USS 小説04


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付与魔術を覚えよう04 ... 著 / 優有


冒険者として大成するために、何が必要なのか。

「それは信頼! すなわちカリスゥマなのだよ!」

私は居並ぶファンたちを見据え、その視線に手を振って応える。
「この店でナンバーワンのカリスゥマである私にかかれば、トラブルなど瞬殺なのさっ」

店に帰って来た私が見た物は、見慣れない少女が一人。
店の常連客達に無理矢理酒を勧められているところだった。
代わる代わる周囲から酒を注がれ、断り切れずに困っている姿を見た私に迷いはなかった。

「やめるんだ諸君! 奢るのなら私にしたまえ!」

皆、快く瓶を置いて各自のテーブルへと戻っていく。
それを見た弟分が
「こんなにたくさん奢られるなんて、やっぱアニキはスゲェよ!」
と讃えるのを宥める。
皆がおとなしく引いてくれるのは、私がこの店のカリスゥマだからなのだ。
テーブルに上がり、少女の手からグラスを取り、
代わりに酒を飲みながら冒険者たるものの心構えを説く。
冒険者としてのあり方を今一度、皆に問うのは、彼らを思ってこそ。
讃えられるだけではカリスゥマは名乗れないのさっ!

「うるさいバカ馬。テーブルに登るな」
おぅふ。この店のウェイトレスにして私の最愛の人。
トレイでスネを叩くのはやめてくれ給え。地味だがかなり痛いのだよ。

「もう心配はいらないぞ、最愛の人よ。そして少女よ。
カリスゥマたるこの私が来たからには、
彼らも君を対等の仲間として受け入れること間違いなしだ。そうだろう皆!」
手にした酒瓶を掲げながら、店内の皆を見渡す。
うむ、笑顔を返してグラスを傾ける彼らはやはり、根は良い者達ばかりだ。

「あの僕、男なんですけど」
おや? 少女は少年だったか。それは失礼した。
ふむ…男装に失敗した少女にしか見えないので少女だと思い込んでしまったようだ。
すまなかったな少女よ。
「そうか。少女よ、もしこの店で困ったことがあれば、なんでも相談に乗ろう。
いつでも頼ってくれ給え。私はこの店のカリスゥマで弱者の味方だ!
信頼してくれ給え!」
「あの…えー…あー、はぁ」
うむ。まだ慣れない店で戸惑いもあるようだが、じきに慣れることだろう。
「バカが多くて飲まなきゃやってられません。どうぞ」
最愛の人が少女にグラスを渡し、自分の分と合わせて酒を注ぐ。
迷いなくそれに口を着けているあたり、少女も最愛の人に負けず劣らず、実は酒好きのようだな。

「おぉ、そうだ。良いことを思いついた。酒を飲めば皆とも打ち解け安いだろう。
さぁ、ぐいっと行き給え。私が奢ろう」
あぐぁっ。トレイでスネの連打はやめっ痛いっ。
ヤキモチなど焼かずとも私の最愛は君のみだとわかってくれ給えよ。

しかし皆も気が利いている。新人が打ち解け安いように酒を奢る。
実に冒険者の先輩らしい振る舞いではないか。

「なぁに、遠慮することはない。ここにある酒を全て飲み干せば、
君も立派なこの店の仲間だ! 例え白い悪魔が邪魔をしたとしても、
君が飲み干すまで私も付き合おう!」
うむ。我ながら良いアイディアだ。
こうした粋なことを思い付けるのは永遠のわがライバル、ダンディーくらいだろう。

「だが私も負けてはいないっ! 私には腰みのがあるっ。
皆から譲り受けた信頼の証たる腰みのを身に着けている以上、
カリスゥマであることは決して揺るがないのだよっ」
「あ、皆さんから貰ったんだ」
少女…少年だったか? 彼が店内で飲んでいる者達を見渡すと、
目が合った者のうち数名が目を逸らす。
ふふふ。照れ臭いのだろう。奥ゆかしい奴らだ。
中には少女に頭を下げている者すらいる。
「独特のアロマ香る腰みのを、ハイライザー、ノーマル、ローライズと
全て同時に着こなせるのは私以外にはそうはいないだろう」
「あ、アニキ!」
「ふふふっ、驚くなかれ。私はまだ2つの腰みのを残しているのだよっ!
これぞカリスゥマクオォォリティィッ!」
「アニキ! ヤバイって!」
ん? どうしたのだね? おや? 私の腕を掴んでいるのは誰かね。
サインなら慌てずとも…あ。
「白い悪魔さん、いつお戻りに?」
振り返るとそこには悪魔がいた。

ブバゥンっ!!

直後、聞いたことのない打撃音を立てて、私の頭が消し飛んだ。



今回の付与魔術


【それを捨てるなんてとんでもない】
(ドント・リーブミー・アローン)

素材:神のイタズラ。
効果:廃棄しても時間経過で所有者のもとに戻ってくる。
   破損を自動で修復し、灰になっても復活させる。
   合意による受け渡しで所有権を移せる。物品にのみ付与可能。
詠唱:不明。
代価:神のイタズラの性質により異なる。対象の物品が独特のアロマを放ったり、
   崇拝するように延々と語りかけたり、視線を外すと背後に忍びよっていたりするようになる。