ランツェナーヴェ

ランツェナーヴェとは、400年近く前に建国された、ユルゲンシュミット国外にある国である。


概要

国民

魔力を持つ王族と、魔力を持たない現地の民で構成されている。
王族と現地の民では魔力量の差が大きいため子供が生まれず、交配が全く進んでいない。

王族

魔力を持つ。ユルゲンシュミットで言う貴族にあたる。
元々魔力量の多い初代王とその側近同士の狭い範囲で交配を続けている家系であり、
ユルゲンシュミット貴族の平均よりも魔力量が多いと考えられる。
王族としての立場を示す為、全属性の魔石のついた指輪をしている。

現地の民

魔力を持たない。ユルゲンシュミットで言う平民にあたる。
褐色肌で顔立ちも違い、人口の大半を占める。

気候

ユルゲンシュミット内で温暖と見られるアーレンスバッハの領地において、
ランツェナーヴェの衣装では過ごしにくいらしい(より暑いと思われる)。

歴史

建国

もともとランツェナーヴェは魔力のない者達が何とか生活している痩せた土地であった。
四百年近く前、ユルゲンシュミットにはグルトリスハイトをシュタープに写し取ったツェント候補が三人いた。
当時のツェント・オイサヴァールは、三人の中からハイルアインドを後継に選び、トルキューンハイトを選ばなかった。
それを不服としたトルキューンハイトが妻・子・側近達と共に、魔術具や魔石を抱え、アーレンスバッハの国境門を勝手に開けて出奔、*1転移陣を通ってランツェナーヴェと呼ばれるその土地に辿り着いた。
そこでグルトリスハイトを使って礎の魔術を作成し、エントヴィッケルンで自分達が住むための街を作り上げた。
何もない所から現れた船や一瞬でできた白い街を見た現地の民達からトルキューンハイトは神の国からやってきた者と崇められ、初代王となる。*2
建国時期についてはランツェナーヴェ建国時期問題を参照。
  • 神話の時代に初代ツェント・エアヴェルミーン・神々の協力で作り上げたユルゲンシュミットとトルキューンハイトが作った当時のランツェナーヴェでは、国の規模に大きな差がある可能性がある。その為、作中で彼がエントヴィッケルンで作った物はフェルディナンドのセリフ以外でも「街」と表現されている。

王位継承問題とアダルジーザの離宮

問題点

供給の間に登録すれば魔力供給だけはできるが、礎の魔術を継承するにはシュタープで直接染める必要がある。
しかし、シュタープはユルゲンシュミットの貴族としてメダル登録されている者しか取得できない。
その為、当時のトルキューンハイトの息子を含むシュタープを持たない子の世代に礎の魔術を継承させる事ができない。
シュタープを持った継承者がいないままでは、いずれ礎の魔術もろともエントヴィッケルンで作った街が崩壊する事となってしまう。

アダルジーザの離宮の始まり

上記の問題点を認識したトルキューンハイトは、ユルゲンシュミットに一度戻って当時のツェントと交渉する。
結果、以下の約束を取り交わす事となった。
  • 数代に一度、ランツェナーヴェの姫をユルゲンシュミットに献上する
  • その姫から生まれた子の内、最も魔力量に優れた男子を、一代に一人限り洗礼式で貴族としてメダル登録し、シュタープを得られるようにする
  • その子がシュタープを得て成人した後に、ランツェナーヴェに戻す
  • 戻した子のメダルは、洗礼式時の傍系王族登録から外国へ出た者として場所を移し、シュタープを維持できるよう中央神殿で管理保管する*3
  • ランツェナーヴェは戻された男子を次期王とし、礎の魔術を継承させる

この約束は、そもそも国を出奔したトルキューンハイトが一方的に持ちかけた交渉から成った物であり、
当時のツェントがランツェナーヴェの存続は許しながらも、力を付けるのを警戒した事で、様々な歪な条件が付けられたものとなっている。
  • 王族の住居がある中央の土地に姫は住まわせない。貴族院内の離宮に入れる事とする
  • 戻す子供は一代に一人限りとする
  • (トルキューンハイトが男を戻すと選択したので)女子は傍系王族としてメダル登録し、ユルゲンシュミットに取り込む
  • 次期王として選ばれた男子の教育は離宮内で行い、貴族院には通わせない。傍系王族として登録する事で、万が一にも地下書庫の最奥には入らせない
  • 選ばれなかった男子は洗礼式前に離宮内で秘密裏に処理、魔石としてランツェナーヴェに返す*4

この中で最初に献上された姫がアダルジーザであり、ランツェナーヴェの姫達が代々住まう離宮はその名にちなみ「アダルジーザの離宮」と呼ばれる事となった。
また、姫達から生まれた子供達は「アダルジーザの実」と呼ばれていた。
アダルジーザの離宮・アダルジーザの実の詳細についてはアダルジーザの離宮を参照。

アダルジーザの離宮の閉鎖

四百年近くランツェナーヴェの王族を存続させたこのシステムだが、ユルゲンシュミットで政変が起こった事により終わりを告げた。
02~04年頃、政変に勝った第五王子の陣営が行った粛清によりアダルジーザの女達は処刑され、離宮が閉鎖される。
トラオクヴァールは「ランツェナーヴェから送られてくる哀れな身の上の姫君が離宮にいた」という事は認識しているが、
ランツェナーヴェの崩壊を招く事やその歴史背景などまで知っていたかどうかは不明。*5
04年頃にいくつかの魔石がランツェナーヴェに送られて以降、ユルゲンシュミットとランツェナーヴェの交流は貿易関係だけとなった。*6

<参考>「グルトリスハイト」の知識継承

建国時の時代背景より、トルキューンハイトが持っていた「グルトリスハイト」は、少なくとも第四期より後の物である。
(ユルゲンシュミットの王族が地下書庫の最奥のマニュアル本グルトリスハイトを独占し、狙われる危険性を避ける為に住居を貴族院から移した後)
  • メスティオノーラの像に一定量祈りを捧げてシュタープに形を写し取ったグルトリスハイトの器」に「地下書庫の最奥のマニュアル本の内容を写した物」
  • ユルゲンシュミットの全属性の王族が領地の礎の魔術を設置したり、領界を引き直したり、国境門を使用していた物と同等*7

以降の「次期王」は傍系王族なので地下書庫の最奥には入れず、代々シュタープだけを得ていたと考えられる。
レオンツィオが「シュタープに写し取る」「グルトリスハイトのある場所」を知っていた事から、トルキューンハイトが「器」と「マニュアル本」を得た方法や場所(=第四期の知識)はランツェナーヴェの王族に伝わっている。*8
知識はあっても得る事は不可能であり、実際に得られる事はないまま、代々街を維持する事だけが次期王の役割となっていった(そもそも一代に一人しかシュタープを持たないランツェナーヴェの王族にとっては、シュタープさえあれば継承できる礎の魔術をグルトリスハイトで新設したり破棄したりする意味は薄く、内容の知識を得る動機も薄かったと思われる。グルトリスハイトはあくまでもユルゲンシュミット内でツェント業務を行い、シュタープを持ったアウブ達を従わせるために必要な物である)。
ランツェナーヴェにおけるグルトリスハイトの継承に関する議論はランツェナーヴェにおけるグルトリスハイトの継承問題を参照。

ジェルヴァージオのように貴族院の図書館に通っていれば、傍系王族でも地下書庫までは入る資格がある為、代々の次期王も「器」+「メスティオノーラの英知」に至る可能性はあった。しかし、貴族院に通わない代々の次期王達が図書館に通い、地下書庫に行き、正しい知識を得て、祠巡りをする可能性は非常に低く、ジェルヴァージオもラオブルートの手引きで初めて実現した模様である。

貿易と交流

ランツェナーヴェはユルゲンシュミットにとって唯一交易のある外国である。
貿易関連の恩恵に預かっているのは、直接交流を持つアーレンスバッハ領のみである。

貿易品

ランツェナーヴェからの輸入品

砂糖、香辛料 など
どちらも気候の問題でユルゲンシュミットでは温室以外では育たない品種となっており、貴重である。

ランツェナーヴェへの輸出品

魔石 など
アダルジーザ関連の魔石以外にも貿易品としてやり取りしている*9

ランツェナーヴェの使者

毎年春の領主会議後~夏頃に船でアーレンスバッハの国境門を通ってアーレンスバッハを訪れ、秋の終わりまで滞在して商談を行っている。
使者は12人程度で、その内の半分は顔立ちや肌色の違う現地の民である(14年夏)。
訪問中はアーレンスバッハ城の敷地内にあるランツェナーヴェの館に滞在している。
領地の強みを輸入品に頼っているアーレンスバッハは、春の小規模な歓迎の宴の後、夏の盛りに全ギーベを集めて宴を開催するなどして、歓待している。
ただ、近年では使者の態度が大きくなっており、腹に据えかねた一部の文官の有志が砂糖や香辛料の研究に乗り出している。

ゲオルギーネとの個別の親交

08~09年春頃にアーレンスバッハの第一夫人となったゲオルギーネと、個別に親交を深めていた模様。
09年秋頃にゲオルギーネがグラオザムに送ったトルーク即死毒は両者共に使用しており、
13年冬のエーレンフェストの粛清時などにグラオザムが銀の布も使用している。
トルークに関しては、ランツェナーヴェがシュラートラウムの花の原産国かと推測される。

15年春のユルゲンシュミットへの侵攻

背景

銀製品の開発と王族の権威失墜

魔力の力で君臨し、建国当初は神のように崇められていた王族だったが、最も魔術行使に最適な道具であるシュタープは王一人だけしか持てず、
ユルゲンシュミットとは違い神に祈りが届かない(加護を得られない)らしくユルゲンシュミット程の力は行使できなかった。*10
そして、時が流れるうちに魔力を通さない特殊な銀製品が開発されるなどして、権力を失っていく。
王族の支配構造に不満を持った者達による開発かは不明だが、魔力を持つ者を押さえつけるような物や、即死毒などが独自に開発されて出回るようになる。
魔力が絶対的な力では無くなる事で、人口が多い現地の民と王族とのパワーバランスが崩れ始めたものと思われる。
銀の船のような銀製品と魔石の組み合わせでの開発もされ、現地の者は魔力保有者を開発に必要な魔石と見なすようになり、*11
近年では、王族も魔力というエネルギーを生み出す為の道具のような扱いになってしまった。*12
同時に、王族は魔力の多い子を成し、白の建物を維持することだけを求められる存在でもある。
建国当初から端を発する国の在り方そのものの歪みに対しても、次期王ジェルヴァージオは不満を抱いていた。
そこへ、ディートリンデからレオンツィオへユルゲンシュミットではグルトリスハイトが失伝しているとの情報がもたらされる。
機に乗じるために王族達は動き始め、結果的に、目的の違いにより意見が二分された。
派  閥 目   的
レオンツィオ シュタープを得て、ランツェナーヴェの王・王族として再び強大な権力で君臨したい
ジェルヴァージオ ランツェナーヴェを脱し、ユルゲンシュミットに安住の地を求めたい
どちらの派閥もユルゲンシュミットへ行く必要がある事は同じであり、ツェント不在のユルゲンシュミットは恰好の獲物であった。*13
更に、現地の民たちも多くの魔石を欲しており、大規模な侵攻へと繋がっていく。

13年夏~14年冬の主な出来事

時 期 出 来 事
13年夏 ランツェナーヴェの使者がアウブ・アーレンスバッハに姫の受け入れを打診、来春の領主会議での奏上を約束
13年秋の終わり フェルディナンドがアーレンスバッハへ移動、その直前にアウブ・アーレンスバッハ死去
14年春 領主会議にてトラオクヴァールが姫の受け入れを却下、ゲオルギーネはこれを受け入れる
14年夏 レオンツィオがアーレンスバッハに初来訪、姫の受け入れが却下された事とグルトリスハイトの失伝を伝えられ、
ディートリンデトルークを使用
アウブ・アーレンスバッハの葬儀にて、ラオブルートが中央騎士団にトルークを使用し騒ぎが起きる
ディートリンデが必要以上に騒ぎ、問題処理の為に会合を重ねたラオブルートとレオンツィオが親交を得る
ラオブルートがレオンツィオらにランツェナーヴェの館から貴族院のアダルジーザの離宮に繋がる
転移陣の存在を教え、離宮への手引きを約束
14年秋 アルステーデがアーレンスバッハの礎を染め終わり、転移の為のブローチの作成が始まる
ランツェナーヴェの王族達をアーレンスバッハの貴族として登録する
14年秋の終わり 別れの宴があり、ランツェナーヴェの使者が帰国
14年冬の終わり レオンツィオジェルヴァージオらが侵攻の為にアーレンスバッハの港へ入港、侵攻準備

侵攻

15年春の洗礼式の当日、ディートリンデによるフェルディナンドの死亡報告を合図にユルゲンシュミットへ侵攻を開始するが、失敗。
同日の深夜にローゼマインによって国境門が閉ざされる。
詳細は下記参照
陣  営 推  移
礎取りディッター エーレンフェストとアーレンスバッハの礎争奪戦
ユルゲンシュミットの攻防 貴族院防衛戦

侵攻の失敗とその後

魔力を持たないランツェナーヴェ兵達は、アーレンスバッハ領内や海上の戦いで殺されるか、放置され海で溺死か、捕縛され処刑という末路を辿ったと思われる。
魔力を持つレオンツィオ・ジェルヴァージオ・その他のランツェナーヴェの王族達は、
外患誘致のアーレンスバッハ貴族達や中央貴族達と共に貴族院で捕縛され、シュタープを奪われ、記憶を覗かれ、
ユルゲンシュミットの魔力供給の為の下働きとして各領地に配分される事となった。

また、15年春時点のランツェナーヴェの王であるキアッフレードのメダルも罪人達と同時に処分された。
現国王・次期王共にシュタープを失ったランツェナーヴェは、これ以降の礎の魔術の継承は不可能となり、
供給の間の登録の魔石を今後新たに作り出す事ができなくなるなど、次代以降の国の存続は難しいと思われる。
ユルゲンシュミット側も、戦後処理の中でエグランティーヌアナスタージウスの護衛騎士の半数がジェルヴァージオに殺された上、*14
銀製品や即死毒の危険性も鑑みて、戦後補償の為の使節団を送る事はせず、そのまま一切の国交を絶つ事にしたと思われる。


コメント

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  • トルキューンハイトはプライド高かったみたいだし、多分弱体化してるのにユルゲンシュミットみたいにひゃっはーしてたら時がたつうちに逆転したんだろうな。お山の大将気取れる新天地に行くも、逆に自分たちが奴隷化か・・因果応報なのかね。 (2018-04-10 20:32:28)
    • ツェントに選ばれなかった時点でハイルアインドをサポートする立場にちゃんと回れていたら一体何人の命が救われたのか…と思うと同時に、そうなるとフェルディナンドが生まれていなかったので、プライドが高くて良かったと言うべきか悩む所だ (2018-04-12 00:30:12)
  • 聖典絵本の辺りで神官長が警戒してた他国のスパイの他国ってランツェナーヴェの事か! (2018-05-26 02:09:45)
    • どうだろう? むしろ並み居る外国の内、ランツェナーヴェのみが「別の言葉できっちりと教育を受けてきたが、ここで使う文字を知らなかった(114話)」という条件が成立しない、例外的な外国のような気がする。<ユルゲン王族が建国し、王が全員ユルゲン貴族院卒で、下っ端の兵までユルゲン語を話す(602話)、特異な外国 (2018-05-26 13:11:12)
  • 上のコメントをした者だけど、確かにそうだね。文字だけ違うってこじつけもできなくはないけど、やっぱり不自然だし。平民は肌の色が違うし、そもそも魔力を持たない。完全に別件っぽいね。 (2018-05-27 21:05:41)
  • しかし、ランツェナーヴェが都合よく改竄していない事情ってどういうものだったんだろう? (2019-05-30 11:32:05)