TOAのティアタンはメロンカワイイ SS > スレ8 > 428-432

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 ローレライ教団の総本山ダアトが存在するパダミヤ大陸。
 活火山であるザレッホ火山があることも影響し、気候は温暖であり
 ダアト港からほど近い砂浜には海水浴場が点在する。
 ダアトは観光地ではないが、巡礼の為に訪れる人が後を絶たないため
 巡礼者をターゲットとして、ケセドニア商人ギルドを中心に海水浴場で生計を立てるものも多い。

「ご主人様! ボクは泳げないですの!」
「わーってるよ。溺れそうになったらミュウウィングで飛べばいいだろ」
「みゅうぅぅ……水の中で第三音素は使えないですの……」

 今、ルーク一向はその海水浴場を訪れている。
 ダアトに行ったついでに少し寄っていくのもいいのではないですか、
 というジェイドらしからぬ提案があったためだ。
「旦那がこういうことを言うってことは、何か裏があるんだろうな……」
「全く……こんなことをしている暇はありませんのに……」
「まあ、たまにはいいんじゃないか? ナタリアも息抜きにさ」
「肌が焼けてしまいますわ! 私は遠慮させていただきます!」
「……そ、そう」
 どこかズレているナタリア。

「フローリアン、泳ぎに行こっ」
「でも、僕泳いだことなんかないよ……」
「私が教えてあげるってば! ほら、行こっ!」
 やけにテンションが高いアニス。フローリアンの手を引いてさっさと海へ向かってしまう。
「アニスはそんなに海が好きなのか?」
 ルークが疑問を口にする。ガイとジェイドは何か知っているようだが、黙ったままだ。
「?」
 やれやれ、といった感じでガイが続ける。
「ほら、皆も泳いで来いよ」
「え? ガイは行かないのか?」
「海難救助の資格を取ったからかな……溺れる人がいるかもしれないと思うと、素直に楽しめなくてね」
「へぇー。勿体無いな」
「まあ体でも焼いてるさ。お前も気にしないで行ってこい」
「ああ、ごめんな」
 海に向かうルーク。
 ジェイドは初めから水着ではない。
 ……提案した彼に全く泳ぐ気なしなのがそもそも怪しいのだが、気にしないことにする。
 ティアは水着なのだが、何故かその場を動こうとしない。
「……? キミも行かないのかい?」
「いえ、そういうわけじゃないのだけど……」
「たまには息抜きもいいだろうさ。遊んでおいで」
「え、ええ……」
 渋々、といった感じで歩いていくティア。
「……?」

 ルークが泳いでいると、波打ち際で海に入ったり入らなかったりを繰り返しているティアに気付いた。
「おい、ティア!」
「えっ!? ルーク?」
「何やってんだよそんなところで。泳ごうぜ」
 しかし黙り込むティア。
「? 泳ぎたくないのか?」
「いえ、そういうわけじゃ……」
「ほら、来いよ」
 ティアの手を引っ張って海に入ろうとするが――
「きゃっ!」
 座り込む。
「あ、ごめん。躓いちまったか?」
「……そうじゃないわ。そうじゃないけど……」
 鈍感なルークであっても、さすがにティアの様子がおかしい事に気付く。
「……どうしたんだ? まさか具合が悪いとか?」
「違うの! その……」
 なかなか言おうとしないティアに、ルークが焦れる。
「? わけわかんねっつーの」
「……わ、笑わないって……約束してくれる?」
「あ、ああ」
「それから、皆にも内緒に……」
 顔を真っ赤にしてもじもじするティア。
「? うん」
「…………」

「……私……泳げないのよ」

「はぁ!?」
 ティアの一世一代の告白に、ルークは素っ頓狂な声を上げた。
 ティアが慌てて言い訳する。
「し、仕方がないでしょう! 魔界には海なんてなかったし……」
「そりゃ俺も海には来たことなかったけど……プールとかもなかったのか?」
「……ええ」
「神託の盾の訓練は?」
「私、海軍じゃないもの……」
 一見すると何でも出来そうなティアだが、意外なところに弱点があった。
 ティアがカナヅチ。普段のイメージとのギャップに、ルークはつい吹き出してしまう。
「……あはははは!」
「わ、笑わないでって言ったじゃない! もう……恥ずかしいのに……」
「ああ、ごめんごめん……くく」
「……もういいわ!」
 怒って戻ろうとするティアをルークが引き止める。
「ごめんって! んでも、せっかく海に来たんだから泳ぐ練習したらいいだろ?」
「……だけど、どうしたらいいか……」
「ガイに教えてもらうとか……ああ、あいつは無理か」
 ガイは以前、海難救助の時なら男女気にせず要救助者として見ることが出来ると言っていた。
 だが切迫した状況だからそう考えるのであって、女性に触れて泳ぎ方を教えるのは無理だろう。
「んじゃ、俺が教えてやるよ」
「えっ、ル、ルークが?」
「俺、泳ぐのは得意だし。屋敷にプールがあったから、ガイに教えてもらってよく泳いでた」
「でも、海は怖いって……」
「波はあるけど、ちょっと泳いでみた感じは大丈夫だったぜ。この辺の波は穏やかっつーのもあるけど」
 ルークは一応本気でティアに泳ぎ方を教えるつもりらしい。それだけ自信があるのだろう。
 ティアは正直なところ乗り気ではなかった。
 ルークにはいつも教える立場にいたし、何かを教えてもらうなんて初めての経験である。気が引ける。
 とはいえ、泳げないままでは恥ずかしい。隠し通せるならいいが、ルークには既に知られた後だ。
「……じゃあ、お願いするわ」
「おう、任せろ!」
「あ、あの……皆には秘密にしてね?」
 念を押す。
「わかってるって」

「別に水が怖いわけじゃないだろ?」
「え、ええ」
「……なら、早く入って来いよ」
「…………」
 しかしティアが海に入るのは膝下まで。
 それ以上進もうとせず、押し問答を始めて早五分。
「……怖いのか?」
「こ、怖くなんかないわ! ……きゃっ」
 少し強い波がかかると、ティアは明らかに怯える。
「……ああ。そういうことか」
「な、何?」
「おまえ、水が怖いんじゃなくて海が怖いんだろ」
「な、ちが……」
 否定しかけるが、黙ってしまう。どうやら図星らしい。
「……大丈夫だって。俺は腰まで浸かってるだろ?」
「そうだけど、う、海を甘く見ると波にさらわれて、沖に流されて、
 もう戻って来れないかもしれないのよ!?」
 海の怖さを力説するティア。
 どうやら聞きかじりの知識から自分のイメージだけがひたすら大きくなってしまったようだ。
「……はぁ」
 大きなため息をついてから、
「怖くないって。ほら、俺に掴まれよ」
 ティアの手を取り、背中側から自分の腰に掴まらせるルーク。
「え、ええ……」
「ちょっと深いところまで行くぞ」
「えええちょ、ちょっと待って……!」
 腰に当てられたティアの手をがっちり固定して、ずんずん奥へ進む。
「こ、こんなに深いところまで……ルーク、大丈夫!?」
 ティアの質問には答えず、腰まで水が浸かっても更に進む。
「ル、ルーク!」

 やがてティアの肩までが浸かるところまで来た。
「この辺までならまず大丈夫だって」
「で、でも……!」
 ティアが不安を言いかけたところで、波がティアの顔に掛かる。
「……いやあああ!!!」
「わっ、ちょっ、おまえ……!」
 大袈裟に驚いてルークに抱きつく。ルークの背中に豊かな双丘が押し付けられる。
「ばっか! だ、大丈夫だっつーの!」
「…………!」
「落ち着けって! 胸が! 胸が当たってる!」
「え、あっ……」
 はっとして、慌てて離れる。
「……ふぅ。落ち着いたか?」
「ば、馬鹿!」
 すぐさまルークの頚部に鋭い手刀を入れる。
 リグレット教官直伝、伝家の宝刀である。この手刀で、何人もの屈強な戦士を無力化してきた。
「ぐぁっ……」
 危うく気を失いかけるルーク。瞬時に両足に力を込め、何とか持ちこたえたが。
「おまえ……手刀はねーだろ……危ねぇ……」
「……ご、ごめんなさい。大丈夫?」
「大丈夫だけどよ……」
「治癒術を……」
 的確に入れてしまったので心配になる。そんなティアを見てルークが一言。
「……で、怖くないだろ?」
「え、あ……」
 一連のどたばたで自分が肩まで海に浸かっていることを忘れていたらしい。
「気をつければ危なくねーんだよ。おまえ思い込みすぎだっつーの」
「そ、そうね……ごめんなさい」


「……ねぇ何? あれ」
 フローリアンが疲れたというのでビーチまで戻ってきていたアニスがガイに訊ねる。
「何だろうな……傍から見ると相当恥ずかしいことやってるが」
「ちっ、イチャつきやがって……」
「いやー、若いですねぇ」

 二人はそんな奇異の目も露知らず。
 胸まで浸かるくらいの比較的浅いところまで戻ってきた。
 ここなら溺れることもないだろうし、もし溺れてもすぐに助けることができる。
「んじゃ、次は浮くことからかな。俺が手を持っててやるから、バタ足してみろよ」
「……あの、バタ足って?」
「……あー、足をバタバタさせて水を掻くんだ。ほら」
 泳ぐことに関しては何も知らないティアに多少戸惑いを受けながら、手を差し伸べる。
「え、ええ……」
 差し伸べられたルークの手を掴む。
「じゃ、俺がバックするから、バタ足して前に進んでみな」
 と言いながら動き出すルーク。
「あ、ちょっと……」
 慌てて足を地から放し、バタバタさせてみる。
 が、水面に足が出てこない。当然、ティアの体は浮かない。
「足を水面に出てくるくらいまで上げるんだよ」
「で、でも……」
「背中に力を入れて、体がまっすぐになるようにさ」
「……わかったわ」
 教えられた通りにやってみると、確かに体が浮いた。
 自分の体が浮くという新鮮な感覚が嬉しかった。
「浮いてるわよね!」
 笑顔でルークに問う。
「うん。浮いてる」
 バタ足をしながらそんな会話をする二人。だがティアはまだ顔を水に付けていないので、
 会話をするとなるとどうしても間近で見つめ合う形になる。
 ティアは必死だから気にしていないが、
 ルークは自分の胸の辺りからティアが嬉しそうな顔で自分を見つめていることが
 相当気恥ずかしかった。
「う………」
 とはいえ目線を前に向けると、
 それはそれでティアの臀部が水面に浮いたり沈んだりで艶かしい。
(凝視するわけにもいかないしよ……)
 ルークにとっては嬉しいやら辛いやらでティアの特訓は続く。


「……ティアって、もしかして泳げないのかな」
 飽きもせず二人の観察を続ける三人。
「まあ、そうだろうな。あんなことやってるぐらいだし」
「彼女は魔界出身ですから、泳いだ経験自体ないのでしょう。
 以前海について話していたときも、どうも海に入ったことはなさそうでしたから」
「あー、そういやそうだな。フーブラス川で水の怖さをルークに教えてるときだったか」
「にしてもぉ。あれが大人と子供ならいいけど、どう見てもバカップルじゃん」
「……まあ、な」
「おや? アニスもフローリアンに同じようなことをしていませんでしたか?」
「そ、それは私が世話役ですから! それだけですから!」
「……やれやれ」
 観察を続ける三人。フローリアンはパラソルの下で横になっている。
 ナタリアはいつの間にか水着に着替えており、
 しかしパラソルの下にシートを敷き、こちらから顔を背けて眠っていた。
「……ほんとは遊びたかったんだね」

「そこまで出来りゃ、後は手を離すだけだな」
「え、え? もう?」
「人間の体は水に浮くように出来てるんだってさ。
 だから、上手く浮くようにできれば、それが泳げたってことなんだ。……ガイの受け売りだけどさ」
「そう……わかったわ」
 練習を始めて一時間ほど経っただろうか。
 ティアの飲み込みは早く、後は一人で泳げるかどうかというところまで到達した。

 十メートルほど離れたところにルークが立つ。
「ほら、ここまで来てみろよ!」
「え、ええ」
 ティアは深呼吸をして、
「行くわよ」
 地面を勢いよく蹴ってルークの元へ飛び出した。

 ばたばたばたばた。ざぶざぶざぶざぶ。

 ゆっくりではあるが、少しずつルークの元へ。ルークはティアを見守る。
 ティアが不器用に水を掻いて少しずつ自分の元へ来る。その画がやはり新鮮で、
 ルークの顔は自然に綻びそうになるが、「笑うな」と言われた手前、思い直して堪える。

 ところが、である。
「!」
 二人とも予想だにしなかったアクシデント。ティアの右足に激痛が走る。
 幸い、海の深さは足が届く程度だったので、片足で立つことはできた。
「……いた……」
「ティア! 大丈夫か?」
 異変に気付いたルークがティアの元へ急ぐ。
「……え、ええ。足が攣ってしまったみたい」
 水の中で身体を動かすというのは思いの外重労働であり、
 またティアにとっては慣れない動きだったため、筋肉に不自然な力が加わってしまったようだ。
「そっか。ずっと練習しっぱなしだったからな……ごめん」
 ルークは急に申し訳なくなって謝る。
 ティアは常々「少しずつ、やれることをやる」と言ってくれていたのに。
 俺はティアを急かしてばかりだ、と。
「ル、ルーク? ルークは悪くないわ。私が鍛錬不足だったから……」
 何故落ち込むのかわからないが、とりあえずルークを気遣うティア。
「……よっと!」
 しかしティアの言葉も聞かず、ルークはすぐにティアを持ち上げる。
「きゃっ!」
「ご、ごめん! 痛かったか?」
「そ、そうじゃないけど……」
 いわゆる『お姫さま抱っこ』である。
 ルークはティアのことが気がかりでそんなことを気にしている余裕がなかったが、
 ティアは自分の体を持ち上げられ、自分の重みをダイレクトに知られるだけでも恥ずかしいのに
 ルークの腕が自分の肩と膝の裏側に回って密着していることが気になって仕方がない。
「だ、大丈夫よ! 自分で歩けるから!」
「無理すんなっつーの。俺が悪かったんだし」
 そのままの体勢で海を出て砂浜を歩き出すルーク。
 周囲の目線はますます集まるが、ルークはもちろん気付かない。
「……もぅ……」

「……二人が戻ってきたな。ルークがティアを抱えてる」
「おやおや。お姫さま抱っこときましたか」
「ちっ、ますますムカつくわ」
「足でも攣ったかな? しかし……ティアは恥ずかしいだろうな……」

「ナタリア! ティアに治癒術をかけてくれ!」
「だ、大丈夫よルーク!」
「え? ……まあ! ルーク、あなたティアと……」
 ルークと彼に抱えられるティアを見て「そういうイメージ」を持ったナタリア。
「……さながら愛する姫を守るナイト……ルーク、見直しましてよ!」
 ところが曲がりなりにも婚約者に対するものとは思えない言葉が出てきた。
 ルークは言われて初めて、自分とティアの体勢がそれっぽいことに気付く。
「ばっ、違うって! ティアが歩けなくなったから……」
「あ、歩けないとは言ってないでしょう!?」
 ティアもナタリアの目線に耐えられず、慌てて飛び降りるが、
「いたっ」
 足で上手く着地できず、座り込んでしまった。
「あーあ。ルークが悪いんだよぉ。お姫さまを傷つけるなんてぇ」
 アニスが茶化す。
「そうですよ。愛する人を守ることも出来ないとは……何のためのナイトなのやら」
 ジェイドも乗っかる。
「……ははは」
 ガイは苦笑い。
「ち、違うってーの! ティアがカナヅチだから、俺が泳ぎ方を教えてただけで……」
「………!」
 秘密のはずがつい口を滑らせてしまうルーク。
 ――もっとも、観察を続けていた三人にはバレバレだったのだが、当然ティアは知らない。
「ば、馬鹿ぁ!」
「あっ、ああ、違う! ティアは泳げるんだ! でもちょっと苦手だって言うから……」
「同じよ!!」
「まあ、ティアは泳げませんの? 意外ですわね……」
 やはりズレ気味のナタリア。

 ところ変わってアルビオール機内。フローリアンをダアトに送り届けてその帰り。
「いたーい……日に焼けちゃったぁ。ティアは全然焼けてないねー」
「え、ええ。私、日に焼けにくいみたいで……。少しヒリヒリするけど、赤くなって終わりなのよ」
 他愛もない会話をするアニスとティア。
 ガイはノエルの操縦を手伝っている。ナタリアはまた眠っているようだ。
 ジェイドは……奥の方にこもって何やら研究しているらしい。
 ルークは隅っこで落ち込んでいる。
「ええーっ。いいなぁ……」
「そ、そう……? もう少し日に焼けないと、不健康に見られるんじゃないかしら」
「女は美白だよぉ。それにティア、髪の毛はきれーなストレートだし。ほんっと羨ましい」
「…………」
 照れる。
「……胸も大きいし」
「む、胸は……小さい方がいいわ。肩凝りとか……」
「ええー? ……ルークもその方が好きだと思うよ?」
「ル、ルークは関係ないでしょう!?」
 思いきり否定するティア。つい声が大きくなってしまう。
 片隅ではルークがビクッと反応し「また否定された……」などとブツブツ言いながら更に拗ねてしまう。
「……でもティアが泳げないことも意外だったけど、
 ルークがちゃんと教えてることはもっと意外だったなぁ」
 ルークが目も当てられないくらい落ち込みつつあるのを見かねて、アニスがフォローに回る。
「も、もう! その話はいいでしょう」
「ていうかぁ、私達ずっと見てたんだけどね」
「え、え?」
「もう少しで泳げそうだったじゃん。ていうか、ティアちょっとだけ泳げてたじゃん」
「そうだけど……」
「ってことはぁ、ルークの教え方が上手かったって事だよね☆」
「……そ、そうね」
「さって! 私大佐が何やってるのか見てくるね!」
 と言いながら奥に消えるアニス。
 聞こえないくらいの声で「全く、二人ともお子様なんだから」と言い残して。

「あ、あの……ルーク?」
 おずおずとルークに話しかけるティア。
「…………」
 ルークは応えない。
「あの……怒ってる?」
「……?」
 どうせ説教されるんだろう、と思っていたルークだったが、ティアは意外な切り出し方をしてきた。
「ごめんなさい」
「ちょ、ちょっと待てよ……意味わかんねーよ」
「だって、元はと言えば私が泳げないのが悪かったんだし……
 なのにそれがバレたからって、ルークに当たって。ごめんなさい。自分が恥ずかしい……」
「ば、バカ。泳げないのはティアのせいじゃないだろ? 泳ぐ機会がなかったんだしよ……」
「だけど、ごめんなさい」
「……き、気にするなよ」
「…………」
 ティアはルークが怒っているものだと思っていたが、どうやら違うらしい。
 怒るどころか、私を気遣ってくれる。
 そもそもは勘違いなのだが、ティアにとってはそれが優しさに感じられた。
「それと、ありがとう」
「な、何だよ急に」
「あなたのお陰で、少しだけど泳げるようになったわ」
「ち、ちげーよ! ティアが頑張ったから……」
「私が頑張っても、あなたの教え方が間違っていたら私、泳げなかったと思うの」
「それは……ガイの受け売りだし」
「私に泳ぎ方を教えてくれたのはガイじゃなくてあなたよ。……ありがとう」
「あ、うん……」
「…………」
「…………」
 むず痒いような空気が流れる。二人とも言葉に詰まる。
「……それにしても、あなたが人にものをちゃんと教えられるなんて意外だわ」
 ついルークをからかってしまうティア。だが本心でもある。
 何よりも彼が成長した証である。
 彼の成長を見守ってきたティアにとってはこの上なく嬉しいことだった。
「な、何だよそれ」
「ふふっ」
「ちぇっ」


「で、大佐は何をやってるんですかぁ?」
「おや、アニス。ルークとティアはどうですか?」
「んー、何とかなるんじゃないですかぁ。で?」
「いえ、海水浴場から取れる水質と自然の海との水質を比べているだけです」
「? 何のために?」
「まあ、人間が大勢入っているわけですから。そこから不特定多数の人間の情報を
 どこまで選別できるかが気になったもので。それだけですよ」
「…うわー、悪趣味」



  • カナズチティア・・・萌えv
    -- 瑠紅 (2006-09-21 22:02:36)
  • たしかに・・・・ -- マルコだっちゅう話だよ (2007-12-28 18:04:54)