2009春 夢束本LaTeX2ε組版まとめ (2)-組版の流れ(超簡略&原始的手法)
(LaTeX2ε組版まとめ (1)から続く)[ プロジェクト遺産へ]
★LaTeX2εのごくごく簡単な説明
LaTeX2εのコマンドや細かい組版のテクニックなどは省きます。親切なサイトがたくさんあるので、色々検索してみてください。このWikiでは第八回フリマに出展する2009夢束有志本の組版について、いくつか、残しておいた方が良い事を記録しておこうと思います。
ですから、このWikiに書かれたことを理解するにはある程度LaTeX2εのコマンドに関する知識が必要です。
ただ、最低限、LaTeX2εで
このような簡単な組版PDF
を作る過程を説明しておくことにします。
原稿を用意する
- まずはテキストで原稿を用意します。下がサンプル原稿。main.txtとします。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
LaTeX2εコマンドを埋め込みTeX文書を作成する
- これにLaTeX2εコマンドを埋め込んだものが下です。拡張子を変えてmain.texとして保存します。ここではcドライブの\texディレクトリに保存するものとします。画像を埋め込みますので、画像ファイルも用意して同じディレクトリに保存しておきます。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
はじめて見る人は抵抗を感じるでしょうね。これがTeX文書です。斜め棒「\」はフォントによっては「¥」と表示されるかもしれません。ひとつずつ説明していきます。
- 原稿は\begin{document}と\end{document}の間に入れます。ファイル先頭からこの区域の手前までをプリアンブルと呼びます。
- プリアンブル1行目の\documentclass[a4paper]{tarticle}は、この文書全体の基本様式に関する約束事で、a4paperはA4サイズの文書、tarticleは縦書きの文書ということを意味します。例えばtarticleの代わりにjsarticleと書くと、横書き文書になります。
- 2,3行目の\usepackageというのはスタイルファイルやパッケージというものを指定するコマンドです。スタイルファイルやパッケージでは文中に埋め込む特別なコマンドやマクロが定義されていて、それらを使いたい場合には、プリアンブルで読み込んでおく必要があります。ここでは、文中でルビを使いたいのでokumacro(奥村靖彦氏作)というパッケージを、また文書の中で画像を挿入したいのでgraphicxというスタイルファイルを読み込んでいます。dvioutというのは作成される版下ファイル(dviファイル)を表示するためのソフトの名前で、これは色々あります。ここではdvioutで正しく表示できるようにしておいてくれ、ということを指示しています。
- 次の\setlength{\topmargin}{10mm}というのは、ページ書式に関する設定で、上マージンを10mmにするという意味です。LaTeX2εでは、数値の単位はかなり幅広く使えて10cm、10pt(ポイント)、10inch(インチ)、10zw(全角文字10字分)などと書く事ができます。
- 文書の中身を見ていきます。最初の\textgt{\Large 大切な質問}\\ は、ゴシック体で大きな文字で、という意味です。大きさの指定は、large, Large, LARGE, HUGEというように書く事ができて、だんだん大きくなっていきます。
- 行末の「\\」は改行を意味します。LaTeX2εでは、原稿で単に改行してあっても一行にくっつけて整形されます。改行したい場合は、行間に空行をひとつはさむか、ここで行っているように「\\」を行末に付けます。
- \ruby{年収}{ねんしゅう}は、「年収」という文字に「ねんしゅう」というルビを振るマクロです。上で書いたように、これを使うためにはokumacroパッケージをプリアンブルで読み込んでおく必要があります。
- \vspace*{20mm}は、次の全角空白文字「 \\」までの間に垂直方向に20mmの空白を置くというコマンドです。ただし、この文書は縦書きの様式に指定していますので、実際の出力では水平方向に20mmの空白が置かれます。
- \includegraphics[width=30mm,angle=90]{tree.eps} は、このTeX文書と同じディレクトリに存在するtree.epsという画像ファイルを、幅30mmで90度傾けて挿入するというコマンドです。なぜ90度傾けるかというと、この文書が縦書き様式だからです。この傾き指定をしないと、画像は横に寝てしまいます。もちろん、横書き様式の文書では、このような傾き指定は必要ありません。
次に、LaTeX2ε組版まとめ (1)で書いたようなTeXモードのあるエディタや支援ソフトを使わず、Windowsで真っ当に版下ファイルを作る過程を説明します。最低限LaTeX2ε環境さえ構築してあれば、絶対に誰でも出来るプリミティブな方法だからです。(ちなみに、ぼくはこんなまどろっこしい事はやっていません。これでは〆切りに間に合いません。実際の手順はLaTeX2ε組版まとめ (7)で紹介します)
Windowsのコマンドプロンプト(シェル)を起動する。
Windowsを普通に使っている人はほとんど用事がないと思いますが、Windowsには文字でコマンドやプログラムを打ち込んで実行するコマンドプロンプトというものが用意されています。スタートボタンを押すと「ファイル名を指定して実行」というメニューがあります。それを選択してください。でてきたダイアログに「cmd」と打ち込みます。(一色の環境はWindows XPです。Windows98などではdosprmptと打たなければならないかも)
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
するとコマンドプロンプトが起動しますので、cdコマンドで、TeX文書のあるc:\texに移動します。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
TeX文書をLaTeX2εで版下ファイルに変換する(コンパイルする、とも言います)
先ほど作ったTeX文書main.texをplatexというプログラムで版下ファイル(dviファイル)に変換します。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
すると、処理の過程を示す呪文のようなものがだ~っと表示され、終了します。dirコマンドでc:\texディレクトリの内容を見てみましょう。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
main.dviというファイルが出来ています。これが版下ファイルです。
版下ファイル(dviファイル)を表示してみる
main.dviをdvioutというプログラムで表示してみます。コマンドプロンプトにdviout mainと打ち込みます。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
するとdvioutが起動してmain.dviを表示します。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
以上で版下ファイルができあがったことになります。
版下ファイルをPDFファイルに変換する
版下ファイルをPDFに変換してみましょう。これはdvipdfmxというプログラムを使います。コマンドプロンプトにdvipdfmx main と入力します。
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
すると同じディレクトリにmain.pdfという文書が作成されます。それが
これ
です。