USS 小説08

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&font(16pt,b,i){付与魔術を覚えよう08} ... 著 / 優有 当店、『カポナータ・カウポーナ』は一般客も利用しています。 一般客は最初、食事目当てに来店します。 ですが、常連になるほど冒険者に毒されていくようです。 「今日は悪魔姉妹は居ないの?」 「馬鹿はどーした、馬鹿は?」 …この店の常連客は、大概どちらかのことを言い出します。 曰く、 「あの冷たい目で睨まれるスリルがたまらない」 「お、お礼を払いね。それだけだよ?」 「なんか癖になるんだよ。あの馬鹿たち」 …人気があるのは良い事ですが、もう少し冒険者としての人気を上げて貰いたいものです。 今はまだ朝食の時間が少し過ぎた程度。 彼らの受けた依頼の時間まで、まだ少し時間があります。 その時間を利用して、彼らなりの準備を行っているようです。 冒険者が宿を不在にする間、荷物を一時的に預かる、預かり所。 こうした冒険者の宿では定番のサービスですね。 宿代の前払いが必須にはなりますが、物品や金銭も預かっています。 まぁ、利用出来るのはある程度の期間を逗留し、 店側に認められた冒険者に限られますが。 「五人分あるのだから、皆で着けるというのは」 「うるさい」 「いや、アニキ。依頼の間はしまっておこうぜ」 腰みのを渡された従業員の顔がひきつってますね。 バカ二人と白熊の相手を一人でするのは、かなりのストレスでしょう。 当然、無視します。 「うぅ…なんでこんなことに…」 「食品を扱う場所を借りるのですもの。 それなりの準備を行うのは当然のことですわよ?」 もっともらしいことを言う狐に騙された猫は、 何故かウェイトレス服に身を包んでいます。 何故か違和感が無いのが不思議ですね。 「相変わらずここは店員の質が高いな」 「新人は猫かー。初々しいなー」 「…彼氏とかいるのかな」 長居している常連客が勝手な事を言ってますね。 朝食が終わったのなら、さっさと仕事に行きなさい。 他の娘たちにフロアを任せて、私は厨房へと猫の案内を行います。 厨房の方々は気性の荒い方も多く、他人が使う事に不快感を覚える方もいます。 今は嵐の後なので、少し落ち着いているようですね。 厨房担当は力仕事もあるため、それなりに体格の良い方々が揃って居ます。 中でもチーフは元騎士だったという噂もある傑物です。 「こちらが昨日話した方です」 「厨房をお借りします」 チーフがわずかに頷いたのを確認し、彼に調理にかからせます。 五穀米のおにぎり。焼き魚。おひたし。出汁巻き玉子。煮物。などなど。 使っても良い食材として、チーフが用意していた物を用いて調理していく様は、 手慣れたものでした。 「…慣れてますね」 「この街に来るまでに、バイトもしてました」 なるほど。他の街でも探索者登録をしてくる方もいますが、 彼の場合はわざわざこの街で登録した変わり者でした。 しかし、彼の故郷からは随分遠いのですが、何故この街に? 「昔、村に来た冒険者の人がこの街から来たんです。その人に近づきたくって」 憧れでしょうか。なるほど。 などと無駄話をしているうちに作り終えたようです。 …自ら名乗り出ただけあって、美味しそうなお弁当ですね。 「チーズとかお酒はありますか?」 晩酌ですか? チーフの指示でお酒が出てきました。 それを確認した彼はお弁当を右手に持ち、お酒を左手に。 「貴方を犠牲に更に輝くの。【永遠に美しく】」 付与魔術? …見た感じ、特に変わった様子はありませんが。 「何を?」 「状態維持の付与魔術です」 どうやらチーフも興味があるようです。 説明してもらいましょう。 …なんと。 その代価であればチーズやお酒を使うのは当然ですね。 「依頼の無い日は、店が雇います。その魔術は人目に出さないようお願いします」 「そんなに大した事ではない…」 「大事です。絶対に秘匿しなさい。わかりましたね?」 自分がどれほど価値のある魔術を使えているのか、理解が足りて居ないようですね。 多少のことでは動じないチーフが目を丸くしてるじゃないですか。 あ、あれ目です。あれでも開いてます。 彼は快く、他店や街中ではその魔術は使わないことを快諾しました。 厨房スタッフで取り囲むという説得が効いたようです。 この後、更にその魔術を活用する方法について話し、少し実践。 実践結果として廃棄物が出たので、そちらはバカへ。 代価に使ったミルクをアイスにして、廃棄予定のミントチョコと混ぜてみました。 「最愛の人が作ったものが食べられるとは、 これ以上の喜びは無い! ありがとう、最愛の人よ!」 …おかしい。予定では腹を下して不様な姿で依頼先に行く筈だったのですが。 頭だけでなく腹もバカなんですか? 「恋人の見送りに手作りのお菓子か。熱々だな」 不愉快な勘違いをしている人がいますね。 ミントチョコアイスの残りをお裾分けしましょう。残さず食べなさい。 バカどもが居なくなり、昼まで落ち着いた時間がやってきます。 まぁ、依頼の受付や冒険者たちの対応などがありますが 、一般客と混在していない分マシになります。 午前中は他にも多くのパーティが出発したようで、 裏では事務処理番が悲鳴をあげています。 他にあったことは謎の腹痛を訴えた方を追い出したくらいですか。 きっと人が働いているところでダラダラしていたからバチが当たったのでしょう。 さて、今のうちに朝食を摂っておきましょう。 「ウェイトレスに男の娘を雇ったってマジッスか!?」 探索者ギルドに帰りなさい。 【永遠に美しく】 (スリーピングビューティー) 素材:食べられる状態の食品 効果:両手に素材を持っていると発動可能。 右手で持ち上げられる量の食品の鮮度や温度などの状態を維持する。 効果時間は成功値の二乗の時間。 詠唱:「貴方を犠牲に更に輝くの。【永遠に美しく】」 代価:左手に持った食品の時間を、一瞬で効果時間の二乗の時間経過させる。
&font(16pt,b,i){付与魔術を覚えよう08} ... 著 / 優有 当店、『カポナータ・カウポーナ』は一般客も利用しています。 一般客は最初、食事目当てに来店します。 ですが、常連になるほど冒険者に毒されていくようです。 「今日は悪魔姉妹は居ないの?」 「馬鹿はどーした、馬鹿は?」 …この店の常連客は、大概どちらかのことを言い出します。 曰く、 「あの冷たい目で睨まれるスリルがたまらない」 「お、お礼を払いね。それだけだよ?」 「なんか癖になるんだよ。あの馬鹿たち」 …人気があるのは良い事ですが、もう少し冒険者としての人気を上げて貰いたいものです。 今はまだ朝食の時間が少し過ぎた程度。 彼らの受けた依頼の時間まで、まだ少し時間があります。 その時間を利用して、彼らなりの準備を行っているようです。 冒険者が宿を不在にする間、荷物を一時的に預かる、預かり所。 こうした冒険者の宿では定番のサービスですね。 宿代の前払いが必須にはなりますが、物品や金銭も預かっています。 まぁ、利用出来るのはある程度の期間を逗留し、 店側に認められた冒険者に限られますが。 「五人分あるのだから、皆で着けるというのは」 「うるさい」 「いや、アニキ。依頼の間はしまっておこうぜ」 腰みのを渡された従業員の顔がひきつってますね。 バカ二人と白熊の相手を一人でするのは、かなりのストレスでしょう。 当然、無視します。 「うぅ…なんでこんなことに…」 「食品を扱う場所を借りるのですもの。 それなりの準備を行うのは当然のことですわよ?」 もっともらしいことを言う狐に騙された猫は、 何故かウェイトレス服に身を包んでいます。 何故か違和感が無いのが不思議ですね。 「相変わらずここは店員の質が高いな」 「新人は猫かー。初々しいなー」 「…彼氏とかいるのかな」 長居している常連客が勝手な事を言ってますね。 朝食が終わったのなら、さっさと仕事に行きなさい。 他の娘たちにフロアを任せて、私は厨房へと猫の案内を行います。 厨房の方々は気性の荒い方も多く、他人が使う事に不快感を覚える方もいます。 今は嵐の後なので、少し落ち着いているようですね。 厨房担当は力仕事もあるため、それなりに体格の良い方々が揃って居ます。 中でもチーフは元騎士だったという噂もある傑物です。 「こちらが昨日話した方です」 「厨房をお借りします」 チーフがわずかに頷いたのを確認し、彼に調理にかからせます。 五穀米のおにぎり。焼き魚。おひたし。出汁巻き玉子。煮物。などなど。 使っても良い食材として、チーフが用意していた物を用いて調理していく様は、 手慣れたものでした。 「…慣れてますね」 「この街に来るまでに、バイトもしてました」 なるほど。他の街でも探索者登録をしてくる方もいますが、 彼の場合はわざわざこの街で登録した変わり者でした。 しかし、彼の故郷からは随分遠いのですが、何故この街に? 「昔、村に来た冒険者の人がこの街から来たんです。その人に近づきたくって」 憧れでしょうか。なるほど。 などと無駄話をしているうちに作り終えたようです。 …自ら名乗り出ただけあって、美味しそうなお弁当ですね。 「チーズとかお酒はありますか?」 晩酌ですか? チーフの指示でお酒が出てきました。 それを確認した彼はお弁当を右手に持ち、お酒を左手に。 「貴方を犠牲に更に輝くの。【永遠に美しく】」 付与魔術? …見た感じ、特に変わった様子はありませんが。 「何を?」 「状態維持の付与魔術です」 どうやらチーフも興味があるようです。 説明してもらいましょう。 …なんと。 その代価であればチーズやお酒を使うのは当然ですね。 「依頼の無い日は、店が雇います。その魔術は人目に出さないようお願いします」 「そんなに大した事ではない…」 「大事です。絶対に秘匿しなさい。わかりましたね?」 自分がどれほど価値のある魔術を使えているのか、理解が足りて居ないようですね。 多少のことでは動じないチーフが目を丸くしてるじゃないですか。 あ、あれ目です。あれでも開いてます。 彼は快く、他店や街中ではその魔術は使わないことを快諾しました。 厨房スタッフで取り囲むという説得が効いたようです。 この後、更にその魔術を活用する方法について話し、少し実践。 実践結果として廃棄物が出たので、そちらはバカへ。 代価に使ったミルクをアイスにして、廃棄予定のミントチョコと混ぜてみました。 「最愛の人が作ったものが食べられるとは、 これ以上の喜びは無い! ありがとう、最愛の人よ!」 …おかしい。予定では腹を下して不様な姿で依頼先に行く筈だったのですが。 頭だけでなく腹もバカなんですか? 「恋人の見送りに手作りのお菓子か。熱々だな」 不愉快な勘違いをしている人がいますね。 ミントチョコアイスの残りをお裾分けしましょう。残さず食べなさい。 バカどもが居なくなり、昼まで落ち着いた時間がやってきます。 まぁ、依頼の受付や冒険者たちの対応などがありますが 、一般客と混在していない分マシになります。 午前中は他にも多くのパーティが出発したようで、 裏では事務処理番が悲鳴をあげています。 他にあったことは謎の腹痛を訴えた方を追い出したくらいですか。 きっと人が働いているところでダラダラしていたからバチが当たったのでしょう。 さて、今のうちに朝食を摂っておきましょう。 「ウェイトレスに男の娘を雇ったってマジッスか!?」 探索者ギルドに帰りなさい。 ---- ***今回の付与魔術 &bold(){【永遠に美しく】} (スリーピングビューティー) 素材:食べられる状態の食品 効果:両手に素材を持っていると発動可能。 右手で持ち上げられる量の食品の鮮度や温度などの状態を維持する。 効果時間は成功値の二乗の時間。 詠唱:「貴方を犠牲に更に輝くの。【永遠に美しく】」 代価:左手に持った食品の時間を、一瞬で効果時間の二乗の時間経過させる。 ---- [[←07に戻る>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/41.html]] [[09へ進む→>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/45.html]] ----  

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