安価『帰ってきた従兄が…』

三月下旬のある日
「や~、しっかし久しぶりだよなぁ。二年ぶりだっけ?」
ソファーに腰掛けた俺の隣に、クラスの女子連中じゃあ束になっても敵わないような美少女が寄ってくる。
「ちょっと見ない間にデカくなりやがって!前会った時なんて、まだこんな小っさかったのによぉ」
や、アンタが縮んだんだっての!中一で175とかいってただろ?
それが今じゃあ、こんなちみっこく細っこくなっちゃってまぁ……胸はそれなりみたいだけど。
いやいやいやっ、そうじゃなく……ってか近ぇんだよっ、何だこの状況は!

「……で?俺は裕史にぃがこっちの高校通いに越してくるって聞いただけなんだけど?」
それがどうしてこうなった……学校から帰ってきた俺を出迎えた見知らぬ美少女が、まさか婆ちゃんちに行くといつも遊び相手になってくれてた1コ上の従兄だなんて、本人の口から言われなきゃ絶対信じなかっただろう。
「そりゃアンタの驚く顔が見たかったからに決まってるじゃない。
 最近めっきり可愛げがなくなっちゃって、お母さん寂しかったのよ?」
しゅ、趣味悪ぃ……っ!いきなり初対面の娘に飛びつかれた俺の身にもなってみろよ!
「なんだよ正樹ぃ、リアル厨二病ってやつか?かっこつけちゃって、オトコノコだねぇ……」
「裕史にぃも順応してんなよっ、どうすんのさ!?仮にも女の子が家に住むことになるんだぞ!」
「あら?別にいいじゃない、従兄弟同士だし何の問題もないわよ。
 憧れだったのよねぇ、女の子の家族って……それとも正樹ったら、何か問題になるようなことでも起こす気?」
んなっ!?
「やだもう、真っ赤になっちゃって!ふふっ、確かに裕美ちゃんは可愛いもんねぇ……ま、家族が一人増えたと思って仲良くしなさいね」
「女にはなっちまったけど、改めてよろしくな!
 そうだっ、久々にプロレスごっこでもやってみるかっ?体は縮んだけど、お前相手になら丁度良いハンデになるだろ?」
「ばっ、ばかっ……女相手にんなこと出来っかよ!俺、上で着替えるからっ!(バタタタ……ッ)」
「あっ……正樹ぃ……」

ったく母さんも裕史にいも何考えてんだよっ!あんな身体で関節技なんてかけられた日にゃあ……うっ!
思わず逃げ出しちまったけど、裕史にぃが寂しそうに呼ぶ声が俺の背中に突き刺さった。

それからというもの……
「おはよう正樹っ、春だからって寝坊してんじゃねぇぞっ!」
「おばさ……マ、ママに習って卵焼きだけ作ってみたんだっ!……美味いか?」
「あっ、洗濯物戻しといたぞ……お前って、やっぱ大きいほうが好きなんだな?俺のもそこそこなんだけどなぁ……」
「正樹ぃ、石鹸切れてるだろ?入るぞ~っ」
なんかやたらと裕史にぃがくっついてくる……わけを聞いたら母さんに『仲良くなりたいなら積極的にアピールしなきゃっ』と吹き込まれたんだとか。
ったく、唯でさえ隙だらけだってのに……このままじゃあ、いつ襲っちまって“夜のプロレスごっこ”に発展するか分かったもんじゃないぞ!


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最終更新:2012年03月11日 17:26
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