日本はHIV感染者が増加している唯一の先進国か

性病が日本の熟年層にも広がっている (2007年7月6日配信) や、日本のメディアやネットでよくいわれている「日本はHIV感染者が増加している唯一の先進国」というのは、実際は正しくない。

国連エイズ合同計画(UNAIDS)の年次レポートや、その引用元の統計資料をまとめると次のようになる。


2006年の新規感染者数は、フランス 5750人、ドイツ 2718人、ポルトガル 2162人、オランダ 1017人だ。スペインとイタリアも感染者が多い国だが国レベルの監視体制が整っていない。
アメリカの記述に人数は出てこなかったのでCDCのサイトで資料を探すと、アメリカは2006年でも5州がエイズ感染者の動向に関する統計を取っていないか公表していないので、国レベルの感染者の増減が比較できない。報告されている州や地域の新規感染者数から推定された2006年のアメリカ全体の新規感染者数は56300人。最近の研究によれば1990年の後半以降、一年の新規感染者数は40000人を下回ることはなく、増えかたは安定している。
オーストラリアの統計も調べてみたら、日本と同じくらいの新規感染者がいることがわかった。

日本については、エイズ予防財団のホームページに、日本のデータ HIV感染者及びAIDS患者の年次推移という表があったので、それで比較した。
2001年と2006年で比較すると、イギリスやドイツの新規感染者が2倍増で、日本やオーストラリアの新規感染者が1.5倍増であるから、
人数だけでなく、増加の度合いでも、日本より感染が広がっている先進国があることがわかる。
もちろん、日本でも感染を広げないように努力することが必要なことは、いうまでもない。

新規HIV感染者

(2006年で比べたのは、欧州の最新レポートが2006年のデータなため)
2001年 2006年
アメリカ (35575人) (52878人) (35州と5つの地域/45の州と5つの地域)
イギリス 4152人 8925人
フランス 統計無 5750人 2003年から
ドイツ 1308人 2718人
ポルトガル 2383人 2162人
オランダ (572人) 1017人 2002年に統計方法変更 2003年1578人
オーストラリア 769人 998人
日本 621人 952人 2007年 1082人

国内の報道の例

HIV感染者・AIDS患者は累計1万人突破、先進国で唯一感染者が急増する日本
2006年1月20日 (日経BPネット)
厚生労働省によれば、2004年1年間の新たなHIV感染者は780件、新たなAIDS患者は
385件と、共に過去最高となった。合計数は1165件となり、初めて1000件を突破。特に
日本人男性の増加が顕著で、前年度を大きく上回った。日本は先進国で唯一、新しい
感染者が増加しているが、この事実事態ほとんど知られていないのが実情。今こそ啓
蒙活動によって感染者増加を食い止めなければならない。

資料

HIV/AIDS Surveillance in Europe
End-year report 2006, No. 75
HIV infections newly diagnosed and rates per million population by country and year of report(1999-2006), and cumulative totals, WHO European Region, data reported by 31 December 2006
http://www.eurohiv.org/reports/report_75/pdf/report_eurohiv_75.pdf
HIV/AIDS, viral hepatitis and sexually transmissible infections in Australia
Annual Surveillance Report 2007
Table 1.2.1 Characteristics of cases of newly diagnosed HIV infection by year
ttp://www.nchecr.unsw.edu.au/NCHECRweb.nsf/resources/SurvRep07/$file/ASR2007.PDF


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