無題 2011 > 11 > 16 ◆suJs > LnFxc

朝起きて、顔を洗って歯を磨き、飯を喰らう。
いつもと同じなのはここまで。

すっかり変わった髪型は、寝癖を直すのに一苦労だ。
四苦八苦しながら初めて一人で女子用の制服を着てみたが、おかしいところは…無いよな?
履き慣れないスカートがどうにも心地悪い。
そんなに短くしていないが、一応ハーフパンツは履いておこう。
さて、そろそろ涼二が来る頃だ。

家から出る準備をしていると、母さんと親父が見送りにやってきた。

「おう、初日が肝心だからな。ナメられねぇようにビッと決めてこい」

謎の激励を受けた。

「そう言う母さんは女体化して初登校の時、ずーっと僕の後ろに隠れてたけどね」
「てめえええーッ!」
「また朝から痴話喧嘩かよ…まぁ良いや、行ってくる」

…最近思うんだが、親父って案外Sなのか?

家の前では、既に涼二が待っていた。

「よう。現役JKのお出ましだ、頭が高ぇーぞコラ」
「頭が高ぇって、お前が縮み過ぎてんだろうがああッ!マジで秋代さんと同じくらいじゃんか!!」
「…145cmになってた。今だに認めたくねぇ」
「ほー145cmか。だとすると、ブラのサイズはいくつになるんだ?」
「G65…っておい!何さりげなく言わせてんだよ!!『だとすると…』って全然繋がってねえええしッ!」
「我ながら見事な誘導尋問だったな。しかしGカップねぇ?そんなにあるか?
 確かに巨乳だと思うけど、Gって言ったらもーっとバインバインだろ。女になったばかりでサバ読むとか大したもんだな」
「Gカップでもアンダーが無いと爆乳にはならないんですぅー。これだから童貞は手に負えねぇ」
「お前も一昨日まで童貞だったから今現在このザマなんですけどね!?」

ドヤ顔で昨日の店員さんに教えてもらった事を話す。

「へぇー、不思議なもんだ。となると、女の言う何カップとかってのはアテにならねぇんだな。ふむふむ」
「まぁ俺もまだよく分かってねぇけど。これで身長さえあれば、俺もバランスの良い隠れ巨乳になれるっぽいんだが」
「確かに身長からすると目立つよなぁ。身長は…まぁ秋代さんがアレだし。諦めろよ。な?」
「哀れみに満ち溢れた目で俺を見るんじゃねーよ!!このっ!」

頭をひっぱたいてやりたいが、絶望的にリーチが足りない。
逆に頭をポンポンされる始末だ。
涼二は男の頃の俺と同じくらいの身長のはずだが…こんなにデカいもんなのか。

「こやつめハハハ」
「やめろォーッ!」

そんな事をしているうちに、もう校門に着いてしまった。
覚悟はしていたものの、脚がすくむ。
…行きたくねぇ。

「そんなに身構えんなよ。最初は大変だろうけど、武井も小澤も、今はすっかり馴染んでるだろ」
「チッ、分かってるよ…」

涼二に背中を押され、渋々並んで歩き出す。
こちらの微妙な心境を察知する辺りは、流石に幼馴染みだ。

武井と小澤というのは、俺より先に女体化したクラスメイトである。

第一号は武井奈緒。旧名は直哉で、直哉=なおや→なお→奈緒と、女体化した人間にはありがちな改名パターンだ。
運動も勉強もトップクラス、派手なボケやツッコミは無いが決してノリが悪い訳でもない、出○杉君のようなチート野郎だった。
ネックだったのは恐らく、所謂ガリ勉君のようなビジュアルだろう。
本人はあえてそれをネタにしていた感があるが、そこだけは女子受けが悪かった。
勿体無いヤツめ。顔自体はそんなに悪くなかったと思うのだが…。
今ではすっかり、文武両道で黒ぶち眼鏡の似合う美少女が板についたと言ったところか。

第二号は小澤梓。旧名は誠。そのままか、せいぜい漢字を変える程度で通用しそうな名前だが、本人が希望したようで改名している。
元々はオタクグループに属しており、その中でも大人しい部類だった。
ただそれ故に、「梓」という名前に改名した際には、某ギター少女の名前を使ったのでは?との疑惑も浮上している。
…コイツはむしろ、女になりたがっていたフシがある。女体化して以来、可愛い小物集めや化粧を覚えるのが異常に早かったのだ。
クラスの女子とも積極的に絡むようになり、かなり性格が変わったように思う。
高校デビューみたいな感じと言えば分かりやすいが、別に嫌な奴ではないので、頼りになるだろう。
ちなみに先述のオタクグループとの交流も現在は保っており、紅一点として崇められている。

「武井と小澤には、世話になるかもな」
「そうしろそうしろ。一人で悩んでも、ろくな事にならねぇぞ」
「へいへい。あー俺、職員室寄ってくから。先に行っててくれ」
「了解ーっと」

昇降口で涼二と別れ、職員室へ向かう。
一人は心細い。平常心、平常心…明鏡止水だ。
取り敢えず目立ってはいない。大丈夫、これなら何とか…。
げっ、あれ藤本じゃないか。ヤバい、こっち見てるぞ!?

想い人との突然のエンカウントに、明鏡止水の心はあっさりと打ち砕かれた。
狼狽する俺を、藤本は大きく見開いた目でガン見しながら競歩で近寄ってくる。
速ッ!怖ッ!

「西田君!?だよねっ!?」

がっしりと両肩を掴まれてしまった。
…あーあ、完全に詰みだ。

「…あー。その、なんだ。おはよう藤本、よく分かったな?」
「分かるよぉーっ!面影あるもん!ていうか、ちょ、可愛くない!?にゃんこみたい!にゃんにゃんお!にゃんにゃんお!」

妙に興奮した藤本にぎゅーっと抱き締められる。
おい、身長差で、乳が、乳が顔面に…ッ!

今の自分にも付いてる物体だが、他人の、それも藤本の物となると格別だ。
何故男の時にこれをやってくれなかったんだ…ッ!

「お、おい落ち着けッ、苦しっ…!やめ…るかどうかは、お前に任せる…」

おい、何を言っているんだ俺は。

「あ、ごめんごめん。取り乱しちゃったよ。いやー、しっかしホント可愛くなっちゃって!髪型もよく似合ってるよ?」
「母親そっくりになっちまった。まぁ、これからは女同士だからな。色々と宜しく頼むわ」
「こちらこそ!同性だしね、西田君ともっと仲良くなれそう!嬉しいなぁ!」
「さて、俺は職員室寄るからさ。また後でな」
「はいはーい!それじゃっ!」

相変わらず藤本は元気ハツラツだな。眩しいくらいだ。
抱き付かれた時に鼻についた匂い、香水の類では無いと思うが。
もっと清潔な…洗剤の匂いか?それが、妙に名残惜しい。

しかし、同性だからもっと仲良くなれる、か…。
覚悟はしていたが、やっぱり引き摺ってるんだな。複雑な気分になってしまう。

いや、前向きに考えよう。今後の関係を考えれば、喜ばしい事じゃないか。
幸先が良い、と言っても良いだろう。

「武井、小澤に続き3人目か。西田、君はもっと遊んでる方だと思ったのだけど」

職員室から担任(28歳天然♀・既婚)に連れられて教室へ移動している最中に、そんな事を言われる。

「…なんでそう思うんです?」
「だってほら、藤本とは仲が良いじゃないか。てっきり変な棒を出したり入れたりする遊びをしてるのかと思ってね」
「こらァァッ!教育者にあるまじき発言だなオイ!逆セクハラで訴えるぞ!」
「はっはっは。『威勢』は良いが、『異性』はダメってね。こりゃ傑作だ。そうやって保守的でいるから女体化してしまったんだろう。
 それに逆セクハラって、今は同性じゃないか。んー?」
「寒ぃーんだよクソ教師がッ!悔しいのう!悔しいのう!」

この担任は本当に掴み所が無い。
悪い人じゃないし、教師としても有能なのだが、いかんせん会話のペースを握られてしまう。

「まぁこれでも教師であり、女でもあり、一児の母でもあるんだ。何かあれば頼ってくれて構わないよ?」
「はぁ…せいぜい期待しておきますよ」

調子狂うんだよな…。

「さぁ、いよいよ懐かしの教室だぞ。覚悟は良いかい?」
「…はい」

担任の後ろへ続いて一歩、教室へ。
その瞬間、半端じゃないどよめきが巻き起こる。

『うおおおッ!西田がロリ巨乳になって帰ってきたぞぉー!』
『スカートが中途半端な長さなのが初々しくて良い!』
『小っこい!けど乳はでけぇ!』
『なでなでしたい!むしろペロペロしたいッ!』
『ちょっと男子うーるーさーいーっ!でも可愛いーっ!』
『ほんと、私も男に生まれて女体化したかったなー!』

…エトセトラ、エトセトラ。

「あー静かに静かに。まぁ分かってると思うけど、この小っこいのが西田だね。それじゃ、本人から一言どうぞ」
「…えー、西田忍です。名前は変わってないっす。取り敢えず、小っこいって言うなああッ!…っつー訳で、どうぞ宜しく…」

興奮冷めやらぬクラスメイトの間を縫って、自分の席へ座る。

「よぉ、大人気だな。武井と小澤の時より凄い気がするぞ」
「…もう疲れた。帰りてぇ」
「まだ一時限目も始まってないだろ。まぁ今から休み時間の度に質問攻めは免れねぇだろうけど」
「西田忍は静かに暮らしたいッ!」

後ろの席の涼二と一言二言、言葉を交わす。
確かに、まだ一日は始まったばかりだ。


休み時間の度に揉みくちゃにされ、授業中の方が心身ともに休まるとはこれ如何に。

今は昼休みの最中だ。
この身体で購買の争奪戦へ果敢に挑んでみたものの、勝ち抜くのは到底無理だった。
圧倒的にパワー負けしてしまうのだ。
一緒に行った涼二が、人の波に飲み込まれてしまう俺を見るに見兼ねて、俺の分も買ってきてくれる事になった。

「ほれ。カレーパンと、あとは適当で良いんだったな?コロッケパンにしといたけど」
「済まねぇ涼二、明日からも頼む…」
「1人分も2人分も買う手間は大して変わらんからな。別に構わねぇよ」

何だよコイツ、優しいじゃないか。
とは言え、タダで毎日パシリにするのも申し訳無いな。親しき仲にも礼儀あり、だ。
今の俺に何かしてやれる事はあるだろうか?
そこでふと、夕べのメールを思い出す。

『なにそれこわい。まぁ元気そうでなによりだwwwwんじゃまた明日な!あ、ツレなんだから乳くらい揉ませてくれるよな?(チラッチラッ)』

…乳か。
自分で触ってもどうと言う事は無かったのだ。
俺が男であろうと女であろうと、乳に限らず自分の身体を野郎にベタベタ触られるのは嫌だが…。
1回くらいなら、我慢してやっても良い。

「今後の事もあるからな、礼はさせてもらうわ」
「ん?まぁそう言うなら、期待しとくぜ」

どうせなら早く済ませたい。
今日コイツが暇なら…帰りに家に寄らせるとするか。

そんな事を思案しながら、教室へ戻った。

「西田も僕らの仲間入りか、何だか意外だね」
「そーそー、まさか西田君が女体化するとは思わなかったよ。分からない事とかあれば私達に聞いてくれれば良いからね?」
「もう、また椅子に片膝立てて!…でも小さなお口でカレーパンをちびちび齧ってる西田君が可愛すぎて、生きるのが辛いっ!」
「どーも先輩方、お手柔らかに。あと藤本はキャラおかしくね?」

カレーパンを食っていると、武井と小澤、藤本、他数名がやってきた。
こいつらは弁当組だ。俺と涼二が購買で苦戦している間に、飯を食い終わったのだろう。
一人称が「僕」なのが武井、「私」なのが小澤だ。
女体化的に言えば、この二人が俺の先輩にあたる。

「アンタ童貞だったんだ?男の時は妙に話し掛け辛かったからね、これからは覚悟しときなさい?存分に可愛がってあげるから!」
「うぐッ…天然女性に『童貞』と言われるのはキツいッ…!死にたい!いっそ死んでしまいたいッ!」
「ちょ、ちょっと西田!そんな頭を机に激しく打ちつける程の事なの!?やめなさいよ!」

これは植村玲美。天然女性だが、高校生とは思えないプロポーションで、めちゃくちゃスタイルが良い。
顔もモデルのような雰囲気で、かなりモテると聞いた事があるが…まぁ当然だろう。
植村は女子グループの中心的存在で、サバサバとした性格で人望がある。藤本とも仲が良い。

「…何かさぁ、涼二よ。世の中不公平だと思わないか?」
「あん?なんで?」
「藤本や植村はまだ良い、天然モノだしな。納得いかねぇのは武井と小澤だ」

名前を呼ばれた4人は、揃ってきょとんとしている。

「何で俺だけがちんちくりんなんだよ!武井も小澤も160cm以上あるのにッ!俺なんて145cmだぞ!?」
「あー、僕も小澤も、元の身長から10cmも縮まなかったからね。西田は…うん、お悔やみ申し上げようか」
「私はいっそ、そのくらいの身長になりたかったよー。羨ましいくらいだもん。それにおっぱい大きいよね?」
「お悔やみも乳もいらねぇから身長が欲しいんだよォォッ!」
「ちょっと西田、二人の間に立ってみなさいよ」
「あぁ?まぁ良いけど…」

植村に言われた通り、二人の間に立ってみる。
武井と小澤は何やら悟ったのか、俺の腕を片方ずつ持ち上げた。
おい、これはアレか。チビをいじる時の定番ネタか。そうなんだろ?

「ぷっ…くくっ…忍、連れ去られる宇宙人みてーだ…」
「あっはは!西田かーわいー!男の時はこの中で西田が一番身長高かったのに、今じゃ逆になってる!」
「ファックッ!このクソどもがあァァッ!!」
「もーっ、女の子になったんだから、汚い言葉使っちゃダメだよー?」
「男女平等だろ藤本さんよォッ!それにこの仕打ちはあんまりですよねぇ!?」
「まぁまぁ、幼く見えるのは良い事じゃない?私なんか老けて見えるってよく言われるもの」
「玲美の場合は大人っぽいって言うんだよ!隣の芝は青いってやつだよね、きっと」

…隣の芝、真っ青すぎ。



ようやく一日の授業が終わった。
涼二に声を掛けてさっさと帰ろう。

「帰ろうぜ涼二。んで、お前今日暇なら俺ん家寄らね?」」
「おう。暇だしな、行く行く」
「うっわー西田、もう部屋に男を連れ込むの?気を付けなさいよ?男はね、狼なんだから!」
「…と、植村が申しておりますが」
「男は狼って昭和かよ!大体、こんなちんちくりんに欲情しろだなんて、随分酷な事言ってくれたもんだな」
「うおおおッ!ちんちくりんに対してブチ切れたいところだが、そうすると俺が欲情して欲しいかのように思われてしまうッッ!」
「ちょ、ちょっと西田!そんな頭抱えて転げ回る程の事なの!?やめなさいよ!」

…とまぁ一悶着あったものの、現在は二人で下校中である。
今日一日で散々募らせた鬱憤を、涼二に向かって吐き出しているところだ。

「ったく、クラスの連中はしゃぎすぎじゃねぇ?武井と小澤の時はもっとマトモだった気がするぞ?」
「そりゃ多分アレだろ。ギャップってヤツ?」
「ギャップ?何のだよ?」
「武井とか小澤の場合は、『あー、コイツなら女体化してもおかしくないな』ってキャラだろ。だけど、お前は違うんだよ」
「そうか?そんなん、勝手に思われてもなぁ。…うぉ、風強っ」
「…自分がそこそこのイケメンだったって自覚がねぇのかよコイツ…」

丁度家の前に差し掛かったところで、強めの風が吹いた。
その瞬間に、涼二がボソッと何か呟いたような気がする。

「何か言ったか?風で聞こえなかったわ」
「いーや、何も言ってませーん。あれ、秋代さんのマジェが無いな。出掛けてんのか?」
「夕飯の買い物だったら徒歩で行くしなぁ、段差がキツくて駐車場に入れないとかで。また1パチにでも行ってんじゃね?」
「あのビジュアルでパチ屋になんて行ったら、店員に止められるんだろうな…」
「前の俺なら笑って同意するところだが、今は笑えねぇんだよ…やめろよ…」

玄関の鍵は閉まっていたが、合鍵は普段から持ち歩いているので問題無い。
そのまま涼二を家に上げ、俺の部屋へ通す。
お互いブレザーをその辺へ放り、そのまま二人でベッドへダイブ。
まぁいつもの事だ。

「ふあーっ、疲れた!転校生ってこんな気分なのか?」
「知らんよ。ま、明日からは多少落ち着くだろ」
「だと良いけどな…」

あ、そうだ。
昨日、疲れた身体に煙草が美味かったのを思い出す。
母さんからは一箱貰ってある。一服するか。

「あれ、何だよお前。また煙草吸うようになったのか?女体化のショックでグレちまったか?」
「グレてはいねぇ。昨日母さんから貰ったんだよ。女体化して以来、俺の寿命がストレスでマッハだからな」
「ふーん。ちょっと興味ある、一本くれよ」
「あいよ。セッタだから、初めて吸うにはちょっとキツいかも知れんぞ」
「…??火、上手くつかねぇぞ?」
「火ィつけながら吸え。んでそのまま深呼吸するような感じで…」
「げはッ!うぇほッ、げほッ!何だこれ!?」
「最初はむせるもんだ。慣れればどうってことねぇ」

二人で、煙草をふかす。
数口吸っているうちに涼二も慣れたようだ。
まだ少しぎこちないが、むせずに吸えるようになっている。

「やっぱりちょっとドキドキするな!…っつーかこれ、美味いか?よく分かんねぇぞ」
「疲れてると美味く感じるんだろ。今のお前にはこの『疲れ』は分からんだろうがな!」
「元は童貞、今は処女。価値が上がって良かったなぁ!忍っ!」
「うざッ!お前も女体化しやがれこのクソ童貞ッ!」
「あれあれ~?お前の代わりに今後も購買に行ってやるこの俺に、そんな口を利いて良いのかな~?」
「くッ!カレーパンを人質に取るとは鬼畜の所業ッ…!」
「カレーパン限定かよ!他のパンも気にしてあげて!?焼きそばパンとかコロッケパンとか色々あるよ!」

まぁ確かにコイツの言う通りだ。世話になる分、多少は我慢せねばなるまい。
取り敢えず礼だ。乳を揉ませてやるか。

おもむろにブラウスを脱ぐ。下にはキャミソールを着ている。
乳そのものを見せるのは流石に恥ずかしいので、キャミの下のブラだけ外すとしよう。
手を後ろに回し、ブラのホックを…

「え、お前、何いきなりストリップしてんの?皆さーん!ここに変態がいますよーッ!」
「うるせぇ!黙って俺の乳を揉め!」
「はあああ!?ついに気が狂ったか…可哀相な忍…」
「勝手に哀れんでんじゃねぇよ!購買の件で世話になるから、1回くらい揉ませてやるってんだよ!礼はするって言っただろうが!
 そもそも夕べのメールでお前がだなぁ…っ!」
「おま、あのメール本気にしてたのか!?」
「えっ」
「えっ」
「…。」
「…。」
「…前言撤回、していい?」
「だが断る」

言うが早いか、涼二は一瞬で俺の視界から消え去った。

「うぉ速ッ!」
「残像だ」

いつの間にか背後へ回っていた涼二が、俺の両肩へ手を乗せる。
その感触に、ぴくりと反応してしまう。
…ツレ同士だ、別にセックスする訳じゃない。流石にそれは御免だ。
なのに、妙に緊張する。

「本気で嫌なら、やめとくぞ」
「…別に、良い」
「おい、急にしおらしくなるんじゃねぇよ。お前がそんなテンションじゃ、こっちが悪い事してるみたいだろ」
「だあああッ!良いからさっさとしやがれッ!!」
「おう、その調子その調子!まぁ嫌になったら言ってくれりゃ、やめてやるから。さぁ、ブラを外したまえ」
「ちくしょう!完全に自爆したよ俺!何やってんだよ俺!」

心の中で血の涙を流しながら、キャミの下のブラを外す。
乳を揉まれるのは大した事では無いが、自分の勘違いでこの状況を作ってしまった事が死ぬ程恥ずかしいのだ。



一応涼二なりに遠慮しているのか、それとも単に興味が無いのか。
分からないが、乳を見せろとは言ってこない。
暗黙の了解で、「見ずに触る」空気が出来上がっていた。

…涼二の手がキャミの中へ入ってくる。いよいよ年貢の納め時だ。

「さーて、忍ちゃんのお乳はどんなもんかなー?」
「キモいんだよ!その言い方やめろッ!」
「…うおーっ、めっちゃ柔らけぇなオイ!柔らかいだけじゃなくて、弾力もなかなか…」
「今日だけだからな!もう次は無いからな!さぁもう気は済んだか!?」
「分かってるって。つーか、まだ10秒も経ってないだろ。まぁ俺の息子は恥ずかしながら既にギンギンなんですけどね!」
「背中に粗末なブツが当たってんだよ!こんなちんちくりんには欲情しないんじゃなかったのか!?」
「お前に欲情してるんじゃなくて、乳そのものに欲情してるんだよ。次に触れるのは国営行った時になるだろうからな、
 今のうちに堪能させてもらうぜ」
「くそッ!俺も男の頃に揉んでみたかっ、た、…んぅッ!?」

!?
なんだ?なんかおかしいぞ?
自分で触るのと全然違う。
暫く揉まれているうちに、じんわりと熱が帯びてきたような気がして、
それがこう、段々と気持ち良く…っておい、ちょっと、これは、ヤバいんじゃないか…!?

「おい、涼二っ…!ちょ、すと、んッ、ぁ、あ…ッ!!」
「どうしたのお前?俺の息子に負けず劣らず乳首、勃ってるけど。あ、もしかして感じちゃってる系女子か?」
「やめ、くぅッ、すと、んぁッ、ストップ、すとおおおーーーっぷッ!!!ストップだコラァァッッ!!」
「ん、ご馳走様でしたっと」
「はッ、はぁッ、はぁッ…!きょ、今日はこのくらいで勘弁してやるッ…!」
「何だそりゃ。次もあるみたいな言い方だな」
「ねえよ!調子に乗るんじゃねえええよッ!」
「分かってるよ。ま、なかなか良かったわ。病み付きになりそうだけど、1回だけって約束だし。
 それにツレ同士でこんな事何度もしてたら、おかしいもんな」

それはそうだ。
俺は俺で、俺と涼二は親友で。でも俺は身体が女になって。
こんな事がずっと続くのはマトモじゃない。
今後世話になるための、最初で最後の礼なのだ。

「…まぁ、今の感触を今夜のオカズに使う事くらいは許可してやっても良い」
「お前をオカズにするのは気持ち悪いわ!ただ感触だけは確かに捨て難い。好きなAV女優にでも脳内変換して楽しませてもらうとするか」
「ムカつくッ!なんかムカつくッ!けどそれが正論だと思うッ!」
「訳分かんねーぞお前」

そう言って笑いながら、涼二が俺の頭を撫でる。
親父が母さんによくやっているヤツだ。
油断するとふにゃふにゃと気分が安らぎそうになるのが逆に腹立たしい。

しかし変な空気にならないように涼二が気を遣ってくれた部分もあるとは言え、案外気まずくならなかったのは助かった。
礼のつもりでやった行為で、気まずくなったら本末転倒だからな。
とは言え、このままお見合い状態が続くのもキツい。
苦し紛れだが、ゲームでも提案してみるか。

「…くそっ、もう懲り懲りだ。気を取り直して、久々にバ〇オ5でもやろうぜ」

過去に二人で散々やり倒したゲームだが、久々にやるのも面白いかも知れない。

「お、久々にやるか。俺シェバ使うわ」
「今なら普通逆じゃね?まぁ良いけど。難易度プロで、ハイドラ禁止な」
「当然、無限弾も無しだろ?んじゃ俺はAKとPSG1使うわ。カラシニコフは俺の嫁!」
「嫁って、カラシニコフは爺さんだぞ…。俺はどうしよ。ベレッタと…」

涼二は提案に乗ってきた。
ゲーム機のディスクを入れ替えて起動し、コントローラーを涼二に渡す。
自分の分も持ってみるが…デカく感じる。
上手く操作出来るだろうか。

「うっぜえええ!救急スプレー吹いてんのに死ぬっておかしいだろ!何回目だよこのパターン!」
「久々だからってのもあるけど、やっぱりプロはマゾいな…。さて、そろそろ帰るとするか」
「おう、また続きやろうぜ」

…何気に盛り上がってしまった。
窓から外を見ると、もう真っ暗だ。

涼二を見送るために玄関先へ行く。
母さんはいつの間にか帰って来ていたらしく、夕飯の用意をしているようだ。
良い匂いがする。

「うおー、めっちゃ良い匂いするわ。秋代さんのメシ、泊まりに来た時に何度か食わせてもらったけど、超美味いよな。
 ウチのオカンにも見習って欲しいよ」
「事前に言っとけば、気合い入れてお前の分も作ってくれると思うぞ?」
「そんな図々しい事できるかよ!あ、お前が作ってくれりゃ良いんじゃね?折角女体化したんだから、秋代さん直伝のメシをだな…」
「俺はお前の飯炊き女じゃねぇんだよ!それに女がメシ作るべきってのは前時代的な考え方だろうが!」
「飯炊き女は飛躍しすぎだろ!?しかし残念、名案だと思ったんだが」
「しょうもねぇ事ばっかり言いやがって…。んじゃ、またな」
「おう、また明日」

涼二を見送り、さぁ飯が出来るまで部屋でごろごろするか…と、振り向こうとしたところで。
唐突に背後から声を掛けられる。

「…ほうほう。愛する旦那と娘に美味いメシを食わせてやりてぇと思って、日々料理に勤しむアタシは前時代的で?
 そんで?お前はそんな健気なアタシを飯炊き女と思ってる、と。そう言う事で良いんだな??」
「んなッ…!」

ギギギ…と自分の首から擬音が聞こえてくるような錯覚を覚えつつ、恐る恐る振り向く。
くわえ煙草にエプロン、と言ういつもの格好の母さんが、腕組みしながら柱に寄り掛かっている。ニヤニヤしながら。
…ヤバい。聞こえてたのか。

「んー?どうした、何とか言ったらどうなんだ?この飯炊き女によぉ?」

状況は圧倒的に不利…ッ!
これは素直に謝らなければ、飯抜きにされてしまうパターンじゃないか…ッ!

「…口が過ぎました。どうもすいませんでした…」
「分かれば宜しい。心を入れ替えてアタシに土下座して教えを乞うなら、料理を教えてやらん事もねぇ」
「はああ!?何調子こいちゃってんだこのロリババァ!?……ぬがああッ!アイアンクローは、痛ッ、やめろぉーッ!痛てててッ!」
「口の悪ィ娘だなぁおいッ!そんなふうに育てた覚えはねえッ!イワすぞコラァッ!!」
「覚えはなくてもッ!ぐッ、この口が悪いのはどう考えてもアンタの影響…ッ!ぎいぃやああッ!はーなーせーッ!」

…親父が帰宅するまで、この攻防は続いた。



その後、何とか飯を食わせてもらう事が出来た。
風呂を済ませ、ベッドにごろごろ転がりながら、ふと考える。

「料理、ねぇ…」

涼二に吼えてはみたものの、正直、俺も男の頃は「藤本の手料理食いてぇ」とか思っていた訳で。
結局、俺も前時代的な人間と言う事になるのだろうか?
男の頃は女の手料理が食いたくて、女になった今は手料理を作る気にならないと言うのも…自己中過ぎるのかもな。
別に涼二に作ってやる義理はないが、前時代的な人間なら前時代的な人間らしく、料理の一つも覚えた方が良いのかもしれない。
覚えて困るものではないし、むしろ役に立つだろう。

…かと言って、土下座はしませんけどね。



374 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新鯖です)(中国地方)[] 投稿日:2011/11/17(木) 00:22:07.86 ID:RXy+YGbN0
続き楽しみにしてました!!!

375 名前: ◆suJs/LnFxc[sage] 投稿日:2011/11/17(木) 00:26:09.03 ID:fauWfbxA0 [4/5]
今回は以上です。
コピペをミスって>>370->>371の文末と文頭で大事なこと(ryになってしまいました…

妄想を文章にするのはホント難しいですね。
昼休みのシーンはキャラ出しすぎて誰が喋ってるのか分かり辛いと思います、すいませんorz

ではまた!


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最終更新:2011年11月19日 23:11
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