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無題02 ◆0STfKvIzq6



プロデューサー.1
「あの、すいません。ここがどこか知りませんか?」
「……………………………」
「………あの…」
「……………………………」

懐中電灯片手に深夜に少女にしつこく話しかける男性とそれを無視して歩き続ける少女
まるで悪質なスカウトマンかナンパのような光景だが、話しかけているスーツにメガネの男性
通称「プロデューサー」はいたって真面目であった。
記憶では事務所で仕事を片付けていてそろそろ帰ろうとしていた気がする。
その時、うたた寝でもしてしまったのか一瞬意識が暗転してしまったと思ったら、
気が付け見知らぬ丘に飛ばされていた。見える範囲の周囲には建物はない。標高は低く、遠くに海が見える。
まるで冗談のような現象。自分自身でもこれが現実なのか信じられない。自分は夢でも見ているのか。
あの一瞬のうたた寝のように感じたのは実はもっと長い時間でその間ここまで連れてこられたのか?
現実感が湧かず、酔っているわけでも眠いわけでもないのに、足元はふわふわと感じ、
眼は冷めているのに思考は鈍くなっている。

タブレットを見ると様々な情報が映し出された。曰く「時間になると核爆弾が爆発」だの
「近くにいると放射性障害で死に至る」だの、現実離れした言葉も頭によく入ってこない。
ただ首につけられた、外し方もわからない「首輪」だけは妙に冷たい感触を伝えてくる。
そしてタブレットに表示された名簿に載っている765プロのアイドルたちと、かつて961プロにいた天ヶ瀬冬馬。
本当にこんな状況にアイドルたちも巻き込まれているのか?だとしたらなんとかして会って安心させなければ。
すぐにポケットに入っていた携帯も使ってみたが…圏外で全くどうにもならない。
出会う方法も分からず、ふらふらと夜の島(なのだろうか。)の道を歩いていると、
最近流行りの青い街夜灯のような光を見つけ、誘われるようにふらふらと引き寄せられていった。
そこにいたのは、真っ白な顔に鬼火のような光を左目に灯した少女だった。

空母ヲ級.1
彼女の最後の記憶は轟音と光、そして直後に訪れる静寂と闇だった。
彼女は沈んだ。艦を憎悪し沈めることが使命の彼女はその役割を果たせることなく沈んた。
ただ沈む瞬間は憎悪も後悔も、達成感も満足感も彼女は感じなかった。
的確に打ち込まれた駆逐艦の魚雷は、苦しみも伝わる間もなく彼女の意識を暗い海の底へと沈めた。
もしかしたら最早何もできずに沈みながら、苦しむ必要も無くなった彼女はある意味救われたのかもしれない。

意識が戻る
昏い静寂から叩き起こされたにも関わらず、頭は事務的に周囲の状況から拾い集めた情報を処理していき、
ここは島らしいことや、放射能というものが蔓延していることを理解する。
おそらく他の深海棲艦達との通信が通じないのもそれが原因だろう。
だが、そのように拾い集めた情報の他に、彼女はある確信を持っている。
「艦むす」はどこかにいる。
なぜ轟沈したはずの自分が修復しているのか分からないが、自分が再び存在している以上、倒すべき艦むすもどこかにいる。
それは根拠も理屈も何もない、盲信とでも言えるようなものだったが、とにかく彼女はその前提を行動に組み込んだ。

海上戦闘に特化した自分の体は陸上では十分な性能を発揮できない
艦むすを沈めるために彼女は海へ向かって進路をとった。
海では艦むすも陸地より性能が向上するので単純に有利になるわけではないのだが、
これは殆ど海に棲むモノの本能による選択だった。そういうものなのだ。
その彼女に接近する何かを発見し、彼女は一瞥だけする。
「あの、すいません。ここがどこか知りませんか?」
発見した時から感じていたがやはり艦むすではない。艦むすに宿る艦艇の魂を感じない。
 人類。おそらく成体。多分オス。艤装・武装の類なし。
 結論―――脅威なし
彼女は気に留めることなく歩き続ける。
海上を制圧し人類社会にとっての脅威である彼女達だが人間自体に特に興味はない。
彼女達が憎悪(興味)を向け沈めようとするのは艦やその魂を持つ艦むす、その基地等のみ。
彼女達はそういう存在だった。

プロデューサー.2
(もしかして俺、勘違いしてる?この子、恰好が変なだけでこの状況とは関係ないのか?)
そう。勘違いである。
例えばデパートや量販店の売り場で、スーツ姿の客を店員と間違えて声をかけてしまった経験はないだろうか。
また、京都で街中を歩いてる舞妓におおはしゃぎして写真を撮ると、実は舞妓体験をしているただの一般人だったりする。
人は服装や外見に惑わされやすい生き物であり、特に馴れない場所でそれっぽい人をその場に関係ある人物として思い込む事がある。
異常な状況に奇抜な格好で現れた少女に対し、何か知っているのではないかと過剰な期待を抱いてしまったのだ。
少女が無口で迷いもなく歩いていることも、ここに慣れた地元住民のようなものだと思っていたのだが…。
(それにしてもすごい格好の子だなこの子。水着みたいなスーツ着て、顔も真っ白で、油の匂いがするし
 めちゃくちゃ大きな帽子被ってて、目のあたりがライトみたいなので光ってて…。何かのコスプレかな。
 というかこの状況、俺すごく不審者っぽいな…夜だし、警察に会ったら捕まるかも…。)
何も返事をせずズンズン進んでいくヲ級に、今まで5分ほど熱心に、時にはたどたどしい英語も使って話しかけ続けていたのだ。
普段なら最初に無視された時点で話しかけるのを諦めただろう。
だがあまりに異常な状況に彼女を唯一見つけた手がかりのように思って必死になってしまったのだ。
冷静に考えれば単に気味悪がられて無視されているのかもしれない。知らない土地で動揺していたとはいえ、恥ずかしくなる。
もし彼女も自分と同じように巻き込まれたのだとしたらなおさらだ。
他の人を探すか、明るくなるまで待つか、どこか街にまで行く方法はないか…と足を止めて距離をとったところで
少女も、ピタリと立ち止まった。

そしてふらり、とよろけると、
そのまま路上に倒れこんだ。

「どうしました!」

少女の帽子が地面に当たると「ゴン!」という硬い音が鳴り響いた。
どうやら帽子だと思っていたものはヘルメットのようなものだったらしい。
慌てて傍にかけより声をかけるが呻き声がするだけで、懐中電灯で照らされた少女は片側しかない表情で
苦しげな表情を浮かべていた。

空母ヲ級.2
海を目指し歩行していると人類のオスがついてきて何か話しかけてきたが、彼女の眼中にはなかった。
こういうことは海上でもよくあることで、背びれのついた哺乳類が並走してきたり音波を飛ばしたりしてきたものだ。
移動を妨げるべく前に立ちはだかるわけでもないので、特に何もせずに放置して思考に没頭する。

彼女は考える。
海に辿り着くにはまだ時間がかかる。
それまでに自分の身を守るために艦載機の製造を始めるべきだと。

空母ヲ級型の深海棲艦は体内の各種資源を原料に、武装を持ったドローンを帽子のような部分で生み出す能力をもつ。
それぞれ自動的に戦闘や索敵をこなす便利な兵器だが、一体一体は非常に弱いため通常の戦闘では何十体も製造する必要がある。
製造した艦載機は頭上に溜めておき、戦闘時には出撃させるのだ。

艦載機の製造を開始して、まず製造速度が遅いことに気づいた。
一度轟沈した影響がまだ残っているのかもしれない。それでもまず一体を生み出す。
続いて二体目の製造を開始。一体目の時より更に製造速度が遅い。
やはり艦載機を生み出す部位になんらかの障害が発生しているのだろうか?
その時、彼女は何かに気づいた。何か、が具体的に何かは分からない。
おそらく身体に異常が発生しているのだろうが、一体どのような異常が発生しているのか全く判断できない
今までに体感したことのない未知の感覚だった。
二体目が、一体目より時間をかけて完成する。
僅かな時間だけ彼女は違和感の原因のわからないまま三体目の製造を始めるか否かについて逡巡する。
原因も不明、体の不調も多数で対応もできない
この感覚の正体を掴もうとする。艦載機が製造や艤装での移動の際に資源や燃料が枯渇した時の感覚に似ている気がするが、
艦載機の原料は20体は製造できるほどあり、艤装はそもそもこの地に来てまだ使っておらず、燃料の消費などない。

彼女は、得体のしれない違和感より、艦載機が足りないという確実に存在するリスクを減らすことを選んだ。
彼女は知らなかった。その初めての感覚が、一体どのような意味を持つのか。
どれほど危険なサインだったのかということを。

三体目の製造を開始
まるで徐々に体が締め付けられ潰れるような感覚と同時に体の内側が空っぽになっていくような、矛盾した不快感が彼女を襲う
二体目より更に時間をかけて三体目の製造が完了したとき、
浮上と轟沈の感覚が混ざったような感覚が加わり
彼女の意識は飛んだ

プロデューサー.3
「もしもし!大丈夫ですか!」
突然倒れた目の前の少女を道の端に寄せ声をかける。
息はしている。動悸もある。だが突然倒れてぐったりとしたままだ。
少女の体調に対応するかのように、左目の位置で輝く光も遭遇した時と比べて弱弱しくなっている。
貧血だろうか。寝かせた方がいいと思い頭の帽子を外そうとしたが、
どうしても外れないので仕方なくそのまま地面に寝かせる。
携帯で救急車を呼ぼうとするが、
「やっぱり圏外か…。」
その時、うっすらと少女が目を開ける。
「大丈夫ですか?今から人を呼びに行きにいくので、ここでじっとしててください。」
こんな夜中に女の子を一人放置していいか少し迷ったが、この少女、服のせいかもしれないがかなり重い。背負ることは無理だし、
自分1人で誰かを呼びに行ったほうがすぐに人と出会えるだろう。

そうして立ち上がろうとしたプロデューサーの腕を、いきなり少女はガシッと掴んだ。
「痛っ!?」
その力は倒れている少女と思えないほど強い。ひょっとしたら大人の男ぐらいあるかもしれない。
道路脇の乏しい街灯以外に光源の無い闇の中、まるで顔の片側が存在しないように見える少女の眼光を直視し
プロデューサーは一瞬その眼差しになぜかゾクッとした悪寒を感じる。
まるでこの世のものではない、幽霊のような存在を見たような。バカバカしいが例えるならそんな感じ。
目を逸らせなくなったプロデューサーと少女はそのまま見つめ合い


 ぐーーーーー

少女の腹の音が盛大に鳴った
先ほどからの気まずい沈黙(気まずさを感じているのはプロデューサーだけなのだが)は依然そのままだが

 ぐーーーーーーーーーーーーーーー

多分気のせいだと思うのだが、少女の無表情の瞳が何かを訴えているように感じるのは全くの気のせいだろうか。
なんとなーく、事務所に帰ったらラーメンがなくて落ち込んでいる貴音を思い出す。

 ぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

空母ヲ級.3
なぜその人類の手を掴んだのか
おそらく、未体験の感覚に対する不安から咄嗟に近くにある何かに縋りたくなったのだろう。
ただ、もし彼女が言葉を話せたら、こう言っていたかもしれない。

 ハラ…ヘッタ
 ナニカ…クワセロ…

【深夜:L4。なだらかな丘で北、東に海が見える】
【プロデューサー@THE IDOLM@STER】
[状態]:健康。いまいち状況を理解しきれていない。
[服装]:いつものスーツ姿
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ポケットに入ってた携帯(通話機能使用不可。首輪のおかげで故障はしていない)
[思考]
基本:765のアイドル達と合流して元の場所に帰る。
1:倒れた少女(ヲ級)を心配。
2:誰か状況がわかる人に会いたい。
3:アイドル達と元の場所に帰る
[備考]時期はアニメ終了後

【空母ヲ級@艦隊これくしょん -艦これ-】
[状態]:無理やり艦載機を製造し、空腹のあまり倒れる。隻眼、初めて感じる「空腹」に困惑、制限に困惑
[服装]:なし(杖、艤装は体の一部)
[装備]:杖、艤装(体の一部)、艦載機×3(上に収納)、艤装の燃料満タン、艦載機の材料約20体分
    無理をして艦載機を製造したため、早朝まで製造ができません。
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:艦むすを沈める
1:空腹に困惑
2:海に行く(深海棲艦の本能)
3:艦むすを沈める
[備考]時期は吹雪に轟沈させられた後
制限:艦載機の製造は1時間に1つ程度。数は最大で約20まで。
   肉体に制限がかかり、艦載機の製造に大きく体力を消耗し、空腹になる。


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