TOAのティアタンはメロンカワイイ

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匿名ユーザー

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あれだけ長かった髪を、ばっさりと切った。
自分で切ったくせに癖で後ろ髪をかき上げようとしちまう…。

俺…変わりたい。


―チキン―


「ご主人さま!ご主人さま!起きてくださいですの!」

ルークは、なんだか頭にくるような甲高い声を聞き目を覚ました。
ホテルの一室。ベッドが窓側にあったので、朝の光が真っ直ぐルークの正面から射しこんでいる。あまりの眩しさにルークは、布団にもぐりこんだ。
その時、ティアは、ミュウが必死にルークを呼びかける声を聞き、彼の部屋をのぞいてみた。ミュウの呼びかけに対しルークは全く起きようとせず布団にもぐりこむのに、深いため息をついた。
彼女はつかつかと、ルークが眠るベッドへ向かった。
「ルーク!いい加減におきなさい!寝ているのはあなただけよ?」
「・・・う~ん・・・・・・」
ルークの声は布団によってくぐもり、地面から聞こえてくるような声だった。
「もう!いい加減に、起きなさい!!」
ティアは、力いっぱいルークの布団を引っ張り出しルークを布団から無理やり出した。
「おわっ!!な、何だよ?!」
「何だよじゃあないわよ!ミュウが必死に起こそうとしていたのに…全く起きないなんて。ミュウがかわいそうじゃない!」
ミュウは疲れきってしまっているのか軽く息が乱れている。それでも
「ティアさん!ミュウは大丈夫ですの!」
と、言ってガッツポーズをした。
それを見て、ルークは慌てて謝った。
「ミュウ!…ごめん…。」

朝の光は、ルークを照らし続ける。ルークの後ろには大きい影が伸びている。

ときどき怖くなる。

みんなが俺の事をまだ責めているのではないかと。

みんなは、簡単に俺を捨ててしまうのかもしれないと。


ははは…みんなが俺を捨てて、アッシュの所にいっても俺は何にも言えない…。

だって俺は、こういう不完全で汚い奴だから…。


ふたりは、ルークの寂しげで苦しげな横顔を見つめた。
「ご主人様…?」
ミュウは、心配そうな顔をしている。

「…ミュウ。先に外に出ててくれるかしら?少しルークと二人きりで話しをしたいの。」
ティアは、ドアノブに手をかけながら言った。
「…わかりましたですの…」
ティアは、小さな彼のために扉を開けた。その彼は、心配そうにティアの顔を見ると、彼女はにっこり微笑んでいた。
ミュウは、部屋から出て行った。

ティアは少しうつむきながらルークへと歩み寄り、ルークの前に立つと、堂々と相手の顔を見て話し始めた。
「ルーク…。あなた変わりたいのでしょう?だけど、あなたの今の顔は変わりたいと思っている人の顔には到底見えないわ。」

ルークは、頭から血が引いていくような感覚を覚えた。


まただ。また、俺の悪い奴が出てきやがった。

誰も俺の気持ちなんて解ってくれないのだ。解ってくれるのは…師匠だけなのだと…

でも、師匠は…


ティアは、ベッドの脇へと座った。そして、静かに言った。
「ルーク…。私はあなたを見守っていくわ。私が知らないあなたをもっと知りたいから。あなたは私の目に届かない所には行ってほしくない…。
  ルーク。私から離れないで。」
ティアは、今までに見たことのないような顔をしている。目からは涙が零れ落ちそうなほどに瞳が濡れている。頬は、赤くなっているようだ。

ルークは、自分の後ろへと伸びる影を見た。

その影は、ティアの影とひとつになっているようにも見えた。

彼は、無意識のうちに彼女の手をつかんでいた。

「俺…!変わるから…。だから、見守っていて欲しい。だから俺は、逃げない。何処にも逃げない!」


俺は、馬鹿か?

俺は、変わりたいんだ。だから、みんなが俺を見捨てるというのは昔の俺だ。

みんなが俺をまだ責めているのなら、俺は罪を償い続ける。

必ず…必ず変わる。必ず…。


「ルー…ク?////」
ルークは、我にかえった。あまりにもティアの手を握りすぎて、手に汗をかいている。慌てて、ルークは手を離す。そして、自分の顔が厚い事に気付いた。
「じゃ、じゃあ私、もう出るわね!」
ティアは、慌てて立ち上がりドアへと向かっていった。
その短い間、ルークはティアの言った言葉を繰り返し頭の中で整理していた。


あれ…?「私から離れないで」…?これは、「逃げないで」と、言っているわけじゃあ…無いのか…?


ルークは、赤く染まった顔が更にもっと深く染まっていくような感じがした。
「ティ、ティア!!」
ティアは、ドアノブを掴もうとしていた所だった。

「な…何…?」
ティアは、ルークの顔を見ずにドアノブばかりを見つめながら聞く。

「あ、あの…お前…」


自分がこんな事を言って、もしそうでなかったら、ティアはどう思うだろうか…。

見当違いか?いや、でも……。


「な、何?」
ティアの声は、震えている。
その声でルークは、確信した。
「お前…俺の事…」
ルークはつばを飲んだ。
言おう。そう思って口からでた言葉は…。

「心配してくれてるんだな。あ、ありがとな。」


あ。全然違う事言っちまった。


ティアは、少しうつむきながらルークに聞こえないように小さな声でこう言った。

「…ばか…」


俺、勘違いしてた。不完全な汚い奴じゃあなくて、俺は…

ただの、鶏野郎じゃん。


そう、思った時にはすでにティアの姿は無かった。かわりに残ったのは、慌ててドアを閉める音。

ティアは、ドアにもたれかかりながら小さな声で言った。


あなたなら、変われるわ。

ルーク…。



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