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502 :グランディア:2008/07/01(火) 05:51:33 ID:j5SsG0r/0
更に残念なくらい長くなりましたのでテキストファイルをあぷろだに上げました。
転載人さん、申し訳ございませんが以下のURLからお願いします。

グランディアに興味がない方はスルーで。また、長いのが苦手な方は
http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/238.html
に既に短くまとまったものがありますのでそちらをどうぞ。

ゲーム自体は全編を通して場面に完璧にマッチした素晴らしい音楽と、
ちょっとこれ多すぎだろと思えるぐらいの豊かな顔グラフィック、
そして超豪華声優陣の競演が相まって滅茶苦茶感情移入出来ます。
記述したテキストでグランディアの大体の流れはわかりますが、
ノッペリしたテキストを読んでるだけではグランディアの良さは殆ど伝わらないです。
昨今のRPGには失われつつある冒険感がグランディアには残っています。
テキストは見ずとも、機会があれば是非是非グランディアを手に取ってみて下さい。
ストーリは1本道ですが(複数選択肢が有るが多少台詞が変わる程度)、伏線が多すぎる為、
恐らく台詞の意味を全てを理解するのは2週目になります。
『歴史に残る映画があるように、歴史に残るRPGがある。』
『忘れられない冒険になる…… これがシネマティックRPG』のCPに嘘偽りは有りません。
---
続きません。次の出番までいち名無しに戻ります。


キャラクター紹介。グランディア - Wikipediaから転載&多少加工()はゲーム開始時の年齢。

●主人公側の人々--------------------------------

■ジャスティン(14)
主人公。旧大陸・パームの街で母親のリリィと二人暮し。古代文明に憧れを持ち、冒険者だった亡き父親と同じく冒険の旅に出ることを夢見る。単純明快、困った人を見ると放っておけないお人好し、とまさに正統派な主人公。
■フィーナ(15)
ヒロイン。新大陸・ニューパームの街近くの高台に住んでいる、明るく快活なプロの冒険者。冒険者協会一の凄腕。得意な武器はムチとナイフ。
■スー(8)
ジャスティンの幼馴染。両親亡き後は伯父夫婦に引き取られる。おしゃまで意地っ張りな女の子。自称・ジャスティンの保護者。夢はステキなレディーになること。常にプーイと一緒にいる。
■ガドイン(38)
冒険の途中で出会うダイトの村最強の剣士。大柄で寡黙。男の中の男。得意料理は「飛竜のシチュー」。ジャスティンに剣技を教えてくれる。
■ラップ(15)
カフーの里の村長の孫。当初はジャスティン達を軍の連中と勘違いしていたが、誤解が解け仲間となる。口がすごく悪いガキ大将タイプだが、仲間想いで優しい。根性と正義感もある。
■ミルダ(19)
筋肉がたくましい、レーヌの村の女戦士。1人で基地に潜入し、ガーライル軍の戦車を壊してしまうほどのパワーを持つ。ラップ(カフー人)とはライバル。ちなみに既婚者。
■ギド(?)
モゲ族の商人。ウサギのようなかわいい容姿とは裏腹に、非常に深い歴史と知識を持っている。商人だけあってか、お金にがめつい。
■リエーテ(?)
サルト遺跡で出会う美少女。古代文明の力によって生み出された幻なのか、実在する人間なのか全てが謎に包まれている。ジャスティンを新大陸に行くよう導いた人物。年齢不詳。しかし、その後徐々に人格がわかり、驚愕したプレイヤーも多い。
■プーイ(?)
ジャスティンの父親が生前に旅先で見つけてきた、謎の生物。スーに懐いていていつも一緒にいる。鳴き声は「ぷう」。普段はスーの頭に止まっており、はたから見るとリボンのようである。ちなみににくきゅうがあるらしい。
■リリィ(32)
食堂「うみねこ亭リリィ」の経営者で、ジャスティンの母親。元は女海賊で「ドクロのリリィ」と呼ばれており、かなり有名だった模様。竹を割ったようなさっぱりとした性格。料理がとても上手い。必殺技は「お盆チョップ」。

●ガーライル軍の人々----------------------------

■バール将軍(48)
ガーライル軍の最高司令官であり、ミューレン大佐の父親。近年は財団とは距離を置き、軍独自の秘密計画を強行している。
■ミューレン大佐(23)
ガーライル軍の軍人。有能な指揮官で一般兵士からの人望も厚い。ジャスティンとガドインの二人がかりを圧倒するほどの実力者。
■リーン(15)
ミューレンの副官を務める少女。軍人向きではない優しい性格の持ち主。常にミューレン大佐と行動している。
■ナナ(16)
階級は中尉で、ミューレンに憧れている。ブラッディローズ隊の隊長。高飛車な女王様タイプ。
■サキ(16)
階級は中尉で、ミューレンに憧れている。ライトニングスター隊の隊長。ボーイッシュ。
■ミオ(16)
階級は中尉で、ミューレンに憧れている。デザートムーン隊の隊長。眼鏡っ子。

※ガーライル軍:パームの街の発展に貢献した「ジュール財団」の私設軍団。

●その他の人々----------------------------------

■ジン
ジャスティンが新大陸に渡るためのパスを貰いに行った老人。自称現役冒険者。ジン平原を発見した偉大な人物らしい。
■ニッキ
ラップの弟分のカフーの少年。
■ダーリン
ミルダの夫。牛のような姿の獣人で、学者。ミルダとはラブラブである。
■チット
モゲ族の少女。ジャスティンを「赤毛の冒険者さん」と呼ぶ。
■パコン
冒険者協会の現会長。フィーナと結婚しようとしている。デジタルミュージアムでは、誰かと結婚したらしいことを言っているが…
■ガンツ
パームの街のガキ大将。よくジャスティンと張り合っては、街の人に怒られている。ゴンツという兄と、テンツという弟がいる。
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物語はガーライル軍の飛行戦内の一室から始まる。
その場にいるのは、バール将軍、ミューレン大佐、リーン中尉。
ミューレンはバールをそのままバール将軍と呼んだ。
それを聴いたバール将軍は周りに兵士がいない時は父と呼べと促すが、ミューレンはリーンが居ると答えた。
「だが、我が軍の計画にとってリーンが特別なのは言うまでもないこと…。そうであろう?」
バールが話し続ける。サルト遺跡の第三次発掘調査も大詰め、ミューレンとリーンの働きには期待していると。
その期待にミューレンは、サルト遺跡の発掘には精鋭部隊を配置していると答えた。
飛行船の場内放送は程なくして飛行船がサルト遺跡に到着する事を告げていた。

舞台はパームの街に移る。パームは家が不規則に立ち並ぶ活気に溢れた港街。
青色の髪の少女スーが謎の生物プーイを連れて何かを探して走り回っている。
ある家に差し掛かった所、家の中から「この悪ガキがっ!」と怒声が響いてくる。
それと同時に家の中から奇天烈な格好をした少年ジャスティンが摘み出された。
家主も出てきてジャスティンを睨む。またお前かジャスティン、性懲りもなくワシの物置をあらしおって!!と、
家主はカンカンである。ジャスティンは荒してない!と反発する。
「この宝さがしにはァ!男の意地と冒険者のタマシイがかかってんだぜ!!」
そんなジャスティンの言い分が通じるわけもなく、家主からフルスイングで拳骨を貰い倒れるジャスティン。
家主が家に戻った頃、近くで見ていたスーがジャスティンに駆け寄る。凄い音がしたと心配するスーだが、
「心配すんなって!あんなゲンコツぜんぜん平気さっ。一流の冒険者ならトーゼンだろ!!」と強がるのであった。
物置で何か見つけたかとスーが尋ねる。しかし、ジャスティンは何も見つける事が出来なかった。スーは?と聞き返すと、
スーは勿論見つけたと答える。ジャジャーン!と取り出したのは汚れたエプロンであった。「ほらっ伝説のヨロイっ!」
あたし一人で見つけて来たんだからねと誇らしげにするスーにプーイが「ぷうぷう!」と鳴き飛び回る。
「そうそう…。プーイも手伝ってくれたのよね。」スーはジャスティンに汚れたエプロンを差し出す。
喜ぶジャスティン。「あとは光のタテと勇者のカブト、それに精霊の剣だ!」
「日が暮れたらあたしたちの負けなのよ。あたしヤダからね。ガンツのおヨメさんなんて!
だいたいガンツの口車にのせられてあんな約束したジャスティンがいけないのよ!ちゃんと責任とってよね。」
わかってるってと頭をかくジャスティン。

ガンツは、パームを南北に隔てる川に架かる唯一の橋の上に、子分たちと一緒に陣取っていた。通行を止めているらしい。
伝説のヨロイ(よごれたエプロン)を意気揚々とガンツに差し出すジャスティン。
丸坊主の少年ガンツは「随分時間が掛かったじゃないか、一流の冒険者が聞いてあきれるぜ!
だいたい「世界の果て」が見つかって冒険者なんてお払い箱って時代だぜ!?いまどき時代遅れなんだよ!」と煽る。
世界の果てってなんだ?と聞き返すジャスティンだったが流される。
日暮れまでに4つの秘宝を揃えなければジャスティン達の負けとなり、スーがガンツの子分兼嫁になる事を再確認され、
ジャスティン達は残りの装備を探し始めた。

何とか勇者のカブト(鉄ナベ)、光のタテ(ナベのフタ)、精霊の剣(木剣)を探し出したジャスティンとスー。
ガンツに秘宝を渡しに行くと、ガンツは大人に橋の通行を止めていた事を理由に怒られていた。
巻き込まれて怒られてはたまらないとジャスティンとスーはそそくさと通り過ぎようとするが、呼び止められる。
ジャスティンとスーはその場を駆け足で逃げるのであった。

無事に橋を通過したジャスティンとスーはジャスティンの生家、レストラン「うみねこ亭」に到着した。
そこには厨房で料理をしているリリィの姿があった。厨房に入るジャスティン。
リリィはジャスティンに歩み寄り「こらっ!ジャスティン!」とおぼんを縦にしてジャスティンの頭に振り下ろした。
(作中では「お盆チョップ」として語られる)
それはどろんこのままでキッチンに入ってきたジャスティンに対するお仕置きであった。
「こんにちはリリィおばさん。あんまりジャスティンの頭たたくとバカになっちゃうよ。」
「あはははは!だいじょうぶよ、スー。ジャスティンの頭なんてこれ以上悪くなんかならないわよ。」
リリィが笑顔で答える。「…ひっでぇー。言うかなぁ、かわいい1人息子つかまえてそーゆー事!」
「ふふっ。だったらこんなこと言われないようないい子になることねっ。ジャスティン。」リリィは悪戯っぽく答えた。
(その後ジャスティンが口を滑らし今日仕出かした悪戯を自白しその言い訳で3択が表示される。ドレを選んでもお盆チョップされる。)

うみねこ亭で夕食を取る事になる。スーは毎日のようにご馳走になってしまっている為、
気が咎めるがリリィが遠慮なんかしちゃだめとスーに言った。
(グランディアは食事が一つのミニゲームみたいな形になっており、食卓を囲む全ての人間と話し、情報を全て引き出すまで食事は終わらない。

リリィがジャスティンに、博物館の館長が明日ジャスティンに博物館に来て欲しいと言ってた事を伝えた。どうやら預かっていたものを返したいらしい。
スーが今日はちょっとした冒険だったねと言うと、ジャスティンは先祖はもっと凄い冒険者だったと、誇らしげに壁に貼ってある写真を紹介する。その中にはジャスティンの父親の写真もある。「いつかオレも自分の写真をここにはるんだ!父さんの写真のとなりにさ!」
リリィはジャスティンが館長に預けたものは、父親の形見の精霊石ではないかと予想する。
リリィは夫は嘘を付くような人ではなかったが、それが精霊石だと言うのは余り信じてないらしい。
だが、はじめて会ったときも夫はその石を大切そうに首に掛けていた事も思い出した。
スーがジャスティンの父親とリリィとの出会いを知りたいと言った。
「はじめて父さんに会ったのは月も波もない夜の船の上よ。本当に静かな夜だった…。」ロマンチックと言うスー。
リリィが続ける。
「ところが突然海賊があらわれて父さんの乗る船はあっという間にそいつらに乗っ取られたのさ。」
「おっ!なんかおもしろそうな展開!ねえねえそれからどうなったの?」ジャスティンが乗り出す。
「乗りこんできた海賊の親玉は父さんが大切そうに持っていた精霊石に目をつけたのさ。そして剣をつきつけて、こう言ったんだ。『その石をこっちによこしな!』でも父さんはがんとして聞かなかった。そのときの父さんの度胸のよさにすっかり感心した海賊の親玉は足を洗うことに決めたんだってさ!」
父さんを襲った海賊は逞しい海の男?そう質問するジャスティン。
リリィは高笑いし、とんでもない、お前と同じ年頃の女の子さ!と答えた。『ドクロのリリィ』っていう美少女よ!
リリィはウインクをする。「どっかで聞いた名前だなぁ…。う~んリリィ…リリィ…。」真剣に考えてしまうジャスティン。
そして、自分の母親の事だと気がつく。スーもリリィが海賊だったという事実は知らなかった。そして知って尚ますます憧れてしまったらしい。

翌日ジャスティンとスーは博物館の館長の元に向かった。館長は二人に会うやいなや、
新しい光翼人像の修復が終わったと紹介した。館長がガーライル軍に確認したところ、その像は新大陸のエレンシア最大の遺跡、ドム遺跡で発見されたものだという。新大陸に、ドム遺跡に自分も行って見たいと冒険心を刺激されるジャスティン。
「パームに伝わるエンジュール神話ではかつて光翼人は精霊石の力をもとに夢のような世界を創ったとされておる。エンジュール神話に残る数々の物語…。空に浮かぶ街星と星とを渡る船。」館長に続けてジャスティンもしゃべり出す。
「永遠に動き続ける蒸気機関!」続けて館長が「時が凍りついた精霊の聖地に!」そして最後は二人で声を揃え「不老不死の大神官!」
「そのお話まだ続くのぉ?」スーは呆れ顔である。もうちょっとだけと言うジャスティン。
「わかった!チョットだけだよ♪あたしってば男のユメに理解あるぅホ~ントレディよねぇ…。」

館長がジャスティンから託された精霊石について調べた結果を報告するがダイヤよりも硬い成分である事以外何もわからなかったようだ。
館長はジャスティンに精霊石を返す。そして、館長はジャスティンにその石について自分でも調べてみたらどうだと持ちかける。その為のヒントも用意してあるのだとか。
光翼人像を見終わったら自室に来るようにと言い残し、館長は部屋を後にした。
館長が自分に期待している、精霊石や光翼人の謎を解き明かすと息巻くジャスティン。
光翼人像にツンツンと触れると、像の頭と翼がもげる。何とか取り繕うとするが、翼と頭が正反対にくっついたまま修復されてしまう。
館長の部屋に行く二人。何か音がしたようだがと像が壊れた音を館長も聞いてたようだ。
壊してしまったと二人は謝るが、そんな冗談は心臓に悪いと取り合ってくれない。
「さあ冗談はともかくとして…ここに君へのプレゼントがある。」
館長が手渡したのは紹介状であった。現在ガーライル軍はサルト遺跡を調査しており、2人が見学出来る様に橋渡しをしてくれるらしい。
博物館を出た後、博物館の中から館長の悲鳴がこだました…。

サルト遺跡に着いたジャスティンとスー。
紹介状を渡し、入り口をくぐった頃、ガーライル軍の上官三人とその部下達がやり取りを見る。
上官三人はそれぞれナナ、サキ、ミオと呼ばれた。部下に遺跡への調査を指示し部下は遺跡へと入っていく。
その場に残った3人の娘は口論を始めた。サキの部下の集合が遅く、しつけが甘いとナナが指摘する。
サキは遅れてきた兵士にはスクワット3000回やらせたと答えるが、ミオはそれじゃ甘い、食事を100日抜くべきだと言いのけた。
あーら、ミオったら優しいと、ナナは私なら鞭打ち5000回、その後タルに塩づけにして牢屋で100日ってところかしらと言った。

ジャスティン達が奥へと進むと3人娘と遭遇する。
3人娘は2人を不審者とみなすが、ジャスティンは館長の紹介状を3人娘に提示、その場を切り抜けようとした。
ナナはその紹介状を受け取った直後に破り、サキが丸めて、ミオが穴の中に放り捨てた。
紹介状を失ったジャスティン達を改めて不審者呼ばわりする3人娘。ジャスティン達に遺跡から立ち去るようにと念を押し、遺跡の中に入っていった。
ジャスティンは邪魔されてるとかえって冒険心が刺激され燃えてしまい、スーと共に遺跡の中に侵入するのであった。

先に進むジャスティン達はガーライル軍の中隊を目撃する。
台座の上にはミューレン大佐とリーン中尉が、それと向かい合うようにナナ中尉とブラッディーローズ隊、サキ中尉とライトニングスター隊、ミオ中尉とデザートムーン隊が整列している。
リーンがその場を取り仕切っていた。ミューレンの挨拶にうっとりしながら返事をする3人娘。それと対照的にリーンの作戦指示には露骨に嫌そうな返事を返した。
(3人娘はリーンの事を妬んでいる)
部下達が散開し、その場にはミューレンとリーンが残る。ミューレンはリーンの副官振りが様になってきたと褒め、
リーンは頬を赤らめて有難う御座いますと照れた。

遺跡の中で3人娘を目撃。
「ホント目ざわりだこと!あのリーン…。なんでいちいちついてくるのよ!せっかくミューレンさまとごいっしょできる任務だっていうのに幸せ気分が台無しだわ!」ナナが言う。
「まったくだよ。いーっつもミューレンさまのそばにいてさ!ムカツクったらありゃしない!」サキも同調した。
ミオが眼鏡を人指し指で持ち上げ得意げに話す。「まぁわたくしの計算ではリーンの副官生命もそろそろ終わりですわ。」
「ミオ、またなにか考えたのかい?リーンのブーツにガビョウを入れたとか?」
「いえ、もっと高度な計画ですわ。食べ物の中にしゃっくりが止まらなくなる薬を入れましたの。」
「そりゃいいわ!リーンのブザマな姿を見ればミューレンさまも考えを改めるというわけね!」
ジャスティン達はその場を後にした。

遺跡の一番奥に差し掛かる頃、奥から兵士達が引き返してくる。
どうやら行き止まりに怪しい像を見つけたらしくミューレンに報告するようだ。
ジャスティン達は身を隠しやり過ごす。そして、その像を調べると、ジャスティンが所持していた精霊石が光だし、
像が左右に割れ、奥へ行く道が出来た。トラップを潜り更に奥へと進むジャスティンとスー。

行き止りの部屋に差し掛かるとどこからとも無く女性の声が聞こえてくる。「ようこそ、精霊石を持つものよ」と。
部屋の台座にある宝珠に触れるとまばゆい光がジャスティンとスーを包む。
「ようこそ…人と精霊との約束の印、精霊石を持つ者よ…。」「だ、だれだ!?」「私はアレントのリエーテ。エンジュールの歴史とともに生き、そして、受けついた者です…。」
光が晴れると、ジャスティン達は小さな石片の上に立ち、眼下には地球のようなものがあった。そして目の前には神殿のような構築物があり、リエーテと名乗った女性が光に包まれ立っている。落ちる落ちると叫ぶスーにをリエーテが宥める。
「おどろくことはありません。これはあなたがたの住む大地を星の高さから見た姿です…。さあ聞かせてください…あなたは何を求めてこのトビラを開いたのですか?」
そんな事突然聞かれてもと戸惑うジャスティン。そして思い出したように何故、自分が精霊石を持っている事を知っているのかとリエーテに訪ねる。
リエーテは答える。「すべての力は精霊石のかがやきによって生み出されます。それなくしてエンジュールのトビラは開きません。」
「エンジュールって神話の中の世界なんじゃ…?」「神話などではありません。あなたの持つその石こそがはるかな昔から伝わる人と精霊との契約の証なのです…。これをごらんなさい。」
(エンジュール世界のムービーが入る。)
精霊の光と光翼人の翼によって永遠を約束された世界、それがエンジュール世界であるとリエーテが言った。
「あなたの持つ精霊石は本来は常に光翼人と共にあらねばならないものです。」
スーとジャスティンは自分達が知りうる古代文明と今のリエーテの話が被るところが多く、エンジュールとは実際に存在した世界なのではと納得していく。
ジャスティンはリエーテに色々と質問をしようとした。
リエーテはこう答える。「1つの問いには1つの答えを…、そして多くの答えを望むものにはアレントを目指さねばなりません。あなたは多くの答えを望むのですか?」
ジャスティンは多くの答えを望んだ。
「あなたが多くの答えを望むならばはるか東の地、アレントを目指して長い長い旅に出なければなりません。はるかな道のりの中であなたは進むべき道に迷うかもしれません。しかし精霊石の光が必ずあなたを正しき道へと導いてくれるでしょう。あなたと精霊石が共にあるかぎり…。」
「東の地…?アレント…?もしかして…。海を越えて新大陸エリンシアに来いってことなのか!?リエーテ!アレントは…!新大陸に行けばリエーテに会えるんだろ!?新大陸に行けばホンモノのリエーテにホンモノの光翼人に会えるんだろ!?待ってくれよリエーテ!」
「忘れないでください…精霊石のかがやきこそが、アレントへとあなたを導きます。さあ…お行きなさい。私はアレントのリエーテ。永遠の時を待ち続ける存在です。」
リエーテが消えたその場に呆然とするジャスティンとスー。突然精霊石が光だす。
「ホンモノだ…。そうだよ!こいつはホンモノの精霊石なんだ!!」ジャスティンがいつもの調子を取り戻す。
…決めた!オレ、アレントへ行く!!行って光翼人に会うんだ!それでエンジュール文明を見つけてみんなをアッと言わせてやる!それから…それから…。あぁもう!とにかくオレはアレントへ行くんだ!ぜったいに!!それができるのはこのオレ…冒険者ジャスティンだけなんだ!!よぉーし!!やってやるぜぇっ!!」

遺跡の奥から引き返すジャスティン。その途中でミューレンと鉢合わせてしまう。
ジャスティン達に剣を突きつけ、何をしていたのか説明させるミューレン。答えなければその場で殺すと脅す。
後ろに控えるリーンは相手は子供だと宥めるが、ミューレンは一向に剣を退かない。
スーが答えた断片的な情報を元に、ミューレンは2人がアレントのリエーテと出合った事を推測する。
スーとジャスティンはミューレンとリーンの隙をつき、遺跡のトラップを逆に利用してその場を離れるのであった。

遺跡から抜け出た後、ジャスティン達はミューレンが仕掛けたモンスターの待ち伏せに遭うが撃破し、遺跡を脱出する。
一足遅れて遺跡から出てきたミューレンはその場を切り抜けたジャスティンを褒め、大したものだと笑う。
追いかけなくてもいいのかと聴くリーンに、エンジュールの情報が多少漏れた所で計画は揺るがない。ジャスティンの無鉄砲さに免じて見逃してやろうと答えた。ミューレンはジャスティンを気に入ったようだった。

うみねこ亭に戻ったジャスティンとスー。直ぐに夕食となる。
ジャスティンとスーは一日の出来事を報告。そしてジャスティンはリリィに新大陸に行くにはどうすればいいのかと訪ね、
リリィは港で聞くことを勧めた。
(夕食では世界の果てについて触れられる。世界の果てとは新大陸にある世界の行き止まりと言われている場所の事。)

翌日港で聞き込みをするジャスティンとスー。新大陸への渡航はパスが必要であり、それを手に入れるのは誰かに貰うのが一番早いと教えられる。また、古い渡航パスを見せながら冒険の話をしている老人、ジンが酒場にいた事を聞き、ジャスティンは酒場に向かった。

場面が変わってガーライル軍の飛行戦内。
ミューレンが遺跡の発掘調査で成果を上げれなかった事をバールに報告。
バールはお前が出来ない事は他の誰にもできまいとミューレンを咎めなかった。
バールがその場を去った後、リーンがバール将軍が焦っているように見受けられるとミューレンに伝えた。

場面がパームに移る。
ジャスティンとスーは夜の酒場にジンを訪ねに行くがジンは居なかった。周りの客からはジンの噂を聞く。
昔は高名な冒険者(自称)であったが、現在廃坑となったレック鉱山に住んでいると言う証言を得た。
また酒場マスターから、レック鉱山に行くならばジンが忘れていった財布を届けて欲しいとジャスティンに依頼。
ジャスティンは翌日レック鉱山に向かう事となった。

ジンの家に入った二人。しかしそこにジンの姿はなかった。
「れれっ?だれもいないや。不用心だなぁ。しょうがない。財布はこの辺に置いとくか。」
ジャスティンは部屋のテーブルに財布を置いた。その時、扉からジンが入ってきた。
「コラァーッ!!だれじゃっ!勝手にワシの城に入りこんどるのはっ!こォのぬすっとめがッ!!そのワシの財布からはなれろっ!」「いいッ!?ちっちがうよ!オレ達はただパスが欲しくて…」「ダ、ダメよジャスティン。ゴカイされちゃうわ、そんな言い方じゃ!財布よ財布!」
「ふはははは。語るに落ちたな、コゾウども!まったくユダンもスキもありゃせんワイ。さぁ!おとなしく観念せい!そのくさった根性をねじ切ってやる!」
「…ねえジャスティン。この人ホントにジンさんなの?冒険者だったように見えないけど…。」
「こりゃそこのチビっこいの!冒険者だったとはなんじゃ!!だったとは!」ジンは親指を立てて「ワシゃ今でもバリバリの現役じゃい!」と格好つけた。

何とか話を聴いてもらえるところまで漕ぎ着けたジャスティン。エンジュールに行く為にジンの持つパスが欲しいと頼んだ。
「おまえさんの話はようわかった。事と次第によってはワシのパスをやらんでもないぞ。」
「ホント!?じゃくれよ!サンキュー!」「ぶわっかもぉーん!!だれもタダでやるとは言うとらん!目の前の試練を乗り越えて自ら望むものを手に入れる。それが冒険者のやりかたじゃろうがッ!」
「うへッ!よ、よぉし!その試練受けて立とうじゃんか!」「そうよそうよ。へっちゃよねっ!ジャスティン!」

ジンの試練が始まる。内容はレック鉱山に住みつく魔物の親玉を退治してくると言うものであった。

最下層で魔物の親玉を倒したジャスティンとスー。その直後洞窟全体が揺れ出し、落盤が起きる。
脱出途中でジンはトロッコを用意していた。3人はトロッコに乗り間一髪でレック鉱山を抜け出るのであった。

「よいか?一流の冒険者は常に最後まであきらめたりしないものじゃ。脱出するときのことも考えておらんかったとは…。おまえたちはなっちょらん!」
「え~ダメなの?あたしたちけっこうがんばったのに!」
「いい言葉を教えてやろう…。『本当の冒険者はどんな苦難にもけっして希望を失わない!』新大陸エレンシアに行ったらこの言葉を忘れずになおいっそうの精進をすることじゃ。」
「ええっ!?そ、それじゃジン…。」「お前には少しみどころがありそうじゃ。まあ大負けに負けて合格としてやろう。ほれっこれが新大陸へのパスじゃ!その手で取るがいい。ジャスティン!」「…やったぁ!これで新大陸に行けるぞォ!!」
「やったね!…わあっカッコイイ!…あれ!?気のせい…かな。なんかくさくないコレ?」
「それにはワシの血と汗とタマシイとその他もろもろのわけのわからぬモンがしみこんでおるからの。イ~ヒッヒッ!!」
「げっ!」「きゃあっ!!」「…よいか?ジャスティン。おまえはいま翼を手に入れた。…その翼はおまえだけのモンじゃ。」
「オレだけの…翼…。」「だが忘れるな。本当の苦難の時は、冒険者を支えてくれるのはパスではない。お前自身の冒険の心なのじゃ。冒険心だけが冒険者の体を支え、その2本の足を前に進めてくれる。約束だジャスティン。いつかワシにワシも知らない世界の、お前だけの冒険の話を聞かせておくれ。いつまでも楽しみに待っておるぞ!」ジンは親指を立てた。
「うん、約束だ。ジン!オレ…オレ行ってくるぜ!!」

ひとしきり話が終わった後、スーがパームに戻ろうと言う。そしてスーが先に行き、ジャスティンとジンがその場に残る。
ジャスティンはジンに相談事があった。
「わかっとる。みなまで言うな。あのおチビちゃんのことじゃろ?ワシに言えることは1つだけじゃ。冒険者の道は1人で歩くもの。わかるなジャスティン?」スーが引き返してくる。
「どうしたのジャスティン?はやく帰ろうよぉ。」「わりぃわりぃパスありがとうなジン!大事にするよ!」
「さようならジン!いつまでも元気で待っててねっ!」

パームに戻った二人。スーがジャスティンの異変に気付く。
「どしたのジャスティン?くるときはあんなにはしゃいでたのに、ず~っとだまりこんじゃって。」「…そ、そうか?なんでもないよ…。」
「ねっ、新大陸ってどんなとこかな?すっごい楽しみ♪」
外はもう夕暮れ時だった。「いよいよあたしとジャスティンの本当の冒険が始まるんだ!これからが大変ね♪」「…。」
「みんなにお別れしなきゃね。ビックリするわよきっと!でもあたしたち2人ともいなくなったらリリィおばさんさびしがるかなぁ…。」
「スー、オレ母さんにはなにも言わないで行くつもりなんだ。お別れはおまえから言っといてくれ。」
「えっ?それってどういうイミ?よくわかんないよ。ジャスティン。」
「ジンも言ってた…。ここからの冒険は遊びじゃない。スーはここに残るんだ。」
「な、なによなによ、イキナリ!あたしたちいつだってどこだっていつもいっしょだったじゃないの!これからだって…!」
「もう決めたんだ!子供はつれていかない!」「…!!」
「渡航船は明日の夜明けに出発する。朝はやいからムリして見送りにこなくていい。」
スーがぼろぼろと泣き出す。「…。…あたし、子供じゃない。子供じゃないもの!なによ。渡航船のパスだってあたしがいなきゃもらえなかったんじゃないいの…。」「スー…。」「知らない!!死んじゃえ!」スーはその場を走って立ち去った。
1人取り残されたジャスティン。「約束するよスー。きっと一人前の冒険者になって帰ってくる。そして…次の冒険は2人で行こう。かならず…。」
「あれれ?」スーがジャスティンの元に駆け寄ってきた。「ジャスティンのッ!ウラギリモノーッ!」大泣きで叫んでジャスティンのスネを蹴る。「いてっいてっいてーっ!!」片足を抱え、飛び跳ねるジャスティン。スーはまた走って去っていった。

うみねこ亭に帰るジャスティン。リリィがスーが居ない事を察し、喧嘩したなら年上のお前から謝るんだよとジャスティンに言い聞かせる。
夕食が始まる。スーが居ない事は珍しく、たまに2人での夕食も悪くないねとリリィが言った。
「…でもやっぱりスーがいないと母さんさみしいわ。明日はちゃんとさそってあげなさいよ。」
「だいじょうぶだよ。母さん…。明日はスーもきてくれるよ。明日からは…。ずっと…。」
「今日のシチューすっごくウマいや!こんなウマいシチュー食べたのオレ生まれてはじめて!」
「あははははっ!大げさねぇ!しょっちゅう作ってあげてるでしょ。母さんの得意料理なんだからさ!」
「い、いやそのぉ…。とっとにかく今日は特別にウマいんだよ!特別にさ!!」
「はいはい、わかりました。…まったくおかしな子ねぇ。いつもとおんなじだってのに…。」
「ところでさ、母さん。写真をしまってある場所ってどこだっけ?」「写真…?たしかあっちのタナにしまってあるわよ。」
「誕生日にとったあの写真もあるかな?オレがかっこよく剣をふりまわしてるヤツ!」
「あると思うけど…。どうしたんだい、急に?そういえば明日の朝新大陸行きの渡航船が出航するんでしょ。おまえは見に行かないのかい?」
「ど、どど、ど…ゴックン!どうしたのさ、母さん!?急にそんなこと言い出したりして…。」
「いまはまだ子供だけど…。ジャスティンもあと何年かしたら冒険の旅に出ちゃうのかな…ってね。」リリィが寂しそうな顔をした。
「…。」
「ねえジャスティン。今日は母さんといっしょに寝よっか?ほら、子供のときみたいにさ!」
「な、なな、なに言ってんだよ!?もうオレ子供じゃないんだぜ!それに今日だけはぜったいダメ!!」
「あははははっ!ジャスティンったら本気にして!!ちょっとからかっただけでしょ。ああ、おかしい…。あんまり笑わせるから涙が出てきちゃったじゃないの…。」リリィが指で涙を拭った。「か、母さん…オレ…ホントは明日…。そ、そのぉ…。」
「…。母さん今日はもう寝るわ。話は明日にしてね。おやすみなさい。」「あ…う、うん…。おやすみ…母さん…。」

ジャスティンは夜明け前に目を醒ました。ジャスティンは自室で旅の準備をしている。
「ふうっ…これで準備よしっと…。いよいよこの部屋ともお別れか…。よォし!」ジャスティンは部屋を出て先祖の写真が貼られている壁の前に立つ。
そして壁の写真を見て語り始めた。
「父さん…ごめん。やっぱりオレ母さんに言えなかった。父さん、それにじいちゃんたち…。オレ新大陸に行くんだ!じいちゃんや父さんも旅した広い広い世界へ。父さんがくれた精霊石のおかげさ。」ポケットから精霊石を取り出す。
「コイツが教えてくれた。伝説のエンジュールが新大陸にあるって。」
「…いまはわかるんだ。きっとみんなも初めての冒険の朝にはこんな気持ちだったんだろうなって…。」
ジャスティンは壁に背を向ける。「父さん…。オレ、ほんとに父さんたちみたいになれるかな…。母さんが話してくれるみんなはオレなんかよりずっと強くて、ずっと勇気があって…。」
「ずっと、ずっと冒険者だった…。」
ジャスティンが再び写真の方を向く。そして写真から何かを聞き取ったようだった。
「…そうだよな。こんなのオレらしくないよな!そうだろ、父さん!」
そして父の写真の前に立つ。
「ここにオレの写真を置くぞ。みんな!約束する。オレはみんなを越えるようなスゴイ冒険者になる。」
写真を壁にあて左手で抑える。右手では金槌を振りかぶった。「さよなら、母さん!」
金槌を振り下ろすとジャスティンの写真はジャスティンの父親の写真の隣に貼り付けられた。
「オレ行くよ!」ジャスティンは駆け足で家を飛び出した。霧が晴れないパームの街を港の方へ急ぐジャスティン。

乗船の間際に船員に呼び止めれるジャスティン。どうやらポケットから何かがはみ出ていたらしい。
ポケットから抜き取ると、それは手紙だった。
「冒険者協会会長ガウスさまへ『ドクロのリリィ』より。ジャスティン読むべからず。」ジャスティンは続きを読んでしまう。
「親の手伝いばかりしないで1日中冒険ゴッコに夢中になってスリ傷だらけで帰ってくる…。あちこちでイタズラをして怒られては大きなタンコブをもらってくる…。そんなどうしようもないワンパク小僧がウチにはいました。ワンパク小僧が泣いた日…。大好きだった父親にもう2度と会えないとわかった日。あの日からワンパク小僧は駆け出しの冒険者になりました。ジャスティンという名のその冒険者はお人好しで単純でオッチョコチョイでとても一人前とは言えません。けれどいま彼は歩きはじめました。自分自身の足で…。夢にひたむきなその姿を見る時、私は誇りを持って言えるんです。『この子が私の息子です。』と。お願いします、ガウスさん。赤毛の駆け出しの冒険者の夢を、私の息子の夢を…どうか応援してやってください!」
「…。母さん…。…知って…たんだ…。あれ?まだ続きがある…。」
「こらっ、ジャスティン!おまえのことだから勝手に開けて読んでるんでしょ!ちょっとは成長したと思ったのにそういうトコはワンパク小僧のころとちっとも変わらないねえ。いいかい、体だけは気をつけて。『冒険者は体が資本』って言うだろ。これは父さんの受け売りだけどね。それから…最後にひとつだけ。どこへ行ってもおまえらしさだけはなくさずに思いっきり夢をかなえておいで!行ってらっしゃいジャスティン!!」
「…母さん、ありがとう…。行って…きます…。オレ行ってきますっ!!」
新大陸エリンシアへと向かう渡航船は朝焼けの中、鳥の鳴き声に包まれて港を離れた。

新大陸を目指す渡航船は航路を順調に進んでいる。
ジャスティンは船内を散策して周るが、その過程で大きなリボンをつけた可愛い女の子の目撃証言を多数得る。
更に散策を進めると、ジャスティンは船内の廊下でプーイを発見してしまう。
なんでこんなところにプーイが!?とジャスティンは後を追いかけ甲板に出た。
「…あんたたちねぇ、何回おんなじこと聞けば気がすむの?あたしはジャスティンの付きそいなの!」
「やっぱりスーかぁっ!」どうやらスーはジャスティンを追いかけて密航してきたらしい。
そして船員に見つかり、タルに詰め込まれ顔だけ出された状態で囲まれている。その横で船長が困っていた。
こんな小さな子供の密航者は始めてだが、海の掟に従い密航者はタル流しにせねばならないと言う。
子供だから見逃してくれというジャスティンに海の掟を破れば精霊のたたりがあると言う船長。
問答の末、船長は船の乗組員になれば精霊のたたりは回避できるかも知れないと、ジャスティン達に提案した。
こうしてジャスティン達は新大陸に着くまで見習い船員として乗船する事となった。

連日のように甲板掃除を申し付けられ扱き使われるジャスティンとスー。
ある時、他の乗組員から明朝海の上で新しい乗船客を迎える話を聞く。
その客はニューパーム(新大陸にある街)で一番の冒険者で、人の住んでいない小さな島で古い宝の探索をしていたそうだ。

その夜船室で、冒険者について色々考えを巡らすジャスティン。スーはその横で眠っていた。
「なあスー。ニューパームで1番の冒険者ってどんなヤツだと思う?やっぱさぁ、冒険者っていうぐらいだからひげモジャで筋肉モリモリの大男なのかなぁ?」
「ムニャムニャ…。そうそう、きっとさぁ、腕なんか5本ぐらいあんのよ、ムニャムニャ…。」
「ちぇっ!ネボケてらぁ…。でも、冒険者に会ったらどんなこと聞こっかなぁ。トラップのはずしかたにモンスターの弱点…。かっー!今夜は眠れそうにないや!!」

明朝。乗船してくる冒険者に会うために甲板に急ぐ二人。その途中で踊っているような船員を見つける。
何をしているのかと聞くと、イカス冒険者や船乗りの挨拶、ハイタッチを練習しているのだと言う。
一人前ならできなくてはいけないと言われ、ジャスティンもその隣で踊り始めてしまう。

甲板に上がると既に冒険者は乗船していた。他の船員達と和気藹々と会話をし、ハイタッチをしている。
ニューパームで1番の冒険者はジャスティンとそう年が変わらない緑色の髪の少女だった。
周りには数多くの宝箱が置かれ、捜索の成果を物語っている。
「また名を上げたな、フィーナ。」船長がフィーナと呼ばれた冒険者に声を掛ける。
「元気な顔が見られてうれしいよ。」「久しぶり船長!船長も元気そうねっ!」
「まだ信じられんよフィーナ。伝説の海賊ウォーレンの『黄金の遺産』をこの目で見ることができるとは…。」
「ふふっ、スゴイでしょ。正直言ってちょーっとてこずったのよ。もう次から次へとトラップのあらし!性格悪いったらありゃしない!でも、ドジな冒険者ならともかく私ならひっかかったりしないわ。最後の最後で大きな岩に追いかけられたときは、ちょっとヤバかったけど。」武勇伝を語るフィーナを船長は立ち話ではもったいないと制し、続きは船長室でゆっくりと聞かせて貰うと言った。

船長室に向かう船長とフィーナ。そこでジャスティンとスーと鉢合わせる。
「あれっ!?あなたたち2人はだれ?はじめて見る顔ね。」突然声を掛けられジャスティンは照れる。「えっえーと。オ、オレはジャスティ…」
「わーっ!女の子ぉ!?新大陸で1番の冒険者って女の子だったんだぁ。カッコイイ~!それに美人だわぁ。ねえっ、ジャスティン!」
「ふふっ、ありがとう。」船長に2人を紹介して欲しいと頼むフィーナ。船長はジャスティンとスーを見習い船員として紹介した。
それを聞いて、改めてジャスティンとスーによろしくねと挨拶するフィーナ。
「ねえねえジャスティン!手ぇあげてパンッってするアイサツあたしたちもしようよぉ!!」
「よォし、さっき練習したもんなっ!オレ…ジャスティン!!よろしくっ!」ジャスティンはハイタッチをする為に手を掲げた。
「…!あはははっ、知らなかったのね?それは一人前になってからするアイサツなのよ。」フィーナは笑顔でジャスティンの手を下ろす。
「ハイッ、今はあ・く・しゅ!一人前の船乗りになるまでハイタッチはとっときましょうね。2人とも船のお仕事がんばってね。」
フィーナと船長がその場を去る。
「ちぇ~っ!子供あつかいされちゃったよ。てんで相手にされないや…。」
「でも…カッコいい~!あたしもあんなふうになりたいなぁ。」「新大陸で1番の冒険者かぁ…。たしかにかわいかったよなあ…。」

翌日も甲板掃除に出かけたジャスティンとスー。しかし、甲板は既にピカピカに磨かれていた。
「ねぼすけじゃいつまでたっても一人前の船乗りにはなれないわよっ!」甲板で待ち構えていたフィーナが笑顔で言う。
フィーナはジャスティンとスーに興味を持ったらしく、掃除をしながら二人と話がしたかったらしいが、
二人が起きて来るのが遅かったために掃除を終えてしまったようだ。

直ぐに打ち解ける3人。フィーナはジャスティンが船乗りではなく冒険者を志してる事を知る。
そして、冒険を始めた経緯や現在船乗りをしている経緯をフィーナに伝えた。
「…ってわけなんだ。な♪オレもリッパな冒険者だろ?」「ね!?ジャスティンが悪いってわかったでしょ?」
「アハハハハハ!!2人がとっても仲よしだってよ~っくわかったわ!ハハハ…おっかしい。こんなに笑ったのひさしぶりよ!」
自分達ばかり話すのはずるい、フィーナの事も教えてとスーが切り出す。
「あたしたちニューパームの冒険者協会に行くの。フィーナも入ってるのよね?」スーの質問にフィーナは表情を曇らせる。
「え…ええ…。もちろん入ってるわ。」
「ようしっ!オレも冒険者協会に入るぞ!そんでもってバリバリ冒険するんだ!!」
「…そうね…。そのときはいっしょに冒険しましょうか。きっと楽しいわよ!」
歓談が続く。フィーナはニューパームで現在1人暮らしをしているらしく、過去には姉と共に暮らしていたのだと言う。

突如空が曇り、辺りが暗くになる。
「…いやな風ね。そういえばいつのまにかカモメたちが…。私…ちょっと船長に会ってくる。ジャスティンとスーは船長室にもどったほうがいいわ。じゃあ!」
そういうとフィーナは船長室の方へと走っていった。
周りを見渡すと先ほどまで飛んでいたカモメが一羽もいなくなっていた。ジャスティンは何か面白そうな事が起きそうだとワクワクしていた。

ジャスティンとスーが船長室へと向かった。フィーナが嫌な予感がすると、航路の変更を提案していた。
船長は不安がっている。
「…しかしフィーナ…。おまえのイヤな予感ってのはもしかしてウワサの幽霊…」
「またあの船の話なの?やめてよ、あんなのただの迷信よ!」
「ええっ、幽霊船だって!?オレにも教えてよ、その話!」ジャスティンが食いつく。
しかし「ジャスティン。聞こえてなかったの?私は船員室で休んでなさいと言ったはずよ。」とフィーナに窘められた。
「なんだよォケチ。ちょっとくらいいいじゃんよ。」「これは子供の冒険ごっことはちがうのよ。いい子だから言うとおりにしてちょうだい。」
別の船員が船長室に駆け込んできた。船員はフィーナに看板に来て欲しいと言う。
フィーナは船員と共に船長室を出て行った。後に残った船長は恐慌状態に陥っている。
「こ、こうしてはおれん!ホントに例の幽霊船ならワシらはオシマイだ!!」
スーは船員室に行こうというが、ジャスティンは大冒険の匂いがすると言い、甲板に向かう事になった。
室内から出ると、辺りには怪しい霧が立ち込めていた。
あれを見てとスーが言った。スーが指し示す先には波間を漂う幽霊船の姿があった。
「すっげー!本モノの幽霊船だ!!すっげー!!」「うっわぁ~。ムードたっぷりってかんじ~。」全然物怖じしない二人…。
「よーし、決めたぞ!オレの初めての大冒険はあの幽霊船退治だ!」

近くからフィーナの怒声が聞こえてくる。「情けないわね!この船にはホンモノの海の男ってのは乗っていないの!?」
二人は声のする方に向かった。「いまはっきりしていることは…、あのナゾの船をなんとかしないかぎり私達は生きてエレンシアにはたどり着けないってことよ!このままじゃ船乗りだけじゃなくお客さんたちまでまきこむのよ!船乗りの意地と根性を見せなさい!さあ船長!みんなをまとめるのよ!」
しかしフィーナの訴えは届かない。「…ダメだ、もうおしまいだぁ!ホントに幽霊船があらわれるなんて!!ここでみんな死んでしまうんだぁ!」船長は恐怖に顔を引きつらせていた。
「あれはただの難破船よ!幽霊船なんて迷信に決まってるわ。とにかく船を立てなおすのよ!!」
「だがな…、あの船があらわれてからこっちの船は動かなくなったんだ…。エンジンをフル回転してもな…。」
「もォ…しっかりしてよ!!力を合わせなきゃ海のモクズよ!」他の船員達もすっかり怯えている。
船のナゾを解き明かす為に一緒に難破船に乗り込もうと協力者を募るが誰も応じなかった。
「心配するなっ、フィーナ!オレ達がいっしょにいってやるよ!」
「ジャスティン…。さあ、みんな!こんな子供でさえ勇気を見せてくれているのよ!あなたたちの中には私といっしょに行く勇者はいないの!?」ジャスティンは華麗にスルーされてしまった。
それでもオレが幽霊退治してやるよと食い下がるジャスティン。
幽霊なんてもの信じたらとても冒険者なんてやってられないと、幽霊の存在を否定するフィーナ。
「ジャスティンたちはこの船でおとなしく待ってて。」足手まといを連れて行ける程あの船は甘くないとフィーナは頑なに拒否し続けるがついに折れ、足手まといになったら直ぐに帰ってもらうことを条件にジャスティン達の同行を許した。

幽霊船の甲板から降りる3人。そこは真っ暗闇であった。
「わぁ真っ暗でなんにも見えないよぉ。」「2人とも…油断しちゃダメよ。足もとに気をつけて。」
「な~に言ってんだよ。一流の冒険者ならこんなところ…。…?なんだこれ…?なまあったかくて…ぷよぷよ…。」
「キャーッ、ジャスティンのエッチ!!」ジャスティンは平手打ちを食らい目から星を出してしまう。
「イッッッッテェェェェェーッ!!」明るい場所に出ることができた3人。「もう!ジャスティンったら変なとこさわんないでよ!」
「いって~な!前にいるクセに急に止まるから悪いんだろ!!だいいちヘンなトコってどこだよ!?」
「ジャスティンのエッチ!知らないっ!…さぁとにかく急ぎましょ!グズグズしてられないわ。」
「やーい、ジャスティンのエッチ~!」スーがジャスティンを冷やかした。

幽霊船の船内はいかにもオドロオドロシイ雰囲気だった。
船内に掛けられたトラップにジャスティンが引っ掛かりそうなところをフィーナは身を挺して庇う。
3人力をあわせ船内の探索を続け、船長室の前に差し掛かる。そこでフィーナは何かの気配を感じた。
「気をつけて!イヤな気配がするわ…。猛獣がエモノをねらっている気配よ。」
「だってフィーナ。これ幽霊船なんだぜ。エモノなんてどうやって取るんだよ。」
「ジャスティン…、エモノならここにいるじゃない。」

船長室の中に入った3人。机の上に航海日誌があるのを発見した。
「我々の船はついにヤツの触手につかまってしまった。もはや最後の決戦をいどむしかあるまい。あの呪われた怪物を倒さない限り、我々の航海に明日はない…。」航海日誌はそこで終わっていた。フィーナが何かの気配を感じるといった直後、船長室は大きく揺れる。
そして床を突き破り、巨大なイカの怪物が3人に襲い掛かった。

何とか怪物を退治した3人。
「この船に乗ってた人たちはみんないまの怪物におそわれて…?」「まちがいないわ…。こうして船をおそって人間をエサにしていたのね。」
船全体が揺れだし、沈み始めた。3人は急いで幽霊船からの脱出をはかる。
船の沈没は止まらず脱出経路も閉ざされ焦るスーだが、「脱出のときのことまで考えておくのが一流の冒険者ってものなのよ!」とフィーナが道を開く。
3人は元居た船に生還する事ができた。

生きて戻った3人を出迎える船長他船員達。幽霊退治の方が甲板掃除より楽だったと息まくジャスティン。
イカを倒したことで船も動けそうらしい。すっかり冷静さを取り戻した船長がフィーナに礼を言う。
「よくやってくれたよ、フィーナ!これで新大陸に向かえるぞ。やっぱりおまえはたよりになる…。」
「あらっ、船長!私だけじゃなくてジャスティンたちにもお礼を言わなきゃね。私たち3人で力を合わせたから幽霊船退治がうまくいったのよ。」
ジャスティンとスーが活躍したことに驚く船長。余り期待していなかったようだ。
「正直言うと…私もおんなじだったんだけど…。ちゃ~んと冒険者してたわね!はじめての冒険としては100点満点じゃないかしら!なかなかイカシてたわよ。ジャスティン。」
「エ、エヘヘ…。まぁそれほどでも…。なんかテレるなぁ…。」ジャスティンが照れくさそうに頭をかいた。
「なんだかジャスティンらしくないわねえ。顔まで赤くなっちゃってるもの。」「ぷうぷ~う♪」
「ばっ…、なに言ってんだよ、スー!!」「アッハッハッハッハッ!」「アハハハハッ!」

その後、航海は順調に進みニューパームまで間も無くのところまで来た。
「見えたぞ!あれだ!!」「あっ!?待ってよ、ジャスティン!」船の先端まで駆けるジャスティンとスー。
遠くの方に陸地が見えた。
「すっごぉ~い!!ねえジャスティン!あんだけ広かったらた~っくさん冒険できるね!」「ぷうぷうぷう!!」
「あはははっ、プーイったら心配しなくてもおいしい食べ物だっていっぱいあるわよ。ね、ジャスティン!…ねえ聞いてんの、ジャスティン?ねえったらねえ?」「…ああ…聞いてるよ、スー…。」ジャスティンは目を丸くして陸地の方を見ていた。
「新大陸…。…本当にきたんだ…!」「…。なにが待ってるのかなぁ…。楽しみだね。ジャスティン。」
そこにフィーナがやってくる。「おはようっ、ジャスティン、スー!」「あ、フィーナ!」「ん~、ひさしぶりのニューパームね。…そっかあ、2人とも新大陸ははじめてだっけ…。ようこそニューパームへ!夢と希望の大陸エレンシアへ!!2人を大歓迎しまーす。」
「ユメと…キボウの大陸…。」「…ジャスティンの夢はきっと実現するわ…!」

船が港に着く。船を下りたジャスティンとスーはおおはしゃぎで駆け回る。
後から降りてきたフィーナにこの後どうするかと聞かれ、ジャスティンは母親の紹介状を持って冒険者協会へ向かうと答えた。
フィーナも着いてきてくれると思っていたスーだったが、フィーナはワケありで付き添えないとの事だった。
「私の家、ニューパームの街を出てメリル山道を越えたところにあるからよかったら遊びにきてね!」
「ああっ!こっちで落ちついたらきっと行くぜ!」「またねっ。フィーナ!」
別れ際にフィーナはジャスティンとハイタッチをした。そして、ジャスティンには冒険者の素質があると言い残しフィーナはその場を去った。

フィーナと別れた後、ニューパームにある冒険者協会へと向かう2人。受付のお姉さんに話し掛ける。
「ようこそいらっしゃいませぇ!どのような冒険をお望みですかぁ?私ども冒険者協会ではお客さまの満足のゆく冒険をた~っくさんご用意してまぁす!」
「冒険を用意してる?言ってる意味がイマイチ…。」ジャスティンがぽかーんとした顔をしている。
「まっいいや!オレ達アレントに行きたいんだ!あのエンジュール文明のさ!」「エンジュール文明のアレントですか?あいにくそういったツアーは用意されてませんねぇ。エンジュール文明の遺跡でしたらこの町のはるか南にドム遺跡というのがございますが…。」
「それだっ!ドム遺跡へ行けばなんかわかるかもしれない!ねえ、どうやったら行けんの?」
「残念ですがお客さま、ドム遺跡行きツアーは危険ですのでこちらでは取りあつかっておりません。」
「危険だから行けないって…。それじゃ冒険にならないじゃんか!」「もしかしてあなた、冒険者になりたいの?…なぁ~んだ、はやく言ってよ。じゃ冒険者協会の会員にならなきゃね。会長から許可をもらうのよ。奥の部屋が会長室になってるわ。」
「会員になったらドム遺跡まで案内してもらえるかな?」「あんなトコ行く人いないわよ。会員になれば新大陸エレンシアの地図がもらえるの。自分で行くしかないわ。あっ、そうそう…合言葉を聞かれたら『私はパコンさまのシモベだヨン』って答えるのよ。わかった?」「パコンさま…?母さんの手紙には『ガウスさまへ』って書いてあったような…。」

奥の会長室に向かう2人。入り口で例の合言葉をいい、部屋に入った。部屋の中にはだらしない顔をして鼻を垂らしている青年が椅子に腰掛けていた。
「ボクが冒険者協会の会長のパコンさまだヨヨヨ~ン!ボクになんの用だ?」
「ええ~っ!おまえが会長!?うっそだぁ~!!たしか冒険者協会の会長はガウスって人のはずだろ!?」
「ガウスお父さまはとっくのむかしに死んじゃって、今はこのボクが会長だヨヨヨ~ン。」
亡くなっているなら仕方がないと、リリィからの手紙をパコンに見せると、協会の定員は一杯で他の冒険者からパスを受け取らなければならないヨヨ~ンとか言われる。パコンは現在の協会の会員証を2人に見せた。
会員証はフィーナの絵が表紙に貼ってあり、そのうえ下品なピンク色。「な~んかまるでデキの悪いブロマイドね。」
「フィーナちゃんの表紙がサイコーにカワイイんだヨヨ~ン!フィーナちゃんは協会一の冒険者で…、このボクの婚約者なんだヨヨ~ン!ボクたちラブラブカップルでもうすぐ結婚するんだヨヨ~ン。」
「うっそだろ~!?なんでフィーナがおまえみたいなヤツと結婚するんだよ!?」
「な、な、なんてシツレイなことを!もうおまえなんかゼッタイ冒険者協会に入れないヨヨ~ン。」
「へ~ん、こっちからおことわりだ!冒険者協会なんかに入んなくたって冒険は1人でもできらぁ!」
ジャスティンは会長を怒らせてしまい、冒険者協会への入会は断念せざるを得なくなった。

他にあてもない2人はフィーナの家を訪ねることになった。
訪ねてきたジャスティンとスーを快く迎えるフィーナ。3人はフィーナが作った料理を食べつつしばし歓談する。
「フィーナってここで1人暮らししてんだろ?さびしいとか思ったことないの?」
「そうねえ…、ジャスティンがいっしょにいてくれたらさびしくないんだけどなぁ…。」
「ダッ、ダメだよ。冒険だってあるし…。」とまじめに答えるジャスティンにフィーナは冗談よと笑ってしまう。
冒険者の会長とは本当に婚約しているのかと聞くと、それはパコンが勝手に言い振らしているだけど答えるフィーナ。
それを聞いて2人は安心した。どうやら、冒険者協会へ付き添えないというのはそれが理由だったらしい。
「フィーナ、オレ達といっしょに冒険しないか?伝説のエンジュールを探しにさ!」
「メッシナ大陸のサルト遺跡だっけ?もし古代文明がホントに動いてたとしたらステキね。」
「ホントに動いてたのよ、フィーナ!リエーテって女の子が言ったの!アレントを目指せって!」
「ええっ、ホントの話だったの!?じゃその精霊石も本物ってこと!?私てっきりジャスティンの夢かと…。」
ジャスティンはフィーナに地図を貸してくれと頼んだ。フィーナは冒険者協会に入れば地図が貰えると答えるが…。
「冒険者協会に入るのはやめた!あんなヤツら冒険者じゃないよ!あれじゃまるで観光ガイドじゃないか。」
「でも、フィーナはちがうよね!ちゃ~んとした冒険者だもんねっ!」
それでも協会の規則では冒険者じゃない人には地図を渡してはいけない事になっているとフィーナは言う。そして自分の地図を渡してしまったら自分が仕事が出来なくなってしまうとも。
ジャスティンは再度ドム遺跡ヘ一緒に行こうとフィーナを誘う。誘ってくれと有難うとフィーナは答えた。だが顔を俯く。
「でも…やっぱりダメよ。冒険者協会の規則で許可のない冒険はしちゃいけないことになってるの。」
「なんだよフィーナ!さっきから規則規則って…。冒険者が冒険しちゃいけない場所なんてこの世界にあんのかよ!?」
「ジャスティン、プロとアマチュアをいっしょにしないで。きちんとルールを守って冒険する。それが私たちプロのやりかたなの。規則を破った冒険者はパスを没収されて協会を追放されるわ。ジャスティンにもわかるでしょ?冒険できなくなることが冒険者にとってどんなにつらいことか。だから私にとってこのパスは…。」
「ちがうっ!パスがなきゃ冒険できない。協会が許さなきゃ目的地も選べない。そんなんで冒険者って言えんのかよっ!風が吹く場所はだれにも決められない。それを決められんのは風だけだろ!冒険者だってそうじゃないのかよっ!!」「…。」
「なんでだまってんのさ、フィーナ。フィーナは協会のヤツらとはちがうんだろ?なっ!」「そ…それは…。」
フィーナはジャスティンに答えを返す事ができなかった。少しの静寂の後、外から怪しげな音楽が聞こえて来る。

「…フィ~ナちゅわ~ん!むかえにきたヨヨヨ~ン!!」誰が訪ねてきたか3人は直ぐに気がついたが、
フィーナは2人を制し1人で外に様子を見に行った。直後フィーナの叫び声が聞こえ2人は急いで外に飛び出す。

外ではフィーナと向かい合うようにパコンとそのお供達が居た。
パコンはフィーナに求婚を断られ続けてついに強硬手段に出たのだった。結婚する気はないと頑なに拒むフィーナ。
「もし結婚してくれないなら、フィーナちゃんの冒険者パスは取り消しにしちゃうヨヨヨ~ン!そしたらもう冒険なんかできなくなるんだよヨヨ~ン!」
「パコン…!それとこれとはぜんぜん関係ないことでしょう!」
「おい、パコン!おまえ最っ低だぞ。フィーナはおまえが大キライなんだよ。わかんないのかそれぐらい!」
「なんでおまえがフィーナちゃんの家にいるんだヨヨン?おまえフィーナちゃんの何なんだ?」
「な、なにってそりゃあ…。う~ん…。やっぱ友達…かなぁ?」
「ちがうわ!ジャスティンはわたしの…、わたしのフィアンセ!婚約者なの!!」事態は更に混沌としてしまう。
フィーナはジャスティンに話を合わせるようにと耳打ちをした。
それを聞いたパコンは可愛そうなフィーナちゃん、その男にだまされているんだね、と更に勘違いを深める。
そして、パコンは連れて来た用心棒を呼んだ。「…チャン先生!カモーン!」
「アチョー!」と一声、ボクシンググローブにサングラス、半袖短パンで筋骨隆々な男がジャスティン達の前に現れる。
そしてシャドウボクシングを始めた。チャン先生と呼ばれた用心棒は突如ジャスティンに襲い掛かりストレート一発でジャスティンを気絶させてしまった。

ジャスティンが意識を取り戻すと、そこはフィーナの家の中だった。スー曰く、フィーナは結婚式をする為にパコン達に連れていかれてしまったらしい。
2人はフィーナを奪還するためにニューパームへと向かった。

裏口を使用し何とか結婚式が行われている教会に忍び込む事に成功した2人。奥でフィーナとパコン、それに神父を発見する。
神父もパコンの手の者なのか、神父が誓約の言葉を述べている。
フィーナはヴェールに猿ぐつわ、足には鉄球が付けられていた。更に式を進行していくパコン。こういう所はかなり手際がいい。
そして誓いのキスをする時…
「フィーナちゃん…ついにキッスだよ。ボクのほうからリードするからね。さぁサルぐつわをはずそうね。だいじょうぶだヨヨン。まずはかる~くチュッとね。ホ~ラ、体の力をぬいて…ヨヨン。」間一髪でジャスティン達が飛び込み間に割ってはいる。
「いますぐフィーナからはなれろっ!オレのフィーナにそのハナミズを1滴でもつけたらぶっ殺すぞ!」
「ヨッ?ヨヨヨ~ン!?」「ばふひん!!」サルぐつわを付けられている為に変な発音のフィーナ。
「フィーナを自由にしろ、パコン!こんな結婚式なんかぶっこわしてやる!!」
「そ~よそ~よ!結婚式は女の子の夢なのよ!こ~んなのぜったい許せない!!」
パコンは邪魔させないと再びチャン先生を呼んだ。2度もやられる俺じゃないとジャスティンとスーは戦いを挑む。

何とかチャン先生を撃破する2人。パコンは今までの何倍もの鼻水だけでなく涙も涎も垂流す。
「あ~ん!あ~ん!なんてことするんだヨヨ~ン!!結婚式がメチャクチャだぁ~!!」
元々メチャクチャなんだよ、こんな結婚式があるもんかとジャスティンが言う。
あくまで結婚は会長命令な為、それに逆らうなら冒険者のパスを剥奪すると言うパコン。
「今なら許してあげるヨヨン。さあフィーナちゃん、ボクのムネに飛び込むんだヨヨ~ン。」
「フィーナっ!こっちにくるんだ!オレ達といっしょに帰ろう!!」パコンの方に歩み寄るフィーナ。「フィーナっ!!」
「ほ~ら、できるワケないヨヨン。パスがなくなったらもう2度と冒険できないもんね。」フィーナは首を横に何度か振る。
「パコン。この冒険者パスはあなたに返すわ。もう私には必要ないの。」「な、なに言ってるんだヨヨン?」
「…私、やっと思い出せたわ。冒険者は自由な風なんだってこと。」「フィーナ…!」
「…どうして忘れていたんだろ。ずっと風や雲のように生きようって、私たちは冒険者の道を選んだのに…。風が吹く場所は誰にも決められない。こんなパスなんかに冒険者の心はしばられたりしない。」フィーナはパコンにパスを渡す。
「さよなら。あしたから私は風になるわ。私の吹く道は私が決めるの。」「あ~ん、フィーナちゃぁぁ~ん!」

教会を出る3人。そこには式の終了を待つ人たちが道を作って待っていた。
ご結婚おめでとうと、祝福する人々。出てきたのはパコンじゃない事に驚いたが、めでたければ良いとジャスティンとフィーナの結婚を祝福してしまう。
顔を真っ赤にして照れる二人をスーは冷やかすのだった。

フィーナの家に戻った3人。
「私…いつのまにか冒険者教会で決められた冒険だけが本当の冒険なんだって思い込んでた。…おかしいでしょ?協会ができるよりずっとずっと前から冒険はあったはずなのに…。ジャスティンが見てるもの。私も見てみたい…。でも…。」「フィーナ…。」
「…今日はもう寝ましょ。ジャスティンたち、明日もはやいんでしょ?」

明朝。目を覚ますジャスティン。横にはスーがまだ寝息を立てていた。ジャスティンはフィーナの家を出る。
フィーナは外にいた。山に吹く風に身を任せている。
「う~ん、気持ちいい朝…。おはようっ!ジャスティン!どう?ゆうべはよく眠れた?」「えっ?あ、ああ…。」「そう…。」
「ねえ、ジャスティン。この風がどこから吹いてくるか知ってる?この風はね。あの山の向こうで生まれて鳥の声や森の香りを運んでくるの。ゆうべずっと考えてた。風はなにを見てるのかなって。風になっていっしょに飛んだら、ジャスティンが見てるものわたしにも見えるかなって…。」「フィーナ…。」「わたしは風が好き。ずっと忘れてたこんな気持ち、あなたが思い出させてくれた…。行きましょう、ジャスティン。いっしょに風の向こうへ!!」「ああ!行こうフィーナ!!で、出発はいつにする?」
「もちろん…、これからすぐよ!いまのこの気持ち…、この瞬間は待ってくれないもの!」

場面が変わりガーライルの飛行船内に。
バールは玉座に座り、ミューレンとリーンが何かの報告をしている。
「…どうだ、ミューレンよ。最後のかけらは見つかったのか?」「残念ながらいまだ…。」
「かけらがすべて集まらなければ『ユグドラシル計画』は最終段階に進めん。一刻もはやく探しだすのだ。」
「いまドム遺跡の近くの樹海で1つの作戦を展開しているところです。うまくいけば新たな情報が…。」
「…例の件か…。たしかになにかつかめるかもしれぬな。よい結果を期待しておるぞ…。」

3人はニューパームの南にあるラングル山脈を越えドム遺跡に向かうことになった。
ドム遺跡はラングル山脈を越えた先の砂漠にあるのだという。

ラングル山脈で夜営する3人。焚き火を囲んで3人はそれぞれの昔の話をする。
フィーナは、いつもとても優しい姉と一緒に居たが、姉は2年前突然ガーライル軍へ行くといって家を出たきり消息が判らないのだと言う。
スーはサルト遺跡で出会った女の軍人を思い出す。
「もしかしてあの中の1人だったりして。」「なに言ってんだよ、スー。あんなブスで性格の悪いヤツらがフィーナの姉さんなもんか!」
「たしかに性格の悪い3人組もいたけど、金髪の軍人(ミューレン)のそばにいた人はキレイでおとなしそうだったじゃない。」
「う~ん…。」「でも、元気でいるといいね。フィーナのお姉さん。」「そうね…。ありがとう、スー!」
話題はアレントへ。フィーナもアレントという名前は知らないらしい。そして、ドム遺跡の先には霧の樹海、その先には世界の果てがあり、アレントに該当するような場所はないのではないのかと推測した。
世界の果てまで行けば判るとジャスティンが言う。それを聞いてフィーナは驚いた。霧の樹海から生きて帰ってきた人間すらいないのに世界の果てに行くなんてとんでもないことだと。
「フィーナ…、まだわかってないんだな。冒険者には不可能の文字はないんだ!できなくたってやるんだよ!!」
「ジャスティン…。あなたの言うことって実現する気がする。うん、ぜったいやれるわよね!」

明朝。フィーナは既に目を覚ましており、ジャスティンとスーをテントの外で迎える。
「おはようっ2人とも!気持ちのいい朝ねっ!」「わぁっ!フィーナ、いつも早起きねっ!」
「オホンッ、そんなことじゃ一人前の冒険者になれるのはまだまだですねぇ。」
「あはは、やめてくれよフィーナ。船の甲板そうじではじめて会ったときとおんなじだよ、これじゃぁ。」

フィーナがその場から見える景色をジャスティンとスーに説明する。
眼下には霧に包まれた樹海が広がっていた。「うっわぁ~ぁ!ひっろ~い!あれがぜ~んぶ霧の樹海?」
「フィーナ…、霧の樹海はわかったけど世界の果てってのはどこなのさ?」「ちがうわよ、ジャスティン。もっとず~っと上を見るのよ。」
朝日の方向を見る3人。そこには雲を突き抜けて巨大な壁が立ちふさがっていた。
「でええええッ!!もしかしてあのでっかいカベがぜんぶ世界のはてぇ!?」「そうよ、あれが世界の果て。どう、ナットクした?あそこで世界が終わってるのよ。」
「う~ん…、でもやっぱさ、近くまで行ってみないとな!自分の目で確認しなきゃダメさ!!ちっくしょー!メチャ燃えてきたぜ!ずえったいにあの樹海の中にアレントが待ってるんだ!!」
「ふふふっこの景色をみたあとで燃える!なぁんて言いだした人はあなたがはじめてよ、ジャスティン。」

ドム遺跡を探索する3人。遺跡の最深部でサルト遺跡と同じような宝珠を発見した。
ジャスティンが精霊石をかざすと、アレントのリエーテが再び姿を現した。
「ようこそ、ジャスティン。精霊の祝福に導かれし者よ…。精霊の祝福を遮るものはこの世界には存在しません。そして、その精霊の光と共に始まった私達の文明にも。私達の文明はどこまでもどこまでも広がって行きました。そしてエンジュールはこの大地の裏側までも覆い尽くすほどの繁栄を遂げたのです。あなたが今いるその建物もその時に遺されたもの。東に進みなさいジャスティン。このアレントはその場所から遥かな道。あなたは更に遥かな道のりを歩かねばなりません。」
ここより東は直ぐに世界の果てだとジャスティンは言った。「教えてくれよ。アレントは一体どこにあるんだ!?」
「…世界に果てなど存在しないのです。ジャスティン。」
そういい残すとリエーテは消えた。
世界に果てなんてなかった!ジャスティンは歓喜する。冒険はまだまだ続くのだと。
霧の樹海と世界の果てをどう越えるのか、いつもの如くノープランだが、
「だれも行ったことがないんなら、だれも帰ってこなかったんなら、これオレが最初の人間になるさっ!!」

霧の樹海や世界の果てに挑む前に準備が必要だろうと、フィーナは一度ニューパームに戻る事を提案する。
3人はニューパームへ向かうがその途中で、角が生え、人間と比べて耳も大きく、尻尾も生えている子供が大怪我をしているのを発見する。
子供は血を流し、気を失っていた。子供は目を覚ますとうなり声を上げジャスティンに噛み付いた。そしてまた気絶してしまう。
放っておけないと、ジャスティンが背中に背負い、フィーナの家で手当てをする事にした。

その場を離れたジャスティン達と入れ違うようにガーライル軍のナナ、サキ、ミオとその部下達が現れる。
どうやら、先ほどジャスティン達が保護した子供を追っているようだった。
血の跡を見失った3人は、軍用犬を使って捜索するために一度基地に戻ることとなった。

フィーナの家に着いた後、子供看病にあたる。治療は功を奏し、子供の容態は介抱に向かった。
噛み付いてきた時とは打って変わって友好的な表情を見せるが、ジャスティン達が話す言葉は一切通じない。
何とかコミュニケーションを取ろうとするが、その時、周りにけたたましいキャタピラ音が響く。
ジャスティン達はあっという間に3人娘の指揮するガーライル軍に包囲されてしまった。
「やっと見つけたわよ!まったくケモノのくせにアタクシたちの手をわずらわせるなんて…。」
保護した子供がガーライル軍を見て敵意をむき出しにする。「な、なんだおまえらっ!」
「見ればわかんだろ!あたしたちはガーライル軍だよ。その亜人をよこしな!!」
「あじん?…亜人ってこの子やっぱり人間だったのか!」
「あら…あなたとそこのチビちゃんはたしかサルト遺跡で会いましたわね。変なところで再会しますこと…。あなたがたに選択権はないのですよ。さあ、痛い目を見たくなかったらさっさとその子をよこしなさい。」
「いやよ!どうしてあなたたちはこんな子供をねらっているの!?」
「この子はオレ達が助けたんだ。ワケもわからないのにおまえらなんかに渡せるもんか!」「そうよそうよ!オウボウだわ!!」
「あ~っ!もうゴチャゴチャうるさいねぇ!横暴の意味も知らないクセに!亜人は軍の計画の重要機密なんだ。とっとと返さないとおまえらみな殺しだよ!!」「重要機密だって!?ガーライル軍の計画の!?」
勝手にしゃべられたのだが、重要機密と知られては放って置けないとジャスティン達はガーライル軍の基地に連行されてしまう。

投獄された3人。ジャスティンとスーは同じ牢獄に入り、フィーナは別の牢獄に入れられた。
ジャスティンとスーは小芝居をうち、看守を気絶させ牢屋を出ることに成功する。フィーナの牢獄へ向かうが、鍵を開ける事ができず、鍵を探していると軍人に包囲されてしまい、再度投獄されてしまう。
ジャスティンは縄でぐるぐるに巻かれて天井から吊るされ、スーとフィーナは別の牢屋に一緒に押しこまれた。

ジャスティンの牢獄にリーン中尉がやってくる。
「ジャスティンと言ったわね。バカなマネをしてくれたものだわ。」
「なに言ってんだよ!!サルトのときもひどい目にあわせやがって。いますぐこのナワをほどけ!フィーナに会わせろッ!」
「だまりなさい!勝手に口を開くことはゆるしません!!おまえたちは軍の秘密を知りすぎたわ。古代文明、そして亜人…。おまえたち3人の処分は1週間以内に決定されます。おそらく死刑となるでしょう。」
「このままおとなしく死刑なんかされてたまるもんか!ゼッタイ逃げ出してやるからな!!」「勝手に口を開くなと言ったでしょう!!」
リーンは吊るされているジャスティンに平手打ちを食らわす。クルクルと回ってしまうジャスティン。
「ちくしょーっ!よくもやってくれ…わ~っ!!」
と言いかけた時、逆回転が始まり、ジャスティンは目を回してしまう。
「う~ん…お、おぼえ…てろ…よぉ~。」「…。本気でここから逃げだせると思っているの?おまえ1人ならともかく全員で逃げるのは不可能ね。軍用列車でも盗まないかぎりは…。」「ううん…ぐ、軍用列車…?」「いまのおまえたちにできることは、刑が執行されるのを待つことぐらい…。それまでおとなしくしていることね。」
リーンはジャスティンの側を離れる。そして看守に次の作戦の指示があると別室で待機するように命じた。
小僧どもの見張りはよろしいのですか?と聞く看守に、これ以上さわぐようなら殺しても構わないとリーンは言った。
看守はその場を離れる。リーンは牢に施錠した。「せいぜい考えることね。刑の執行までまだ時間は十分にあるわ…。」
そして、牢屋の鍵を牢の中に投げ入れその場を去った。その行為に気がつかないジャスティン。
「ちぇ…、あの女おぼえてろよ!思いっきりひっぱたきやがって…。」
体をもぞもぞさせてロープを解くジャスティン。そして床に落ちている鍵を発見する。
「あのリーンって女が落としたんだな。へへへ…、けっこうマヌケなヤツ…。」
直ぐにフィーナとスーがいる牢獄へ向かう。
よく牢屋から抜け出せたわねと不思議に思うフィーナに牢の鍵を落としていったマヌケな奴がいて逃げれたと説明をするジャスティン。
「ふぅ~ん。ちょっと信じがたい話だけどその人のおかげで助かっちゃったわけね。」
そして3人は改めて亜人の子を助けることを決意する。

基地に張り巡らされたダクトの中を移動し探索するジャスティン達。(各部屋の会話は先頭のジャスティンしか聞く事ができない)
その一室でミューレンと亜人の子が話をしている所を目撃する。
ミューレンは亜人の言葉を操っていた。亜人の子は警戒を解かない。「ふむ…やはりムリか…。こんなにおびえていては…な。」
その場にリーンがやってくる。「…いかがでした、ミューレン大佐?亜人の村の場所はおわかりになりましたか?」
「いや…、おびえて心を閉ざしているのだ。村の場所どころか自分の名前すら言わん。ナナ達がやりすぎたのだろう。いつものことだがしかたないヤツらだ。あとで注意せねばならんな…。」「ミューレンさま…、あの亜人の子供をどうなさるおつもりですか?まさか…。」
「ふふ…。リーン、優しいな。おまえはそんなに気にかけていたのか?」「い、いえ…そんな…。」
「安心しろ。手あらなマネはしない。我々に正義があればこそ、今回の作戦に意味があるのだからな。…やはり前から話していたとおり例の計画でいくとしよう。さあ、グズグズするなリーン!」「はいっ。ミューレンさま。」二人はその部屋を後にした。

ジャスティンは更衣室を発見する。そこでは3人娘が着替えの最中であった。
「まったく新大陸ってあっついよなぁ。胸の谷間にアセモができちゃった。見てよ、ホラ、パンツの中も。」
「それは変ですわね。わたくしの計算によればサキに胸の谷間なんかないはずですわ。」
「2人とも暑苦しい話はやめてよ。こっちまで暑くなるじゃないの。」
「…それにしてもミューレンさまったらなんでサキなんかを選んだのかしら。アタクシに命令してほしかったのにぃ~。」
「へへ~ん!これでわかったろ?ミューレンさまはあたしを高く評価してくれてるんだ、ぜったい!!…ところでさぁ、あのケダモノの部屋のドアって『上上下下左右左右』でいいんだっけ?」
「あんたアタマの中にもアセモができてるんじゃなくって?『右左右左下下上上』でしょ!や~っぱりサキにはこの任務はム・リ。」
「2人ともぜんぜんちがいますわ。『右右左左下上下上』です。ちゃんと覚えてくださいね。」「そっか『右右左左下上下上』か…・よし!覚えたぞ!!」
「あのケダモノの前でクサい芝居して『しまった!』とか言えばいいんだから失敗なんかしないでよ。」
「こんなカンタンな任務を失敗するはずないだろ。チョイチョイっとすませてくるよ。」

亜人の子を閉じ込めてある部屋に辿り着いたジャスティン。3人娘が話していたパスワードを入力し扉を開ける。
「よ~し開いたぞ!あの3人の言ってたとおりだ!!」「着替えもみられたしねぇ。」「そうそう…。ってちょちょっとフィーナ!」
「ジャスティンったらサイッテー!」ばれていた…。

亜人の子を牢屋から解放した3人。亜人の子は木の実を3人に手渡す。
「う~ん…どくがあるようには見えないけど…。はい、ジャスティン、食べてみて。」
「バ、バカ!なにいってんだよ!オレ達仲間だろっ!?死ぬときはいっしょのはずだぜ!」
オーバーねと窘めるフィーナ。結局3人で一緒に食べる事になった。あまりの不味さにジャスティンとスーは駆け回り、フィーナは卒倒する。
「だいじょうぶ!?…ごめんよ、お兄ちゃんたち。そんなにまずかった?」
「…そんなにまずかったぁ…?あたりまえだっ!なんてモン食わせんだよ!!このオタンコナスっ!」「わっ!ごっ、ごめんよ!でもボク、オタンコナスじゃないよぅ。レムっていうんだ!」
「!ジャスティン!わたしたちその子の言葉がわかるようになってる!!」「え?そういえば…。ホントだ!!この子の言葉がわかるぞ!!」
「さっきの木の実は『コムヌケの実』さ。ボクの村に伝わっている『失われた文明の知恵』の1つなんだ。」
亜人の子を見事救出し、脱出劇が始まった。
行く手を阻むナナとサキとミオとその部下達を蹴散らし、ジャスティン達は軍用列車を奪う事に成功する。
そして、列車を何とか動かし基地を離れるのだった。

場面は軍の司令部に変わる。その場にいるのはミューレンとリーン。
「そうか…あの亜人の少年が脱走したか。ここまでは順調だな。」「はい、大佐。ただ…。」
「…どうしたリーン?」「い、いえ…なんでもありません。」「よろしい。リーン。予定通りナナ達の部隊に少年の追撃を開始させろ。おまえは私とともに空からの追跡だ。ただちに戦艦グランドールの発進を用意せよ!」
「了解しました、ミューレン大佐。15分で準備を完了します!」

軍の意図を知らずにジャスティン達を乗せた軍用列車は走り続ける。
亜人の少年レムは、軍に追われた経緯を3人に話した。霧の樹海にあるルクという村に住んでいたが、どうやら外の世界に興味を持って村を出たところ軍に見つかって追いかけられたとのことだった。ジャスティンはレムに世界の果てについて訪ねた。
レムは母親から昔は壁の向こうに人が住んでいたと聞いたことがあった。
レムはジャスティン達を自分の村、ルクに誘う。その時、列車の後方から爆音が響いた。ジャスティンが確認に行くと、ガーライル軍の戦闘機が空から襲撃をしているところだった。あっという間に取り付かれ、列車へ進入を許してしまう。

ジャスティンは機転働かせ列車のブレーキを破壊し、石炭を目一杯くべた。そして先頭車両に3人娘とガーライル軍をひきつけ、車両の連結器を切り離した。
3人はジャスティン、覚えてろと捨て台詞を残し猛スピードで戦線離脱していく。
ジャスティン達が乗り合わせた後部車両は徐々にその速度を落とし、霧の樹海の半ばで止まった。
どうやらそこからルクの村まではそれ程距離はないらしい。辺りは霧に包まれていたが、レムが笛を取り出し吹くと、見る見るうちに霧が晴れていく。
先を行くレムを3人は追いかけた。

レムは一足先に村について村人に3人のことを話しておいてくれたらしい。
そして村長がジャスティン達に会いたがっていた事を伝えた。
村長はレムを救った事に礼を言うが、外部の人間が村に介入する事は好まなかった。
霧の樹海を抜けるためには、霧よけの実が必要となるが、非常に貴重なもので外部の人間においそれと渡せるものではないらしい。
村長は世界の果てに行くことを諦めさせようとするがジャスティンは退かなかった。
霧よけの実は、ルク村の先祖が光翼人から受けついた大切な宝。村長の語りが始まる。
「この村の昔語りによるとずーっと昔、この世は光につつまれたすばらしい世界であったそうですじゃ。そこは光翼人さまに守られた老いも病もない平和な世界じゃったといわれておるですじゃ。あるときワシらのご先祖は自分も光翼人さまになろうとして光翼人の翼を盗んだのですじゃ。じゃが翼なきものにはしょせんムリな話じゃった…。その翼をご先祖が背中につけると翼はたちまち黒い闇に変わりこの村をつつんでしまったのですじゃ。草は枯れ、生き物は死に絶え希望の光すら失われそうになった!が!そのとき!!世界中に闇が広がらぬよう光翼人さまはこの世界を高いカベでさえぎってしまわれたのですじゃ。」
そして、ルクの民はカベによってこちらの世界に取り残されてしまったらしい。闇に取り残されたルクの先祖のために、光翼人が不思議な木の実を授けた。やがて闇は霧となったが、木の実はいつまでもルクの民の道を照らし続けている。それが霧よけの実の由来だった。
3人は取り敢えずレムの家に泊まることとなった。

場面が変わって戦艦グランドール。
兵士がミューレンに亜人の集落を発見したと報告した。どうやらジャスティン達が尾行されていたらしい。
「…計画どおりですね。ミューレン大佐。」「いや、我々の目的は例のものの入手だ。それを忘れるな。作戦はこれからが本番だ!これより降下作戦を展開する!直ちに準備にかかれ!!この作戦の指揮はリーン…おまえに任せる。」
「かしこまりました、大佐。かならず…、かならず最後のかけらを手に入れてみせます!」リーンはミューレンに敬礼をした。
「…おまえならばかならずやかけらの存在を感じ取れるはずだ。わかっているな?」「…はっ!」

レムの家で夕食を済ますと急に外が騒がしくなる。外にでた3人が見たものはガーライル軍の襲撃であった。
ガーライル軍は村が崇める光神さまの御神体を狙っていた。外部との交流を嫌っていたルク村の人間は戦うすべを知らない。
ジャスティンは友達の為に、ガーライル軍に立ち向かう事を決意した。

ガーライル軍はご神体を空から吊るし運び去ろうとしていた。
ジャスティンはその場に向かい阻止しようとする。辿り着いた先にいたのは、リーン中尉であった。
「ジャスティン!?なぜこんなところに!」「あっ、おまえは…、軍の基地でオレをなぐったオンナ!」
「ジャスティン、なぜここにいるの…?…ッ!まさかフィーナも!?」フィーナも遅れてその場にやってくる。「…姉さん!?リーン姉さん!!」
「フィーナ…!」「えっ?えええーっ!」ジャスティンとスーが二人が姉妹であったことを驚く。
「フィーナの言ってた姉さんって…。こいつがフィーナの姉さんなのか!?」
「リーン姉さん!姉さんなのね!!やっぱり!なぜ、こんなひどいことを…?」
「フィーナ…。あなたにだけは知られたくなかった…。でも今の私はガーライルの軍人…!ミューレン隊中尉、リーンなのよ!!この石像は現時刻をもってわが軍の作戦により接収します!さがりなさい!フィーナお別れよ…。軍には2度と近づかないで。あなたを傷つけたくないの。おねがい…。」リーンは悲しそうな顔をした。そして、石像に捕まり、その場を離れようとする。
「姉さんっ待って!どうして…!!」

ジャスティンは引き上げられていくご神体へジャンプししがみつく。
返せというジャスティン。
「そんなことはできないわ!わがミューレン隊の名誉のためにもこの石はなんとしてでも持ち帰る!この精霊石をっ!!」
「せ、精霊石…!?」しがみついているジャスティンを引き剥がそうとリーンが剣を構える。その時ジャスティンの持つ精霊石が光りだした。「こ、この光は…!?」
直後、ご神体は二つに割れ、ジャスティンは地面に落下してしまう。
「あ、あの光は…精霊石?まさか!?そんなはずが…!」

場面が変わって戦艦グランドール。
「…ふむ。それでは精霊石はジャスティンが持っていたとそう言うのだな、リーン?」
「はい。まちがいありません。あの光は像からではなくジャスティンから発せられたのです!お願いします、大佐!もう1度行かせてください!今度こそかならず…。」
「…間にあわん。もはや樹海の霧は閉じようとしている…。」「いいえ、大佐!私なら…、私ならまだ間にあいます!!」
「わからんのか!これは上官命令だ!!」「…。」「おまえはすぐにムリをしようとする…。もう少し自分をいたわれ。」
「…は、はい。ミューレン大佐。わかり…ました。」「あの小僧…ジャスティンはこの私がかならずとらえてみせる!」

ジャスティン墜落現場。その場にフィーナとスーが駆けつける。ジャスティンはシリが痛い程度で済んだが、御神体は砕けてしまっていた。
カケラを集めたジャスティン達ができる限り修復する。そして夜が明けた。
3人の無事を安堵する村長。ご神体を取り戻す事を失敗し、詫びるジャスティン。
「いえいえ、もうよいのですじゃ。結果がどうあれあなたがたはこのルクの村のために戦ってくれた…。そのことがありがたいのですじゃ。そのお礼に…どうかこれを受け取ってくだされ。」ジャスティンは霧よけの実を受け取る。
「ええっ、ホントに!?いいの?村長さん!」「でも村長さん…。霧よけの実は大切なものだからよそ者には渡せないって…。」
「ながいながい時の中…、ワシらはこの森の霧のカベにかくれ外の世界からはなれて暮らしておった。しかし…それはあなたがたのようなすばらしい人たちも遠ざけてしまうなんとおろかなことじゃったか…。いま考えれば…、この森の霧はルクの村だけでなくワシらの心までおおっていたんじゃろう。ワシらの村もあなたがたのように外の世界に目を向けるべきなのじゃ。まだ長い時間が必要かもしれんが…。このレムや今の子供たちが大きくなるころにはきっと外の人々ともわかりあえる日がくるじゃろう…。」
「いまだってわかりあってるよ!だってホラ!ボクとお兄チャンはもう友達の約束したよね?」
「ああ!もちろんしたさっ!!」「おお、なんともたのもしい…。ジャスティンどの…。また旅の途中でよってくだされ。みなで歓迎しますぞ!」
ルクの村人達に感謝されつつ、村を世界の果てを目指し村を後にする3人であった。

霧の樹海を進む3人。途中で夜営をする。
フィーナはリーンとの衝撃の再会を果たした為、少し元気がないようだった。ジャスティンとスーはフィーナを励まし、フィーナは少し元気を取り戻した。

ついに世界の果てに到着した3人。雲を貫くその姿に驚くも、3人は壁を登り始める。

世界の果て上り始めて一回目の夜営。
ふとしたことからジンの話題になった。
ジンはジン平原の発見者で冒険者の間ではかなりの有名人らしい。

世界の果て上り始めてニ回目の夜営。
スーが壁のぼりに飽きてしまう。ジャスティンとフィーナが宥めるのであった。

世界の果て上り始めて三回目の夜営。
ジャスティンがついにだれて戻ろうと言ってしまうが、フィーナの説得で留まり、再び世界の果てを乗り越えてアレントを目指す事を決意する。

世界の果てを上り始めて4日目の朝。夜営していた場所に朝日が差し込む。
3人が階段を駆け上がると、そこには壁の向こうの世界が広がっていた。
「…!!」「やっぱり…世界に果てなんてなかったのね…。見て、太陽がのぼるわ…!」
「ステキぃ…世界が金色に燃えてるみたい…!ね、ジャスティン。」「…ああ…。」

頂上には怪しい装置が動いていた。頂上についたのは良いが向こう側へ降り方が判らない。
3人が降り方を考えていると、辺りから変な音が聞こえて来る。
プロペラがついた機械(UFOキャッチャーの手みたいなもの)はスーを掴む。
「きゃ~、なにすんのよぉ!」「な、な、スー!!クッソー!!スーになにすんだよッ!!」
機械はスーを掴んだまま、空を飛び、壁の向こうに落としてしまう。「ジャスティ~ン!!」
「わぁぁぁーっ!スーーっ!!!!」「キャーッ!!」「スー!スー!!ちくしょう、もう見えない…!」
「きゃっ、ジャスティン!?」ジャスティンとフィーナも同様に機械に掴まれてしまう。
「ちょっ、ちょっと!どこさわってんのよ!?やめてッ!やめてったら!!」「な、なんだおまえ!はなせッこの!はなせってば!!」
機械はまた宙を飛び地面がないところに2人を運ぶ。
「わわっ、ちょっとタンマ!!さっきのは取り消しッ!やっぱりはなすなっ!おーい、フィーナぁ!どおすりゃいいんだぁ!」
「なんでわたしに聞くのよぉ!なんとかしてよジャスティーン!キャーッ!!」「フィーナぁーっ!」「ジャスティ~ン!!」
2人もスーと同様に頂上から落下していった。

世界の果ての頂上から落とされた3人。フィーナの呼び声にジャスティンは目を覚ました。
運良く巨大な植物の葉の上に落ちた為2人は助かったらしい。
しかし、そこにはスーの姿はなく、周りは未知の生物が闊歩する未開の地だった。暫く辺りを探すと二人はスーの靴を見つけた。
更に捜索するジャスティンとフィーナ。何とか人が住んでいる形跡があるキャンプを見つける事ができた。
グツグツ煮えた巨大な鍋の上をスーと共に行方知れずになっていたプーイがぐるぐる飛んでいる。鍋の横にはスーのカバンが落ちていた。
「こ、これは…。スーのカバンじゃないかッ!!まっ、まさか…あのナベ…」
「どどっ、ど…どうしよう、ジャスティン?」「ば、ばかッ!落ち着けよ、フィーナっ!!」「だ、だって…。」
そこに仰々しい甲冑で全身を覆った巨漢の男が現れる。
「おい、おまえ!あのナベはおまえのか!?中身はどこだッ!!」「ナベの中身ならわしが平らげた。残ってはおらんぞ。」
大男の一言に、フィーナは悲鳴を上げて卒倒してしまう。「フィーナっ!!くっそ~!!おいっ!オレと勝負しろ!こうなったらおまえもシチューにしてやるッ!!」
「むむッ!男と男の決闘だな。よかろう!この勝負、受けてたとう!!わしはダイトの騎士、ガドイン!」男は剣を構えた。
ジャスティンの攻撃を受け付けないガドイン。一しきりジャスティンの攻撃を凌いだ後、ガドインは攻撃に転じる。
「集え、森羅万象の力!龍陣剣!」ガドインは必殺技を用いてジャスティンを一撃の元に倒してしまった。

目を覚ましたジャスティン。そこにはスーの姿もあった。どうやらジャスティンとフィーナの早とちりだったらしく、スーは世界の果てから落ちた際にガドインに助けられたらしい。
そこには見慣れない女性がいた。彼女の名前はアルマ。ガドインと同じダイト村出身の医師だという。
アルマは軽く自己紹介の後、「しかし、おどろいたものだ。ダイト最強の剣士ガドインを相手にこんな子供が決闘などと…。」
「アルマよ、失礼なことを言うものではない。その少年はりっぱな剣士だ。その若さに似合わぬするどい太刀筋…。ひさびさに心地よい決闘であった!そうであろう、ジャスティン?」
「やれやれ…ガドイン。子供のころ変わらないな。おまえのそういうところは…。」アルマが笑顔で言った。
スーの容態も回復したということで、アルマはダイトに帰ることになった。
「アルマ、ずいぶんと急ぐようだな。むっ!まさか例の雨が…?」
「うむ…そのまさかだ。ついに倒れる者が出はじめた。ことによると今日は徹夜かもしれん。」アルマはその場を後にした。

ガドインの家で夕食を囲む4人。ジャスティンは先ほどの早とちりを詫び、ガドインは笑いながらそれを許す。
ジャスティン達はこれまでの旅の事をガドインに伝えた。世界の果てを越えてきたのはにわかには信じがたいが、
決闘をした男の共感なのか、信じることができるという。
ガドインは今自分達がいる場所について説明をする。その場所は飛竜の谷と呼ばれる世界の果てに一番近い、世界で一番険しい山地と説明した。
「まさに剣を…、そして男をみがく修行のためにぴったりの土地なのだ。」
ジャスティンはスーを助けてもらった事に礼をいい、ガドインが困った時に助ける事を約束する。
「ふむ…ジャスティンよ。それは男と男の約束だと考えてもよいのだな?」
「もっちろん!男と男の約束さ!」「うむ、男はそうでなくてはな!このガドイン。その言葉しかと聞きとどけたぞ。よし!男と男の約束をかわしたからにはおまえはわしの友だ!」
次の日、ガドインにダイトまで連れて行って貰う事を約束し、4人は眠りに就いた。

ダイトの入り口についた一行。その時北の空の雲行きが怪しくなり、一雨来そうなところだった。ガドインは村を案内したいところだが天気が崩れた事に慌て、長老の所に行かねばならないと言い残しその場を後にした。
雨がそんなに気になるのかと疑問に思うスー。

ダイトを見物する3人。入り口付近にある宿屋に入ると、何やら独り言を言っている兎を発見する。
「う~ん…アルマ先生のところにクスリを届けてはみたけど…ぜんぜん足りない気がするなあ。往復する必要があるよね。う~ん、たいへんだなあ。けど…オイラのクスリでみんなが元気になって、オイラのふところもあったかくなる…。」
兎は突然ジャスティン達の方を振り向く。「素晴らしいって思うよね?」目に星を浮かべ同意を促しているようだ。
「えぇっ!?突然いわれてもなあ…。」「だって、みんな幸せになってるんだよ。」よく見れば兎が座ってるテーブルには金貨が山積みされている。
「すっごぉ~い!しゃべれるウサギなんてはじめて見た~ぁ。ねえちょっとだけさわらせてくんない?」
スーが馴れ馴れしく触ろうとすると、兎が怒り出す。
「なんだい、キミたちは!?さっきから人のことウサギ、ウサギって…。オイラに言わせりゃカベの向こうからきたキミたちのほうがヘンテコな生き物に見えんだぜ。」
「えっ?なんでオレ達がカベ越えてきたのしってんだよ?」「あなたはいったい…?」
「オイラはジールパドンのギド。世界中をかけめぐる行商人さ。ところでキミたち、オイラたちモゲ族に伝わるこんなことわざを知ってるかい?」
「ことわざなんかどうでもいいからなんでオレ達のこと知ってんのか教え…」
「『人はだれもが役割を持ってうまれてくる』キミだってそうさ、ジャスティン。」
「だからことわざなんかどうでも…。…いいッ!?オ、オレの名前まで知ってんの!?」「モゲはなんでも知っている。そういう種族なのさ、オイラたちは。…ジャスティン。キミが『多くの答えを望む者』なら、キミは旅を続けなきゃいけない。旅を続けていればいろんなことが見えてくるハズさ。世界や精霊のこと。そして自分のこと…。…さあ、そろそろ出発の準備をはじめなきゃ、商品の仕入れに間に合わなくなるからね。」
「ま、待ってくれ!1つだけ教えてくれ!君たちモゲ族はアレントのことも知ってるのか!?」
「…、知ってるかもしれないし、知らないかもしれない…。いまはそう答えておくよ。キミが旅を続けるんならまたどこかできっと出会うさ。続きはそのとき話すことにしよう。」

そのまま宿屋に泊まる3人。ガドインは長老との話し合いが長引いたらしくその夜遅く宿に戻ってきた。
明朝。雨が降る事を危惧するガドイン。雨はもう振っているとフィーナがガドインに教えると、
ガドインは血相を変えて宿屋を飛び出してしまう。外は大降りの雨だった。ガドインは走り去る。
3人はガドインを追った。辿り着いた先はダイト村の広場。そこにはガドインと長老、それとダイト村の青年が数人いた。
降り続く雨はいずれ毒の雨へ、そして死の雨へと変わってしまう。それを防ぐには雨月の塔に登り勇者のヤリを持ち帰るしかないのだと長老が説明している。
「だから言っておるのじゃ。この勇者の腕輪を受取ってくれと!ダイトを救ってくれとな!!」長老がガドインに詰め寄る。
「わしはすでに覚悟を決めている。ムダに修行を積んできたわけではないからな。だが長老よ…。忘れておらんか?勇者のヤリを手に入れるには2人の勇者が必要なのだぞ!わし1人で行っても最後の試練を乗り越えられるかどうかわからないのだからな!」
しかし、村には勇者と呼べる人間がガドインしかいないと、長老は弱弱しく言った。
そこでジャスティンが名乗りでる。危険な場所だと何度も伝えるガドインに、男と男の約束を持ち出し困った時は助け合うと主張するジャスティン。
ガドインはジャスティンの男気を受け、雨月の塔へ同行を依頼する。
「長老、伝承の通り、2人の勇者がそろったのだ!これでダイトの村は救われるぞ!!」ジャスティンとガドインは勇者の腕輪を受け取る。
「ジャスティン…、ホントに行く気なの?」フィーナは乗り気ではない。「もちろんさ!男と男の約束なんだぜ。へへへっ見てくれよフィーナ♪かっこいいだろ?」ジャスティンは勇者の腕輪を見せる。
「なにが男と男の約束よ!勇者だなんて言われて、まいあがってるだけじゃない!わざわざキケンなことに首をつっこむなんて冒険者としては二流…、ううん、三流なのよ!!」
「どうしたの、フィーナ…。どうしてそんなにおこってるの…?なんかいつもとちがうみたい。」
「そうだよ、なんかヘンだぜ?キケンなことに挑戦するから冒険者なんじゃんか!だいじょうぶ!うまくいくって!いままでもずっとそうだっただろ?」
「ジャスティン…。」

雨月の塔へ上り始める4人。フィーナは嫌な予感がするから引き返そうと説得するが聞き入れられず。
雨は更に強くなり毒を含み始めた。残された時間が少ないことをガドインが伝える。
塔に潜むモンスターを退け、雨月の塔・運命の間にて最終試練に挑む一行。部屋にある石板にはこう書かれていた。
「…運命を切りひらこうとする者よ。月の鏡と星の鏡、いずれかの道を選ぶがよい。1つは未来へと通じ、いま1つは…死の国へと通ずるであろう。」
「それって…まちがった鏡を選んだら死んじゃうってこと?最初から知ってたのね、ガドイン!?」
「ガドインが1人じゃダイトを救えないって言ってたのはこういうことだったのか…。」
「案ずるな、ジャスティン。おまえを死なせはせん…。鏡にはまずわしが入る。」
「ちょっと待てよ、ガドイン!もしも…もしもだぜ。その選んだ道がまちがってたら…。」
「そのときはジャスティン…。おまえが残された鏡に入るのだ!道はまちがいなく未来へと通じている。」
「ばかっ、そんなこと聞いてるんじゃない!それってガドインが死んじゃうってことだろっ!ま、まさかガドイン、はじめっからそのつもりで…!?」
「おまえは旅人の身でありながらわしらの村を救おうとしてくれた…、おまえの男気にわしが応えよう。そんな顔をするな。わしが死んだときダイトを救うのはジャスティン、おまえなのだぞ。」ガドインは鏡の方へ歩き出す。
「死んじゃヤだ、ガドイン!!」スーが止める。「男には命をかけてでもやりとげねばならぬことがあるのだ…。」
「ガドイン…、きっと帰ってきてね。精霊の加護を祈ってるから…。」
「わが名はガドイン!試練の石板よ。いま精霊の導きに従い…、月の鏡を選ぶ!ひらけ月の鏡よ!」月の鏡から光がさす。
「さらばだ、ジャスティン!」「…ガドイン!」
ガドインは鏡へ入ろうとする。しかし何かぶつかったような音がし、ガドインは先に進めない。
ガドインの体のサイズが鏡を大きく越えていた為、鏡の中に進入できないのであった。
ずっこけてしまう3人。
「な、なんだよ、ガドイン。本気で感動したのにさぁ。」「笑いごとではないぞ、ジャスティン!こうなったらおまえが行くしかない!」
フイーナの嫌な予感が的中する。「あ、ああ…。わかったよ、ガドイン!」
「わが名はジャスティン!試練の石板よ、いま精霊の導きに従い…ひらけ」
「やめてっ!ジャスティン!!」「ど、どうしたんだよ、フィーナ…?」
「なにが勇者ジャスティンよ!バカじゃないの、2人とも!だいたいどうしてジャスティンがダイトの人たちを救うために命をかけなきゃいけないのっ!?死んじゃったら冒険だってできなくなっちゃうのよ!それでもいいの!?」
「なにを言いだすんだよフィーナ!オレが行かなきゃダイトの人たちが死んじゃうんだぜ!それでもいいってのかよ!!」
「…わたしが行く…!わたしが鏡に入るからジャスティンたちはここで待ってて。」
「バッ、バカなこと言うな!そんな危険なことフィーナにさせれるわけないだろッ!」
「ちがうわっ!こういうときこそ冒険者としての経験とカンが大事なの!だからおねがい、ジャスティン!わたしに…。」
少し考え込むジャスティン。「…わかったよフィーナ。だったら…。選んでくれよ。どっちの鏡に入ったらいいのかを…。オレ、フィーナの選んだ道なら信じられる。」「ジャスティン…。」「…わしからもたのむ。フィーナ、道を示してやってくれ。」
フィーナが石板の前に立つ。「わが名はジャスティン。試練の石板よ、今精霊の導きに従い…」途中まで言いかけて、フィーナはへたり込んでしまう。
「ダメ…やっぱりえらべ…ない。もしもまちがってたら…わたし…わたし…。」
「フィーナ…。だいじょうぶだよ。フィーナの冒険者としての経験とカンを…、いや!なによりフィーナのことをオレは信じてる!!だからさあ、立って。フィーナ!」ジャスティンの一言に立ち上がるフィーナ。そして星の扉を開いた。

星の鏡に入ったジャスティン。辺りは薄暗く目の前には階段がある。こっちで正しかったとフィーナに礼をいい、ジャスティンは階段を駆け上る。
登り切った先には勇者のヤリがあった。勇者のヤリを引き抜いたジャスティン。その時辺りが揺れだし、崩壊し始める。
階段を駆け下りるが回りは崩れ、ついにジャスティンは暗い闇の中へと落下してしまった。
落下中ジャスティンの持つ精霊石が光だし、光の粒子がジャスティンを包む。

ジャスティンの帰りを待つ3人。3人がいる場所も崩壊をはじめていた。
「いま、呪われた塔がくずれさろうとしている…。ジャスティンが勇者のヤリをぬくことに成功したのだ!まさにあいつこそ真の勇者だ!」
「そんなことどうでもいいわ!ジャスティンは…、ジャスティンはどうなったの!?」揺れが更に激しくなる。
ガドインはその場でジャスティンを待つとフィーナとスーに告げ、2人を塔から退去するように言った。
しかしフィーナは自分も待つと言ってきかない。フィーナとスーを守るとジャスティンに約束をしたガドインはやむなしと見て、フィーナとスーを抱えて塔を脱出する。
「なにすんの、ガドイン!はなせぇ!!ジャスティーン!」フィーナが泣きわめくがガドインは2人を放さなかった。

3人が塔を出たとき、今まさに塔が崩れようとしていた。
「ああっ、塔がくずれる…!ジャスティン…!!」
塔は完全に崩壊した。

「…ジャスティン…。」「いまわしき塔は光とともに去った…。だがジャスティンよ。まさかおまえまでもがいっしょに…。ええい!おまえだけを死なせはせん!!この2人を村まで送りとどけたらわしも腹を切るっ!」
「ジャスティンは死んだりしないわ!ガドインのバカ!」と言ったスーも泣き出してしまう。
その時、甲高い音がし、緑色の光が3人の頭上に輝く。光の中からジャスティンが現れた。

「イッテェ~…!!」駆け寄るスーとガドイン。「ケガはッ!?どこもケガはないのかっ!?」
「このとおり!ピンピンしてるよ!」「スッゴ~イ!!ジャスティン、ホンモノの勇者みた~い!」
「見事だ!やはりおぬしはわしが見込んだとおりの男だったようだな!」
「そ、そっかぁ?ガドインにそう言われるとテレちゃうな。」ジャスティンは頭をかく。
「ジャスティン…。」遅れてフィーナがゆっくりとジャスティンに歩み寄った。顔はうつむいている。
「フィーナ、どうだい!無事にもどってこれたぜ!オレってすごいだろ!」
フィーナは再び歩みより、腕を振りかぶってジャスティンの頬を平手打ちする。驚くスーとガドイン。
「な、なにすんだよっ!…っと…。」フィーナはジャスティンの胸に顔をうずめる。フィーナは泣いていた。
「ジャスティンのバカッ!わたし…、わたし…、泣いちゃったじゃないのっ!人の気も知らないでっ…!」
「…フィーナ…。」「約束してよ、ジャスティン。もう2度とあんなムチャはしないって。おねがい!」
「ごっ、ごめんよ…。約束する!2度とフィーナを泣かせない!ちかうよ!」フィーナは泣きながら笑顔を取り戻す。
「…ひどいよ、ジャスティン。わたし…、本当に心配したんだから…。」
いつの間にか辺りに降り注いでいた雨が止み、空には虹が掛かっていた。

勇者のヤリをダイト村にある飛竜の台座に納めた。
ガドインはジャスティンの活躍をたたえ、自らが持つ勇者の腕輪をジャスティンに渡そうとするが、
ジャスティンは暫く考えた後、その腕輪を飛び込む鏡を決めたフィーナに渡す。

ガドインから古い遺跡の情報を得て、次なる目的地、ツインタワーを目指す3人。
ガドインも同行しパーティは4人となった。
一行ダイト村の南門を出て、ラーマ山脈を越えガンボ村を目指す。
ツインタワーへはガンボ村から船で行くらしい。村は今の時期祭りで賑わっているらしい。

ガンボ村についた一行。風景は南国という言葉が似合うイメージだが、如何せん気温が低く
賑わっているはずの祭りの音も聞こえない。ツインタワーへ渡る船を手配するために船乗りを捜す4人。
ジャスティンが近くにいる村の女性に話しかけると、女性は近寄らないでと逃げていってしまう。
フィーナが近くにいた男性に話しかける。
「うわわ!モロ好みの女のコっ!!」「え、ええっ!?」「いっ、いやっ、ち、ちがうんだ!女のコ…だけど女じゃマズイ!こ、このコはそう!カワイイ男だっ!!そ、そうさ。おれはカワイイ男がモロ好みなんだよっ!ははは…、ふはははっ…、チックショォーッ!」
村の男性は訳の判らない事を口走って走り去ってしまう。
「な、なに?なんなの???」「あーはっはっはっ!なんだよ、フィーナ!男とまちがわれてやんの!やーい!」からかうジャスティン。
「…あまり気にするな、フィーナ。わしははじめて会ったときからフィーナが女だとわかっていたぞ。」フォローになってないガドイン。
「な、なによっ!シツレイね、2人とも!そんなの当たり前じゃないのよ。」村人の普通じゃない対応に戸惑う4人。

村長の家を見つけ訪問する4人。扉を開けると突然村長に声を掛けられた。
「…、おおっ!ついに名乗りをあげる者が現れおったか!!これで祭りが復活できるぞい!あ、めでたいめでたいめでたいなっと。」「…へっ?な、なんのこと!?」
「おヌシはズバリ!そちらの若い娘さんといっしょに旅をしているのじゃろ?」
「若い娘さんってあたしのコトかしら…?」スーが自己主張をする。「…いやいや、ちがうぞーい。もう1人の娘さんのほうじゃよ。そのおそろいの腕輪…おヌシらは相思相愛。玉石混合。七転八倒。まさしく『カップル』そうじゃろ!?」
「いや、まだそういう関係じゃ…。」ジャスティンが否定する。」
「…まだ?それならいまここでキスの1つもすませなされ。さ、さ、気にせずブチューッとな。」
「ななっ!?な、なっ…!!」フィーナがうろたえる。
「…ミャクありの反応ですな!そのういういしさとテレぐあいは赤の他人ではムリじゃ!!やはりおヌシらはカップルじゃな?」
すっかり村長ペースで話が進み、ジャスティンとフィーナは勇気あるカップにとして認められてしまう。
そして、歓迎のテントで村を挙げての宴が始まった。

主役の席にジャスティンとフィーナが座っている。村長はウクレレのような楽器を持ち弾き語りを始めた。
「思えば~♪あれは5年前~♪ガンボの守り神のぉ~♪火の山がぁ~♪とまったぁ~♪火の山は火をふかずぅ~ぅぅう~♪ガンボは~♪さむいままぁ~♪あ、そこで~ぇカップルゥ~♪カップル~いれば~あたたかいぃぃ♪たたえよ~♪うるわしきぃ~い♪カップルをぉ~ぉぉお~♪カップルゥゥウ~いれば~ぁあ♪まつりだぁぁまつりだぁぁあ♪たのしいぃまつりだぁぁあ~ぁぁあ~♪」
朝までマイ・ベストヒット99を聴いてくれと村長に頼まれるが逃れ、宿に戻るジャスティン。
別れしなに村長は明日祭りのフィナーレがあるので歓迎のテントまで来て欲しいとジャスティン達に伝えた。

明朝、宿屋から出た後フィーナは何か嫌な予感がするという。
手放しに歓迎されてる今の状況を胡散臭いと思ってるらしい。ジャスティンは相変わらず楽天的にフィーナをなだめた。

歓迎のテントについた2人。そこには村長とカップルと思しき男女がいた。
再び主役の席に座らせられるジャスティンとフィーナ。フィーナは益々嫌な予感がしてきたという。
「ではでは!これから祭りのフィナーレをとりおこないますじゃ!え~とたしか火の山が火をふかなくなりこの村が困っているとお話しましたな?」「まっ、まあね。村長さんが大声で歌ってくれたし…。」
「よ~しオッケー!そんで火の山がこうなっちまったのはぜ~んぶ頂上に現れた火の竜のせいだからして。村の言い伝えにあるとおり、若い男女のカップルを火の竜のイケニエにささげにゃならん!っつうことでおふたりにはお話してありましたな?」
「ええッ!!イケニエッ!?」ジャスティンとフィーナが驚く。
「ちょ、ちょっとタンマッ!オレ達そんな話聞いてないってば!」
「ほえっ?…ほんま?わしほんまに言ってませんでした?ありゃあ~、いかんなぁ。わし思いっきり忘れとったですじゃ!近ごろ忘れっぽくてかなわんわぁ~。…ま、今言ったことですべてですじゃ。では勇気あるカップルとしておふたりのフィナーレを飾ってくだされ。」
村長が天井からぶら下ってる紐を引くとテントの壁が外側に倒れる。
その場にいたカップルのうち男性がジャスティン達に声を掛ける。
「すまねぇ、勇気のあるカップルさん。オレたちはイケニエになるのがこわくていままで恋人との愛をつらぬけなかった。2人の愛をつらぬくためなら死ぬ事さえもおそれぬその勇気…。まさにカップルだぜ!コンチクショー!」訳の判らない激励をされる。
続けて女性が話しかける。「まさに世界カップル史に残る勇気ある行いですわ。私きっとダンダと幸せになります!」
ちょっと待ってと言うジャスティンを待つこともなく、2人が座っていた場所は投石器で言う石が置く場所となり、2人は火の山に向かって投げ捨てられた。

「…ちょっと!ひどいじゃない村長さん!!だまってイケニエにしちゃうなんて!!」スーが抗議する。
「なあに竜を退治しろなんてムチャは言いません。ただ食われてくださればいいんですじゃ。」
スーはガドインを連れ立って、火の山に2人を救出に向かった。

まだ飛んでいる2人。
「バカァ~!だからイヤな予感がするって言ってたのにぃ~!いったいどうするのよ~!」
「そんなのしょうがないだろ~!知らなかったんだからさぁ~!」

そして火の山に墜落。フィーナはお小言を言うが何時もペースのジャスティンに丸め込まれて、
2人は竜を倒すことを決意する。スーとガドインと合流し、火山の火口付近で竜に挑む。

竜を退治した一行の周りには雨月の塔で見た緑色の光が飛び回る。
次の瞬間山は激しく揺れ、再び火山活動が始まった。
急いで下山する4人。そして何とか村へと生還する事ができた。

(緑色の光が精霊であると知る。どのタイミングで判るか捕捉できず。)
村に戻った4人。予想外に生き残った一行に村人は驚き幽霊扱いやら、故カップルやら言われるが生還ニュースは直ぐ村に伝わり、再び村総出の宴が始まる。
夜通し続けられる宴にスーは眠くなり宿に戻る事になる。ガドインもまた眠るために宿に戻る事になった。
帰り際ガドインは、ジャスティンとフィーナは祭りの主役なのだからもう少し楽しんでくるといいと言い残し、その場を去る。
フィーナは何かを思い出したように立ち上がり、辺りを見回している。
少し間を置いてガドインとスーがいない事に気がついたらしい。どうやらフィーナは酒を呑んでいたようだった。
「どうしよっか、ジャスティン。私たちお祭りの最後にみんなの前でキスしなくちゃいけないんだって…。」
「えっ…!?ホ、ホントぉ・・・?」「あはははは!ウソよ、ジャスティン!!ウ・ソ!本気にした?ねえ、少し暑くなってきちゃった…。ちょっと外に涼みにいかない?」
ジャスティンはそれに応じる。「あ、ジャスティン。いまなんかエッチな目になった。」
「あーもぉ!なんなんだよ。行くの?行かないの?」ジャスティンはフィーナを連れ立って歓迎のテントの外へと出て行く。

「ふうっ、夜風が気持ちいい…。いまこの村ってみーんなカップルなんだもの。見てるだけでテレちゃうわよねっ。」
外に出たジャスティンとフィーナの近くに、火山に飛ばされた時に声を掛けられたカップルがいた。
お互いがお互いを素敵なカップル同士と称し、しばし歓談。
ジャスティンが涼める場所はないかと聴き、ジャスティンとフィーナは桟橋の方へ歩いていく。

二人は桟橋を渡り、離れ小島に着く。辺りには人気がない。
「夜の海風の匂いがとてもステキ…、ねぇ、ジャスティン。」「えっ?そ、そうかなー?オレには昼間と似たようなものだと思うけどな…。」
「もう、ジャスティンったら…。あっちに行ってみましょう。夜の波の音はステキよ、きっと。」
フィーナは近くにあった小船を背に持たれ座る。
「えっ、ちょ、ちょっとフィーナ…。」「ねぇ見て、ジャスティン。まるで振ってくるみたいな星空…。こうしているとまるで2人で空に浮いているみたい・・・。」
「ホントだ・・・。・・・でも、冒険者ジャスティンとしてはいつかあの星の向こうまで行ってみたいよなぁ。あの1番デッカイ星まで2人で行こうぜ、いつか!」
「えっ!?あの星に!?2人で・・・いっしょに?・・・ジャスティン。今とてもいいこと言ったの自分でわかってる?」
「へへッとうぜんさ!冒険者ならあたりまえだろ?」
「もう!ジャスティンたら・・・。たまには冒険のことを忘れましょう、ねっ・・・?」
ジャスティンもその横に座った。「でもさっ!オレ達こうしてみるとホントのカップルに見えるよね。・・・なぁ~んて!テヘヘヘッ。」
「あたりまえじゃない。忘れたの?私たちニューパームでリャクダツ結婚までした仲なのよ。」
「え、ええっ!?あ、あれは、ち、違うだろ?あれはハナたれのパコンが・・・!」「ふふふっ、冗談よ、冗談!」
「でもね、ジャスティン。私、ジャスティンと冒険に出て良かったと思ってる・・・。本当よ・・・。ジャスティンに会ってからはいつもとんでもない冒険とトラブルの連続・・・。この村でもやっぱりゴタゴタに巻き込まれちゃったし・・・。」
「フィーナ、それって・・・ぜんぜん良かった話に聞こえないんだけど。」
「ふふ・・・。でも、ジャスティンにはそういう事全部受け止めて解決できるそんなステキな力があるのね・・・。」
フィーナが目を瞑りジャスティンにもたれる。「・・・!」ジャスティンも不意をつかれ顔が真っ赤になってしまう。
「・・・フィーナ、いっ、いちおう前もって聞くけどさ・・・、フィーナってオレの事・・・」
「しーっ、静かに・・・。こうしているといい気持ち。世界中にまるでジャスティンと私しかいないみたい・・・。」
二人の横を緑色の光がゆっくりと通りすぎる。「あっ・・・、あれは・・・?・・・精霊だ!雨月の塔や火の山で見たのと同じのがここにも・・・。」
「ジャスティン!見て!!」フィーナが海の方を指差す。海上には精霊が寄り集まって出来た緑色の光源があった。
その光は辺りを薄暗く照らす程である。「きれい・・・。」立ち上がったジャスティンは、座っているフィーナの手を引き
フィーナもまた立ち上がる。手を繋いだ2人はいつまでも漂う精霊を眺めていた。

宿での朝食時。昨夜見た精霊の話をするジャスティン達。精霊をそんなに多く見るのは珍しく、またその度々現れる精霊達はジャスティンに対して何か意志を持っているように思えるとガドインは言う。

ツインタワーに渡る船はガンボ村で用意してもらえる事となった。
タワーの捜索を始める4人。先に進むとガーライルの戦車を発見する。4人はガーライル軍に見つかるのを避けるように行動を開始する。門の前に立つ衛兵を、現地ガイドを名乗りやり過ごす。更に進むとナナ・サキ・ミオの3人娘を発見。素早く身を隠す4人。
どうやら列車のブレーキを壊した事を非常に根に持っているようで、次にジャスティンを見つけたら死刑にすると3人で宣言している。

遺跡の行き止まりまですすむ4人。一番奥の部屋には床に魔方陣らしきものがあった。しかし、仕掛けを見つけられないまま部屋を出ようとすると、入り口からミューレンとリーンがやってくる。
まさかの対面に驚く一同。ミューレンはどうやって世界の果てを越えてきたのか、ジャスティンに問う。ジャスティンは歩いて登ってきたんだよと答えた。それを聴いてミューレンが大笑いをする。
「ハーッハッハッハッ!こいつはおどろいた!!まったくすごい小僧だな、おまえは!!」
「なっ、なにがそんなにおかしいんだよ!バカにしてんのかこのヤロウ!!」「はっはっはっ、カンちがいするな、ジャスティン。私はうれしいのだ。この時代におまえのような痛快なヤツに出会えたことがな。」
ミューレンが入り口を塞いでいる為、ジャスティン達には逃げ道がない。そこをどけというジャスティンに、ミューレンはジャスティンの持つ精霊石を要求する。
「あの石はおまえが持つべき物ではない。すなおに渡せば自由にしてやる。」「・・・イ・ヤ・だ・ねっ!」
「いきなり現れて石をよこせとはまるで追いはぎワシ助太刀するぞ、ジャスティン。」ガドインは剣を構える。
リーンは石を渡せば命まではとミューレンの後ろで言うがミューレンに制される。ミューレンに飛び掛るジャスティンとガドイン。
しかし、2人とも一瞬にしてのされてしまう。ガドインは気を失ったがジャスティンはスーとフィーナに支えられ立ち上がる。
「ほう…、今の一撃で立ち上がるか・・・。冒険の旅でかなりきたえられたようだな。」更に精霊石を要求するも、ジャスティンは頑なに拒む。
再度剣を交えようとした時、ジャスティンの精霊石により床にあった魔方陣が作動し、ジャスティン、ミューレン、フィーナ、リーンは光に飲み込まれてしまう。

フィーナが意識を取り戻すと、周りには誰もいない。離れ離れになった3人の名前を呼ぶと、その場に現れたのはミューレンだった。
敵意をむき出しにするフィーナだが、足をくじいてしまったらしく、立ち上がる事も出来ない。
ミューレンが無造作にフィーナに近寄る。「近よらないで!!ルクの村で姉さんにあんなひどいことさせたのはあなたね!」
「・・・。そのとおりだ・・・、すまない。」「えっ・・・?あっ・・・。」以外に反応にフィーナは驚く。
「足をくじいたようだな。骨に異常はないようだが・・・。ムリはできんな。すぐに手当てをしよう。少しのあいだじっとしていたまえ・・・。」
ミューレンはフィーナの足の治療を始める。「・・・。ここはいったいどこなの?ジャスティンたちは・・・?」
ここはツインタワーの中、エンジュール文明の光翼人のための神殿だと、説明する。
「まわりを見てごらん。いくつかの壁画が残されているだろう。」壁には大きく翼を広げている光翼人を現すしるしがあった。
「人と精霊の間に生まれた奇跡の翼・・・。まさにその翼にかかわる神話こそがすべての人の歴史のはじまりだったのだ。そしてあの光翼人の翼の上に2つの太陽のように輝いているのが・・・。」二人は視線を上にする。
「精霊石・・・、ううん、ちがうわね。神話では精霊石は1つだけだったはず・・・。わかった!精霊でしょ?エンジュール神話の中で光翼人に精霊石をさずけたと言われている・・・。」
「そのとおり・・・。さすがはニューパームで1番の女冒険家、フィーナだな・・・。」
「ええっ!?知ってるんですか?私のこと?」「君達のことを指名手配していたのだ。知っていて当然だろう。しかし・・・、正直言っておどろいたな。君がリーンと双子の妹だったとは・・・。なるほどよく似ている。」
「そっ、そうかしら?あんまり言われたことないんだけど・・・。」
「美人なところもそうだが・・・、すぐにムリをしたがるところなどそっくりだ・・・。」「えっ・・・。い、いやだわ。イジワルね!」
「・・・はははっ、怒る元気があればだいじょうぶ。」治療が終わる。ミューレンは改めて自己紹介をし、その場を脱出するまで休戦協定を持ちかけ、フィーナは応じた。

ジャスティンは別の場所で意識を取り戻した。仲間達の名を呼ぶが返事がない。辺りは蛙のモンスターに溢れていた。
辺りを捜索するジャスティン。突然リーンの悲鳴が聞こえ、ジャスティンが駆けつける。どうやら蛙のモンスターに追われているらしい。
「カ、カエル、いや・・・、来ないで~っ!」「だいじょうぶか、リーン?待ってろ、いま助けるから!」
「な、なにしに来た!!敵の助けなど借りなくても・・・。」「強がるなよもぉ!今は敵だとか言ってる場合じゃないだろっ!!」

ジャスティンはモンスターを蹴散らした。リーンの安否を気にするジャスティン。「・・・。」
リーンは行き成り剣を構える。「・・・うわっぁ!な、なんだよッ!?」「ジャスティン!これは命令です!!精霊石の最後のかけらを渡しなさい!」
「なっ・・・、なんだよ!急にえらそうなこと言うなっ。いままでカエルに泣かされてたくせに!」
「・・・うっ、うるさい!私の任務は精霊石を手に入れることよ。それがなによりも大事なことなの!!」
「そんなことぜんぜん大事じゃねえっ!はやくここを脱出しないとまたカエルどもがやってくるぞ!!」
気付けば大量のカエルが2人を囲んでいた。「どわーっ!いつのまにィ!?いくらなんでも多すぎだろーッ!!このままじゃ2人ともアイツらのエサだぜ。とっとと、そこの通路から逃げようぜ!」
「にがさないわ、ジャスティン!私はほこり高きミューレン隊の中尉!任務のためなら命など惜しくはない!!」
「だあぁーッもうっ!どうせオレはほこり高くなんかねぇよ!!そんなに精霊石がほしけりゃくれてやるよ、ほらっ!!」
ジャスティンは精霊石を放り投げた。「・・・ジャスティン・!?ジャスティン・・・、どうして!?この精霊石はあなたの1番大切なものじゃないの・・・?」
「バカかッおまえ!たとえどんな石だってオレ達2人の命よりも大切なわけないだろ!!」「・・・私たち2人の・・・命?」
「いいか!これからしばらくオレとおまえはパートナーになるんだ。この塔を脱出するまで助け合う!!信じたからな・・・。約束だぞ!!」
カエルから逃げる2人。しかし、細い橋を渡る時、橋が崩れ2人は落下してしまう。

落下した先は水の上だった。「あ~っ、ビックリした・・・。おーい、リーン!そっちは平気かぁ?」
リーンの返事がない。「おいっ、リーン・・・、だ、だいじょうぶか!?ケガでもしたのかよ・・・?」
「・・・すこし、水飲んじゃった。うっ、気持ち悪い・・・。」「はぁ・・・?なんだよ、おどかすなよ!少しくらい平気だろっ、水だったら・・・。・・・カエル軍団にかこまれたときはどうなるかと思ったけど、ラッキーだったよな!橋がくずれてさ!!」
「クスッ、クスクス・・・。」「・・・なに笑ってんだよ、リーン?」「だって、ジャスティンったら・・・。あんな高いとこから落ちたのにラッキーだったなんて・・・、クスッ、あなた変よぉ。」
「だって、たいした高さじゃないだろ?世界の果てからも落ちたし、こんなのなれてるからさぁ!」
「アハハハハッ!そんなのあなただけよ!!わたしすっごくこわかった♪」「そういうもんかなぁ・・・?オレは冒険者なんだしいちいちこわがってられないさ!」
「そうよね・・・。きっとあなたほどいろいろ落っこちてる人いないわ。さすが一流の冒険者ね。ジャスティン。」
「べっ、別に落っこちてるから一流ってわけじゃぁ・・・。」
2人は服を乾かすために、火にくべるものを探す事になった。

場面は変わり、フィーナとミューレンの方へ。
2人は巨大な女性の光翼人像の前にいた。光翼人像に手が4本ある事を不思議に思うフィーナ。
「古代エンジュール文明では4本ウデの女性像によって光翼人を表現することがおおいのだ。神話の中で語られるように精霊と光翼人はたがいに意思を通じることができる。そして精霊のエネルギーこそが古代エンジュール文明を栄えさせていた力の源なのだ。だがその精霊エネルギーも失われエンジュールははるかなる神話となった。・・・いまや精霊は人間に背を向け、けっして手をさしのべることはない。」ミューレンの顔が曇る。「・・・それってどうしてなの?」「・・・。・・・あやまちをおかしたからだ・・・。」

場面が変わり、焚き火を囲んでいるジャスティンとリーン。
マッチもなしに火をつけたジャスティンに驚く。ジャスティンは冒険者なら当たり前の事でフィーナならもっと上手くやると言った。リーンはフィーナがちゃんと冒険者をやれてる事に安心し喜ぶ。
「あっ・・・!またリーン笑った。やっぱリーンはそうやって笑ってるほうがダンゼンいいよ!そんなにカワイイんだしさ!!」
「・・・ええっ!?ジャ・・・ジャスティンったらなに言い出すのよ!?」リーンが頬を染める。
「だってリーンときたらいっつもこわ~い顔してただろ?でもよかった。笑顔はフツーの女の子だね。」
「・・・ごめ・・・んなさい・・・。どうしよう・・・。」「・・・はぁ!?なにが?」「・・・こんなふうに言われたのってはじめてで・・・うれしいんだけど・・・。よくわからないわ・・・。フツーの女の子だったらこんなとき・・・なんてこたえるのかしら・・・?」
「う~ん・・・、軍人ってみんなこうなのかな・・・?わっかんねえなぁ・・・。」
ジャスティンは、ガーライル軍が精霊石を求める理由をリーンに尋ねた。リーンは躊躇いながらも軍の機密として話す事はなかった。焚き火を消し2人は出口を目指す。
先ほどフィーナとミューレンが見た光翼人像をジャスティンとリーンも見る。余りの大きさと過去、パームの博物館で見た珍妙な形の光翼人像との違いに驚くジャスティン。
「ホンモノの光翼人もこんなにでかかったのかなぁ?これじゃ怪獣だよなぁリーン!」
「・・・そうね・・・。」リーンが節目がちになったのをジャスティンがちょっと気にする。
更に先に進むと巨大な壁画を発見する。
その壁画は、大きな瞳を持つ禍々しいモノが空に浮かび、地に伏している翼を持った女性に対し、雷を打ち下ろしている様なそんな絵だった。
「・・・うわぁ!壁画だぜ!ほら、見ろよリーン!!よくわからないけど光翼人を描いた絵かな・・・?でもなんでこの絵・・・、こんなに悲しそうなんだ・・・?な~んか変なの!だってエンジュール文明はすばらしい世界だったのにさっ!」
「ジャスティンは過去の文明がすばらしいものだったと本当にそう思っているの・・・?」「・・・えっ!?どういうこと?」
「そんなにすばらしい文明だったら消え去ったりしないはずだわ。・・・そうでしょ?ジャスティン。それに・・・どうして・・・世界の果ては巨大なカベでこの大地は2つに別れてしまったの?この光翼人と精霊石の世界はむしろおそろしい世界・・・人が求めてはいけないものなんじゃないかしら・・・!」
「・・・想像でかってなこと決めるなっ!だいたいそんなおそろしいものならなんで軍がほしがるんだよ!?っていけねぇこれは聞かない約束だったっけ・・・。」
「・・・ごめんな・・・さい。わたし・・・ただ心配で・・・。」「いいよ、もう・・・!いきなりどなったりしてごめんな!さっ、行こうぜリーン。」
ジャスティン達が更に上に進むと同時にいままで見ていた壁画の前にフィーナとミューレンが着く。

「なんて大きな絵なの・・・。でも、なにかしら・・・。とても悲しい絵・・・。」
「ふむ・・・これは古代エンジュールの末期を描いている壁画だ。」「あれが・・・光翼人・・・?」「これこそが古代エンジュール文明の最大のあやまちだよ・・・。精霊石を使えるのは光翼人のみ・・・。それが自然のことわりだった。だが人々はそのことを忘れ、自らの手で繁栄を造りだそうとして触れてはならないものに手を出したのだ。その結果、繁栄の極みをなしえたと同時に滅び去っていったのだ。光翼人もろともな・・・。」
「・・・あなたは、なぜそんなことを知っているの!?」「母から教わったのだ・・・。そう・・・、私の母は亜人なのだよ。」「・・・!」
「亜人の中でもとても古く、おだやかな種族だった・・・。私の父・・・、バール将軍は古代エンジュール文明の秘密を得ようとして私の母と結婚したのだ・・・。」
「・・・ミューレンさん。」「私は母の愛したこの大地・・・。この世界を愛している。」
ミューレン自身、始めて話す機会が出来たフィーナに色々と話してしまっている事に戸惑いを覚えていた。
そしてその理由をリーンと似ているからと語る。

ツインタワーの最上階についたジャスティンとフィーナ。そこにはまた見慣れた宝珠があった。
いつもの様に触れ、リエーテとの交信を始める。
「ようこそ、精霊石を持つものよ。精霊石の光と光翼人の翼に導かれる者よ。」ここまで来たとジャスティンは言う。
「ええ、貴方を強く感じます。随分と近くまで来ましたね。その場所からこのアレントまではもう目と鼻の先です。」
「リエーテ、姿を見せてくれ。アレントはどこにあるんだ?」「東に進みなさい、ジャスティン。貴方は答えを求める者。」
ジャスティンは知恵のメダルを受け取る。「それはアレントのカギ・・・。あなたに道を示すためのカギです。」
「あ、アレントですって?そんな・・・あるわけないわ!それに光翼人って・・・。」
「内海を越えて東に進みなさい、ジャスティン。再会の時を心からお待ちしておりますよ。そのときこそ私の知っているエンジュールの全てをお話しましょう。」
その場にあった魔法陣を使用し塔の外にでる2人。

2人はツインタワーの外に転送された。パートナー関係が終わりを迎える。
「ジャスティン・・・、もうこれ以上、エンジュールには近よらないでほしいの・・・。」
「・・・えっ!?なに言ってんだよ、リーン。エンジュールはオレの夢なんだぜ!」
「そう・・・よね。あなたは冒険者なんだもの。私なんかがこんなこと言ったって・・・。せめて・・・ガーライル軍にだけはもうかかわらないで・・・、いいわね。」
リーンは後ろを振り返り、ジャスティンから離れる。が立ち止まり、再びジャスティンの方を振り向き足早に近づく。
「・・・。・・・手を出して、ジャスティン。」「・・・えっ!?で、でもどうして?」「いいから!はやく!!」
リーンからジャスティンの手を握る。「精霊石・・・。リーン!?なぜ?」
「精霊石を手にいれるためなら何かをギセイにしてもかまわない。そう思ってた・・・。でも、いまの私にはわからないの。それが本当に正しいことなのか・・・。だから・・・、これはあなたが持っていて。私はツインタワーの中であなたとは出会わなかったし、精霊石を手に入れることもなかったの。」「・・・わかったよ。ありがとう、リーン!」「・・・。ねえ、ジャスティン。最後にこれだけは教えて。あなたにとって精霊石って何なの?」
「いっ!?むずかしいこと聞くなぁ。オレにとって精霊石は・・・。」暫く考え込むジャスティン。
「そう、冒険者のタマシイさ!」「・・・。クスッ・・・、うふふふ・・・。アハハハハッ!!」「ちぇっ、笑うことないじゃんか。ひでえなぁ。」
「ご、ごめんなさい・・・。なんだか・・・、おかしくって・・・。やっとわかった気がする・・・。フィーナがあなたといっしょにいるそのわけも・・・。私があなたに出会ったことの意味も・・・。あなたのこと、ずっと忘れないと思う・・・。さようなら。ジャスティン!」
リーンは再びジャスティンに背を向け走り去った。

フィーナを発見し合流するジャスティン。程なくしてスーとガドインをとも合流を果たす。
ミューレンなんかにやられちゃうなんてだらしないとスーに責められるガドイン。
「スーの言うとおりだ。めんぼくない・・・。しかし世の中は広い。あれほどの使い手がいるとは・・・。まだまだわしも修行が足りんな!ガーッハッハッ!!」ガドインは笑い飛ばす。4人はツインタワーを離れガンボへ帰ることにした。。
次なる目的地へは内海を越えていかなければならなかったが、人魚の海と呼ばれる難所を超える必要があり、ガンボの船乗りは乗り気ではなかった。

ガンボの港で人魚の海について話す一行。どうやら今の時期は人魚の季節と呼ばれ、東の海で人魚の活動が活発になるらしい。
人魚は人の命を確実に奪う生き物らしく、それらが住まう海は人魚の海と呼ばれ恐れられているのだという。
人魚の季節に海を渡る方法がないわけではないと、ガドインが言う。その方法はダイトの長老ならば知っているらしいとの事。
その話の途中でその場にへたり込むスー。スーを心配する3人。スーは心配させまいとお腹が空いたと笑ってごまかした。
フィーナは最後までスーの変調が気になっているようだった。

ダイトについた4人。直ぐに長老の元へと向かう。長老の話が始まるとスーは再び地面に座ってしまう。
ダイトの長老は望めばいかなる場所にも行く事が出来る遺跡の話をした。その遺跡は神隠しの丘と呼ばれており、
丘の麓にある古代文明の機械を用いるらしいが、その機械を動かすためには丘の頂上にある転送の玉が必要となるらしい。
しかし、転送の玉を1度使えば2度と使えなくなるらしい。1回で十分だよと、ジャスティンは直ぐに転送の玉を取りに行こうと言った。
話が終わる頃、スーが元気なく立ち上がる。「・・・。ねえ、ジャスティン。あたしなんだか・・・、つかれちゃった・・・。その玉をさがすのは明日にして今日は宿で休みたいな・・・。」

長老の家を出た4人。「ジャスティン・・・、あ、あたし・・・。」スーは3人の目の前で倒れてしまう。
急いでアルマのところへと、ガドインがスーを抱えた。

「ふ~む・・・。かなりつかれておる。このチビスケ・・・。ずいぶんとキツイ旅をしておったようだな。ジャスティンよ、ほんとにスーはいままでなにも言いださなかったのか?」「・・・うん・・・。」
「そうか・・・、お前たちに子供あつかいされたくなかったのだろう・・・。ガドイン、おぬしがついておりながらなんたることだ・・・。このバカもの!」
「す、すまん・・・。面目ない・・・。」「そんな!ガドインのせいじゃないよ!オレが・・・気がつかなくちゃいけなかったんだ・・・。スー・・・、そんなにムリしてたなんて・・・。」
転送の玉を捜しに行くのはスーが元気になってからと、フィーナが言う。皆もそれに同意した。
1日ゆっくり休めば・・・、そういうジャスティンだったがアルマは否定する。「・・・1日ではダメだ!次の満月まで休んでおれ!!」
「じゃ、じゃあそれまで休めばいいさ!子供のスーを1人で残しておくわけにはいかないだろ?」「子供・・・?」その言葉にスーはひどくショックを受けた顔をする。
「・・・あたし待ってる・・・。ジャスティンたちだけで行ってきてよ。」「えっ!?でもオレ達・・・。」
「い~の!!あたしねぇ、こんなふうに子供あつかいされるのキラいなの!ほらぁ!ガドインもいっしょに行って!!1人でダイジョウブだから!」
「・・・ふむ。わかった、スー。おまえの気のすむようにしよう。・・・行こう、ジャスティン。それがスーの望みだ。」

丘の頂上を目指すジャスティン達。
場面は変わってアルマの病院。
疲れが原因だからゆっくり休めば直ると励ますアルマ。「さきほどからずっと外ばかり見ておるの・・・。なにを悩んでおるのだ・・・。ん?」
「・・・。あ~あ、子供かぁ・・・。・・・ねえ、アルマ先生?ジャスティンったらズルイんだぁ・・・。あたしのコトおいてきぼりにして・・・、1人でどんどんどんどんおっきくなっちゃうの。」
「ふむ・・・、あの年ごろの男の子は背が伸びるものだからな・・・。まっ、女もこれからが花だ。あと5年もすれば追いつくであろう。」
「あと5年かぁ・・・。それまであたし・・・ず~っと・・・、あたしじゃもうムリ・・・なのかなぁ・・・。」

頂上を目指す3人。その過程でガドインは、ジャスティンが出会った頃から短期間で急激に強く成った事を褒めた。

頂上で転送の玉を手に入れた3人。
「・・・ジャスティン・・・。私たち・・・このまま冒険を続けていいのかしら・・・?」
「ど、どうしたんだよ、いきなり・・・。」「アルマ先生みたいなお医者さんがいつだっていてくれるわけじゃないわ。たとえ人魚の海を無事に越えたってその先はキケンな冒険が続くのよ。もしスーになにかあったら私・・・。」「・・・。」
「もうよせ、フィーナ。ジャスティンもわかっておる・・・。」

ダイトに到着した3人。直ぐにアルマの病院へ向かう。
「帰ってきたぞ、スー!元気になったか!!」「これ、ここは病院だぞ。もうすこし静かに入ってこい。スーが首を長くして待っていたぞ。ジャスティン・・・。おまえと話したいそうだ。」
「心配ないって!転送の玉ならばっちり取ってきたぜ!いっしょに人魚の海を越えられるぞ!!」
「ジャス・・・、ジャスティン、あたし!!あたし・・・大人になるまで・・・、冒険はやめることにしたの。」
「なっ、なに言ってんだよ、スー!!この病院じゃ治んないのか?スーの病気って?」
「無礼なやつだな・・・。スーの体はずいぶんと良くなっておる。だがそれはいまだけの話・・・。これ以上冒険をつづけたらいずれまた同じことになるだろう。この先おぬしがいかにスーをいたわっても、かならずまた・・・。」
「うむ・・・、たしかにいまは大丈夫かも知れん。しかし、元々の体力の無さだけは・・・。」
「そうね・・・、アルマ先生の言うとおりかも・・・。」「ちょ、ちょっと待てよ!みんなどうしちゃったんだよ!スーは仲間じゃないか!なぁスー?だいじょうぶだよな?な?」
「もう決めちゃった!冒険はもうお休みねっ。」「スー・・・。・・・。・・・こうしよう!スーが一人前になるまでオレもいっしょにここにいるよ。『あたしがいないとジャスティンはなんにもできないんだから!』ってね。オレも冒険はおあずけだ!!」
「ダメッ!ダメよジャスティン!!ジャスティンは冒険を続けるのっ!だって・・・だって!ジャスティンは『冒険者』だもん!!」スーは笑顔で言った。
「あたしがどんなに背伸びしてももう追いつけないんだもん。わからないの?ジャスティンはとっくに一人前よ!」
「で、でもスーを1人でここにおいてなんか行けないよ!」「ふむ、ダイトではのぅ・・・。生まれ育った村へ帰るのが身体には1番なのだが・・・。」
「パームに・・・?・・・!転送の玉を使おう!!」ええっ!?っと、フィーナもスーも驚く。
「ダ、ダメだよ、ジャスティン。あたしのために使ったら人魚の海・・・。」「いいの、ジャスティン?その玉は1度しか使えないのよ。」
「1度きりだからこそ、いちばん大切なことに使いたいんだ。いまいちばんオレが大切にしたいのはスー・・・、おまえさ!」
「ジャスティン・・・。」「オレ達なら大丈夫だって!困難を乗り越えるのが冒険者さ!スー、さっき言ってくれただろ?オレはもう一人前だって・・・。」
「ジャスティン・・・。そうだね!ありがと・・・。そうするねっ。」
ジャスティン達はスーを連れて神隠しの丘へ出発することになった。
出かけ際ガドインが言う。「・・・ふむ。困難を・・・乗り越えるか・・・。すまないが・・・ここでさよならを言わせてもらうぞ、スー。」
「えっ?ガドインは見送ってくれないの?」
「うむ、1つ用を思い出してな・・・。また会おう、スー。おまえがいつか『ステキなレディ』とやらになる日を楽しみにしているぞ。」「えへへへッ!うん!また・・・かならず会いにくるからね、ガドイン!」
「ジャスティン・・・、しっかりとスーを送りだしてやれ!わしはダイトの宿屋で待っておる。」

神隠しの丘、麓の祠に着いた3人。古代文明の機械に転送の玉を使用すると装置が動き出す。
3面のスクリーンに投影された風景はまさにパームのそれであり、喧騒がそのまま伝わってくるようだった。
「・・・わぁ!パームだぁ!!なっつかし~い。」「すっげえや・・・。ホントに思った所に行けるんだ・・・。」
スーがスクリーンの方へ歩き出す。そして振り返った。「ジャスティン、ワガママいってフィーナを困らせたりしちゃダメよ。わかった?あっ、それからハンカチはいつもポケット、歯ブラシは・・・、・・・えへへっ、ジャスティンはもうあたしがいなくてもダイジョウブよね!・・・ジャスティン、フィーナ・・・ここでお別れっ2人とも元気でね!」スーが笑顔で別れを告げる。
「なぁスー・・・。ホントに1人で平気なのか・・・?オレ・・・スーといっしょに帰っても・・・。」
「ダ~メッ!約束したでしょ?ジャスティンは冒険を続けるって。」スーは振り返りスクリーンの方を見た。
「・・・あたし、もう行くね!帰ってリリィおばさんのお料理、たっくさん食べるんだもんねプーイ?」「ぷぷっぷう!!」
「なんだよ・・・スーのヤツ・・・。ケロッとしやがって・・・。オレなんか・・・、オレなんか・・・。」
「・・・ジャスティン。そんなわけ・・・ないじゃない!もういいのよ、スー!!」フィーナは背を向けているスーに近づき、屈んで抱き寄せる。
「もう・・・いいのよ、スー・・・。ムリしないで・・・。がんばり・・・すぎよ!」
「・・・やっぱ、フィーナ・・・にはバレちゃ・・・だって・・・だって、イヤだ・・・もん・・・。」スーは目に大粒の涙を溜めていた。
「ふ、ふたりのおぼえてるあたしの・・・最後の・・・顔が、泣いてるか・・・お・・・イヤなんだもん!!」
スーは我慢しきれなくなり泣き出してしまった。
「いいのよ・・・スー・・・。もしいまがまんしちゃったら・・・、パームに・・・帰って・・・1人で泣いちゃうんでしょ?・・・ね?」
フィーナも目に涙を浮かべている。スーはフィーナの方を向き、フィーナに抱きついた。
「・・・、フィ、フィ・・・ナぁ!!ずっと・・・、ずっと、ずっと・・・みんなと・・・あたしも!あたしも!!フィーナならジャスティンのとなりを歩いて・・・行けるから・・・、あ、あたしじゃもういっしょには・・・。」
「いっしょよ!!どんなに遠くはなれてもスーの気持ちはずっと私たちといっしょだもの・・・。そうでしょ?」「・・・う、うん!」
「約束しましょ、スー。かならずまた会おう・・・って。私とジャスティンとスーの3人で・・・。」
「ありがとう、フィーナ!あたしぜったい会いにくる!!」スーはすっかり笑顔を取り戻した。「それまでちゃ~んと2人いっしょに冒険続けててね。約束よっ。」スーが投影されたスクリーンの中に入り込む。
「あっ!そうだ!!」何かを思いついたようにスーが振り返った。「ねえ・・・見て見て!!」パタパタと手を振っている。
そしてクルリと一周舞った。「ねっ?いまのあたしをよぉ~っくおぼえておいてね。い~い?2人とも?ちゃ~んとおぼえとかないと、あたしがステキなレディになったらぜぇ~ったいわかんないわよぉ。」「・・・・スー・・・!」
「・・・バイバイっ!がんばってね!ジャスティンならきっと夢を・・・、エンジュールを見つけられるわ。」
先ほどの悲しい泣き顔とは打って変わったとびっきりの笑顔の泣き顔を見せるスー。「スーっ!!」
いつの間にか投影されたスクリーンが消え、その場に残される2人。
「・・・ジャスティン・・・。スーを見送りに来たのに・・・見送られたのは私たちのほうね。」
「・・・うん・・・。スーのヤツ・・・。いよぉ~しッ!!オレぜったいに人魚の海を越えてみせるぜ!見ててくれよッ!スー!!」

ガドインとの約束どおり、待ち合わせのダイトの宿屋に向かうジャスティンとフィーナ。
ガドインは人魚の海を渡るための心当たりがあるといい、休養をしたら自分の家に来て欲しいと2人に伝え去っていった。

ガドインの家に着いた2人。
「・・・よくきたな、ジャスティン・・・。」「準備はオーケーさ!さっそく人魚の海へ・・・」
「ジャスティン・・・、おまえは困難を乗り越えるたびにすばらしい成長をとげてきた。そして仲間との別れというもっともつらい苦難を乗り越えたいま!おまえはまたひとまわり大きな男となった!!いまこそ全身全霊をもって、おまえの男としての船出を・・・わしが祝ってやろう!!」
ガドインは剣を構える。
人魚の海を渡る方法があると聞いてきたのに話が違うとジャスティンは言う。ガドインは自分との決闘に勝利すれば人魚の海を渡るなど容易いと答えた。
「でぇ~っ!ガ、ガドインと決闘!?なんでそんなこと!?」「そうよ、ガドイン!目を覚まして!」
「わしの目はこのとおり覚めておる!手を出すなよフィーナ。この決闘は神聖なる男と男の儀式!!さぁ!ゆくぞ、ジャスティン!!」

以前はまったく通用しなかったジャスティンの力は、長い冒険を経てガドインを凌ぐほどになっていた。
ジャスティンはガドインに勝利する。

「むぅ、みごとだ・・・、みごとだぞジャスティン。おまえはいまや武人としてもそして1人の男としてもわしが考えていた以上に成長した・・・。今こそおまえに伝えよう。このわしの竜陣剣を!!剣の力、地の力、炎の力・・・、それらを極めたときこそ竜陣剣が使えるようになる。わが一族に代々伝わる技だ・・・。一人前の男だけが使うことを許される。今のおまえなら受けつぐにふさわしい。」

そして、ガドインはダイトにある自分の船をジャスティン達に渡すと告げた。
それじゃ行こうぜとジャスティンが言うが、ガドインはその場でジャスティン達と別れる事を決意していた。
「もうわしがついてゆく必要あるまい。・・・言ったはずだぞ、フィーナ。ジャスティンは一人前の男だとな。日ごとに成長してゆくおまえの姿を見てわしは考えたのだ。わしも新たなる修行の旅に出るべきだと。さらなる高みを目指しよりいっそう男をみがきあげるために・・・。」
「そんな、ガドイン・・・。」「男がそんな顔をするな!おたがいの道を歩んでゆけばまた会える日もくるだろう。そのときはふたたび剣をまじえ、たがいの成長をたたえあおうではないか。男をあげるために精進せよ・・・。・・・楽しみにしているぞ!!さらばだ、ジャスティン!!」
ガドインはそのまま振り返りその場を去った。
「ガドイン・・・。旅の間、ずっとジャスティンの成長を見守ってくれたのね・・・。」
「約束するよ、ガドイン・・・。もっともっとでっかくなるって。ガドインに認めてもらえるようにさ。・・・ありがとう、ガドイン・・・。」

ダイトの船着場についた2人。ガドインの船の前にはアルマがいた。アルマは2人の旅の無事を案じた。
アルマに見送られ2人は人魚の海へと乗り出した。

夜。海の上。ふとジャスティンが目を覚ますが近くにフィーナがいない。
部屋の外にフィーナを探しに行くジャスティン。フィーナは部屋の外で夜空を見ていた。
「あっ、ジャスティン・・・。目が覚めたの?ねえ、見て。どこを見ても海ばかりよ。島影1つ見あたらないわ。月がとってもキレイ・・・。光が海に映って宝石みたいにキラキラしてる・・・。・・・ね、ジャスティン。ずっとそうやって立ってるつもり?こっちに来ていっしょに座らない?」
ジャスティンは少しフィーナから離れて座る。「どうしてそんなにはなれて座るの?もう、しょうがないわね。」
フィーナは立ち上がりジャスティンの直ぐ側に座り直した。「ふふっ、こうして2人っきりになるのって初めてね・・・。」
ジャスティンは何もしゃべらない。「・・・ねえ、どうして黙ってるの?」ジャスティンは顔を真っ赤にしてしどろもどろに、えーとやら、あのそのやらと答える。
「くすっ。・・・私ね、ずっと考えごとしてたの。夜風にあたりながら、ね。ねえ、何を考えてたかわかる?当ててみて、ジャスティン。」
「わかった、オレのことを考えてたんだ!ジャスティンってなんて男らしくてカッコイイすてきな人なのかしらって!・・・んなわけないか。」ジャスティンが冗談めかして言う。
「は・ず・れ!」「そりゃそうだよな。タハハ・・・。」「と・・・、いうわけでも・・・、ないの・・・かな?」「え?」
「ジャスティンに初めて会ったのも、海の上だったなぁって。思い出していたの・・・。」
「あんときフィーナ、見習いだってんで冒険者のアイサツしてくれなかったんだよなぁ。」
「いっしょに旅をすることになるなんて、あの時は考えもしなかったのに・・・。ジャスティンはみるみるうちに強くたくましくなって・・・。私の心の中でも大きくなっていって・・・。」
「フィーナ・・・?」「昔・・・、まだ姉さんといっしょに暮らしてたころ・・・私、しあわせだった。でも、あの日姉さんは出ていったわ。私1人だけ残して・・・。いまでもときどき不安になるの。しあわせだと思えば思うほど、不安は大きくなるの。みんないなくなっちゃうんじゃないか、私はいつかまた1人にもどっちゃうんじゃないかって・・・。ジャスティン・・・、私たちこれからもずっといっしょにいられるのかしら・・・。」
「そんなのあたりまえだろ!オレ達ずっといっしょに冒険するんだから!」「うれしい・・・。ありがとう、ジャスティン。私・・・、ジャスティンといっしょにいるとほっとするの・・・。とてもしあわせな気持ちになれる・・・。相手がジャスティンだからなのよ。他のだれも・・・、たとえ姉さんだって代わりにはなれないんだわ。」
「フィーナ・・・。」「ねえ、ジャスティン・・・。私のこと・・・好き?」
「好きに決まってるじゃないか!スーだってガドインだってフィーナのことが大好きだよ。」「・・・ジャスティン。私が聞きたいのはそういう『好き』じゃなくて・・・。」フィーナがぶすっとする。「・・・え?フィーナ、それってどういう・・・。」
「・・・。」「・・・。・・・フィーナ・・・。月の光のせいなのかな・・・。いつもとちがって見えるよ。なんていうか、その・・・。とてもキレイに見える。い、いやもっ、もちろんいつもカワイイんだけど。・・・ってなに言ってるんだろ、オレ。変だぞ!?」
ジャスティンは再び顔を真っ赤にする。
「フシギね・・・。ふだんだったら照れくさくて言えないようなことも今なら言える気がするの。」「フィーナ・・・。」
向かい合う2人。「ジャスティン・・・。あなたは、私にとって特別な・・・」フィーナがそう言い掛けた時、船が何かにぶつかってしまう。

船にぶつかっていたのはカワイイ女の子だった。2人は急いで救助する。
助けられた女の子はジャスティンにすがりつく。「勇者さまァ、助けてください!海賊が、海賊がァン!」
女の子とはジャスティンにぴたりとくっつく。「ちょ、ちょっと待ってよ!ワケを話してくれなきゃわかんないよ!」
「そっ、そうよそうよ。ちょっと!ジャスティンから離れて!」フィーナはジャスティンと女の子を引き剥がす。
「わたしは近くの島から逃げてきたんですぅ。海賊がわたしたちをおそってきてェ・・・。」
「なんだって?海賊がいるのか!?」「そうなんですぅ。わたしたちはみんなあいつらにつかまって・・・。わたしだけ逃げだしてきたんですぅ。ネェおねがい。勇者さまァ。みんなを助けてあげてェ!」「大変だフィーナ!助けにいかなくちゃ!」
「ちょっと・・・待ってよ・・・。いったいどこの島まで・・・。」「あそこの島ですぅ。みんなあの悪い海賊の島につかまっているんですぅ。おねがいします勇者さまァ!みんなを助けてェ!」
「まかせとけって!この勇者ジャスティンさまが悪い海賊なんてやっつけてやるぜ!」おだれられて調子にのるジャスティン。
「ちょ、ちょっとジャスティン・・・。」「勇者さまァ、ありがとうございますぅ!」
「あ、あぁ・・・まかせとけって!エヘヘ・・・。」ジャスティンはここでも赤面する。
「デレデレしないの!ジャスティン!なによ・・・ついさっきまで私と・・・。」「あの島に上陸だ!行くぜ、フィーナ!」
「・・・しらない!もう・・・、ジャスティンの・・・エッチ!」

島に着いた2人。船を降りたフィーナはジャスティンに女の子が怪しいと思っている事を伝える。
が、ジャスティンは気に止めず2人は海賊を探し始めた。

島にある民家の前で、救助した女の子と同じ風貌をした女の子達を発見する。
「みんな、大丈夫か?勇敢なる冒険者、ジャスティンが助けにきたぜ!!」
勇者さまぁ~んと、女の子達は一層ジャスティンをおだてあげる。「さ・・・、さあ、み、みんなオレについてこい!」
「なに言ってるのよ、バカ!」女の子達が言うには、妹が1人民家の中で捕まっているらしい。
任せておけというジャスティンをフィーナはやっぱり何か変だと止める。が結局民家に踏み込む羽目に。
家の中には何故か大きな水溜まりがあった。部屋の中央に女の子が1人背を向けて立っており、
辺りからは不気味な女の子達の笑い声が聞こえる。
「大丈夫か?勇者ジャスティンが助けにきたぜ!!さあ早く逃げるんだ。」
「勇者さま・・・あなたのような人が来るのをずっと待っていたの・・・。私もうオナカペコペコがまんできなーい。」
「は?オナカペコペコって・・・。」「さあ勇者さま。私のエサになってーん。」
急に水の中から巨大な提灯アンコウが現れる。提灯の部分は先ほど部屋の中央にいた女の子であった。
「やーっぱりワナだったのよ!この子たちがウワサの人魚なんだわ!!」「そんなー。」「くるわよ。ジャスティン!!」

魚を退治した2人。直後島が沈み始めるが何とか船まで引き返す。

再び夜の船上。「なんだ、起きてたのね・・・。眠れなかったの?ジャスティン。」
「ちょっとだけ反省な気分でさ・・・。フィーナの言うこともろくに聞かずに人魚のワナにはまっちゃったし・・・。もしオレ1人だったら人魚に食われてたかも・・・。しっかし・・・オレも成長してないよなぁ。」
「・・・ジャスティンはしっかり成長してるわよ。人魚にだって食べられたりしないわ。それに・・・、・・・私ジャスティンを1人にしたりしないもの。」
「フィーナ・・・?もし1人だったら・・・なんてそんなこと言わないで。ジャスティン。冒険に危険はつきものだからこそ、パートナーは常に協力しあっていくのが・・・、ううん、ちがうわ、そうじゃなくって・・・。ジャスティンは私にとって特別な・・・。」
「フィーナ、きのうの夜も・・・、『ジャスティンは私の特別な・・・』って言ってたろ。私の特別な・・・なんだろ?聞かせてよ、フィーナ。」
「フフッ、気になるんだ?ジャスティン。」「い、いや。気になるってほどでもないけどさ。」
「・・・もういいのよ、ジャスティン。いまは私、自分の気持ちがよくわかるの。きっとこの気持ちはだれにも言葉なんかできない・・・。ううん、したくないの。」「・・・。これからはもっと気をつけるよ。だって人魚よりフィーナに怒られた方がよっぽどこわいもんな、タハハっ。」
「もう!ホントに反省したのぉ?しっかりしてね、ジャスティン。」
「・・・朝日だ・・・。夜が明けちゃったね、フィーナ。」「あたらしい今日の冒険が始まるんだわ。あっ、陸が見える!・・・ほら、あれ!」
フィーナが指差す先には朝日に照らし出された未知の大陸があった。

---CD1枚目終わり---


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