第4話 波の音


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2体の石像

ボボッ

霧香「NOIR。 そは 古(いにしえ)よりの定めの名
死を司る2人の乙女
黒き御手は嬰児(みどりご)の
安らかなるを守りたもう」

ブシュッ

カツ(足音)

タナー「閣下。国防大臣就任、おめでとうございます」

大臣「おお、タナー君か。よく来てくれた」

タナー「アトライド社を代表して、お祝いを申し上げます」

大臣「これも君達のおかげだよ」

カラン(コップの氷)

タナー「いえいえ。閣下の御人徳の賜物と、私どもは考えております。大統領派を元凶とみる国民の間ではカノラー将軍待望論が確実に高まりつつあるようで」

大臣「はっはっはっは。まあいい。ともかくこれで、君達のプロジェクトも大いに前進したわけだ。ウルジアは真の指導者。そして君達は富を得る」

タナー「これは恐れ入ります」

大臣「来年は、実り多き年になりそうだな」

タナー「はい」

大臣「うん。前祝いだ。今日は楽しんでいってくれ」

タナー「はい。ありがとうございます」


男「フン、来年にはこの国の人口は半分になっているさ」

ミレイユ「うっふふふふふ」

男「ん?」

コツ、コツ、コツ、コツ

ミレイユ「んー」

男「おい」

ミレイユ「ンフ」

カチャカチャ(男の胸元の銃に手を伸ばす)

男「!」

「キャー!」

大臣「何だ!」

キラン(フォーク)

大臣「おい、タナー!おっ」

ドサッ

大臣「タナー!」


ミレイユ「国際セキュリティサービス。それがアトライド社の表の顔。その実態はクーデターコーディネーター。紛争の下地のある地域に目をつけては、一方の勢力に接近し、プランニングから兵士の訓練、人員の派遣、武器の買い付けまで一切合切面倒見ます、って結構な商売よね」


ミレイユ「ねえ、水着持ってきた?」

霧香「水着?」

チーン(エレベータが開く音)

カツカツカツカツ

ハモンド「ですが閣下。我々はすでに巨額の投資を行っております。後戻りは出来ません。ええ、私もそのつもりでウルジアにやってきたのです。どうしても契約を破棄するとおっしゃるのなら我々はこれまでの出資内容を公開しなければならなくなります。そうなれば閣下にとっては……ええ、もう一度よくお考えになってください。では」

男「カノラーはすっかり怖気付いたようですね」

ハモンド「キャンセルなどはさせん。3年越しで準備した計画だ。鉱山の採掘権の1つや2つでは引き合わん」

男「タナーとフォスターをやったのは、やはり大統領派でしょうか」

男B「そうとは限らんさ。俺たちは今まで、世界中で仕事をしてきたんだ。誰に恨まられていても不思議はない」

ハモンド「それがこの仕事だ。タナーとフォスターはついていなかった。が、単にそれだけのことだ。不潔な土地に害虫はつきもの。いちいち気にはしていられん。だがこの虫は……潰す!」


ミレイユ「ターゲットはあと3人。社長のハモンド。その部下のバークとウェルマン。

静かな海ね」

霧香「ええ」

ミレイユ「とっても綺麗」

霧香回想

ブーーーーーーー(飛行機の音)

ミレイユ「誰かを待っているみたいね」

霧香「護衛が隠れている」

ミレイユ「4人ね」

霧香「いえ、6人よ」

ロザリー「パパー!パパ、待った?」

バシッ(頰をはたかれる音)

ミレイユ「あっ」

ハモンド「どうしてこんなところまで押しかけてきたりしたんだ。私は仕事でこのウルジアに来ているんだ。用があるならニューヨークで聞く」

ロザリー「ウルジアだろうとニューヨークだろうと同じよ。どうせ会えないんだから。パパはいつだってそうよ!だからママだって」

ハモンド「ともかく、明日の飛行機で帰るんだ」

ロザリー「明後日まで居ちゃだめ?」

ハモンド「ダメだ!」

ロザリー「はあ……やっぱり覚えてもいない」

ハモンド「何を?」

ロザリー「明後日は、私の誕生日よ」

ハモンド「!!いいか、明日の便だぞ」

ザーザザー(波の音)

ミレイユ「ロザリー・ハモンド。15歳。離婚したハモンド夫妻の1人娘。現在は母のジュリアと共にニューヨーク在住。社長も大変よね。よその国で紛争の火種を起こすのに忙しくて、娘とも離れ離れなんて。うん……」

カチャ(PCを閉じる音)


霧香「学校……」

霧香回想

霧香(気がついたら、私はここにいた。私は誰?私はNOIR。それ以外は何も……分からない)

アイキャッチ

ガチャ(扉を開ける音)

ロザリー「パパ」

ハモンド「起こしてしまったか」

ロザリー「いいの」

ハモンド「ロザリー」

ロザリー「分かっているわ。今日の便で帰る。いいのもう。ママだってきっと心配してるし」

ハモンド「ママには私から電話しておいた。お前は来週帰るとな」

ガチャン(扉を閉じる)

ロザリー「ええっ」

バサッ(飛び起きる音)

ロザリー「はあ……!」

運転手「割り出しには、今少し時間がかかるかと。現在、我々がこれまでに関わった仕事の関係者を、洗いなおしているところです。暗殺者と依頼人には、それ相応の償いをさせてみせます」

ハモンド「ハッ……止めてくれ」

カツカツカツカツカツ

コンコン(扉をノック)

ハモンド「開いている」

男「社長!」

ハモンド「どうした」

男「実は……オフィスに妙な手紙が」

ハモンド「妙な手紙?NOIR……」

男「何ですか?それは」

ハモンド「暗殺者の名前だ。それも最高ランキングのな」

男B「すると、これは密告」

男「何かの罠じゃないですか?」

男B「しかし、これが大きな手がかりであることは、違いないでしょう」

ハモンド「うん……。近くにウルジア軍の基地がある。すぐに兵を回すように手配しろ。カノラーにはそれくらいやってもらう!」

「分かりました!」

ブーーーーーーーー(ジープの音)

カチャ

カチャ

ミレイユ「ウルジア軍……」

霧香「こっちもよ」

ミレイユ「どうしてここが。

そう、また奴らなのね。いいわ。やれると思う?」

霧香「えっ」

キィィ(扉が開く音)

兵士「武器は持っていません!」

兵士「中にも誰もおりません!」

グラサン兵士「うん……。おい、お前は、何でお前のような娘が、こんなところで。どこから来た。パスポートは?」

パンッ

兵士「うおあ」

パンッ

兵士「屋根だー!」

パン、パン、パン、パン

カチャ(機関銃を構える霧香)

ババババババババババババ、ババババ、ババババババババババババ

ブウン(アクセルを踏むミレイユ)


チェス盤

コツ

コツ、カタ、コツ


ハモンド「逃しただと?」

男B「全滅した偵察隊は、どうやら本隊の合流を待たずに突入したようです」

男「一体何が起こったのか、詳しい状況はまだ分かっておりませんが、軍も、かなり混乱している模様です」

ハモンド「うん……お前達はすぐに現地へ行け。そして最大もらさず報告しろ」

「はい!」

ガタッスッ(引き出しを開ける音)

男「くそお、どうしてこんなことになっちまったんだ。俺たちはビジネスをやってるだけなんだぜ。クライアントあってのこの仕事だ。恨むんだったら自分の国の政府を恨めってんだよ」

男B「今更愚痴を言うな。行くぞ!」

カチッ(銃の充填)

チーン(エレベータの開く音)

バタン、バタン(車に乗り込む音)

ブルルルン(エンジン音)

カチャッ(銃を構えるミレイユ)

「「あっ」」

プシュッ、プシュッ

コンコン(ノック)

ハモンド「開いている」

ガチャ(扉を開ける音)

カチャ(銃を構える霧香)

ハモンド「!」

プシュッ

ドンッ(倒れるハモンド)

ガチャン、パリン(落ちるフォトフレーム)


霧香「あ」

ロザリー「ああ。

フッ」

霧香「はい」

ロザリー「へへっ」

ゴーーーーー(海鳴り)