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匿名ユーザー
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「さよなら」
去年の夏、私の彼は死んだ。
彼は地元を離れ、遠くへ行っていた…それでも、私達はちゃんとつながっていて、うまく
やっていける自信もあった。
そんな時だった。彼の…茂の訃報が届いたのは。
何でも、南の島で爆発し、木っ端微塵に砕け散ってしまったらしい。
私は状況が理解できず、いや、理解したくはなくて、ただ呆然とするだけだった。
彼の死体は空輸で日本へと届けられた。
木っ端微塵になったはずの彼の体は、南の島の人々の温かなボランティア精神と、
脅威のバイオテクノロジー技術の融合で生前の姿そのままに復元されていた。
「…茂?」
私はそっと呼びかけてみたが、彼からの返事はなかった。
頬を叩いてみても掌には冷たい体温が伝わるばかりで、
茂がいつものように
「もっと!もっと叩いてくださぁい!」
と潤んだ瞳で懇願することも、快楽に酔う喘ぎ声を漏らすこともなかった。
私は彼が本当に死んでしまったということを理解した。
彼は地元を離れ、遠くへ行っていた…それでも、私達はちゃんとつながっていて、うまく
やっていける自信もあった。
そんな時だった。彼の…茂の訃報が届いたのは。
何でも、南の島で爆発し、木っ端微塵に砕け散ってしまったらしい。
私は状況が理解できず、いや、理解したくはなくて、ただ呆然とするだけだった。
彼の死体は空輸で日本へと届けられた。
木っ端微塵になったはずの彼の体は、南の島の人々の温かなボランティア精神と、
脅威のバイオテクノロジー技術の融合で生前の姿そのままに復元されていた。
「…茂?」
私はそっと呼びかけてみたが、彼からの返事はなかった。
頬を叩いてみても掌には冷たい体温が伝わるばかりで、
茂がいつものように
「もっと!もっと叩いてくださぁい!」
と潤んだ瞳で懇願することも、快楽に酔う喘ぎ声を漏らすこともなかった。
私は彼が本当に死んでしまったということを理解した。
その時は不思議と涙は出なかった。
彼の死を理解するにはしたが、受け入れることができなかったのかもしれない。
茂が空輸されてきた日の夜に通夜が行われた。
たくさんの人が訪れ、彼の死に顔を見、涙していた。
私は1人そんな空気から浮いていて、居心地が悪かったので(茂のそばには勿論居たかっ
たのだけれど)
少し外に出て夜風に当たってくることにした。
彼の死を理解するにはしたが、受け入れることができなかったのかもしれない。
茂が空輸されてきた日の夜に通夜が行われた。
たくさんの人が訪れ、彼の死に顔を見、涙していた。
私は1人そんな空気から浮いていて、居心地が悪かったので(茂のそばには勿論居たかっ
たのだけれど)
少し外に出て夜風に当たってくることにした。
夏の夜の風は生暖かく、渚の沈んだ気持ちに拍車をかけた。
夜空に輝く星は美しいものだったが、
それもまた共に見上げる存在が失われてしまったことを思い出させ、
渚を悲しませるのだった。
(今は何を見たって悲しいだけ…茂がいなきゃ…)
そんな事を考えていた渚の視界に信じられない物が飛び込んできた。
おっぱい……いや違う、茂である。
「し…茂?茂なの!?」
気づくと渚は駆け出していた。
充分に助走をとり、華麗に跳躍し、いつものようにドロップキックを放つ。
「うぐふぇっっ!?」
茂(らしきもの)は結構飛んだ。
「いたた…でござる。ニンニン」
「痛い…!?茂は、茂はそんなこと言わないっ!!」そう…茂は渚の伝家の宝刀ドロップキッ
クを受けると、
それすなわち逝っちゃうのである。
そのように訓練された、エリート階級の人間なのだ。
「茂…じゃないの?」
「…俺は茂じゃないよ。茂の従兄弟で服部半蔵と言います。ニンニン」
確かによく似ているが、彼の頬には間抜けな渦巻きが付いている。
違う部分を挙げるとすればそこぐらいか。
夜空に輝く星は美しいものだったが、
それもまた共に見上げる存在が失われてしまったことを思い出させ、
渚を悲しませるのだった。
(今は何を見たって悲しいだけ…茂がいなきゃ…)
そんな事を考えていた渚の視界に信じられない物が飛び込んできた。
おっぱい……いや違う、茂である。
「し…茂?茂なの!?」
気づくと渚は駆け出していた。
充分に助走をとり、華麗に跳躍し、いつものようにドロップキックを放つ。
「うぐふぇっっ!?」
茂(らしきもの)は結構飛んだ。
「いたた…でござる。ニンニン」
「痛い…!?茂は、茂はそんなこと言わないっ!!」そう…茂は渚の伝家の宝刀ドロップキッ
クを受けると、
それすなわち逝っちゃうのである。
そのように訓練された、エリート階級の人間なのだ。
「茂…じゃないの?」
「…俺は茂じゃないよ。茂の従兄弟で服部半蔵と言います。ニンニン」
確かによく似ているが、彼の頬には間抜けな渦巻きが付いている。
違う部分を挙げるとすればそこぐらいか。
渚の瞳から涙が溢れた。
茂は生きていたと一時は思われたが、それも単なる勘違いであったのに絶望したのだ。
「絶望した!(ry」
「渚ちゃんだね?茂からよく話は聞いてたよの巻。
なんて言ったらいいかわからないけど…大変だったね。ニンニン」
喋り方は気にくわなかったが、服部は優しかった。
葬式の最中も、葬式が終わり渚とは何の関わりがなくなった後でも、
彼は渚のことを気にかけ、何かと世話を焼いてくれるのだった。
茂は生きていたと一時は思われたが、それも単なる勘違いであったのに絶望したのだ。
「絶望した!(ry」
「渚ちゃんだね?茂からよく話は聞いてたよの巻。
なんて言ったらいいかわからないけど…大変だったね。ニンニン」
喋り方は気にくわなかったが、服部は優しかった。
葬式の最中も、葬式が終わり渚とは何の関わりがなくなった後でも、
彼は渚のことを気にかけ、何かと世話を焼いてくれるのだった。
渚はそんな優しく、今は亡き茂によく似た服部にひかれていった。
服部もまた、渚にひかれていった。
服部もまた、渚にひかれていった。
だがしかし、死んだ人のもの言わぬ圧力は大きく、2人は踏み切れないでいた。
渚は茂の墓にいた。
「ねぇ…茂。私、どうしたらいいのかな…?」
もちろん茂からの返答は無い。
「私は…私は、服部さんの事が好きなんだと思う。
でも、茂への思いが無くなったわけでもないの。
茂は…私を怒るよね?裏切られた、って思っちゃうよね…」
渚の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「…ごめんね…茂…」
その時だった。
パアァーーーーン!!!
茂の墓は爆発し、砕け散った。
「え…?」
渚は呆然とした。何故墓が砕け散るのか?意味がわからない。
が、渚は唐突にその爆発の意味を悟った。
「茂…私を許してくれるの?
俺の事なんか忘れて、アイツの所へ行けって、
そう言いたいの?」
茂からの返事はない。
しかし、墓が爆発した時に舞った埃は、今もなお
風に吹かれ楽しげに舞っている…渚を祝福するかのように。
「茂…ありがとう。…さよなら」
渚は涙をふき、振り向いて歩きだした。彼に思いを伝えるために…
「ねぇ…茂。私、どうしたらいいのかな…?」
もちろん茂からの返答は無い。
「私は…私は、服部さんの事が好きなんだと思う。
でも、茂への思いが無くなったわけでもないの。
茂は…私を怒るよね?裏切られた、って思っちゃうよね…」
渚の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「…ごめんね…茂…」
その時だった。
パアァーーーーン!!!
茂の墓は爆発し、砕け散った。
「え…?」
渚は呆然とした。何故墓が砕け散るのか?意味がわからない。
が、渚は唐突にその爆発の意味を悟った。
「茂…私を許してくれるの?
俺の事なんか忘れて、アイツの所へ行けって、
そう言いたいの?」
茂からの返事はない。
しかし、墓が爆発した時に舞った埃は、今もなお
風に吹かれ楽しげに舞っている…渚を祝福するかのように。
「茂…ありがとう。…さよなら」
渚は涙をふき、振り向いて歩きだした。彼に思いを伝えるために…
砕け散った茂の墓の跡地から、不自然に生える一本の腕があった。
人間の、男の腕である。
人間の、男の腕である。
ボコッ!ボコボコ!
地面から1人の男が這いだしてきた。
「ふぁ~よく寝た。ここはどこだ?」
その男は、茂であった。彼は生ける屍として蘇ったのだ。
茂はあたりを見回し、立ち並ぶ墓からここが墓地であることに気づいた。
「墓…?この墓の形は…日本?ここは日本か!?やったー!!」
茂は何故自分が日本に、それも墓地にいるのかわからなかったが、
その疑問よりも喜びが優先した。
「渚に…渚に会えるぞ!!イャッホー!!」
「ふぁ~よく寝た。ここはどこだ?」
その男は、茂であった。彼は生ける屍として蘇ったのだ。
茂はあたりを見回し、立ち並ぶ墓からここが墓地であることに気づいた。
「墓…?この墓の形は…日本?ここは日本か!?やったー!!」
茂は何故自分が日本に、それも墓地にいるのかわからなかったが、
その疑問よりも喜びが優先した。
「渚に…渚に会えるぞ!!イャッホー!!」
続く(誰か続けろ)