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甘くて、苦い。」(2006/04/19 (水) 16:01:10) の最新版変更点

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喧騒の中を電子音が響いて、別れの時が来た事を告げた。 「じゃあ、な。御剣・・・」 「ああ」 出発ロビーの入口の前で、残された僅かな時間を惜しむ。 成歩堂の左手が差し込まれたスーツのポケットが、物言いた気に小さな尾とをたてている。 「電話とかメールとかしろよ。お前すぐ忘れそうだけど」 「うム。・・・心がけよう」 御剣が海外へ行ってしまう。少なくとも一年は会えない。 「元気でやれよ」 「君も」 そう言った御剣の前に、先程までポケットの中にあった成歩堂の手が差し出された。飴の包みをのせて。薄いプラスチック製のそれは、彼の手の中で弄ばれていたらしく、既にヨレヨレになっている。 「何だそれは」 「餞別」 「子供じゃあるまいし・・・」 呆れ顔の御剣に強引に押し付けた。 「貰ってよ。食べてくれなくていいから」 小さな袋に、自分の心を託して。 「じゃあ、な・・・」 もう一度言って、 「ああ」 もう一度言った。 踵を返すのは二人同時。 一時の別れは引きずらない。次に会うときも対等でいるために。 シートベルト着用サインのランプが消えて、機内の雰囲気が和む。 御剣は窓側の席に座っていたが、夜の空はどこまでもただその闇を湛えているだけだった。 手持ち無沙汰の彼は、シャツのポケットから成歩堂に貰った包みを取り出した。 地上にあった時はくたびれていたそれは、気圧の変化で目いっぱい丸く膨らんでいる。 そっと開け、取り出し、口に放り込んだ甘い一粒は、けれど何故か苦い気がした。 ---- 思いついてから書き上げるまで30分のまさに突発ネタ。 しかし、こうして改めて見ると・・・・・・めめめ女々しい・・・! まぁ、うちのナルミツは女々しくてなんぼ、ってことで。 [[戻る>蔵]]
喧騒の中を電子音が響いて、別れの時が来た事を告げた。 「じゃあ、な。御剣・・・」 「ああ」 出発ロビーの入口の前で、残された僅かな時間を惜しむ。 成歩堂の左手が差し込まれたスーツのポケットが、物言いた気に小さな音をたてている。 「電話とかメールとかしろよ。お前すぐ忘れそうだけど」 「うム。・・・心がけよう」 御剣が海外へ行ってしまう。少なくとも一年は会えない。 「元気でやれよ」 「君も」 そう言った御剣の前に、先程までポケットの中にあった成歩堂の手が差し出された。飴の包みをのせて。薄いプラスチック製のそれは、彼の手の中で弄ばれていたらしく、既にヨレヨレになっている。 「何だそれは」 「餞別」 「子供じゃあるまいし・・・」 呆れ顔の御剣に強引に押し付けた。 「貰ってよ。食べてくれなくていいから」 小さな袋に、自分の心を託して。 「じゃあ、な・・・」 もう一度言って、 「ああ」 もう一度言った。 踵を返すのは二人同時。 一時の別れは引きずらない。次に会うときも対等でいるために。 シートベルト着用サインのランプが消えて、機内の雰囲気が和む。 御剣は窓側の席に座っていたが、夜の空はどこまでもただその闇を湛えているだけだった。 手持ち無沙汰の彼は、シャツのポケットから成歩堂に貰った包みを取り出した。 地上にあった時はくたびれていたそれは、気圧の変化で目いっぱい丸く膨らんでいる。 そっと開け、取り出し、口に放り込んだ甘い一粒は、けれど何故か苦い気がした。 ---- 思いついてから書き上げるまで30分のまさに突発ネタ。 しかし、こうして改めて見ると・・・・・・めめめ女々しい・・・! まぁ、うちのナルミツは女々しくてなんぼ、ってことで。 [[戻る>蔵]]

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