《カップリング》ビゾン・ジェラフィル&アサシン ◆MQZCGutBfo
「ヒナ! 大丈夫か! もう一度カップリングするぞ!!」
「やめてビゾン!!」
「奴らが来る! 急ぐんだ!」
俺の乗るヴァリアンサー「ネルガル」とヒナの乗る「カルラ」。
俺達のカップリングがあれば無敵だ。誰も俺達を止めることなど出来はしない。
―――だが奴らが。いや、奴が!
ワタセ・アオバが来る!
俺とヒナの全てを壊すアイツが!!
「コネクティブ・ヒナ!!」
「きゃあああああああ!!だめえぇぇぇぇぇ!!!」
「応えろヒナ!! ヒナァァァァァァァ!!
ウォォォォォォ!! ヒナァァァコネクティブ・ヒナァァァァァ!!!!」
ヤツが! ヤツが来たのだ!
なぜアクセプトしない!
するとヒナの乗る「カルラ」が。いや。ヒナが!
光を纏い、俺を弾き飛ばしたのだ!!
俺を! この俺を拒絶したというのか!!
何故だ、何故だナゼだナゼダ!!!!
「ヴガアァァァァァ!! なぜだヒナ!! ナゼナンダアアアアアァアァァァ!!!」
◇
―――大破した機体から放り出され、時空の渦に単独で巻き込まれた俺は。
気が付けば70年前に飛ばされていた。
元の時代に戻る方法など、当然ない。
だが、逆に考えればこれはチャンスだ。
俺は歴史を知っている。
アオバとヒナが『俺を飛ばした』タイミングに、胸を撫で下ろした瞬間に。
復讐することができるのだ。
そのために力が。富が。権力がいる。
西暦2014年に中央アジアでエネルギー鉱石「ネクトオリビウム」が発見されたのは有名な話だ。
そこの利権さえ抑えれば、その後の金は無限に湧いてくるようなものだ。
だが、今の俺は単身だ。
元手にする金すらない。
ヴァリアンサーでもあれば売って金に出来たんだろうが、
あるのはこのパイロットスーツと、バイザーが割れたヘルメットだけだ。
このヘルメットは、俺が復讐を忘れぬための象徴だが、金にはならない。
だからこそ、俺は辿り着いた小さな教会で、神とやらに祈った。
力を得るための力を。
富を得るための富を。
全てはワタセ・アオバとヒナの二人に復讐するために。
熱心に祈っていたら、黒い祭服を着た長身の神父に声を掛けられた。
『汝に安らぎと、智慧を』
という言葉と共に、渡された。銀の鍵だ。
神父は優雅な仕草で片手を振り、示す。
その先には、扉。
いいだろう。
安らぎなどはいらんが智慧はいる。
ゾギリアを掌握するための、復讐を行うための智慧がな。
俺は迷い無く鍵を開け、扉を開いた。
◆
―――アーカムシティ、《イーストタウン》の屋敷の一室。
ビゾン・ジェラフィルはレザーチェアに座り、苛立たしげに机を指で叩いていた。
「―――マスター」
部屋の天井からすり抜けて、黒い翼をもったサーヴァントが降り立つ。
全身黒で染められ、二本角を持った鬼人。
その鬼人が、紫がかった赤い髪、黒いロングコートを羽織った長身の人間の姿に変わる。
「遅い!! どこで道草を食っていたアサシン!!」
机を右の拳で大きく叩き、苛立ちを現すビゾン。
その拳に三画あるはずの令呪が、既に一画になっていた。
『俺を絶対に裏切るな!』
『魂喰いを拒むな!』
それが、令呪で執行された命令だった。
「……」
「なんだその目は!! 簡単な命令すらこなせないのかお前は!」
机のペン立てをアサシンに投げつける。
冷たい目でビゾンを見下ろしていたアサシンは避けもせず、ただ受ける。
神秘の伴っていないペン立ては、そのままアサシンに当たり、赤い高級カーペットの上に弾んで落ちる。
「チッ! ちゃんと魂食いをしてきたんだろうな」
「ああ」
ビゾンはアサシンを凝視する。
確かに魔力量は増えているように見えた。
「フン、ならいい。次の指示があるまで霊体化していろ」
「……分かった」
アサシンは目を瞑り、黒いロングコートを翻して虚空に消えていく。
◆
マスターの命令の元、魂食いを行ってきた。
犯罪者を見つけ、その人間の魂を喰らったため、遅くなったのだ。
何度かマスターと意志疎通を図ろうとしたが、無意味だった。
あのビゾンと言う男は、既に狂っている。
復讐という名の、毒によって。
―――俺も、あんな目をしていたのだろうか。
屋敷の屋上から、夜の街を眺める。
研美悠士に復讐するため、多くの人間を巻き込み、死に追いやってきた。
研美研究所に勤める人間全てが、悪だったわけではない。
だがあの頃は、復讐の心を叩き付けるが如く、破壊を行っていた。
その因果が巡ってきた、ということなのだろう。
自死もわざと敗死することも、裏切りになってしまうため実行できないだろう。
せめてあの男の。
復讐のために生きる男の結末を、ただ見守るしかない。
アサシン―――輝島ナイトは、溜息を吐くでもなく、ただ無言で夜空の月を眺めた。
【マスター】
ビゾン・ジェラフィル@バディ・コンプレックス
【マスターとしての願い】
渡瀬青葉とヒナに復讐するため、莫大な富を手に入れる
【weapon】
バイザーの割れたヘルメット
【能力・技能】
『パイロット』
ヴァリアンサーの操縦技術。
ゾギリア軍のエース、アルフリード・ガラントに見込まれる程の腕前。
「ネビロス」及び「ネルガル」に搭乗。後に90歳近くの身で専用機「カルキノス」を乗りこなす等、パイロットとしては優秀。
『カップラー適性』
2人のヴァリアンサー搭乗者の感覚を脳だけでなく全てを共有させ、
互いの戦闘能力を劇的に向上させる『カップリングシステム』の適合者。
カップリングシステムの人体調整を受け、低いながらもカップラー適性を取得している。
『精神汚染』
復讐心及び人体調整による影響。Dランク相当。
精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を低確率でシャットアウトする。
ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。
【人物背景】
大ゾギリア共和国のパイロット。20歳。
名門出身で、アルフリードの信頼も厚く、一部隊の指揮を任せられる程優秀。
その反面、攻撃的でプライドの高い面を持ち合わせている。
ヒナ・リャザンとは幼少時代に家が隣同士だった幼馴染で、現在では恋愛感情を寄せているがそれは同時に強い執着心にもなっている。
調整を受けて無理矢理カップリングシステムへの適性を得る。
ヒナへの依存と渡瀬青葉への殺意から、情緒不安定で言動が攻撃的になった。
アラスカ基地攻防戦において、特異点に吸い込まれ、一人70年前へと飛ばされてしまった。
【方針】
聖杯戦争に勝利し、復讐のための準備資金を手に入れる。
【クラス】
アサシン
【真名】
輝島ナイト@セイクリッドセブン
【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具C
※数値は変身後
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
気配遮断:C
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は難しい。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
【保有スキル】
仕切り直し:B
戦闘から離脱する能力。
B相当の“追撃”スキルを持たない限り、相手はほぼ確実に撤退を許してしまう。
単独行動:C
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
召喚:C
巨大なムカデ型悪石を召喚する。
ムカデの攻撃方法はその巨体による物理的な突貫のみ。コンクリートのビルを倒壊させる程度の威力。
神秘力の無い物理攻撃で撃破可能。
物質変化:(A)
物質を変化させる能力。手で触れた物質(生物外)を自在に変形させることができる。
また、自身を霊体化させないまま、自身と手に持った物(生物含む)を透過させることも可能。
※変身後のみのスキル
飛翔:(B)
飛行能力。飛行中の判定における敏捷値はこのスキルのランクを参照する。
※変身後のみのスキル
【宝具】
『復讐果たす黒月の翼(セイクリッドナイト)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
地球に飛来した特殊な力を持った7種類の石「セイクリッドセブン」。
そのうちの一つの力を使い、輝島ナイトをセイクリッド・テイカーへと変身させる。
変身することでパラメーターのアップと、『物質変化』『飛翔』のスキルを得ることができる。
『自由守る銀月の翼(セイクリッドナイト・リベレイター)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
アサシンとして現界した為、使用不可。
【weapon】
なし
【人物背景】
セイクリッドテイカーの1人。
幼い頃両親に売られ、研美悠士の研究所で実験体の1人として扱われていた。
実験の途中で、研美がセイクリッドの力を悪用していることを知り、同研究所で親しくなったラウ・フェイゾォイと共に脱走した。
以後、物質を変形させる能力を持つ「セイクリッドナイト」へ変身しては研美の命を狙っていた。
【サーヴァントとしての願い】
復讐を望んだ者の末路を見届ける
【基本戦術、方針、運用法】
ビゾンは既に精神汚染スキルを所持しており、輝島ナイトとの友好的協調は諦めた方が良い。
むしろ精神汚染を逆手に取り、一時的狂気を踏み越え、汚染などいくらでも進行しろという気構えで勝利をもぎ取ろう。
攻撃に関しては真正面で戦う能力はあるが、決定力も畏怖力もそれほどないため、
アサシンらしくマスター狙いが本道になるだろうか。
気配遮断、仕切り直し、そして物質変化(透過)により、撤退に関しては全く問題なく行える。
乱戦になったらムカデ召喚で場を乱し、掻き回しつつさっさと逃げよう。
ビゾンは90歳まで耐えに耐え、組織掌握した謀略力と忍耐力はあるはずなので、強かに狡猾に作戦を練ろう。
最終更新:2015年10月07日 02:02