地下迷宮―メイ開発華やかなりし頃の夢の跡
海上都市メイには、普段我々が使用している下水道のほかに
もう一つの水路が存在しているらしい。
メイ開発当初に網の目のように掘られたが結局使われずに放置され、
迷路のように入り組んだ場所がいくつもある、というのだ…
そしてそこには、どこからか迷い込んだ生き物や世捨て人達が
独自の進化を遂げ、生活しているという…
つい先日、自警団副団長が行方不明になったのも
この地下迷宮ではないかと市民の間では噂されている。
副団長救助に参加した団員たちはみな
｢チェーンソーが！｣、｢大水が襲ってくる｣、
｢ブロッコリーに似たやつが美味しかった｣などと
要領を得ない発言以外口にしようとしない。
また、どこにその入り口があったのかに関しても緘口令が布かれ、
未だに真相は闇の中ならぬ地面の下である。
自警団は外からの脅威だけでなく、内側に潜む脅威にももっと
対策を練るべきではなかろうか…
(2114年3月18日付｢メイ日新聞｣より抜粋
