銀「どうしたのぉ?こんなところによびだしてぇ」
ジ「・・・」
場所は屋上。僕と水銀燈以外だれもいない
ジ「水銀燈、僕と付き合ってくれないか」
いつからだったろう。水銀燈のことが好きになったのは
最初は人を馬鹿にしているような嫌な奴と思っていたけど
薔薇水晶と知り合って、彼女が素直に本音が言えなくて
わざと反対のことを言ってるのを知った
そして、彼女と話すことが当たり前になって
一緒に悪ふざけしたり
食事したり
喧嘩したり
いつの間にか彼女は僕にとって大きな存在になっていた
銀「だめよぅ」
ジ「どうして」
銀「生まれつき持病でね長く生きられないのよぅ」
ジ「そんなことは知ってるよ」
言ったとき、彼女は凄く驚いた顔をしていた
このことは以前、薔薇水晶に聞かされた
彼女は生まれつき持病で今生きていること自体奇跡らしい
僕はそれを聞いた時凄くショックを受けた
けど、すぐに受け入れた
ジ「あのさ水銀燈、僕は持病だとかで抜きで水銀燈のことが
好きなんだ。絶対後悔なんかしない。だから、もう一度
言うけど、僕と付き合ってほしい」
僕ができる精一杯の告白
銀「そこまでいうのならいいわよぅ
私に言ったこと絶対後悔させてあげるからぁ」
瞳に涙を溜めながら彼女は僕の返事に答えてくれた
雪の降る季節
雪空の下、返事を受けた僕は涙を溜めた彼女にキスをした
そして、次の日彼女は学校に来なかった
朝のHR
梅「あー、大変残念なことだが水銀燈は入院することになった」
梅岡がそのことを言った瞬間教室は騒然となった
「えっ、あの水銀燈が」
「うそだろ・・・」
「交通事故か?」
ジ「・・・・・」
薔「・・姉さまが・」
薔薇水晶は相当ショックを受けているみたいだった
梅「・・・化委員は放課後、委員会があるので残るように
朝の連絡は以上だ」
梅岡が他の連絡を話しているが全くそんなことは聞こえなかった
朝のHR終了後僕は昇降口ヘ向かった
するとそこには薔薇水晶が
ジ「考えることは一緒だな」
薔「ええ・・・」
ジ「ところで薔薇水晶、水銀燈が入院している病院ってどこだ?」
今気づいた、病院名知らなかったらいけないじゃないか
薔「多分、薔薇総合病院だと思う。姉さまここに入院していたから
でも、知らずに行こうとするなんて雛苺の言動並み」
いつもより少し皮肉った言い方をする薔薇水晶
そうでもしないと耐え切れないだろう
ジ「悪かったな・・・」
そういい、昇降口を出る
今日は雪のない曇り空
いつも見慣れている空だけど、僕たちの心を表しているようで
とても嫌な気持ちだった
薔薇総合病院
看「水銀燈さん、お客様ですよ」
銀「だれぇ」
親戚だろうと思い白いカーテンを開ける
しかし、それは予想外の人物で
銀「うそ・・・」
ジ「容態はどう?」
薔「・・・姉さまっ!!」
銀(なんで、ジュンが!?)
思わず、顔を背ける
薔薇水晶が来るのは予想していたことだった
でもジュンは予想できていなかった
むしろ、絶対こないと思っていたのだ
銀(本当に後悔させちゃった・・・)
昨日、言ったことが心の中でリフレインする
ごめんなさいといいたい
でも
銀「ジュン、本当に後悔したでしょぉ」
口で言うのは正反対の言葉
銀(本当私って馬鹿・・・)
しかし、水銀燈の予想はまた外れた
ジ「昨日言ったろ、絶対後悔はしないって」
水銀燈の顔が赤くなる
薔「ジュン、昨日姉さまと何かあったの?」
ジュンは照れくさそうに頭をかきながら
ジ「水銀燈に告白したんだ」
銀「そんなことここで言わなくてもいいじゃないのぉ」
そう軽く言っているが心では
銀(昨日のキス思い出すじゃない)
とものすごく純情な水銀燈なのであっ
最後のたが抜けた・・・
その日から僕たちは毎日水銀燈に会いに行った
そして、会いに行けば会いに行くほど日に日に痩せて行く
彼女を見るのがとても辛かった
でも、彼女の前では辛い顔ができなかった
いつもと同じ空気でどうでもいいことを話し
笑って
怒って
呆れて
そんな彼女を見るだけで辛いのが無くなってゆく
ある日の夜
♪~♪♪~
ジ「もしもし、桜田ですが」
薔「姉さまがっ!!姉さまがっっ!!」
ジ「水銀燈がどうしたんだ!!」
薔「き、危篤状態だって・・さっき電話が・・」
ジ「わかたすぐいく」
受話器を乱暴に戻し、ジャンパーを羽織る
の「ジュン君どうしたの?」
ジ「ちょっと出かけてくる」
の「え、ちょっとジュン君?」
僕は全速力で自転車をこいだ
病院につくと一目散に水銀燈の病室へ向かった
いたのは医者と薔薇水晶そして
ジ「水銀燈!!」
銀「あ、ジュン・・」
ベッドで寝ている彼女は弱弱しく答えた
以前のような軽い口調はもう彼女からは出ていなかった
銀「ごめんね、私もうダメみたい」
泣きながら彼女はいった
ジ「そんなことはない」
銀「私の体のことだから私自身がよく知っているの
でもごめんね最後まで後悔させて・・」
ジ「後悔はしてないっていっただろ・・」
僕も泣きながら答える
銀「私ね生まれてずっと自分の体が嫌だった
欠陥品のダメな体。でもねジュンのおかげで楽になったの
親も何でこんなジャンクを生んだんだとかいって私を認め
てくれなかった。認めてくれてのは薔薇水晶とジュンだけ」
薔「姉さま・・」
ジ「・・・」
銀「本当に嬉しかった、けれど恥ずかしくて、いつも反対の事
しかいえなくて・・でも、そんな私を受け止めてくれるジ
ュンが好きだった」
ジ「・・・・」
どういったらいいのか言葉が浮かばない
銀「薔薇水晶・・」
薔「何・・姉さ・・・ま・・」
薔薇水晶は泣きじゃくっている
いつもの無表情からは考えられない顔だった
銀「もっと、自己主張しなさい。そして、もっと強くなりなさい」
薔「わかった。わかったからっ姉さまっ」
銀「もう泣かないで・・薔薇水晶
ジュン、私の最後の願い聞いてくれる?」
ジ「ああ・・」
銀「1つ目は薔薇水晶を支えてあげて。」
ジ「約束するよ」
銀「2つ目はキスしてほしい」
無言でキスをした
一秒でも長く、そしてその感触を忘れないように
銀「・・・最後だけど別れましょう」
ジ「なんでだよ」
銀「恋人残したまま死ぬのは嫌だから
ロマンティックだけれど、未練が残って嫌なの」
泣き笑いながら答える
ジ「本当に?」
銀「本当よぉ」
苦しいのに辛いのに涙が出てこない
それは告白した時から覚悟を決めていたからだろうか
ジ「・・・わかった・・別れよう
水銀燈、楽しかったよ君と付き合った日々は」
銀「私はつまんかかったわよぅ」
嘘、本当は凄く楽しかった
ジ「そうか・・悪かったなつまんなくて」
銀「次の子にはつまらなくしちゃだめよぅ」
楽しくてジュンが来るのを楽しみにしていた
銀「ジュン・・・」
ジ「なんだよ」
銀「世界で一番だぁいきらい」
満面の笑みで天邪鬼な彼女が言った最後の言葉だった
10年後
看「おめでとうございます、元気な女の子ですよ」
看護婦が僕に赤ちゃんを見せた
ジ「よかった」
薔「そうね」
僕と薔薇水晶は結婚して、今日薔薇水晶は赤ちゃんを出産した
ジ「この娘の名前決めたのか」
薔「ええ、たぶんあなたと一緒」
ジ「じゃあ、一緒にこの娘の名前を呼ぼうか」
薔「いいわよ」
一呼吸おいて呼ぶ
「「水銀燈」」