神話的世界創造

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神話的世界創造 原初、世界にはただ、カオスのみがありました。 その混濁した流れのなかには、四つの精霊がいました。 それらは火と、水と、空気と、そして土の精霊です([[注1]])。 #ref(http://www10.uploader.jp/user/wizh/images/wizh_uljp00033.jpg) ↑四大精霊図 あるとき彼ら([[注2]])は互いの要素を混じり合わせ一頭の牝牛を作りました([[注3]])。 火の精霊は動きを、水の精霊は知識を、空気の精霊は感情を、土の精霊は形をその牝牛に与えました([[注4]])。 その牝牛は何をするともなくただ歩き回るばかりでした。 あるときその牝牛は一人の赤児を見つけました。 その赤児は目が眩まんほどの光を放つ清らかな赤児でした。 しかし、その光を牝牛が阻むことで一つの影ができてしまいました。 そこから、また一人の赤児が生まれたのです。 彼女([[注5]])は光り輝く赤児とは違い、影のように底知れぬ暗闇をまとっていました。 彼女らの姿を見た牝牛は何か与えれるものはないかと思案します。 そこで彼女は水の精霊より与えられた知識を彼女らに与えることにしました。 それはちょうど、いまでいう乳房から白い液体となりあふれました([[注6]])。 彼女らは牝牛の乳を飲み、すくすくと育ち、また賢くなっていきました。 それとともに牝牛の知力は段々と衰えていきました。 牝牛は自分の知力のなくなる前に彼女らに名前をつけてあげました。 光の児には「レミア」と、闇の児には「グレス」とそれぞれ名を与えました。 名をつけると牝牛はもっと彼女らを寵愛し、乳を与えました。 レミアとグレスは牝牛からの愛を受け、ますます美しく活き活きと育ってゆきました。 やがて牝牛の知力は言葉もしゃべれなくなるまでに衰えてしまいました。 そしてまた、牝牛はただ歩き回ることだけを繰り返し始めました。 #ref(http://www10.uploader.jp/user/wizh/images/wizh_uljp00034.jpg) ↑「レミア」と「グレス」 ところでレミアとグレスは自分らに何か分からないことがあると、牝牛に尋ねるのを慣わしとしていました。 牝牛の知力がなくなってから暫くたったとき、この時はすでに彼女らは牝牛の乳は必要としていなかったのですが、二人は牝牛にこう尋ねました。 「あなたは私と彼女のどちらをより愛しているのでしょうか」 しかし知力のなくなった牝牛には答えられるはずもありません。 二人が牝牛の行動を見守っていると、牝牛は、それはただ生き物が光を求めるという本能的なもの([[注7]])なのでしょうが、レミアの方へと寄って行きました。 その為、レミアは大変喜びました。彼女の身体は今までに見たことがないほど光で満ち溢れ、その輝きはカオスの端にまで届くほどした。 その様子を見てグレアは大変悲しみました。彼女を取り巻く闇はカオスのもっとも高い場所からもっとも低い場所までの距離よりも、さらに深くなっていきました。 またグレアの心には悲哀の他に憤怒の感情も芽生えました。 その激情はとうとう彼女の心にレミアへの殺意を芽生えさせるまでになりました。 殺意はやがて彼女の身体から這い出して、深き闇に溶け込んでゆきました。 闇は黒く、禍々しく染まっていったのです。 その姿は無垢に、天真爛漫と輝くレミアのまさに対極にあるかのようでした。 そしてとうとうグレスはレミアに襲いかかったのです。 その様子を見ていた牝牛は、わずかに残った知性で自分の過ちを認め、レミアとグレスの間に入ってゆきました。 そうしてこの牝牛のおかげでレミアは難を逃れることができたのです。 しかし牝牛は、グレスの負の感情に満ちた暗い瘴気をまともに曝びてしまったために、死んでしまいました。 そして彼女らは悲しみに暮れ、牝牛の前で三日三晩泣き続けました。 二人の純粋な涙は牝牛の身体に注がれると、その身体を洗い清めました。 しかし、牝牛は以前のように動くことはなく、ただただ岩のように横たわったままでした。 悲しみの奈落から目覚めたグレスは、牝牛の行いから何かを学ぶわけでもなく、レミアへの憎悪を募らせるばかりでした。 彼女の殺意を感じたレミアは、牝牛に助けられた命を無駄にしまいとグレアから逃げ続けました。 こうして光と闇は、果てしなき追いかけっこを始めましたのです。 その様子を見た四大精霊は、彼女らを不憫に思い、牝牛の身体を切り裂くとその四つの胃袋に、カオスの要素を均等に振り分け四つの世界を造りました([[注8]])。 そして一つをレミアに与え、もう一つをグレスに与え、その二つの世界の間に残りの二世界を置いて、互いに干渉できないようにしてしまいました。 しかし、グレスが自分に与えられた世界に入る時に、この間の二世界になら干渉できるようにする、という条件をだしたので、仕方なく彼らもそれを許諾しました。 そのため、一つの世界は溢れんばかりの眩い光に包まれ、一つの世界は陰気な黒々とした闇に覆われた世界となり、また残る二世界は昼と夜が交互にやって来る光と闇の世界とになりました。 また、四大精霊はカオスにおいて混じりあっていた自分らの要素を、世界を造るにあたってそれぞれの形に分離しました([[注9]])。 こうしてそれらの世界はカオスからコスモス(秩序)へとなったのです。 「神話的人間創造」へ続く
神話的世界創造 原初、世界にはただ、カオスのみがありました。 その混濁した流れのなかには、四つの精霊がいました。 それらは火と、水と、空気と、そして土の精霊です([[注1]])。 #ref(http://www10.uploader.jp/user/wizh/images/wizh_uljp00033.jpg) ↑四大精霊図 あるとき彼ら([[注2]])は互いの要素を混じり合わせ一頭の牝牛を作りました([[注3]])。 火の精霊は動きを、水の精霊は知識を、空気の精霊は感情を、土の精霊は形をその牝牛に与えました([[注4]])。 その牝牛は何をするともなくただ歩き回るばかりでした。 あるときその牝牛は一人の赤児を見つけました。 その赤児は目が眩まんほどの光を放つ清らかな赤児でした。 しかし、その光を牝牛が阻むことで一つの影ができてしまいました。 そこから、また一人の赤児が生まれたのです。 彼女([[注5]])は光り輝く赤児とは違い、影のように底知れぬ暗闇をまとっていました。 彼女らの姿を見た牝牛は何か与えれるものはないかと思案します。 そこで彼女は水の精霊より与えられた知識を彼女らに与えることにしました。 それはちょうど、いまでいう乳房から白い液体となりあふれました([[注6]])。 彼女らは牝牛の乳を飲み、すくすくと育ち、また賢くなっていきました。 それとともに牝牛の知力は段々と衰えていきました。 牝牛は自分の知力のなくなる前に彼女らに名前をつけてあげました。 光の児には「レミア」と、闇の児には「グレス」とそれぞれ名を与えました。 名をつけると牝牛はもっと彼女らを寵愛し、乳を与えました。 レミアとグレスは牝牛からの愛を受け、ますます美しく活き活きと育ってゆきました。 やがて牝牛の知力は言葉もしゃべれなくなるまでに衰えてしまいました。 そしてまた、牝牛はただ歩き回ることだけを繰り返し始めました。 #ref(http://www10.uploader.jp/user/wizh/images/wizh_uljp00034.jpg) ↑「レミア」と「グレス」 ところでレミアとグレスは自分らに何か分からないことがあると、牝牛に尋ねるのを慣わしとしていました。 牝牛の知力がなくなってから暫くたったとき、この時はすでに彼女らは牝牛の乳は必要としていなかったのですが、二人は牝牛にこう尋ねました。 「あなたは私と彼女のどちらをより愛しているのでしょうか」 しかし知力のなくなった牝牛には答えられるはずもありません。 二人が牝牛の行動を見守っていると、牝牛は、それはただ生き物が光を求めるという本能的なもの([[注7]])なのでしょうが、レミアの方へと寄って行きました。 その為、レミアは大変喜びました。彼女の身体は今までに見たことがないほど光で満ち溢れ、その輝きはカオスの端にまで届くほどした。 その様子を見てグレスは大変悲しみました。彼女を取り巻く闇はカオスのもっとも高い場所からもっとも低い場所までの距離よりも、さらに深くなっていきました。 またグレスの心には悲哀の他に憤怒の感情も芽生えました。 その激情はとうとう彼女の心にレミアへの殺意を芽生えさせるまでになりました。 殺意はやがて彼女の身体から這い出して、深き闇に溶け込んでゆきました。 闇は黒く、禍々しく染まっていったのです。 その姿は無垢に、天真爛漫と輝くレミアのまさに対極にあるかのようでした。 そしてとうとうグレスはレミアに襲いかかったのです。 その様子を見ていた牝牛は、わずかに残った知性で自分の過ちを認め、レミアとグレスの間に入ってゆきました。 そうしてこの牝牛のおかげでレミアは難を逃れることができたのです。 しかし牝牛は、グレスの負の感情に満ちた暗い瘴気をまともに曝びてしまったために、死んでしまいました。 そして彼女らは悲しみに暮れ、牝牛の前で三日三晩泣き続けました。 二人の純粋な涙は牝牛の身体に注がれると、その身体を洗い清めました。 しかし、牝牛は以前のように動くことはなく、ただただ岩のように横たわったままでした。 悲しみの奈落から目覚めたグレスは、牝牛の行いから何かを学ぶわけでもなく、レミアへの憎悪を募らせるばかりでした。 彼女の殺意を感じたレミアは、牝牛に助けられた命を無駄にしまいとグレアから逃げ続けました。 こうして光と闇は、果てしなき追いかけっこを始めましたのです。 その様子を見た四大精霊は、彼女らを不憫に思い、牝牛の身体を切り裂くとその四つの胃袋に、カオスの要素を均等に振り分け四つの世界を造りました([[注8]])。 そして一つをレミアに与え、もう一つをグレスに与え、その二つの世界の間に残りの二世界を置いて、互いに干渉できないようにしてしまいました。 しかし、グレスが自分に与えられた世界に入る時に、この間の二世界になら干渉できるようにする、という条件をだしたので、仕方なく彼らもそれを許諾しました。 そのため、一つの世界は溢れんばかりの眩い光に包まれ、一つの世界は陰気な黒々とした闇に覆われた世界となり、また残る二世界は昼と夜が交互にやって来る光と闇の世界とになりました。 また、四大精霊はカオスにおいて混じりあっていた自分らの要素を、世界を造るにあたってそれぞれの形に分離しました([[注9]])。 こうしてそれらの世界はカオスからコスモス(秩序)へとなったのです。 「神話的人間創造」へ続く

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