物語案1

560 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 18:22:44.55 ID:nz/eqjOt0
「いとう、今日はついてこなくていいよ」
「そう言われてもな、ついていかない方法が無い」

深夜。
山奥に位置する八開村ではこの時期になってもまだ寒さが残る。
道端に残った雪で足を滑らせないように注意しながら私は歩いている。いとうに笑われるのは、好きじゃないから。
今日も、蒼い子に会いに行く。
ぼんやりとした外灯の光が作る影は一人分。これが私の影だ。
目をあげれば、スギの木のシルエットが宵闇に浮かび上がる。見慣れているはずなのにどこか不安になる風景。

「どうしたヘナ、今日は元気がないな」
「なんで」
「いやいや、なんとなく・・・ね」

深く息を吐いてみたが、それは白くはならなかった。思ったより気温は低くないらしい。
それとも湿度が低いのか・・・・。

「・・・・富竹が」
「ミザルがどうかしたのか」
「いとうが死ぬって、今朝あったとき言ってた」
「僕が? 死ぬ?」

少し寂しそうに、しかしほとんど可笑しそうに笑ういとう。

「僕は君の守護霊だ。霊に生死の概念はないさ」
「・・・・そうだね」

586 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 18:39:05.24 ID:nz/eqjOt0
どうせdatなんだろうとタカをくくって断片的に書く。


「何、急に呼び出して」
「愛の告白! ・・・とかだとでも思ったかい?」
「・・・・・何もないなら帰るけど」

休み時間、ミザルに呼び出された。

「悪い悪い・・・ヘナ、これは大切な話なんだ」

いつになくまじめな顔をするミザル。わずかながら嫌悪感を感じる。

「ん」
「あ、その前に・・・・いとうは?」
「今、多分教室」
「そうか、それは良かった」
「?」
「毎晩占いするのが僕の日課だって、君も知ってるだろう」
「気持ち悪い日課だからな、印象は強いよ」
「手厳しいな」

こめかみの辺りを掻くミザル。

「いとうがもうすぐ、死ぬようなんだ・・・その・・・・昨夜の占いによれば」
「なにそれ」
「ただの占いだからね、その・・・信じる信じないは君の自由だ」
「当たり前。じゃ、私は先に教室へ・・・」
「ただね・・・僕の占いは、必ず当たるんだ。それだけ忘れないでほしい」
「・・・・わかった」

601 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 18:51:43.83 ID:nz/eqjOt0
八開村ってどんなところなんだぜ?
適当に書くぞ?


陽もやや傾きかけ、時刻は3時をすぎている。
学校から私の家までは長い小道を下るより、村役場の脇を抜ける方が早い。

「ヘナちゃん」
「ああ、ゲッターエンペラーさん・・・・こんにちは・・・・ええと」
「今夜暇かい?」
「いや・・・・その・・・・今晩は・・・友達の家へ」
「そうかい、いやね、山下が用事あるって」(てかゲッターは山下をどう呼ぶんだぜ?
「山下、サッカーで忙しいらしいですね」
「私はよく分からないんだけど・・・この前の県大会で・・・・ええと・・・・えむぶいぴー?」
「MVP、ですか」

見かけによらずカタカナに弱い人だ。
どうみてももっと長い名前の必殺技とか出してるだろうに。

「とにかく部活が終わってからしか会えないみたいだけど、これからも仲良くしてやってね」
「・・・・はい」
「じゃ、おばさん役場に用事あるから」
「さようなら」

618 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 19:02:57.27 ID:nz/eqjOt0
午前2時。
友達の家に行っていた、と言えば信じてしまう我が親が少しかなしい。
いつからだろう、嘘をつくことに罪悪感を感じなくなったのは。
蒼い子の家から帰る途中にもさめなかったはずの心のぬくもりはいつの間にか消えていた。
風呂に入る気も起きず、ただぼんやりとベットに腰掛けていた。

『ヘナ・・・・今日はもう、これくらいにしておこう』
『なんで・・・・まだ・・・・私は・・・・』
『疲れてるよ、君』

充電をするために携帯電話をバッグから取り出す。
着信履歴は2件。どちらも山下からだった。
かけなおす。まだ、おきているだろうか

「もしもし」
「ヘナ・・・今何時だと思ってるんだよ・・・・」
「切ろうか」
「いや・・・いい」
「おばさんから、用事あるって」
「ああ」


625 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 19:10:44.16 ID:nz/eqjOt0
「満子の様子が最近おかしいだ」
「そう」
「なんかどうでも良さそうだな・・・・」
「うん、結構」
「・・・」
「・・・・冗談」

電話口から軽いため息が聞こえた気がする。
気のせいだろうか。

「最近部屋から出てこないし、変な物音聞こえるし・・・」
「学校は?」
「行ってない。それだけじゃなくて、なんだか俺に外に出てほしくないみたいなんだよ」
「・・・」
「ほら、俺サッカーで帰り遅いだろ? それがなんか気になるらしくて」
「寂しいんじゃないの? たまには相手してあげれば?(性的な意味で」
「もっと早く帰るようにして! ・・・・ってうるさいんだよ」
「ゲッターエンペラーさんは?」
「そういう時期なのよ~・・・とか言ってたような」
「あんた達双子じゃん」
「な」

632 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 19:25:44.01 ID:nz/eqjOt0
なんという過疎・・・まちがいなくこれは絵師のうpを保守しながら待ついつもの流れ・・・・・


「いとう」
「ん、何?」
「あの外人、こっちみてる」
「ん? ・・・ホントだ」

スーツを着込んだ外人はゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。
咥えていた煙草を捨てると短いため息のようなものを吐いた。何の意味があるのだろう。

「今、お一人ですか」

いとうは私とミザル以外の人間には見えない。

「見たままです」

嘘はついてない。

「おっと申し遅れた、私は今度ここに配属されたジャックです」

誰も聞いてない。

「日本語、お上手なんですね」
「よく言われます・・・・あなた、もしかして蒼い子、という方をご存知ですか」

645 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 19:39:20.38 ID:nz/eqjOt0
しまった、山下は女か
まぁいいや


休み時間。私の席の方へセガールが近づいてきた。
他の生徒がセガールに道をあける。いつものことなので特に気にも留めないで置こう。
ところで彼は、どうしていつも黒ずくめの服を着ているのか。
そして何故教師は彼に制服の着用を指導しないのか。

「ヘナ」
「ん」
「昨日、夜遅くにどこ行ってたんだ」
「友達の家」
「俺はお前のカーチャンか・・・・誰の家に」
「言えない」
「これでもか」

胸元からコルトガバメントを取り出すセガール。
怖い。

「・・・・セフレの家へ」
「また蒼い子か、もうやめろと言ったはずだ」
「だって・・・」
「昨日、ジャックという男がお前を探していた」
「・・・・」
「蒼い子のところへ行くのはもうやめたほうがいい」
「・・・・」

664 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/13(木) 20:00:54.08 ID:nz/eqjOt0
蒼い子って薔薇乙女かよwwwww
山下は男でおkですね


授業中、蒼い子からメールが来た。

『今夜どうかな』

絵文字も顔文字もない文面。
今の私には蒼い子が全てだ。彼女のことを想うと胸の高鳴りが止まらない。
全身を駆け巡る血液はやがて私の頬を紅潮させる。しかしそれを気にするほど余裕はない。返信をしなければならないのだ。
返信の文面を考えているうちに視線を感じた。
顔を上げると右斜め前の席からミザルがこちらをみている。
どうしてあんなに心配そうな表情をしているのだろうか。
肯定の文を蒼い子へ送り、しまおうとした携帯電話が震えた。

『今夜も、蒼い子んとこいくの?(´・ω・`)ヤメトケ』

ミザルだった。

『悪い?<丶`∀´> 』
『ジャックって巡査が昨日の夜にウチに来たよ。君のことで色々聞かれた(´・ω・`)ショボーン』
『・・・・そう<丶`∀´>』
『蒼い子、なんかやばいんじゃないの?(´・ω・)』
『だけど、今の私には彼女しか居ない<丶`∀´> 』
『(´・ω・`)』

872 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/14(金) 11:30:57.96 ID:6vMwCdPu0
起き抜けに保守


朝。いつもの通学路。
やや曇りかけた空から覗く太陽が作り出す陰は今日も独り分。これが私の影だ。
昨夜のことを思い出しながら私は歩く。歩いている。
朝から・・・正確には昨日の深夜、蒼い子の家から帰った後辺りから、いとうの姿は見えなかった。
私はいとうの正体を知らない。彼は自分を私の守護霊だと言っていた。私と霊力の強いミザル以外の人間には見えない、とも。
それを半ば本気で信じていたからこれが信じられない。
一昨日のミザルの忠告を思い出す

『いとうがもうすぐ、死ぬようなんだ・・・その・・・・昨夜の占いによれば』

一人で登校するのはすごくひさしぶりだ。
いとうと私はいつから一緒にいるのか、それすら思い出せなくなっている。
彼は一体、何者だったのか。

「ヘナさん」
「ん」
「きょうこそはかたせてもらいます」

声の方を振り向くと、綺麗な刺繍の入ったローブを着込んだ黒人がそこに立っていた。
この八開村の有名人物にして自称私のライバル。

「・・・・アブドゥルさん・・・・・・お刺身の上にタンポポ乗せるバイト、どうしたんですか」
「きょうはおやすみです」
「あの、私、これから学校なんで」
「・・・・・じゃ、じゃあ、がっこうおわってから」
「・・・」

875 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/14(金) 11:45:56.87 ID:6vMwCdPu0
みっちょんって何なの?
元ネタあんの? そんな保守


遅刻した。

「ヘナ、今日は遅かったねぇー・・・彼氏と夜遅くまで遊んでた! ・・・とかなのかな? かな?」
「みっちょんか・・・」

そういえば最近部活にも顔を出していない。
それをみっちょんは咎めない。

「アブドゥルに引き止められた」
「うわぁ・・・キツ・・・・全私が泣いた・・・・」
「今日朝から調子悪いんだ・・・・ちょっと保健室言ってくるね」
「把握した。先生に言っといてやんよ」
「うん、ありがとう」
「ゆっくりしていってね!!!」

少し開きづらくなってきた引き戸をあけ、教室を出る。
この平成のご時世になっても私の学校の校舎はまだまだ木造だ。
廊下を歩けば床は軋んだ音を出すし、たまに床板が大きく撓む位置もある。腐ってるのだろうか。
黒くてヌラヌラしててカサカサ動く彼らもよくみかけるし、たまに小さいものはマウス、大きいものはラットと呼ばれる彼らも見かける。
階段を下りるとすぐそこに保健室はある。そう大きくない校舎

「ヘナ」
「・・・山下」
「保健室? 調子わりぃの?」
「・・・」
「顔色、悪いぞ」

884 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/03/14(金) 12:10:33.46 ID:6vMwCdPu0
(ここからチラ裏)本当はオフ行こうと思ってたんだお・・・・でも雨降ってるお・・・・・
だから家でネトゲするお!(ここまでチラ裏)



「・・・一回だけ、守護霊の話したよね」
「・・・・・・・・ああ、ミザルとお前だけに見えるってヤツだったな。あんま覚えてないけど」
「それが居なくなった」

私は寂しいのだろうか。
いとうが居なくなって、寂しいのだろうか。
こんな話、頭がおかしい子がするものだ。・・・実際私はそうなのかもしれない。
それでも山下は真剣に聞いてくれた。

「・・・そうか」
「どうでもよさそうだね」
「少なくとも悪いことではないだろ?」
「・・・・そう、かもね」
「保健室、ベッド空いてたから寝とけよ。先生には言っといてやるから」

山下は今まで保健室に居たのか。

「みっちょんが言ってくれるって」
「そうか、なら大丈夫だな」
「・・・うん」

適度に軽く、適度に相手のことを考え、そしてあまり多くを語らない。スポーツは万能で勉強もそこそこできる。
山下は女子から人気がある。・・・・・私も一応女子なのだが。小さな頃から一緒に遊んでいたと思う。
少しの間、やや大股で歩きながら去っていく山下を眺める。
彼は背が伸びた。

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最終更新:2008年03月14日 16:59