第一回のテーマは台詞テクニック。


参加者:クモコ、くらの、しらたき、ダンボ(マイク不所持の為、聞き役として)、ヒゲ



 台詞を喋る上で感性とは別に、技術力・構想力など物理的なテクニックというものがある。
音声表現技術のポイントは呼吸法と滑舌、そして音色。
呼吸法は腹式呼吸と言われるもの、滑舌は噛まず・詰まらず口が回るかどうか。
3つ目の音色、これはあまり意識されにくい要素である。
単語文節の集まりで台詞は構成されるが、声が明るい暗い・硬いなどの装飾で

全体のイメージがガラリと変わってくる。
音色を使い分けることで、演技が判らなくてもそういった技術力でカバー出来ることもあり、

より良く聞こえることにも繋がっていく。
第一回はこの滑舌と音色について実践を交えつつ、学習する。


 一般に8割以上の人が初見の読みには弱いと言われている。
が、コツがあり、視野を広く持って文章の先を俯瞰しながら読むことが大切。
訓練としては何でも良いので身の回りの文章を音読すること。
練習量・慣れ次第で初見に強い2割になれる。

(一通り実践、各自手元にある適当な文章を音読してみる)


単語的にいえば緩急、全体でいえば間を取るなど、

難しい箇所でスピードを落とすと認識がし易い
全部同じ速さでつらつらと読んでしまうと噛み易く、リズムある読みは耳触りが良い。
作品を反復練習で練り上げ、作り上げていく演劇的にはあまり役に立たない。
しかし、そういった意識を持つことで内容把握が早くなり、自身の解釈も生まれてくる。



 以上を踏まえた上での実践、しらたきさん提供の文章を読む。
くらの→しらたき→ヒゲ→クモコの順で『』で区切った箇所を、

聞き手に80過ぎのお婆ちゃんを想定して音読し、其々を検討。



『日本医師の中村哲氏は、2000年以来アフガニスタンに井戸を掘り続けています。
今では彼らのグループによって建設された1000以上の井戸があります。
この井戸は、今は地元の人々に使用されています。』

『しかし、なぜ一医師が日本を遠く離れて、井戸を掘らなければならないのでしょう。
中村医師は熟練の登山家であり、日本探検隊の随行医師として
アフガニスタンの高山を訪れました。
彼は、彼がそこで出会った人々は、周りに医者が一人もいない
劣悪な環境で暮らしているということを知りました。』

『1984年、この経験はパキスタン北部のアフガニスタン国境に程近い町であるペジャワールで、
自分の時間をささげることに彼を導きました。
それ以来、彼はアフガニスタンとパキスタンで20年以上もの間、
ペジャワール会医療サービスの総院長として働き続けています。
2000年のある日、中村医師はPMSの診療所に来た大勢の患者の数を見て驚きました。』

『多くの人は下痢のような病気で苦しんでいました。  
医師は言いました、「診療所の井戸は枯れかけていました、
しかし人々はその井戸からさえ水を汲もうと次々にやってきたんです。
なぜなら彼らのほとんどの井戸は、ほとんど干上がっていたからです。」
「人々は汚れた水を飲んだり使ったりせねばなりませんでした、
そしてそのことで彼らは病気になってしまったのです。」と。』



くらのさんへの批評
ある五十音の行の発音が不明瞭、声質的に苦手なのだろうか。
文章全体の端緒であり、まず何についての話であるのか、聞き手に伝えられなければならない。
テーマに関わる単語を強調するなどの工夫の余地があったのではないか。


しらたきさんへの批評
早い。
特に一文の語尾、内容が詰まった箇所でそれが顕著。
最も流暢に読めていた反面、想定した聞き手に伝わり易いかは疑問。


ヒゲへの批評
不必要な単語の区切り方が気になる。
丁寧に、と意識するあまり、常に力み過ぎ。
流すべき所を流さないと本当に大事な所が伝わらなくなってしまう。


クモコさんへの批評
力み過ぎ、同じく。
ここはそれまでとは違い、現地医師の発言などもう一寸踏み込んだ箇所。
その語り口にもっと情感を交えて読んだ方が良かった。


 ここまで聴いていたダンボさんから総評。
「文章を見ながらなら内容を掴めるが、話として聞くと何を言っているのか判り辛い」
一同納得。
このことは練習において完全客観な視点が必要なことを示している。


各自指摘された箇所を気に留めつつ再度練習後、通して読み、第一回は終了。


※音声データをupする予定でしたが、大容量な為、データが破損してしまいました。

 次回はこういったことが無い様に気を付けます。
 申し訳有りませんでした。

最終更新:2008年08月03日 02:48