無題 2011 > 11 > 23 ◆suJs > LnFxc

女体化して早くも1ヶ月が経った。

自分がどんどん「女」になっていくのが分かる。
風呂が気持ち良くてついつい長風呂になる。部屋が汚いと我慢出来なくなった。
赤ん坊を見ると、可愛い過ぎて生きるのが辛くなってしまう。
男の筋肉や、程よい汗、低い声などが気になってドキドキしたりする。
特に、涼二の。
まぁこれはいつも近くにいるからであって、深い意味は無いだろう。

かと思えば、この辺は個人差があるそうだが…俺の場合は男の頃の名残も、かなり残っている。
クラスの女子は小洒落た店でパスタやらオムライスを食いたいと言うが、
俺は寂れた食堂で定食でも食う方が良い。それよりもカレーパンの方が良い。
涼二に押し付けられたキ○ィちゃんのストラップ(型防犯ベル)だって、相変わらず俺の趣味じゃない。
ゲームや漫画などの趣味も変わっておらず、一人称や口調は矯正する気にならない。
それに藤本の事も…まだ諦めきれずにいる。

女体化の先輩である武井や小澤もこんな葛藤を味わったのだろうか。
いつも飄々としている武井と、彼氏持ちでキャピっている小澤。
あいつらが俺と同じような悩みを抱えているとは思えないが…小澤なんか特に、女になりきるのが早かったし。
まぁそう見えるだけで…案外皆、同じような悩みを抱えていたりするのかも知れないけれど。

俺は、兎に角。
自分が男でも女でもない中途半端な存在に思えて、苦しい。

そんな事を考えながら登校中だ。

「なぁ、涼二」
「あー?」
「俺って何なんだろうな」
「ちんちくりんなんじゃね?」
「てめェェェッ!!人がシリアスに悩んでる時にそれはおかしくねぇ!?爆発しろよマジで!今すぐにッ!!」
「おいおい。俺が爆発したら、他に誰がお前にカレーパン買ってやるって言うんですかぁ?あぁん?」
「あっ、す、すまん!爆発しなくて良いから!ど、土下座するから!ほら!!」
「安ッ!俺の命安ッ!つーかこんな往来でジャンピング土下座してんじゃねーよ!やめろよ!」

結局、俺達は何だかんだでいつも通りだった。





昼休みに、いつも通り涼二にカレーパンを買ってもらった。
もう一個は何だったか…まぁどうでも良い。
ホントこいつが爆発しなくて良かった。ジャンピング土下座した甲斐があったな。

しかし今日は微妙にテンションが上がらない。
何だか腹が痛いのだ。

「何か今日のお前、大人しくね?」
「んー。ちょっと腹が痛ぇんだよな…」
「何だ?便秘か?下痢か?」
「クソはそんなに溜めてねーよ。下痢でもないし。何かクソとは違う感じがする」
「年頃の娘なのに、中身がクソに見えるパン持ちながらクソクソ連呼すんなよ…引くわ…」
「俺がクソクソ連呼したのは認めるけどカレーパンは何も悪い事してねぇんだぞ!お前それでも人間か!?
 謝れよ!カレーパンの神様に謝れよ!!」
「コイツ、何でカレーパンの事になるとこんなにムキになるんだ…」
「ぜぇ、ぜぇっ…!んー…取り敢えず便所行ってみるかな」
「おう。んじゃ、先に教室戻ってるぞ?」

涼二を先に教室へ帰し、最寄の女子トイレへ向かう。
歩いていると、下着が妙に濡れていてベトベトする事に気付く。

…何だ?大も小も漏らした感覚は無いぞ。
腹痛を我慢してケツ汗でもかいたかな?それにしてはぐっしょりだけど。
まぁ良いか。もうトイレに着いたのだ。
クソならクソで出してしまえば治るだろう。

そう結論付け、トイレの個室に入る。
小学生じゃないが、学校でクソをするのは未だに恥ずかしい。誰も来ないうちに手短に終わらせよう。
今俺のいる、購買に近いトイレは教室からは遠いので恐らく誰も来ないとは思う。昼休みのこの時間なら尚更。

この学校の便器は和式だ。
和式でクソはし辛いから嫌なんだよな…、とか思いつつ。
しゃがむ前に、ハーフパンツと下着を一気に下ろす。

ん?今日のパンツ、こんな色だったか?
いや、こんな色のは持ってない…って、ん?これ、





「血ぃいい!?血じゃねーか!何だよコレおい!?」

大量の血と、レバーのような塊が下着に付着している。

「うっ…お゛ぅぇッ!」

血の生臭さとグロテスクな光景に、思わず吐き気を催す。
その間にも、下着という蓋を無くした血は俺の太股を伝い始めている。

え、ちょ、マジで何これ!?
くそ、やっべええッ!ちょっとコレやべぇぞ…!
俺の知らん間に処女膜ぶち抜かれたのか!?どこのどいつだよ!
どうしよう、これはどうしたら良いんだ?死ぬんじゃねーかこれ!?
と、取り敢えず電話で助けをっ…!

「お、おい涼二!助けてくれ!」
『どうした?ケツが便器に嵌まったか?』
「どうすれば和式にケツが嵌るんだよ!血だよ!血が止まんねぇんだよ!!」
『血ぃ!?怪我でもしたのか!?』
「怪我じゃないと思うけど…処女喪失したかも…!ヤバい死ぬこのままじゃ出血多量で死んでしまうマジで死ぬ」
『落ち着け!素数を…いや、素数は役に立たねぇからな…。今どこだ?』
「こ、購買の近くの女子便所…ここはこの時間なら誰も来ない思うからっ!」
『女子便所かよ!…でも、そんな事言ってる場合じゃないよな。すぐ行くから待ってろ!気を確かに持てよ!』
「た、頼む…!なるべく早く…!」

良かった、涼二が来てくれる。少しだけ安心だ。
…それにしても生臭い血だな。こんなにブヨブヨした血の塊が出るなんて、もしかしたらヤバい病気か?
俺の血、腐ってるのかな…。
いきなり女にさせられて、やっと慣れたかと思ったら今度は謎の病気かよ。
俺が何をしたって言うんだ?俺、このまま死んじゃうのか…?

「忍ー!どこだー!?」
「あっ、涼二!ここだ!」

涼二が来てくれた。個室の鍵を開けて中へ入れる。
狭い密室で、涼二と二人きり。
スカートの下はノーパン状態だが、そんな事を言っている場合ではない。緊急事態なのだ。





「げぇっ、マジですげー血だなオイ!どこから出てんだ!?」
「た、多分…その、マ〇コから…だ、だからさっき処女喪失したかもって言ったんだよ!」
「えっ」
「えっ」
「…忍さぁ」
「な、何だよ…」
「これ、生理だろ」
「!?…あー。うん、分かってた。分かってたかも」
「バレバレの嘘ついてんじゃねえええ!この世の終わりみたいなテンションで電話してきやがって!!」
「うるせー!いきなりこんなに血が出てたら焦るだろ!どうすりゃ良いんだよ!?」
「男の俺が知るかよ!」
「俺だって知らんわ!」

やっちまった。クソ恥ずかしい。
思えば、女体化して1ヶ月経ったからだろう。
知識としては知っていても、いざ自分の身に起きるとテンパってしまう。

「くそ、血ぃ見たら気分が…臭いもキツいし…」
「うぅ、お前が前に言ってた『キモいって言われるより臭いって言われる方がキツい』って、今なら理解出来るよ…」
「…はぁ。武井か小澤、呼んで来てやるから。ちょっと待っとけ…」
「すまねぇ、頼む…」

病気でないのは良かったが、だからと言ってどうすれば良いのか分からない。
ナプキンとか言うヤツを使うんだったか?
武井か小澤とは、涼二にしてはナイスな人選だ。あいつらになら色々と聞きやすい。

それにしても生理、か。
やっぱりどんどん女になっていく。それでも男の部分も沢山残ってる。
マジで何なんだろうな、俺って…。



暫く待つと、入口から足音が聞こえた。一人分だ。
武井か?小澤か?

「西田君、大丈夫ー?」
「げっ」

おい、何で藤本なんだよ!?涼二…っ!





「んー?そこかな。開けてくれる?」
「あ、いや、便器にケツが嵌まっただけだから!もう大丈夫だから!」
「どうすれば和式にお尻が嵌まるのかなーっ」
「しまったあああッ!」
「さぁ無駄な抵抗は止めて出ておいで!子猫ちゃん!」
「うっ…」

そりゃないだろ、涼二。藤本はダメだ。
俺はまだ、藤本には自分を「男」として見て欲しいと…多分、心のどこかで思ってる。
この邪魔くさい余計な感情は、いつかは消えると思う。でも、それは今じゃない。
このドアを開けてしまったら、そこには血で汚れてしまった下着と床と、俺がいるんだ。
また一つ中途半端に「女」になった自分を、藤本にだけは見られたくないんだよ。

「あ、あのな。涼二が何を騒いだか知らねぇけど、大した事無いんだ。俺はマジで大丈夫だから、お前は先に教室に戻って…」
「…西田君。なら、一緒に戻ろうか?」

何とか藤本を戻らせようと虚勢を張るが、途中で言葉を遮られる。
バレバレだ。少し怒っている気配すらある。
これは、逃げられそうにないな…。

藤本を呼んだ涼二を恨みながら、弱々しく鍵を外し、ドアを開く。
まともに顔を見れず、スカートの裾を掴みながら俯いてしまう。

「えっと…ごめん。嘘、ついた。これは、……、その…」
「あちゃー、最初にしては結構出ちゃったね。びっくりしたかな?でも大丈夫、すぐ慣れるよ!よしよし!」
「あ…」

頭を撫でられ、思わず藤本を見上げる。

相変わらずの向日葵のような笑顔。「ポエムかよ!」と涼二は笑った。
だが、これ以上に相応しい言葉を俺は知らない。
男の頃の俺は、この笑顔に惚れた。
その気持ちは女になった今でも変わらないと、改めて気付かされる。

…泣きたい。
俺はもう男じゃない。こうして初潮だって来た。それでも、完全に女になった訳じゃない。
そんな中途半端な俺はまだ、やっぱり。
藤本の事が…。





「取り敢えず…はい、これ。ウェットティッシュね」
「どうしたんだ?それ…」
「西田君が初めての『女の子の日』で困ってるって中曽根君に聞いてね。保健室に寄って借りて来たんだ!」
「そ、そうなのか。いやぁ、助かるわ。はは…」

ダメだ。
有難い、と思う気持ちはある。
でもそれは余計な感情に殆ど喰われてしまい、いつも通りに会話が出来ない。

見られてしまった。
「男」として見て欲しいのに、「女」になった部分を。
女体化した事は隠しようも無い事実で、藤本だってとっくに俺を女として見ているだろう。
生理が来る事だって、わざわざ考えるまでも無い事だ。
隠したって意味の無い事。…それでも、見られたくなかった。

挙動不審な俺を見て、藤本は悲しげな表情を浮かべた。

「…私じゃダメだった?」
「ッ!」
「中曽根君ね、最初は奈緒ちゃんと梓ちゃんに相談してたんだ。けど、その話が聞こえて、どうしても私が行きたくて…」
「そうだったのか…」
「西田君にとっては奈緒ちゃん達の方が気が楽なのは分かってるつもり。でも私だってね、西田君が困ってたら助けたいんだよ?」
「…気持ちは嬉しいよ。でも、やっぱり藤本に見られるのは恥ずかしくて…」

本当は「恥ずかしい」とは違う。
でも、言わない。言えない。

「だーかーらー。もう女同士でしょ?気にしない気にしない!さぁ、まずは身体拭こっか!何なら私が拭き拭きしてあげるよっ」
「い、いいっ!自分で拭くから!」

藤本が保健室で借りたと言う手提げ袋には、こういった状況でおよそ必要となるであろう物が一式揃っていた。
血が垂れた自分の身体と床をウェットティッシュで拭き、血のついた下着とハーフパンツは冷水で洗ってビニール袋へ。
ナプキンは…恥ずかしいので藤本には後ろを向いてもらい、声での誘導を頼んで何とか着ける事が出来た。
最後に使い捨てのショーツを穿く。





「どう?」
「何か違和感あるな…」
「あはは、それはしょうがないかも」

ぶっちゃけ、藤本でなくとも武井や小澤、植村だって同じような処置はしてくれただろう。
それでも、わざわざ俺のためにと名乗りを上げてくれた藤本の気持ちは、無駄にしたくない。
助けてくれた事に礼を言って、藤本には気分良くいてもらいたい。

そもそも、これは俺の勝手な片想いが悪いんだ。
女になって、いつまでもうだうだと諦めいれずにいる、俺が悪い。
だから今は、余計な感情は抑えるんだ…!

「でも、助かったよ。ホントにありがとな」
「…うん、どう致しましてっ!これに懲りたら、もう無駄な立て篭もりはしないように!」
「へいへい、すいませんでしたー」

何とか自然に礼を言えたと思う。
でも気のせいだろうか。
一瞬だけ、藤本の笑顔が曇ったような、そんな気がする。

「あ、そうだ。西田君、携番とメアド教えてくれないかな?」
「うぇっ!?」

俺の不安を全力でぶっちぎっての突然の申し出に、驚いて声が裏返ってしまう。
携番、メアド。

「だって、さっきは中曽根君に電話して来てもらったんだよね?
 まぁ生理だって分からなかったみたいだけど。でもね、そもそもここは女子トイレなんだよっ」
「うっ…面目ない…」
「いくら仲が良くても、女の子特有の話は中曽根君が困っちゃうよ?だから私の連絡先、知っておいた方が良いと思う。ね?」

そんな諭すように言わなくても、断るものか。
知り合ってから何年も経ったけど、むしろ今となっては手遅れだけど。
このただの数字や文字の羅列を、男の頃は喉から手が出るほど欲しかったんだから。





学校の帰り道、トイレ立て篭もり事件について涼二と話す。

「俺が武井と小澤に話してたらな、藤本が『私が行きたい!私に行かせて!』って。まぁ良いかと思って行かせたんだけど」
「こっちは色々複雑なんだよ。大変だったんだぞ?あの後さ。まぁお陰で収穫もあったんだけど」
「収穫?何だそりゃ」
「ついにねんがんの携番とメアドをてにいれたぞ!」
「ほぉ。お前が女になってから…ってのも皮肉なもんだけどな」
「そりゃ今更感はあるよ。でもまぁ、これからは女友達として…って気持ちに切り替えねぇと」
「まだ好きなんだろ?」
「言うなよ…。もう今更どうこう出来る話じゃないんだから」

こんな話が出来るのは涼二だけだ。
親友の存在と言うのは大きい。話を打ち明けるだけで気が楽になるのだから。
下らない事ばかり言い合って、それはそれで楽しい。でもたまにこうして、真面目な話だって出来る。
俺が女になっても、この関係は変わらない。

そう簡単に変わってたまるか。親友で、幼馴染なんだから。
どっちがデカい鼻クソをほじり出せるかを競ったり、
どっちが先にチン毛が生えるか競ったり、それが終わったら今度はワキ毛を競ったり。
そんな美しい思い出…いや、ろくな事してねぇなおい。良いのかこれで。

「健気だねぇ。ところで話変わるんだけどな、俺バイト始めたんだよ」
「は?いつから?どこで?」
「先週から。駅前のマ○クでな」

何かとネタにされがちな、不気味な某ピエロがマスコットを勤めるハンバーガーチェーンだ。
コイツは国営に行くとか言っていたし、金を貯めるのだろう。ご苦労な事だ。
一緒に行こうと誘われていたような気もするが、女になった俺にはもう関係の無い話だな。

「国営に行くためにか?」
「そうだよ。結構金掛かるみたいだからな」
「国営のソープ嬢って、女体化した女だって噂だけど。お前、それでも良いのかよ?」
「だから良いんだろ。最初の一回くらい、最高に良い女とヤりてぇし」
「洋画みたいなセリフ言わないでもらえませんかねぇ!?気持ち悪いんですけど!?」
「そうか?でも適当な女で妥協して童貞捨てるのも嫌だろ?」
「そりゃそうだろうけどさ…」

女体化した女は、漏れなく優れた容姿となる。
「最高に良い女」とは、それを言いたいのだろう。
気にするヤツは気にすると言うが、コイツは女体化した女とセックスする事に抵抗は無いらしい。

…目の前にいるだろ、女体化した女が。
その理屈でいくと俺でも良いって事にならないか?
優れた容姿かどうかはさておき、顔だけ見れば可愛いと思うし、俺。
自分で言うのもなんだが。

って、あれ?
何考えてんだ俺!?おかしいなおかしいぞ!?
これじゃ俺がソープ嬢に嫉妬してるみたいじゃないか。
そんなバカな話があるかよ。
コイツが国営行こうがどうしようが俺には関係無い話なのに!
とにかく話を軌道修正しないと…!

「ふ、ふーん。まぁ、駅前のマ○クだな?今度冷やかしにでも行ってやるよ」
「来い来い。そしたら、お前の分のハンバーガーにだけ鼻クソ入れとくわ」
「てめえええッ!訴える!やりやがったらマジで訴えてやるからなッ!」
「そんな事しやがったら、もうカレーパン買ってやらねーぞ!それで良いならやってみろや!」
「てめぇには人の心ってもんがねーのかああッ!!」

結局、俺達は何だかんだでいつも通りだった。





家に帰って、昼間からビールをあおっていた母さんに生理の話をしたら、晩飯は赤飯になってしまった。
お陰で親父に生理がバレた。
今どき生理で赤飯炊く家なんてあるのかよ!と母さんにキレてみたら、逆ギレされた。
曰く、「アタシも自分の時にオカンにやられてクソ恥ずかしかったから、娘が出来たら絶対やってやろうと思ってたんだ」そうな。

…とまぁそんな事は置いておくとして。
今はベッドでごろごろ転がって携帯を眺めながら、メールが来るのを待っているところだ。
実は今、藤本とメールをしている。
メールが来るたびに煙草に火を点けてしまう。吸いすぎだな…。
俺、変なこと書いてないよな?そわそわしてしまう。

先ほど風呂から上がった時に、メールが来ている事に気付いたのだ。

着信ランプが光っているのを見た時には、どうせまた涼二が下らんメールを寄越したのだろうと思っていたのだが…。
内容としては、今度の日曜日に買い物に行きましょうや、的なものだ。
デコメと言うのか?可愛らしい絵文字をふんだんに使った、女の子らしいメールだった。

俺は今、ついに藤本とメールをしてしまっている訳だ。しかもデート(?)のお誘い付きで。
こちらも精一杯、携帯に最初から入っている絵文字を程よく駆使して、
素っ気無いメールにならないよう気を付けながら文章を作っていく。

デートの内容を纏めれば、女の子の嗜みとしてアクセサリーや化粧品くらい買えよ、と言う事らしい。
どうやら適当に見繕ってくれるそうだし、ここは一つお願いするか。
まだアクセや化粧に興味は無いが、せっかくの藤本の好意だ。無駄にしちゃいけない。



何度か遣り取りをして、スケジュールは決まった。
日曜日の11時に駅前集合。
適当に服なんか見ながらアクセサリー、化粧品を買って回って、途中どこかで昼飯を食う。

藤本からすれば、当然デートなどではなく「友達と遊ぶ」感覚なのは分かっている。
女体化して最初に学校に行った日に言われた事を思い出す。

『こちらこそ!同性だしね、西田君ともっと仲良くなれそう!嬉しいなぁ!』

確かに俺が女になってから、藤本との距離は前より縮まっている気がする。
今でも嬉しいような、悲しいような、微妙なところだけど。

今回の話は、内容は女の子同士の買い物とは言え、俺からすれば十分デートだ。
男の頃にやりたかった事を、女になった今、出来る範囲でやっていく。
そうしていくうちにいつか、藤本の事を諦めれば良い。
それで良いんだ。

涼二にも報告のメールを送ってしまった。

『俺、その日バイトで店にいるぜwwwwww』

…だそうだ。どうでも良いんだよそんな事は。
でも、昼飯はマ○クでも良いかな。高校生があんまり気取った所に行くのもどうかと思うし。
鼻クソ入れやがったら許さんけど。

早く日曜日にならないかな。



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最終更新:2011年12月08日 05:32
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