移植:西野績葉
来年への備忘録
- 今年試行した体制を来年以降も活かすためには、次の5つの課題がある。(ゆいま)
- 真意を伝えるために、オブラートに包まず、率直に書き残す。他意はない。
商品企画上の課題
- 背景
- 夢束に限らず雑誌作成一般において重要な業務は、
(1)マーケティングに基づく商品企画、
(2)実行能力のある企画責任者による編集、
(3)クリティカル・パスである製作、
(4)冊子作成を支える財務計画
の4つである。
(2)実行能力のある企画責任者による編集、
(3)クリティカル・パスである製作、
(4)冊子作成を支える財務計画
の4つである。
- 特に売上高に影響を与えるのは(1)である。
- 夢束2004の成功要因は何よりも(1)を有能な人材によって実施できたことである。
このような人材は希少資源である。 - 夢束2006においては、(1)を担う人材は存在せず、マーケティングに基づく商品企画は事実上行われなかった。
- 夢束2004の成功要因は何よりも(1)を有能な人材によって実施できたことである。
- 特に売上高に影響を与えるのは(1)である。
- 問題
- (1)マーケティングに基づく商品企画を強化しなければ、売上が伸びずに赤字が続いてしまうため、夢束冊子作成は継続可能でなくなる。
- 課題A
- (1)マーケティングに基づく商品企画の強化のための人材確保と仕組み作りが必要。
人事管理上の課題
- 背景
- 誰でも企画を提案し、実行責任を負う企画責任者になれるようにした。
- 企画単位に編集及び版組みを実施するようにした。
- 編集及び版組みの指示命令権限を工程管理から編集責任者に移した。
- 問題
- もし「〇〇をやってみたい」という欲求と、
「それを実行するだけの能力が自分にない」という自己評価のない無能者が企画責任者に立候補した場合、
その企画に賛同した多くの人を巻き込んで企画を失敗させる可能性がある。- 夢束2006においては、企画責任者が無能でないことが最初から分かっていたので、この問題は発生しなかった。
- もし「〇〇をやってみたい」という欲求と、
- 課題B
- 夢束冊子への悪影響を最小限に留めるために、無能な企画責任者を的確なタイミングで切り捨てる、人事管理上の仕組みが必要である。
財務計画上の課題
- 背景
- コスト積み上げ型で赤字にならないように売価を設定すると、現状の販売部数ではどうしても市場価格より高い金額になってしまう。
- かといって、市場価格に近い売価を設定すると、どうしても採算が取れずに赤字になる。
- 赤字額をコントロールしながら、市場価格に近い値に売価を設定するため、「販促金制度」を夢束2006から導入した。
- 販促金制度とは、その時の資産の1割(上限値)を販促金として支出し、「完売したときの売上高=発行部数×売価=売上原価-販促金」となるように売価を設定する制度である。
- 問題
- 販促金制度による上限値を夢束2006から3年連続で使用しつづけると、夢束2008発行後は、
資金<印刷代+文学フリマ出店費用となり、夢束2009作成の際には、印刷代支払いから文学フリマまでの間、資金がマイナスになり、現金不足が発生する。- なお、「3年」というのは、上限値を3年連続で使用し、かつ、3年間完売しつづけた場合の年数である。完売しなかったり、上限値を超える制度利用によって、3年は1~2年にもなりえる。また、逆も然り。
- 販促金制度による上限値を夢束2006から3年連続で使用しつづけると、夢束2008発行後は、
- 課題C
- 夢束2008作成後、カンパ募集を募る必要あり。
- カンパ募集するに際して、「このまま夢束の機関紙を発行しつづけるべきかどうか」という問題を再び問い直し、「それでもやる価値はある」と合意された場合は、その合意に基づきカンパ募集が成立する。
- 安易なカンパ募集は誠実さを欠く。
- この問題を長期的に回避するためには、上記の課題Aをクリアすることが最善策である。あくまでもカンパ募集は、課題Aに取り組み、その効果が発揮されるまでの、対処療法として考えるべきであって、善意のカンパに全面的に寄りかかった冊子作成は、自立性を求めない姿勢に真剣さの欠如を指摘されても文句は言えない。
事務局への窓口担当者の決定上の課題
- 発生した問題
- 窓口担当者であるESさんが雑誌の搬入手順を事務局に確認した時、事前に代表者に渡した資料をまずよく読めと釘をさされてしまった。
- 原因
- 成り行き上、文学フリマへの申込は木本さんが行った。
- 事務局から代表者への書類は、当然、木本さんに送られた。
- なりゆきで申込をしてくれた木本さんをそのまま窓口担当にしてしまうことはせず、ESさんに印刷会社や事務局との窓口を、ゆいまがお願いした。
- 対策
- 文学フリマ申込時までに窓口担当者を決め、
事務局にはその人宛てに書類を送付してもらうようにする必要がある
- 以下、木本さんの指摘を転載。
- 可能なら、紙の書類を扱う可能性がある人はスキャナを用意して、全部の紙の資料を取り込んで共有するようにしたほうが良いかと思います。
- FAXで受けたのを画像ファイルで保存してくれるFAX機も増えてきているので、そういうのを使うという方法もあります。
- いずれにせよ、来年以降すべてのコミュニケーションがonlineを中心にするのなら、実世界とのI/Fは工夫しないといけないですね(木本)。
- 印刷所から直接会場に発送してもらう場合、当日会場で品物を受け取る証明書として、送り状のコピーを手に入れる必要があります。
- 今年については、印刷所から木本宅にFAXしてもらうことにしました。
- 来年窓口を担当する人を決めるのであれば、そういう作業が発生するよということも記録しておきます。(木本)
- 以下、木本さんの指摘を転載。
コミュニケーション上の課題
- 背景
- 実行計画の立案(Plan)、課題の検討と作業実施(Do)、進捗の把握(Check)、作業指示(Action)を、従来はMLによる議論によって行っていたが、今年はWikiへの書き込みによって推進された。
- これにより膨大なメール(一昨年は平均20通/日)を読む必要もなく、現在推進中の作業や、検討すべき課題が明確な状態で推進することが出来た。
- 今年の形態は、予め何を作業し、何を検討するべきなのかが明確であって初めて推進が可能な形態である。つまり、一昨年に蓄積した工程管理のノウハウがあって初めて布石することができたのであって、一昨年時点ではMLによる推進以外の形態は厳しいし、一昨年の作業形態はあれはあれで時に適っていた。
- 問題
- しかし、Wikiをベースにしたことによって、MLのときのようなスタッフ間の雑談や人格的な交流は難しくなり、双方向的なコミュニケーションによって醸成される「お祭り気分」の雰囲気が薄れてしまった。
- 課題
- プロジェクト運営的には効率的な形態であっても、
もう少し無駄なコミュニケーションの余地を残しておくべきだったと、ゆいまは思う。
- 対策
- Wikiで行う作業を「計画された作業」に限定し、スタッフ専用MLで行う作業を「相談・検討」に限定し、WikiとMLの2つのコミュニケーション手段を併用する。
- 意見(木本)
- シェアドワールド企画の反省点にも同じことを書いたのですが、こちらにも書いておきます。
- Wikiは基本的に、ある「状態」を表現しているものです。それに対して、議論を行う時には、そのcontextを把握できなければなりません。しかしWikiでは活動中のcontextを追うことは困難です。
- 結局今回は、運用でカバーして解決しました。それはそれで一つの正しい姿です。しかし、もうちょっと良い道具(FreeStyleWiki, MediaWikiなど)を候補として来年は検討したほうがよいと思います。
- また、今回、Wikiでカバーできない部分のコミュニケーションは、個人間のメールのやりとりにて行われていました。結果的に、適切な人が適切なメールを出してくれて、うまく機能したとは思いますが、個人的には全体が見えず、また誰が全体を見ているのかも良く分からず、不安に感じました。MLであればMLに流れた情報がすべてであると定義できるので、その不安感は現象できます。これもMLとWikiを連係させるシステムとかあるので、そういう道具で補佐できる余地はあるのかもしれませんが、一考の必要はあるでしょう。
- 意見(ES)
- Wikiで状態を共有するということに関しては、大幅な効率アップができたと感じています。しかし、コミュニケーションは確かにとりづらく、実際MSNメッセンジャーをかなり頼っていたという側面もあると思います。(ESとゆいまの情報交換においては特に)
- そう考えるとコミュニケーション手段としてはWiki+何かを併用する形が望ましいのかもしれません。
- 工程管理が二人いることについては、今後同じようなプロジェクトを二人でやるというのは逆に難しいのではないかと考えています。というのは、コミュニケーションがよくとれてないといけないということ。また仕事の割り当ての線引きが難しいのではないかと思うからです。今回のプロジェクトでは、ゆいまさんが全体を理解し、先回りして問題点をあげて仕事をふっていったのでそのような問題は起こらなかったとは思うのですが。
- やっぱ一人ってのも厳しいかも・・・と思ったり。雑誌を小規模にすれば一人工程管理もできるのですがね。
販路について(木本)
- どうしてISBNをとっていない文学フリマ記念文集がamazonで販売できるのだろうと思って調べたら、JANコードというのをとってつければamazonでも販売してもらえるのですね。たしかに、文集の裏表紙にバーコードが印刷されています。
- JANコードというのはこちら(http://www.dsri.jp/jan/)
- またamazonで委託販売をする場合はこちら(http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/?node=108722011)
- ただみたところamazonに40%持っていかれるので、300部以上の売上が見込めないと現実的でないですね。