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<p>【レス抽出】<br /> 対象スレ: 女騎士「傷(ry」<br /> ID:FywhcY/10</p> <p><br /> 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 01:41:34.74 ID:FywhcY/10<br />  熱い。空気が乾燥していれば気温が高くても辛くないという話を聞いたことがあるが、それが嘘であること</p> <p>をわたしは身をもって知っているところだった。汗はすぐに蒸発し気化熱が体温を奪ってくれる。けれど汗は</p> <p>でているのだ。いくら水分を補給してもまだ足りないと肉体が叫ぶ。水がもし無尽蔵にあったならばと想像せ</p> <p>ずにはいられない。水気をもたない大地は少しの風で砂塵を散らす。ピシピシと体に当たるものが、自分の生</p> <p>まれた国にある”砂”と呼ばれるものと同じであるとはとても信じがたかった。</p> <p>「嬉しそうだな」</p> <p> けれどもわたしは、笑っていた。</p> <p>「ええ」<br /> 「少し前までは随分ふてくされてたじゃないか」</p> <p> 行軍の最中、横にいる隊長が話しかけてきた。風が止んだからだろう。喋っても砂が口に入ることはない。</p> <p>「それは少し前までの話ですよ」<br /> 「戦場でそんな顔をしてる奴は初めて見る」<br /> 「ありがとうございます」<br /> 「あきれてるんだよ。それに、わたしはわりと、血と埃の似合うあの可愛げのない顔が結構好きだぞ」<br /> 「自分のことが好きですか。嬉しいです」<br /> 「語弊のある言い方はよしてくれ」</p> <p> 照れたのだろうか。その様子が可愛いことを隊長自身に伝えたらたぶん怒るのだろう。けれどその怒る姿も</p> <p>どこか可愛いものであるかもしれないと、わたしは不謹慎なことを考えた。</p> <p>144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 01:42:48.65 ID:FywhcY/10<br /> 「わたしは・・・、これは左遷だと思っていました」<br /> 「異動がか?」<br /> 「そうです」<br /> 「この隊の方が、知名度はある」<br /> 「特別編隊と言えば確かに聞こえはいいです」<br /> 「含みがあるな」<br /> 「知名度の高いこの隊は、士気高揚のための飾りに過ぎません」<br /> 「お前は最前線からの転属だったか」<br /> 「知っていますか?わたしは最前線ではこんな顔をしていたんですよ?」<br /> 「嬉しそうな顔・・・、ということかな」<br /> 「戦場が好きなんです」<br /> 「・・・」<br /> 「だからこれは自分にしてみれば左遷も同然だったんです。普通の人間には栄転であっても・・・ね」<br /> 「過去形なんだな」<br /> 「・・・戦場では、わたしは女である必要がありません」<br /> 「男に生まれたかったか?」<br /> 「そうではありません。ただわたしは昔から・・・、女であることに不便を感じていました」</p> <p> わたしは男になりたいと思ったことはなかった。ただ女であることが、女という在り方に従わねばならない</p> <p>ことが苦痛だった。</p> <p><br /> 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 01:43:53.91 ID:FywhcY/10<br /> 「よくある話だ」<br /> 「だからわたしにとって戦場は・・・特に最前線は理想郷なんです」</p> <p> 倒れていく味方と敵の血潮が、自分が女であることも、女であることをわだかまる自身の思考をも洗い流し</p> <p>てくれる。</p> <p>「最前線の紅一点が、まさか理想のために戦っていたのではなく、戦いが理想だったとはね・・・」<br /> 「国民が知ったらどうおもうでしょうかね」<br /> 「しかしお前の言うとおりだ。戦場に性別はない」<br /> 「隊長もそう思いますか?」<br /> 「ああ」<br /> 「ふふふ・・・」<br /> 「ではなぜ過去形なんだ?ここも前線には違いない。だがお前のいた隊に比べれば・・・」</p> <p> 決まっているじゃないですか。</p> <p>「あなたに出会えたから」<br /> 「な・・・」<br />  だからわたしは、笑っているんです。</p> <p>146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 01:44:23.39 ID:FywhcY/10<br /> **************************</p> <p><br /> 「ここは戦場ですか?」<br /> 「ふざけたことを・・・」<br /> 「答えてください。ここは戦場ですか?」<br /> 「・・・」<br /> 「ここは戦場ですか?」<br /> 「戦場だ」<br /> 「戦場に性別はありますか?」<br /> 「戦場に性別などない」<br /> 「わたしはここで女でいる必要がありますか?」<br /> 「戦場で女でいる必要なんてない」<br /> 「・・・そしてわたしは、あなたと出会えた」<br /> 「・・・」<br /> 「わたしが好きだと・・・、言ってくれましたね?」<br /> 「・・・」<br /> 「女ではないのなら、男を好きでなくてはならない理由なんてありません」<br /> 「・・・」</p> <p> </p> <p><br /> 「あなたを好きでは、ダメですか?」</p> <p> </p> <p><br /> 戦意高揚のために編成された女性騎士団。そこで秘めやかに紡がれた、決して報われぬ恋の物語。</p> <p>147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 01:47:36.32 ID:FywhcY/10<br /> 連投すみませんでした。ちなみに、つづかない。<br /> 地の描写をしてもいいのか迷ったけどすることにしました。<br /> 百合ENDなのは俺の趣味。うまく叙述トリックになってれば幸い。<br /> *******より上で読むのやめれば一応男×女作品として読めるはず・・・。</p>

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