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■規模拡大から“青田買い” 高リスク、収穫は未知数

 国内製薬会社がバイオベンチャー企業に対するM&A(合併・買収)を活発化させている。最大手の武田薬品工業が4月に業界過去最高額の約88億ドル(8900億円)で米バイオベンチャーを買収したほか、エーザイやアステラス製薬も相次いで仕掛けている。これまでのM&Aは莫大な新薬の研究開発費を確保するための規模拡大が狙いだったが、最先端分野に特化したベンチャーの将来性を取り込む“青田買い”がトレンドになってきた。(滝川麻衣子)

 ≪出物の新薬候補≫

 「これほどの大型M&Aは、これが最後と考えている」

 武田薬品の長谷川閑史社長は9日の決算発表会見で、こう言い切った。

 この日、抗ガン剤に強みを持つ米バイオベンチャーのミレニアム・ファーマシューティカルズに対するTOB(株式公開買い付け)の成立を発表。巨額の買収費用を一括計上するため、2009年3月期の業績予想では、連結経常利益が半減する見込みだ。

 「自前主義の武田」。こう呼ばれてきた同社は、1兆円を超える手元資金を持ちながら、これまでM&Aには慎重だった。しかし、2月にも抗体医薬の米アムジェン日本法人を買収しており、今年に入り、一転して買収攻勢に打って出ている。

 業界には「高い買い物」との声もある。しかし、有力医薬品の特許切れが迫る一方で、昨秋に期待していた新薬候補が副作用報告で頓挫した武田薬品にとって、ガン分野で10種類もの新薬候補をもつミレニアムは、のどから手が出るほど欲しい“出物”だった。

 ≪海外ファーマに注目≫

 価格がつり上がったもう一つの理由が、世界の“メガファーマ(巨大製薬会社)”によるベンチャー争奪戦の激化だ。

 米国のバイオベンチャーはガン治療薬のほか、ヒトが持つ免疫機能を活用し副作用が少ない抗体医薬などの成長分野に特化。大学などの研究機関と連携し初期の開発段階までを担い、その後は資金力のある大企業に引き継ぐケースが多い。

 規模拡大で先行する海外のメガファーマはすでに、こうしたベンチャーの“青田買い”へとかじを切っている。

 これに対し、国内各社は05年にアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)と第一三共(第一製薬と三共)が相次いで誕生するなど規模拡大のための業界再編が一巡したばかり。ここにきてようやく海外勢の後を追い始めたというのが実情だ。

 昨年はエーザイが3月に米モルフォテック、12月に米MGIファーマ買収を決定。第一三共は7月に米アムジェンと骨粗しょう症治療薬のライセンス契約を締結。アステラス製薬は11月にガン分野の抗体医薬を専門とする米アジェンシスを、大塚製薬も12月に米PDLバイオファーマからガン治療薬事業を買収すると発表した。

 ≪狭まる未開領域≫

 もっとも、新薬の開発と同様に、ベンチャー買収には大きなリスクを伴う。

 新薬の開発競争が激化する一方で、未開の領域はどんどん少なくなっており、年々、商品化される医薬品の数は減少している。「今後の成長性を考えれば狙うところは明白」(エーザイの内藤晴夫社長)なだけに、ガン治療薬や抗体医薬のバイオベンチャーの奪い合いとなっており、“はずれ”をつかむ可能性も高まっている。

 異文化を持つベンチャー企業をどうコントロールするかも課題。武田薬品の長谷川社長はミレニアムについて、「武田グループの中の独立企業」とし、経営チームを続投させ、自主性を尊重する考えだ。

 “青田”が実りの秋を迎え、無事に収穫できるのか。予断は許さない。

                   ◇

 ■協和発酵キリン 日本勢タッグも

 国内大手製薬会社が海外のバイオベンチャー企業の買収へと走るなか、日本勢同士のM&Aで「日本発のグローバルファーマ」を目指す製薬会社もある。日本古来のみそなどの発酵技術から抗体医薬研究に参入した協和発酵工業と同社を買収したキリンホールディングスだ。

 昨秋にキリンが協和発酵を買収。今年10月にはキリンの医薬品部門と事業統合し、「協和発酵キリン」が誕生し、経営体制も大幅に強化される。

 先月末に2008~10年新中期経営計画を発表した協和発酵の松田譲社長は「両社が得意とする抗体医薬を核に、最先端のバイオテクノロジーを駆使できる」と、自信をみせた。

 松田社長はあくまで「技術力のシナジー」を強調するが、「強力な資金力を持つキリンがバックについた」(業界関係者)ことは大きな強みだ。主力の国内酒類事業が縮小するなか、食品や医薬品を新たな収益の柱に育てたいキリンは、積極的に新会社に経営資源を投入するとみられている。

 協和発酵が得意とする抗体医薬は、」動物などが本来持つ自力で病気を治す免疫力を活用するもので、副作用が少ないことが特徴。1990年代に大手が相次ぎ、参入したが、なかなか成果を上げられず、撤退した。

 しかし、この10年で遺伝子組み換え技術などが飛躍的に進歩し成長市場となっている。04年の市場規模は約1兆円と推計され、11年には3兆円規模に拡大するとの試算もある。

 協和発酵は化合物を使う従来の医薬品技術に乏しかったことから、あくまで抗体医薬にこだわり、現在の好業績につなげた。一方のキリンも、ビールの発酵技術をベースに抗体医薬に力を入れ、実績を上げており、日本勢タッグによるシナジー効果に注目が集まっている。
http://www.business-i.jp/news/top-page/topic/200805150011o.nwc


カテゴリ: [ニュース] - &trackback- 2008年05月15日 23:16:37
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