TOAのティアタンはメロンカワイイ

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smile-彼女にとって人生最良、そして最悪の日-(前編)

時にしてルーク・フォン・ファブレがエンドランドの地から行方不明となり、
2年ぶりにオールドランドの地へと戻ってきた時から暫くしての事。
穏やかな午後の陽射しが降り注ぐ神託の街・ダアト。
物語はこの街の象徴であるダアト協会の中のアニスの部屋から始まる。
「・・・・んで、相談したい事って、なぁに?」
セントビナー産の高級茶葉で沸かした紅茶の有り難味も知ったこっちゃ無く、
ずずずーっと派手に、そして一気に紅茶をすすったアニスはひと心地ついて、
相談相手に向き直る。
「・・・え、えーと、その・・・。」
アニスの相談相手-ティアはいつもの凛とした態度はどこへやら、
まるで猛獣を目の前にしたウサギの様に首を竦めて椅子に座り
(確かにお金を目の前にしたアニスは百獣の王にも勝る獰猛さではあるのだけど。)、
節目がちにアニスを見上げながら言葉を発する。
「?何その態度ぉ。ティアらしくないじゃん。」
「・・・・・・・なりたいの。」
蚊の泣くような声。
「?」
「わたし・・・・くなりたいの。」
蚊がむせびなくような声。(それでも人にとっては聞き取りづらい。)
「なぁに?聞こえないよぉ。」
ティアは太ももの前に置いていた手をぎゅっと握り、
あらん限りの勇気を搾り出して顔を上げてこう言った。

「わっ、わたしっ・・・・・かっ、かわいくなりたいのっ!」

「・・はぁ?」
(何をぬかしてるんだこのメロン娘は・・・。)
という感情を全く隠す事無くアニスは顔に出した・・・が、
まぁ折角自分を頼ってくれたのだから、とすぐにいつもの様に顔から
どす黒い感情を覆い隠す。
「えーっと・・・・ティア?別にかわいくならなくたって、
別にティアはきれいなんだからそれでいいんじゃん?」
「駄目・・・・それじゃあ駄目なのっ!」
あの伝説のユリア・ジュエしか習得し得なかった大譜歌を習得した女性
      • の筈であるが、今の狼狽ぶりたるやその荘厳なイメージとかけ離れた少女の
それであった。
「ルークになんか言われた?ったくあの馬鹿は」
「そうじゃなくて!・・・・そうじゃないの。」
「・・・ティア?」
何かを思い出すかのようにティアは静かに目を瞑り、言葉を紡ぎ出した。
「2年前、ルークと別れる時、ああ、私はこの人のことが好きだったんだな、
って思ったの、それは待ち続けている間もずっと変わらなかった。」
「でも、この前会ってしまって・・・・。」
「え"!?嫌いになったの、涙こぼしてたじゃーん!どうして?」

「・・・・その逆なの。」
ティアは軽くこぶしを握る。
「へ?」
「・・・・もっと好きになってしまったみたい。」
そう言うや否や見る見るうちに透けるほどに白い彼女の顔がかぁっと紅く染まっていく。
そうなのだ。
久々に出会った彼はもうあの頃の「少年」などではない。「男」になっていた。
そして、その成熟ぶりに驚いたのと同時に胸が鷲掴みにされる
ほどの想いが心に燈ったのを彼女は感じていた。
「・・・相談じゃなくって、ノロケならあたし帰るね~。」
やっとれんわ、と肩を竦めてその場を立ち去ろうとするアニス。
「ごっ、ごめんなさいっ!そんなつもりじゃ!」
慌てて椅子から立ち上がってアニスを制する。
「・・・・ほんで?なんでそれと「かわいい」とが繋がる訳?」
「私、どうやってルークと接していけばわからなくなって。
だって・・・彼があれだけ変わってしまったのに、私はあの時別れたまま、
自分が成長してない気がして・・・・だから。」
「だから?」
「今まで、私に一番足りないものを埋め合わせれば、
私もルークに気後れ無く顔を合わせられると思って。」
「それが、「かわいさ」だって事?」
ティアは俯いたまま頷いた。
「まぁ、それは極端だと思うけどさぁ・・・・でも確かにティアってば普段は
可愛げのひとかけらもないよねぇ。」
セルシウスキャリバーの斬撃の如く容赦ないアニスの言葉がティアの心を突き刺した。

「それで愛嬌の一つでもあればもっとモテるのに・・・ってそれじゃあルーク以外の
他の人間と当の昔にくっついてるかぁ。
あはっ!」
「・・・」
「だいたいそんなキレイなのにかわいげがあったらもう完璧ジャンかキレイな顔して
メロンな胸してくびれがあってこれでかわいげがあったらもうアタシなんか絶対
追いつかない萌え萌えレディになるじゃんか第一アタシ2年も経って全く胸が大きくならない
ってどういうことよこの世に神様なんかいやしないのよぶちぶちぶちぶち・・・。」
最初は立ち上がって言っていた独り言も、
どんどん呟く度に自分の発言に潰されるかのごとくしゃがみこんでいくアニスであった。
「あの・・・・アニス?」
「はうあ!思わずあらぬ方向へと・・・。
そうだねぇ、でも可愛げ云々よりやっぱ自分の気持ちや表情を素直に表現する
ところからはじめないと駄目だね・・・でないと!」
「・・・でないと?」
「ルークから「好きだ!」って言われてきちんと対応できると思う?」
「・・・・確かに、そうかもしれないわ。」
(照れ隠しで逃げてしまうか、思ってもない事を言ってルークを傷つけてしまう事だって
ないとは言い切れないもの・・・。)
「よーっし!そうなれば「あいつら」に応援を頼むかぁ!」
「あいつら?ちょ、ちょっと待って!大佐に知れたら・・・・」
どんな事になるやわからない(悪い意味で)!慌ててアニスを制しようとするティア。
「チッチッチッ、ちーがーうーよ。」
ティアの顔の前で愛嬌たっぷりに満面の笑みを浮かべながら人差し指を左右に振るアニス。
「?」
「アーニスちゃんにまっかせなさ~い!」
ティアの肩をぽぉんと勢いよく叩くアニスであった。






続くですのー!



  • つづけー! -- 瑠紅 (2006-09-30 18:23:58)
  • 早く、続きを見たい! -- タケヒロ (2008-03-16 14:31:03)
  • ティアは、可愛くなくても、いいとは、思うケド。 -- 無季 (2011-07-22 17:20:58)
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