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「さよなら」 書いた人:うぃっち


 私は夜空を見上げる。
特に冬の澄んだ空気の中見る星空は、
宇宙(そら)の造る芸術のようで儚く瞬いている。
でも本当は星は強く、
自らの存在を主張するように心を燃やしている。

 あなたは星を見るのが好きだった。
そんな真剣なあなたに近づきたくて私もたくさん学んだ。
「シリウス大きいね」
何気ない星の知識でさえあなたはとても嬉しそうにはにかだ。
その笑顔に私も心が温かくなった。

 あなたは覚えていますか?
あなたが教えてくれた大切なコト
流星を見るためにあの高台まで行った日のとこ。
「星はその命が終わる直前まで光り続ける。そんな風に僕もなりたいな」
あなたの意図が分からなくて「消えたらそれでおしまいだよ?」という私に
「例え消えてもその光を見た人の心には刻まれ残っていく。僕はそう思いたいな」
あなたの想い大きさに私の心は憧れた。

 私の憧れたあなたは私の前からいなくなった。
あなたがいなくなってから私の夜空は何も見えない。
少しでもあなたを探したくてあの高台に通った。
季節が巡ってまた冬になった。
看護婦さんから渡された一通の手紙。
あなたからが残した一通の手紙。
怖くて開けなかった。
少しでも勇気がほしくてあの高台まで走った。
震える指先で便箋を開く。
その瞬間、私の夜空に星が瞬いた。

「君にこの手紙が届いたということは僕はもうこの世にいない」
混乱する思考で文字を追っていく。
彼は流星を見た翌月に突発性の病が発祥し、
もう手の施しようのない状態だった。
余命一年を告げられて私は枯れるまで泣いた。
彼も私の見えないところでたくさんたくさん泣いたんだと思う。
他愛のない日常が綴られている。
楽しかったこと、辛かったこと、悔しかったこと、嬉しかったこと。
あなたのその強さがチクチクと私の心にダメージを与える。
手紙の最後に書いてあった。
「あの流星を見た日のことを覚えているかい?」と。
忘れるはずもない彼と共有した記憶。
「僕の命もあの流星のように消えていく。」
「星のように君の心に僕を刻ませてください」
「後もう一つだけ星に出来ないことをしたい」
「星は消えるだけだけど僕は言葉を残していくよ」
その言葉を見て私の視界はもう揺らめいて、そこだけを見ていた。
「あなたを愛しています。あなたに会えたことを感謝します。だから」
「―――さよなら」

 私はまた夜空を見上げる。
冬の澄んで張り詰めた空気の中再びあの高台で流れる星たちを刻む。
あなたの刻んでいった言葉(さよなら)。
あなたに出会えた一期一会に感謝してこれからも私は夜空を見つめる。
満天の星空の中、シリウスが強く瞬いていた。
  

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