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─うざい…。─ 赤髪の青年は眉間にしわを寄せて心の中で呟いた。 青年の名は「ルーク・フォン・ファブレ」─。 キムラスカ王国では高名なファブレ公爵の息子である。 「ちょっと、ルーク。あなた何してるの?」 自分より先を歩いていた、見る者の心を惑わせる程の  美しい容姿をもった女性が、こちらを振り向いて凛とした声で尋ねる。 「別に何にもしてねーよ。いちいちうるせぇな。」 「『うるさい』とは何よ。何を思ってか知らないけれど、 あなたの歩きが極端に遅くて、遅れ気味だったから心配しただけよ。」 「遅くて悪かったな。 …へーぇ、お前みたいな冷血女でも、心配するんだな。」 「っ!!」 その一言に彼女は嫌悪感を露にする。 ルークから「冷血女」という不名誉な呼び方をされる、  その女性の名は、「ティア・グランツ」─。  ティアは一呼吸置いて、落ち着きを取り戻した。 「…あなた、自分の立場が分かっているの…? 行っておくけど、私は何時でもあなたを見限る事が出来るのよ。 死にたく無ければ、黙って私に付いてくることね…。」 「うっ…。」  いくら、ティアの事が気に入らなくても、死にたいというわけではない。  ルークは肩をガックリと落とし、しぶしぶと歩き出した。 (はぁ…。)  ルークもティアも心の中でため息をついた。 (ほんとに子供ね、全く─。憎たらしいというか…なんていうか…。) (なんつーか、やりにくい女だよな…冷めた性格してるし…。)  どちらも似たり寄ったりの感情を持ちつつ、今日の目的地である○○○へと向かう─。 「ほら、あともうちょっとで○○○に着くから。」 「へいへい。」 「返事は一回でいいのよ(怒)」 「…へい。(うるせーな)」  空はかなり暗くなっている。いつモンスターが出てきてもおかしくはない。  二人は自然と身構える。  神経を尖らせ、周囲を警戒する二人…─。 「…気をつけろよ…。」 「…あ、あなたに言われなくたって─」 (可愛くねえな、こいつ…。)  ルークはそう感じていたが、一方のティアは違った。  このような緊迫した状況にも関わらず、さりげなく気遣うルークに  一瞬、心臓が高鳴った感覚を覚えていた。 (な、な、何!?今の…さりげなく…!?) <ドク・ドク・ドク…>  ますます鼓動が早くなるのを覚えるティアであった。  しかし、その一瞬の気の緩みが─ 「グガァァァァァァッ!!!」 「!!!」 「ティア!!あぶない!!!」 <ズサーーーーっ!!>  ルークは咄嗟にティアをかばい、間一髪のところで回避した─  と思われたが、ティアの腕にはやや深めの切り傷ができていた。  出血量も大して大量ではなく、命に別状はなかったが─。 「や、やべぇ…!!おい!ティア!!おいってば!!!」  しかし、返事がない。  考えられる原因は一つ─。  おそらく、ルークがかばって、地面に着地したときに頭を打ったのだろう。  ルークはそのことに対して相当な罪悪感を覚えた。 「やべぇ…俺のせいだ…。 …今はそんなこと考えている暇はねぇ…。こいつを倒さないと─。」  ルークに一つの感情が芽生えつつあった。 【人を「守る」こと─。】  今までのルークは人に守ってもらってばかりだった。  というよりか、屋敷の中の世界しか知らなかったルークにとって、  「守る」の「ま」の文字でさえ触れることはなかった。  ─しかし、今は違う─  今、彼女を守れるのは、この「自分」だけ…。 「さぁ…来いよ!バケモノがっ…!!」 「グガァァァァァァッ!!!」 「いくぜぇっ…!!『双牙斬』!!」  剣の師匠であり、ティアの兄でもある「ヴァン・グランツ」から教わった技を  ティアを守るために使用し、見事に決まった。 「グギャァァァァァッ!!!」  辺りにおぞましい断末魔が木霊する─。 「よっしゃあ!! …ってそんな場合じゃねえぇ!!おいっ!ティア!!大丈夫か!!?」  ルークがティアに駆け寄り、声をかける。 「……う…んん……!」 「とりあえず、応急処置を─」  ルークは以前、ヴァンから教わった処置法を思い出した。  早速実践し、てこずりながらも何とか処置を終えた。  その間に、ティアの意識もすっかり回復していた。 「…これでよし、と…。おい、大丈夫か?」 「…え、ええ…なんとか……あ、ありがとう…」  ティアはなんとなく恥ずかしそうに礼を言った。 「!!?…あ、ああ…いいよ、礼なんて…。(なんだ…?すっげえ可愛い…)」  しばらくの間、なんとなくいい雰囲気になった。  その雰囲気に対する照れくささなのか、悪い癖なのか、ルークは─ 「…し、しかしアレだよな。自分ではエラソーなコト言うくせに、 いざとなったら大した事ねえなw」  ─ムードぶち壊し─ 「…よ、余計なお世話よ!!」 「ははははは。」 「…んもぅ…全く…!!」  ティアは傍から見ても分かるくらい赤面していた。 (…もぅ…やだ…何?この感じ…?) (…こいつ…今すっげぇかわいい…さっきまでのが嘘みてぇだ…。)  この場にもしも、アニスがいればこう言うだろう。 ─ちっ!いちゃつきやがって…UZeeeee!!!!─  しばしの「いい感じの」ムードを楽しんだあと、ルークが切り出す─ 「…さぁ、すっかり遅くなっちまった。とっとと○○○に行こうぜ。」 「…そうね…。」  このとき、二人の気持ちは初めて一致した。それは─ (……なんだ…結構……。) ─翌日─ 「早く起きなさい!!ルーク!!!」 「うーん…」 「まったくもう…えい!!」  ティアは実力行使に出た。  ルークを覆っている掛け布団を思いっきり取り払ったのだ。  これに対して、ルークはやはり黙ってはいなかった─。 「なにすんだよ!寒いじゃねーか!!」 「あなたが早く起きないからでしょ?(やっぱりこの人、手が掛かるわ…。)」 「ムキーッ!!(やっぱりこいつ……むかつく!!)」  と、いつもとなんら変わりない反応をするルークに対して、  ティアもいつもとなんら変わりない応対をする。 ─そんな彼らが本当に互いを想うようになるのは、もう少し先の話…─  - E N D - ---- #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
─うざい…。─ 赤髪の青年は眉間にしわを寄せて心の中で呟いた。 青年の名は「ルーク・フォン・ファブレ」─。 キムラスカ王国では高名なファブレ公爵の息子である。 「ちょっと、ルーク。あなた何してるの?」 自分より先を歩いていた、見る者の心を惑わせる程の  美しい容姿をもった女性が、こちらを振り向いて凛とした声で尋ねる。 「別に何にもしてねーよ。いちいちうるせぇな。」 「『うるさい』とは何よ。何を思ってか知らないけれど、 あなたの歩きが極端に遅くて、遅れ気味だったから心配しただけよ。」 「遅くて悪かったな。 …へーぇ、お前みたいな冷血女でも、心配するんだな。」 「っ!!」 その一言に彼女は嫌悪感を露にする。 ルークから「冷血女」という不名誉な呼び方をされる、  その女性の名は、「ティア・グランツ」─。  ティアは一呼吸置いて、落ち着きを取り戻した。 「…あなた、自分の立場が分かっているの…? 行っておくけど、私は何時でもあなたを見限る事が出来るのよ。 死にたく無ければ、黙って私に付いてくることね…。」 「うっ…。」  いくら、ティアの事が気に入らなくても、死にたいというわけではない。  ルークは肩をガックリと落とし、しぶしぶと歩き出した。 (はぁ…。)  ルークもティアも心の中でため息をついた。 (ほんとに子供ね、全く─。憎たらしいというか…なんていうか…。) (なんつーか、やりにくい女だよな…冷めた性格してるし…。)  どちらも似たり寄ったりの感情を持ちつつ、今日の目的地である○○○へと向かう─。 「ほら、あともうちょっとで○○○に着くから。」 「へいへい。」 「返事は一回でいいのよ(怒)」 「…へい。(うるせーな)」  空はかなり暗くなっている。いつモンスターが出てきてもおかしくはない。  二人は自然と身構える。  神経を尖らせ、周囲を警戒する二人…─。 「…気をつけろよ…。」 「…あ、あなたに言われなくたって─」 (可愛くねえな、こいつ…。)  ルークはそう感じていたが、一方のティアは違った。  このような緊迫した状況にも関わらず、さりげなく気遣うルークに  一瞬、心臓が高鳴った感覚を覚えていた。 (な、な、何!?今の…さりげなく…!?) <ドク・ドク・ドク…>  ますます鼓動が早くなるのを覚えるティアであった。  しかし、その一瞬の気の緩みが─ 「グガァァァァァァッ!!!」 「!!!」 「ティア!!あぶない!!!」 <ズサーーーーっ!!>  ルークは咄嗟にティアをかばい、間一髪のところで回避した─  と思われたが、ティアの腕にはやや深めの切り傷ができていた。  出血量も大して大量ではなく、命に別状はなかったが─。 「や、やべぇ…!!おい!ティア!!おいってば!!!」  しかし、返事がない。  考えられる原因は一つ─。  おそらく、ルークがかばって、地面に着地したときに頭を打ったのだろう。  ルークはそのことに対して相当な罪悪感を覚えた。 「やべぇ…俺のせいだ…。 …今はそんなこと考えている暇はねぇ…。こいつを倒さないと─。」  ルークに一つの感情が芽生えつつあった。 【人を「守る」こと─。】  今までのルークは人に守ってもらってばかりだった。  というよりか、屋敷の中の世界しか知らなかったルークにとって、  「守る」の「ま」の文字でさえ触れることはなかった。  ─しかし、今は違う─  今、彼女を守れるのは、この「自分」だけ…。 「さぁ…来いよ!バケモノがっ…!!」 「グガァァァァァァッ!!!」 「いくぜぇっ…!!『双牙斬』!!」  剣の師匠であり、ティアの兄でもある「ヴァン・グランツ」から教わった技を  ティアを守るために使用し、見事に決まった。 「グギャァァァァァッ!!!」  辺りにおぞましい断末魔が木霊する─。 「よっしゃあ!! …ってそんな場合じゃねえぇ!!おいっ!ティア!!大丈夫か!!?」  ルークがティアに駆け寄り、声をかける。 「……う…んん……!」 「とりあえず、応急処置を─」  ルークは以前、ヴァンから教わった処置法を思い出した。  早速実践し、てこずりながらも何とか処置を終えた。  その間に、ティアの意識もすっかり回復していた。 「…これでよし、と…。おい、大丈夫か?」 「…え、ええ…なんとか……あ、ありがとう…」  ティアはなんとなく恥ずかしそうに礼を言った。 「!!?…あ、ああ…いいよ、礼なんて…。(なんだ…?すっげえ可愛い…)」  しばらくの間、なんとなくいい雰囲気になった。  その雰囲気に対する照れくささなのか、悪い癖なのか、ルークは─ 「…し、しかしアレだよな。自分ではエラソーなコト言うくせに、 いざとなったら大した事ねえなw」  ─ムードぶち壊し─ 「…よ、余計なお世話よ!!」 「ははははは。」 「…んもぅ…全く…!!」  ティアは傍から見ても分かるくらい赤面していた。 (…もぅ…やだ…何?この感じ…?) (…こいつ…今すっげぇかわいい…さっきまでのが嘘みてぇだ…。)  この場にもしも、アニスがいればこう言うだろう。 ─ちっ!いちゃつきやがって…UZeeeee!!!!─  しばしの「いい感じの」ムードを楽しんだあと、ルークが切り出す─ 「…さぁ、すっかり遅くなっちまった。とっとと○○○に行こうぜ。」 「…そうね…。」  このとき、二人の気持ちは初めて一致した。それは─ (……なんだ…結構……。) ─翌日─ 「早く起きなさい!!ルーク!!!」 「うーん…」 「まったくもう…えい!!」  ティアは実力行使に出た。  ルークを覆っている掛け布団を思いっきり取り払ったのだ。  これに対して、ルークはやはり黙ってはいなかった─。 「なにすんだよ!寒いじゃねーか!!」 「あなたが早く起きないからでしょ?(やっぱりこの人、手が掛かるわ…。)」 「ムキーッ!!(やっぱりこいつ……むかつく!!)」  と、いつもとなんら変わりない反応をするルークに対して、  ティアもいつもとなんら変わりない応対をする。 ─そんな彼らが本当に互いを想うようになるのは、もう少し先の話…─  - E N D - ---- - ルーク調子ノンな~ &br() -- マンコック (2009-08-20 15:18:50) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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