TOAのティアタンはメロンカワイイ SS > スレ9 > 800-805

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smile-彼女にとって人生最良、そして最悪の日-(中編)

【あらすじ】
ご主人様と久々に会ったティアさん。
ますますご主人様の事が好きになってしまったんですの。
だけど、別れる前から心が成長してないと思ったティアさんは
アニスさんに相談したんですの。
そして、アニスさんは相談に乗ってティアさんをこんなところに連れてきたんですのーーー!
いったい、ティアさんはどうなってしまうんですのーーーーー!?



ここはダアトの街外れ。いつもならば広い高原が広がっている何もない場所に、
黒に覆われた巨大な暗幕が忽然と現れたのはつい最近のことである。
ダアトの穏やかな日差しとは余りにも似つかわしくない、
対照的なそれはまるで観るものを異空間にいざなうかのようだ。
その暗幕の中、微弱な電灯の下、5つの影がそこにはあった。
「あの・・・アニス?どういう事なの?」
アニスに任せて連れられて来たはいいが、余りに予想外の展開にティアは戸惑っていた。
それはそうだろう。このようないかがわしい場所に連れ込まれた上に、
彼女の目の前に現れた3人の影。彼らの表情は薄暗い電灯の中のため、
ティアには窺い知ることは出来ない。
緊張感が、ティアの心を覆う。
それを知ってかしらずか、アニスは場違いなまでにいつも通りのハイテンションで
話を進めていく。
「ずばり!ティアはの最大の問題はこれまで「見られる」事に慣れてないって事!
だから自分がどう振舞えば好きな男の心を掴めるか・・・それがまーったくわかってないの!
そうでしょっ!?」
「た、確かに・・・言われてみればそんな気がするわね。」
勢いよく畳み掛けるアニスに気おされてティアはついそう答えてしまう。
「な、の、でっ!ティアには「人に見られる」という免疫をつけてもらいまーっすっ!」
「・・・ど、どういう事、かしら・・・?」
「1週間後にここでサーカスをやるんだよ。それにティアも出てもらいマース!」
「ちょっ、ちょっと待って、私、そんな!」
ずいっ!
3つの影のうちの1つがゆっくりとティアへ向かって動く。彼女より背は低いがその横幅は
倍以上あるその影はティアの前で止まった。
「あ・・・あの・・・・。」
ティアが訝しげに影へと話しかけたその時!その影はティアの両手をがしっと握った!
そして・・・・その顔をティアへと向ける!

「いやぁ、俺達もダアトでの興行も数回やってて、マンネリにならないように
何かアクセントが欲しいと思ってたんだよ!そんな時この嬢ちゃんから連絡が来てさ、
渡りに船って訳さ。頼むよ、俺らを助けると思ってさぁ!」
その影-その昔「漆黒の翼」の通り名でオールドラントを騒がせた盗賊の一人、
ずんぐりむっくりのウルシーはティアにそのでかい口を存分に横へと広げて
愛嬌たっぷりに話しかける。
「無理です!私、そんな人にお見せできるような芸なんか!」
「いいや、アンタのナイフ投げの腕は相当なもんだった。ケセドニアでの顛末、
きっちり覚えてらぁ。」
気障ったらしくやせ男のヨークがティアを流し目で見ながら、
興味深そうにティアを見つめている。
ケセドニアでルークの財布を盗んだ際にティアのナイフ投げで逃げそこなった
のはこの男だ。

「後は・・・その無愛想っぷりだな。」
「それは・・・このアタイが責任もって磨き上げるわよ。」
3人の影の中央に貫禄たっぷりに立っていたノワールが悠然とティアの方へと歩み寄った。
「アンタさぁ、折角それだけの器量もあって、立ち振る舞いも凛としてるんだ。
それを100%活かさなければ女に生まれた意味がないのよ、勿体無いじゃない!」
「え・・・ええ・・・。」
「ティアさん、心配しなくていいですぜ。何せ自分の本性を覆い隠して男を堕とす術なら
オールドラント探したってこの姐さんに勝る人ァいねえでさぁ。」
「アンタは余計なことお言いじゃないよ!」
ゴイン!
ウルシーの頭を拳固で軽く殴って戒めるノワール。
「ぐぇへへ・・・。」
照れ笑いで頭をかくウルシーであった。
「話、聞いたよ。好いた男のために自分を変えたいんだってね。
アタイにはもうそんな気持ちの欠片も無いから、
そんな健気な気持ちが眩しくてしかたないし、そう思えるのが羨ましいよ。」
まるで遠い日の記憶を思い出すかのように遠い目をしてノワールはそう一人ごちた。
「それにアンタ達にはこの世界を救ってもらったって恩がある。
俺達がどんなに返そうと思っても返しきれない大恩さ・・・。」


そっとティアの手を握るノワール。ティアの正面より少し斜めに立ち、
顔を少し覗き込む格好で彼女は穏やかな表情でティアに近づく。
ウブな男だったらこれでもう撃沈するノワールの男落としの奥義だ。
「だから、少しぐらい、アタシたちに恩返しさせとくれ。それくらいは、構わないだろ?」
「・・・・・わかりました、お願いします。」
穏やかながらもきりりとした目でティアはしっかりと応えた。
快哉をあげる仲間達。
「但し・・・1つだけ約束してくれないかい。」
「・・・・なんでしょう。」
「あたし達は人を楽しませるプロだ。だからあんたもここにいる限りは人を楽しませる
プロになってもらう。そのための苦労はしてもらうよ。」
「姐さん、何もそこまで・・・。」
「おだまり!この子が真剣に自分を変えたいというならこっちだって真剣につきあうのが
筋ってもんだろう!」
ウルシーを一喝するノワール。
「今までが素人だから、って言い訳は一切無しだ。わかるね?」
「・・・・はい。」
「・・・・いい顔だ。まったくアンタに想われるあの坊やが羨ましいね。」


「おーお、熱いですなぁ。いい感じになってきたじゃん。」
二人を満足げに見守るアニス。
自分の意図したとおりに話が広がっていくのだからそれは上機嫌だ。
「それで・・・いかほどもらえるのかな?」
と、ヨークの方に目を輝かせながら振り向く。
彼女がこんな表情をする時は・・・そう、ご想像の通りである。
「ふむ、こんなもんでどうでしょうねぇ。」


「むっふっふっふぅ~~ん!」
上機嫌でステップを踏みながらダアトの大聖堂へと戻ってきたアニス。
その右手にはしっかりととあるものが握られていた。
「おかえりなさい、アニス!」
アニスを見つけて駆け寄ってくる少年が一人。
導師の格好をしておきながらその威厳の1つも感じられない、
穢れなき笑顔をふりまいてその少年-フローリアンはぱたぱたとアニスの元へと走ってくる。
「たっだいまぁ~フローリアン!」
「なんか、すっごいうれしそうだね!」
「どぅふふぅ~。いい物をみせたげるっ!」
というや否やアニスは右手に持っていた袋の緒を緩めて、袋をひっくり返した。
シャラーン!
派手な音と共に袋からあふれ出てくる金貨の群れ。
「うわぁ~!すごぉ~い!きれぇ~い!」
「でっしょー!この身を震わす音、そして眩いばかりの金色の光!
あぁっ!このために私は生きているんだっ!」
恍惚に身悶えながらアニスは幸せを満喫していた。
そう、もう周りのモノなど目に入りもしない彼女にとっての最上の幸せである。
「どうしたの、こんないっぱいきれいなものを?」
「今、ダアトにサーカス団が来てるでしょ?んでティアを紹介したそのお礼にって!」
「ティア、サーカスに出るの!?」
興味いっぱいでアニスへと背伸びしながら体をぴとっと預けるフローリアン。
ダアトの協会からなかなか外に出れない彼にとってもサーカスは魅力的なのだ。
「そうだよ!すごい格好して出るみたい!フローリアンも見に行く?」
「うん!すごいティア見たいな!」
「ああっ!ティアの悩みも解決するし、サーカス団に恩は売れたし、そしてお金ももらえるし!
我ながらあたしの虹色の脳細胞のチカラが恐ろしいわん!」
まさに、アニス、わが世の春である。有頂天フィーバータイムである。

が、しかし。
「ほう、一石二鳥ならぬ一石三鳥ですね。素晴らしい。」
「でしょでしょ、素晴らしいでしょ!褒めて褒めて!」
「ええ、褒めて差し上げますよ、なでなでなでなで。」
その言葉とともにアニスの頭をなでる手。
「ふふーん。なでなでなでなで。」
その手に頭をこすりつけるかと思わんばかりに頭をふるアニス。
「ついでにこの腕もなでて差し上げましょう。なでなでなでなで。」
「なでなでなでなで・・・ってあーーーーーっ!?」
そう、そこでアニスはようやっと気づいたのだ。
今回の企みをもっとも知られてはいけない人間に腕をなでられていた事に。
「たたたたたた大佐っ!?どっ、どうしてここにっ!?」
先ほどの有頂天ぶりはどこへやら、狼狽するアニス。
穏やかな笑みを浮かべて彼-ジェイドはそこにいた。
「トリトハイム詠師宛にピオニー陛下からアクゼリュス復興支援の申し出の
親書を預かりましてね。それでこちらに。」
親書を懐から出すジェイド。そして彼はアニスの足元へと視線を落とす。
「やれやれ・・・・仮にも聖職の末席にいる者が袖の下とは、いただけませんねぇ。」
嘆かわしい、と言わんばかりに大いに嘆く(ふりをする)ジェイド。
「袖の下じゃないですもん!迷える子羊達を導いた正当な報酬ですっ!」
「第一これはあなたへの報酬ではなく、本来ティアへの報酬足るべきものでしょうに。」
「そ、それはそう・・・・・」
って、え?ティア?
「・・・・あの・・・・大佐?」
「はい?」
「どこまで・・・・・・お話聞いてました?」
「『この身を震わす音、そして眩いばかりの金色の光!
あぁっ!このために私は生きているんだっ!』から。」
アニスのしゃべった言葉をそのまんま真似て喋るジェイド。
「わー!似てる似てるー!」
事の状況をまったくわかっていないフローリアンはジェイドに対して拍手を送る。

「って・・・・事は、つまり・・・・。」
「はい、ティアの件は全て聞かせていただきました。」
「・・・・・げ。」
「そもそも、大礼拝堂で大はしゃぎしてしまえばお金の音も快哉も全て筒抜けでしょうに。
聞いてくれと言ってるようなものですよ。」
と言いながら床にばら撒かれた金貨を袋に詰め直すジェイド。
「いずれにせよ、人様の上前をはねる様な真似をして見過ごすほど、私は甘くありません。
こちらは没収させていただきます。」
「そぉぉんなぁ!そんな事言って自分が懐に入れるんでしょ。ずるいですよ大佐ぁ!」
ぽかぽかぽかと子供が駄々をこねるようにジェイドを叩くアニス。
「とんでもない。これはティアの報酬です。
        • ですから、これはティアのために遣うのが筋というものです。」
微笑みながらジェイドはアニスにそう諭した、が。
その瞬間、アニスはジェイドの眼鏡越しで瞳の中に鈍色の光が一瞬輝くのを
見逃さなかった。
そう、彼がこんな目つきをする時は決まっている。
「・・・・大佐?ひょっとしてとってもよからぬ事を考えていらっしゃいません?」
遠慮がちに尋ねるアニス。
「いぃえぇ。とぉってもいい事を考えてますよ~~。」
いつも以上に大仰に言葉を返すジェイド。
        • アニスはこれからのティアの事を思うと、
今後彼女に来るであろう不遇の運命を案じずにはいられなかった


      • と同時に「何がおきるんだろう!」というやましさが頭をもたげてくるのもまた事実であった。
まったくもって、酷い奴等である。



続くですのー!




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