なんかよくわかんない@Wiki ΧWorld.SS7-1


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 しかしそれでも、私は――無駄な詮索をするつもりはない。
 無駄な情を抱くまでもなく、傭兵としての責務を果たすだけでいい。


 「ふむ……感謝する」


 そんな言葉が痛い。
 受け入れたいというのに、固めた決意はそれを弾かざるを得ない。
 大したことじゃない。仕事の大概が割に合わないように出来ていることは百も承知。
 さて。気が変わってしまう前に、早めに終わらせてしまおう。


 「さて、話はここまでにしない? 私の事情が呑み込めたなら、ね」


 背中に括られた大剣――ツヴァイハンダーを右の下段に構える。
 敵対するは戦神。この宣言は狼煙。
 もう言葉を交わす必要はない。



 静寂には焚き木が弾ける音。




 ゆっくりと、炎越しにキリサキは私を見据え――











 「ふむ。ならば、私が降れば全て円滑に話が進むのではないか?」
 そんな意味の解らないことを口走った。


 暫く無言。何と返すべきか、最初の一文字すら浮かんでこないパニック状態。
 パニックなのは自覚してるというのに、どうにもならない。ホントに。





 静寂に、パチ、と一際大きく焚き木が弾けた。





 「辻褄の合う理由を聞かねば納得出来ないという反応だな。それも実に解りやすい」


 さらりと、とんでもなく酷いことを言われたような気がする。


 「……、どういう意味よ?」


 「気に障ったか。まあどうでもいい、些細なことだ」


 意地が悪いのか、素で言われているのかは解らないが、おそらく後者だと思われる。
 冗談抜きで言われているあたりが微妙に痛い。


 「……まあいいわ。それで、どういう理由なのよ?」
 「簡潔に言ってしまえば、情報が少なすぎる」


 まぁ、確かに簡潔かつ納得のいく話だ。
 しかし、腑に落ちない。
 見る限りそれだけの理由で、監禁も同然の扱いを承諾するとは思えない。


 「何より不明な点が多くてな。まず、何故こちらへ飛ばされたのかということ……そして、言語に関する知識が備わっていること」
 ああ、そういえば。
 予め多元世界の存在を知っていたとはいえ、他界の人間との関わりに実感が湧かないのはその所為か。
 まぁ、理由はそれだけではないんだけど。


 「……つまり、この一件は作為的なものだという可能性が高い。それで、水を差したあの光弾を放った主は何か関わりを持っていると考えているわけだが……何か知っていたら聞きたいのだが? 私ではなくあちらを追いかけて行ったのだろう」


 「それが……」


 ここまで来ると、流石に他人事ではない。
 ヒラデルヒア大聖堂等の固有名は伏せて、今までの状況を説明する。


 「なるほどな。あの第三者をそちらの別部隊が追っている、か」


 ふむ、と納得した様子でキリサキは頷く。


 「それで、これからどうする? とりあえず私を捕らえることには成功したと考えて、駆り出された目的は達成されているが」


 「……そうね。まずは近くの村へ向かうことにするわ」


 現状が不透明すぎる。状況の整理が必要だ。
 この森の獣は火を怖がらない。夜営をするなら見回り交代が必要で、確実に信頼して任せられる相手は居ない。
 幸いにも、今の居る位置は森を抜けるまで時間はかからない。ここからすぐ抜けた所に、アルメリア領の小さな村がある。そこで一晩の宿を確保するとしよう。


 「ふむ、了解した。地理関係の知識は皆無だ、宿で色々教えてもらえると助かる」


 「……重ねて言っておくけど、貴方は身柄を拘束されるのよ? だから最終的には尋問受けたり、場合によっては投獄もあり得るわ。ちゃんと解ってる?」


 「無論のこと」


 降ると言っておきながら、声色からは気品も誇りも失われていない。
 ……こういう相手、正直やり難い。



 決着がつかなかったことも。
 キリサキの荘厳すぎる態度も。
 レナテールも異世界との接触の違和も第三者の介入も。
 いい具合に混ざり合って渾沌。


 ……本当、これじゃ割に合わないわね。


 心の中で、そう苦笑した。


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