第3話 暗殺遊戯


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2体の石像

ボボッ

霧香「NOIR。 そは 古(いにしえ)よりの定めの名
死を司る2人の乙女
黒き御手は嬰児(みどりご)の
安らかなるを守りたもう」

ブシュッ

ザー(雨の音)

コツコツコツコツ

ミレイユ「ん」

ポン(メール音)

ミレイユ「仕事だわ」

霧香「標的は誰?」

ミレイユ「アルベール・デュクス。かなりの悪党みたいね。実業界の大物、アルベール・デュクス。バニエ商会の若社長は事故で死んだ。でも、関係者は誰も事故だなんて思ってない」

ギコギコギコギコジーーーー(印刷機の音)

ミレイユ「ん?」

スタスタスタスタ

ミレイユ「ふーん……」

霧香「その人は?」

ミレイユ「若社長の奥さん。依頼人よ」

霧香「知っている人?」

ミレイユ「多分」


ミレイユ「これお願い」

店員「ありがとうございます。ベラドーナ・リリィですね」

ミレイユ「ええ」

霧香「その花、前にも買ってたね」

ミレイユ「あんた、つまんないこと覚えてるわね」


女性「前にもお会いしたわね」

ミレイユ「ええ。知り合いの墓があるの、ここに」

女性「よく来るの?」

ミレイユ「滅多に来ないわ」

女性「そう」

ミレイユ「そんなに親しくなかったから。でも私は、なんとなくその人が好きだった」

女性「その人が好きだったの?ベラドーナ・リリィを」

ミレイユ「そんなところ」

女性「同じね、私と」

ミレイユ「じゃあ?」

女性「そう。私のあの人も、ベラドーナ・リリィが好きだった。
私は最初、嫌だったわ。だってベラドーナには毒があるでしょう。でも、ベラドーナ・リリィは種類が全然違う花なんですってね。たとえ、毒があったとしても、あの人が一番好きな花だったのだから」

カチャッ(銃を構える)

霧香「んっ」

カチャ、チャッ(銃を構える)

霧香(やるのね)

ミレイユ(やるわ)


ミレイユ「デュクスは最近、リゾートホテルを買収した。オープン前の改築の打ち合わせのため、このホテルのスゥイートに滞在してる。やるには絶好の機会よ」


ミレイユ「最上階のスゥイートには3つのルートがある。あんたは、非常口に通じる階段から回って」

霧香「分かったわ」

カチッ(安全装置を外す霧香)

カチッ(銃を構えるミレイユ)

ボンッ(照明が灯される)

ミレイユ「!!」

デュクス「おお、あのNOIRがまさかこんなお嬢さんだったとは」

ミレイユ「くっ……はぁ……」

男「武器を捨てたまえ」

カチャ

女性「あっ。……ふう、あなただったの」

カチャッ(ドアノブをひねる音)

男「あっ」

キィ

カチャ(銃を構える霧香)

ズガッ

カチャ(扉が開く音)

バサッ(倒れこむ男)

ガタッ

ピ、ピ、ピ(モニタ点灯)

デュクス「すぐにホテルを封鎖しろ!やつらに逃げ道はない。NOIRが2人だったとは……」

ミレイユ「ハアハアハアハア」

カチャ、バンッ

デュクス「チッ」

霧香「はあ……」

カチャッ

ミレイユ「罠だったなんて。デュクスも依頼人もグルだった。何もかもでっちあげだったのよ」

ボッ(モニタ点灯)

ミレイユ「あ……標的の名前が変わってる」

霧香「狙いは最初から私たちNOIRだったの」

ミレイユ「一体何のために?あいつらがどうして私たちを狙うの」

霧香「あの人たちはプロよ。私たちと同じ。多分、誰かに雇われた」

ミレイユ「このゲームを仕掛けた者が、他にいるっていうのね」

霧香「ええ。狩る者と狩られる者が入れ替わっただけ。私たちが人の命のやりとりをしていることに変わりはない」

ミレイユ「フッ、いいわ。でも、仕掛けたのは誰?」

霧香「敵よ」

ミレイユ「あんたの記憶を奪った奴ら。あの敵が、動いた」

アイキャッチ

バタバタバタ

ドタドタドタ

カチャッ バンバン!

男「うわあ」

カチャ

スタタタタ

デュクス「C班、応答しろ、C班。C班もやられたか。流石にNOIRを名乗るだけのことはある。プラン3でいく」

バンッ(扉を開ける音)

カチッ(銃を構える音)

スタスタスタ

男「こちらD班。ターゲットはカジノホールに入った」

デュクス「了解。全員を集合させて指示を待て」


ミレイユ「どうやら、ここに追い込まれたみたいね。ふーん。なんか飲む?それともポップコーンでも食べる?」


男「配電盤に到着」

男「よし、カットしろ」

ガチャ

ミレイユ「ふっ……奴らはここで勝負をつける気ね」

霧香「ちょうだい」

ミレイユ「えっ?」

霧香「ポップコーンを、ちょうだい?」

ミレイユ「うおー?」

カチャ(銃を持つ)

デュクス「行くぞ」

バタバタバタ

バンッ


パリッ(ポップコーンを踏む音)

男「ん?」

カチャ、バン!

男「うわぁ」

ミレイユ「あっ」

男「うおわ」

パリッ(ポップコーンを踏む音)

バンッ

男「うおぁ」

霧香「!!」

ミレイユ「あ!」

ガッ カラン(グラスが落ちる音)

男「うおぁ」

パリーン

バンッ

男「うわあ」

女性「うっふ……」

ババババババババババ

ババババババババババ

霧香「はっ」

ババババババ

キンッキンッ(照明を撃つ音)

ドオーン!

男「うおあ」

パリン

パリン

パリン

バババババババババババババババババ

男「おぐぅ」

男「おわぁ」

男「おわぁ」

男「うわ」

男「うわぁ」

シャッ(ナイフを振りかざす音)

霧香「きっ」

バババババババババババババ

ミレイユ「あっ……!」

ガタン(ブレーカーをあげる音)

女性「うっ……う……う……。最初に会ったのは、偶然よね」

ミレイユ「あたしたちのような人間が、墓地(はかば)になんて行くもんじゃないわね。足元の墓穴に、自分から落ちてしまう」

女性「呼んでいるのよ。あたしたちを、あっちから」

ミレイユ「死人があたしの目を塞いでいたのかしら」

女性「そうかもね」

ミレイユ「あの墓は?」

女性「主人の」

ミレイユ「でも、若社長じゃない」

女性「あの花が好きだったのは、本当よ」

ミレイユ「教えてちょうだい。NOIRを消せと誰に頼まれたの?」

女性「あなたなら、教える?」

ミレイユ「いいえ」

女性「うっふふふふ……」

ミレイユ「あなたの名前は?」

女性「うっ……げほげほげほ。聞いてどうするの。あなたにも私にも名前を刻む墓は……うっ!……ないのよ」

ザーーーーーーー(雨の音)

ミレイユ「分からないわ。敵はNOIRの抹殺をデュクス達に依頼した。でも、NOIRの正体があたしとあんただってことをデュクスは知らされていなかった。
本当に、ゲームだったのかも知れないわね、私たちもデュクスも、みんなゲームの駒でしかない」

霧香「そうだね」

ミレイユ「敵は、あたし達をずっと見てる。今もどこかで、あたし達を」


ミレイユ「あたし達は、このゲームに勝ち続けるしか、ない」

霧香「そう。そして、いつかは……」

ザーーーーーーーーー(雨の音)

ミレイユ(墓がないのは、別に悲しいことじゃない。あたしが自分で選んだ道なのだから。
これは、確かにあんたの墓じゃない。でもそれが……
それがどうしたっていうの……!)