!」
「!!!」
「ティア!!あぶない!!!」
<ズサーーーーっ!!>
ルークは咄嗟にティアをかばい、間一髪のところで回避した─
と思われたが、ティアの腕にはやや深めの切り傷ができていた。
出血量も大して大量ではなく、命に別状はなかったが─。
「や、やべぇ…!!おい!ティア!!おいってば!!!」
しかし、返事がない。
考えられる原因は一つ─。
おそらく、ルークがかばって、地面に着地したときに頭を打ったのだろう。
ルークはそのことに対して相当な罪悪感を覚えた。
「やべぇ…俺のせいだ…。
…今はそんなこと考えている暇はねぇ…。こいつを倒さないと─。」
ルークに一つの感情が芽生えつつあった。
「…あ、あなたに言われなくたって─」
(可愛くねえな、こいつ…。)
ルークはそう感じていたが、一方のティアは違った。
このような緊迫した状況にも関わらず、さりげなく気遣うルークに
一瞬、心臓が高鳴った感覚を覚えていた。
(な、な、何!?今の…さりげなく…!?)
<ドク・ドク・ドク…>
ますます鼓動が早くなるのを覚えるティアであった。
しかし、その一瞬の気の緩みが─
「グガァァァァァァッ!!!」
「!!!」
「ティア!!あぶない!!!」
<ズサーーーーっ!!>
ルークは咄嗟にティアをかばい、間一髪のところで回避した─
と思われたが、ティアの腕にはやや深めの切り傷ができていた。
出血量も大して大量ではなく、命に別状はなかったが─。
「や、やべぇ…!!おい!ティア!!おいってば!!!」
しかし、返事がない。
考えられる原因は一つ─。
おそらく、ルークがかばって、地面に着地したときに頭を打ったのだろう。
ルークはそのことに対して相当な罪悪感を覚えた。
「やべぇ…俺のせいだ…。
…今はそんなこと考えている暇はねぇ…。こいつを倒さないと─。」
ルークに一つの感情が芽生えつつあった。
【人を「守る」こと─。】
今までのルークは人に守ってもらってばかりだった。
というよりか、屋敷の中の世界しか知らなかったルークにとって、
「守る」の「ま」の文字でさえ触れることはなかった。
─しかし、今は違う─
今、彼女を守れるのは、この「自分」だけ…。
「さぁ…来いよ!バケモノがっ…!!」
「グガァァァァァァッ!!!」
「いくぜぇっ…!!『双牙斬』!!」
剣の師匠であり、ティアの兄でもある「ヴァン・グランツ」から教わった技を
ティアを守るために使用し、見事に決まった。
「グギャァァァァァッ!!!」
辺りにおぞましい断末魔が木霊する─。
というよりか、屋敷の中の世界しか知らなかったルークにとって、
「守る」の「ま」の文字でさえ触れることはなかった。
─しかし、今は違う─
今、彼女を守れるのは、この「自分」だけ…。
「さぁ…来いよ!バケモノがっ…!!」
「グガァァァァァァッ!!!」
「いくぜぇっ…!!『双牙斬』!!」
剣の師匠であり、ティアの兄でもある「ヴァン・グランツ」から教わった技を
ティアを守るために使用し、見事に決まった。
「グギャァァァァァッ!!!」
辺りにおぞましい断末魔が木霊する─。
「よっしゃあ!!
…ってそんな場合じゃねえぇ!!おいっ!ティア!!大丈夫か!!?」
ルークがティアに駆け寄り、声をかける。
「……う…んん……!」
「とりあえず、応急処置を─」
ルークは以前、ヴァンから教わった処置法を思い出した。
早速実践し、てこずりながらも何とか処置を終えた。
その間に、ティアの意識もすっかり回復していた。
「…これでよし、と…。おい、大丈夫か?」
「…え、ええ…なんとか……あ、ありがとう…」
ティアはなんとなく恥ずかしそうに礼を言った。
「!!?…あ、ああ…いいよ、礼なんて…。(なんだ…?すっげえ可愛い…)」
しばらくの間、なんとなくいい雰囲気になった。
その雰囲気に対する照れくささなのか、悪い癖なのか、ルークは─
「…し、しかしアレだよな。自分ではエラソーなコト言うくせに、
いざとなったら大した事ねえなw」
─ムードぶち壊し─
「…よ、余計なお世話よ!!」
「ははははは。」
「…んもぅ…全く…!!」
ティアは傍から見ても分かるくらい赤面していた。
(…もぅ…やだ…何?この感じ…?)
(…こいつ…今すっげぇかわいい…さっきまでのが嘘みてぇだ…。)
…ってそんな場合じゃねえぇ!!おいっ!ティア!!大丈夫か!!?」
ルークがティアに駆け寄り、声をかける。
「……う…んん……!」
「とりあえず、応急処置を─」
ルークは以前、ヴァンから教わった処置法を思い出した。
早速実践し、てこずりながらも何とか処置を終えた。
その間に、ティアの意識もすっかり回復していた。
「…これでよし、と…。おい、大丈夫か?」
「…え、ええ…なんとか……あ、ありがとう…」
ティアはなんとなく恥ずかしそうに礼を言った。
「!!?…あ、ああ…いいよ、礼なんて…。(なんだ…?すっげえ可愛い…)」
しばらくの間、なんとなくいい雰囲気になった。
その雰囲気に対する照れくささなのか、悪い癖なのか、ルークは─
「…し、しかしアレだよな。自分ではエラソーなコト言うくせに、
いざとなったら大した事ねえなw」
─ムードぶち壊し─
「…よ、余計なお世話よ!!」
「ははははは。」
「…んもぅ…全く…!!」
ティアは傍から見ても分かるくらい赤面していた。
(…もぅ…やだ…何?この感じ…?)
(…こいつ…今すっげぇかわいい…さっきまでのが嘘みてぇだ…。)
この場にもしも、アニスがいればこう言うだろう。
─ちっ!いちゃつきやがって…UZeeeee!!!!─
─ちっ!いちゃつきやがって…UZeeeee!!!!─
しばしの「いい感じの」ムードを楽しんだあと、ルークが切り出す─
「…さぁ、すっかり遅くなっちまった。とっとと○○○に行こうぜ。」
「…そうね…。」
このとき、二人の気持ちは初めて一致した。それは─
「…さぁ、すっかり遅くなっちまった。とっとと○○○に行こうぜ。」
「…そうね…。」
このとき、二人の気持ちは初めて一致した。それは─
(……なんだ…結構……。)
─翌日─
「早く起きなさい!!ルーク!!!」
「うーん…」
「まったくもう…えい!!」
ティアは実力行使に出た。
ルークを覆っている掛け布団を思いっきり取り払ったのだ。
これに対して、ルークはやはり黙ってはいなかった─。
「なにすんだよ!寒いじゃねーか!!」
「あなたが早く起きないからでしょ?(やっぱりこの人、手が掛かるわ…。)」
「ムキーッ!!(やっぱりこいつ……むかつく!!)」
と、いつもとなんら変わりない反応をするルークに対して、
ティアもいつもとなんら変わりない応対をする。
「うーん…」
「まったくもう…えい!!」
ティアは実力行使に出た。
ルークを覆っている掛け布団を思いっきり取り払ったのだ。
これに対して、ルークはやはり黙ってはいなかった─。
「なにすんだよ!寒いじゃねーか!!」
「あなたが早く起きないからでしょ?(やっぱりこの人、手が掛かるわ…。)」
「ムキーッ!!(やっぱりこいつ……むかつく!!)」
と、いつもとなんら変わりない反応をするルークに対して、
ティアもいつもとなんら変わりない応対をする。
─そんな彼らが本当に互いを想うようになるのは、もう少し先の話…─
- E N D -
- ルーク調子ノンな~
-- マンコック (2009-08-20 15:18:50)