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『必ず帰ってくる、約束する』 私が聞いた最後の言葉、そう言ってルークは消えた。 溜息をつく。 それがどんなに嫌な事でも、そうしなければならない理由が彼にはある。 それでも・・・私は溜息をついた。 もうあれから2年。 未だルークと会えない日々。 それがあと何日続くかさえ判らない。 長ければ5年以上?もしかしたら・・・ 彼は知らない所へ行ってしまった。 どんなに会いたくても私じゃ行けない所に。 本当の彼の居場所は、そこではない。 我侭を言えば私の傍にいてほしかった。 でも仕方のない事。 諦めなきゃならない事。 それでも諦めなれない。 彼を、諦める事なんて出来ない。 最初ルークに会った時、本当に我侭でどうしようもない人だと思った。 いいところもあったけど、それ以上の気持ちは生まれなかった。 それが、何時からだろう・・・ 彼が頼もしく見えて、いつの間にか好きになってた。 いつも傍に居て、時には彼に守ってもらうのが当たり前になった。 彼が微笑んでくれるだけで、私の心の奥が疼く。 ルークに、私はどっぷり浸かりきっていた。 レムの塔、あの時からずっと考えてた。 いつかは彼が消えてしまう事。 彼が、この世界からいなくなる事。 私の傍からいなくなる事。 もう、一緒に話すことも歩く事もできない。 どうして願いは叶わないのだろう? 無理だなんて思いたくない。 全てを捧げて、彼の物になりたい。 でも、叶わなかった。 机にある、ルークの日記。 手にとって、抱きしめる。 そう、彼を抱きしめるように、優しく。優しく。 ただ、消えたからといって死ぬ訳じゃない、二度と会えなくなる訳でもないのに。 ちゃんと理解しているはずなのに。 辛い。寂しい。 いつも傍に居て、無邪気にはしゃぐ彼が居ないだけでこの世が静かに思えた。 食事を摂ることも億劫になる。 ただ時間が刻々と過ぎていく。 何もする事がない日はベッドの上で階段を、眺めているだけ。 刹那、軽快な声が聞こえた。 のそのそと階段を降り、声の主を確認する。 「ティア!元気?」 アニスだ。 彼女はニコニコと笑いながら立っている。 今の私とはまるで正反対。 「いらっしゃいアニス。私に何か用?」 何とか明るく振舞う。 「たまにはティアのとこにでも遊びに行こうかなって。そういえば、もうすぐルークの誕生日だよね」 ・・・ルーク。 「ティアもバチカルに行くの?あたしとしてはさ、ルークのお墓の前・・・・・・ティア?」 どうして? 「どうしたのティア?あたしなんか酷いこと言ったかな・・・?」 どうして彼は。 「ごめんなさい!なんか困らせちゃったなら謝るね・・・」 「わたし・・・わたし・・・」 声が、震えていた。 「ティア・・・?本当にどうしちゃったの?」 こんなに、こんなに好きなのに。 こんな感情、彼以外生まれないのに。 どうして天は私を見放すのか。 早く・・・帰ってきて。・・・私の元に・・・お願いだから早く帰ってきて・・・ 『必ず帰ってくる、約束する』 「え・・・?」 「ルークはこう言ったんだよ?なのにティアがそんなんでどうするわけ?」 「約束・・・する・・・」 「泣きたかったら泣けばいいじゃん。それが嫌ならいつまでもそんなウジウジしない!ティアらしくないよ?」 「うん・・・」 「今日はあたしがいたあげるから。そんで明日は気晴らしにどっかに行こ!・・・・・・ティアはね、なんでも塞ぎ込み過ぎだよ。  たまには泣いてもいいじゃん。誰も責めないよ」 泣く事は出来ない。 私の小さな意地が邪魔をする。ここで楽をするなと。 涙を流すのは彼の前だけでいい。 「ごめんなさい・・・。私、私は・・・ルークを信じて待つわ」 「それでいいんだよ。みんなだってルークがいなくて寂しいんだから」 「気を遣わせちゃってごめんなさい・・・私ったらダメね」 「あたし達友達じゃない。これからも辛い時があったらあたしに言って!いつでも元気にしてあげる」 「うん・・・」 「まったく、ティアをここまで不安にさせて、あのボンボンはどこで何してるのよ。帰ってきたら真っ先にあたしの必殺パンチを喰らわせてやるんだから!」 「ア、アニス・・・!それはダメよ!」 「ふふふ、冗談に決まってるでしょ。まったくティアはルークの事になるとすぐこれなんだから。でもよかった、いつものティアに戻ってくれて。  本当はね泣いたらどう慰めようかなーって困ってたんだよ。あーでも、ティアの泣き顔を見てみたかったな・・・きっと可愛いんだろうなー」 「アニス悪趣味よ・・・!もう、からかわないで・・・」 「顔真っ赤だよー。やっぱり今のティアが一番だね。そうだ、今からアニスちゃん直伝メイクを教えてあげる!きっとルークもメロメロだよ~。  どうせ口紅ぐらいしかしないんでしょ?ティアの事だから地味なメイクしかしなそうだしぃ」 「そんな事どうだっていいじゃない!ねえアニス、もしかして私をからかって遊んでない?」 「そんな事ないよー。今のうちにルークを骨抜きにさせるための、ありとあらゆる恋愛の技を教えてあげるんだから」 「べ、別にいいわよそんな事・・・!」 「いいからいいから。ティアってば可愛いのに遠慮しがちなんだもん。あの鈍いルークに任せてもきっとなーんにも進展ないよ!」 「あの・・・まだルークは・・・」 「つべこべ言わない!ほらそこに座る!」 「もう・・・」 結局朝まで『アニス流大人の恋愛術』を延々と聞く羽目になった。 はっきり言って理解しがたい内容だった。 机に突っ伏して寝ているアニスをベッドへ運ぶ。元気付けてくれたのは嬉しいけど、何とも複雑な気分。 「彼が帰ってきたら・・・一つぐらいは試してみようかしら・・・」 ---- - ガンバ、ティア&br() -- 瑠紅 (2006-10-04 19:48:02) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
『必ず帰ってくる、約束する』 私が聞いた最後の言葉、そう言ってルークは消えた。 溜息をつく。 それがどんなに嫌な事でも、そうしなければならない理由が彼にはある。 それでも・・・私は溜息をついた。 もうあれから2年。 未だルークと会えない日々。 それがあと何日続くかさえ判らない。 長ければ5年以上?もしかしたら・・・ 彼は知らない所へ行ってしまった。 どんなに会いたくても私じゃ行けない所に。 本当の彼の居場所は、そこではない。 我侭を言えば私の傍にいてほしかった。 でも仕方のない事。 諦めなきゃならない事。 それでも諦めなれない。 彼を、諦める事なんて出来ない。 最初ルークに会った時、本当に我侭でどうしようもない人だと思った。 いいところもあったけど、それ以上の気持ちは生まれなかった。 それが、何時からだろう・・・ 彼が頼もしく見えて、いつの間にか好きになってた。 いつも傍に居て、時には彼に守ってもらうのが当たり前になった。 彼が微笑んでくれるだけで、私の心の奥が疼く。 ルークに、私はどっぷり浸かりきっていた。 レムの塔、あの時からずっと考えてた。 いつかは彼が消えてしまう事。 彼が、この世界からいなくなる事。 私の傍からいなくなる事。 もう、一緒に話すことも歩く事もできない。 どうして願いは叶わないのだろう? 無理だなんて思いたくない。 全てを捧げて、彼の物になりたい。 でも、叶わなかった。 机にある、ルークの日記。 手にとって、抱きしめる。 そう、彼を抱きしめるように、優しく。優しく。 ただ、消えたからといって死ぬ訳じゃない、二度と会えなくなる訳でもないのに。 ちゃんと理解しているはずなのに。 辛い。寂しい。 いつも傍に居て、無邪気にはしゃぐ彼が居ないだけでこの世が静かに思えた。 食事を摂ることも億劫になる。 ただ時間が刻々と過ぎていく。 何もする事がない日はベッドの上で階段を、眺めているだけ。 刹那、軽快な声が聞こえた。 のそのそと階段を降り、声の主を確認する。 「ティア!元気?」 アニスだ。 彼女はニコニコと笑いながら立っている。 今の私とはまるで正反対。 「いらっしゃいアニス。私に何か用?」 何とか明るく振舞う。 「たまにはティアのとこにでも遊びに行こうかなって。そういえば、もうすぐルークの誕生日だよね」 ・・・ルーク。 「ティアもバチカルに行くの?あたしとしてはさ、ルークのお墓の前・・・・・・ティア?」 どうして? 「どうしたのティア?あたしなんか酷いこと言ったかな・・・?」 どうして彼は。 「ごめんなさい!なんか困らせちゃったなら謝るね・・・」 「わたし・・・わたし・・・」 声が、震えていた。 「ティア・・・?本当にどうしちゃったの?」 こんなに、こんなに好きなのに。 こんな感情、彼以外生まれないのに。 どうして天は私を見放すのか。 早く・・・帰ってきて。・・・私の元に・・・お願いだから早く帰ってきて・・・ 『必ず帰ってくる、約束する』 「え・・・?」 「ルークはこう言ったんだよ?なのにティアがそんなんでどうするわけ?」 「約束・・・する・・・」 「泣きたかったら泣けばいいじゃん。それが嫌ならいつまでもそんなウジウジしない!ティアらしくないよ?」 「うん・・・」 「今日はあたしがいたあげるから。そんで明日は気晴らしにどっかに行こ!・・・・・・ティアはね、なんでも塞ぎ込み過ぎだよ。  たまには泣いてもいいじゃん。誰も責めないよ」 泣く事は出来ない。 私の小さな意地が邪魔をする。ここで楽をするなと。 涙を流すのは彼の前だけでいい。 「ごめんなさい・・・。私、私は・・・ルークを信じて待つわ」 「それでいいんだよ。みんなだってルークがいなくて寂しいんだから」 「気を遣わせちゃってごめんなさい・・・私ったらダメね」 「あたし達友達じゃない。これからも辛い時があったらあたしに言って!いつでも元気にしてあげる」 「うん・・・」 「まったく、ティアをここまで不安にさせて、あのボンボンはどこで何してるのよ。帰ってきたら真っ先にあたしの必殺パンチを喰らわせてやるんだから!」 「ア、アニス・・・!それはダメよ!」 「ふふふ、冗談に決まってるでしょ。まったくティアはルークの事になるとすぐこれなんだから。でもよかった、いつものティアに戻ってくれて。  本当はね泣いたらどう慰めようかなーって困ってたんだよ。あーでも、ティアの泣き顔を見てみたかったな・・・きっと可愛いんだろうなー」 「アニス悪趣味よ・・・!もう、からかわないで・・・」 「顔真っ赤だよー。やっぱり今のティアが一番だね。そうだ、今からアニスちゃん直伝メイクを教えてあげる!きっとルークもメロメロだよ~。  どうせ口紅ぐらいしかしないんでしょ?ティアの事だから地味なメイクしかしなそうだしぃ」 「そんな事どうだっていいじゃない!ねえアニス、もしかして私をからかって遊んでない?」 「そんな事ないよー。今のうちにルークを骨抜きにさせるための、ありとあらゆる恋愛の技を教えてあげるんだから」 「べ、別にいいわよそんな事・・・!」 「いいからいいから。ティアってば可愛いのに遠慮しがちなんだもん。あの鈍いルークに任せてもきっとなーんにも進展ないよ!」 「あの・・・まだルークは・・・」 「つべこべ言わない!ほらそこに座る!」 「もう・・・」 結局朝まで『アニス流大人の恋愛術』を延々と聞く羽目になった。 はっきり言って理解しがたい内容だった。 机に突っ伏して寝ているアニスをベッドへ運ぶ。元気付けてくれたのは嬉しいけど、何とも複雑な気分。 「彼が帰ってきたら・・・一つぐらいは試してみようかしら・・・」 ---- - ガンバ、ティア&br() -- 瑠紅 (2006-10-04 19:48:02) - 応援してるぜ。 -- ナイト (2011-04-08 20:57:23) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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