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あの日まで、世界はすべて、僕のものだった
ちょっとこわいけど、なんでもできるお父さん、かなり大ボケだけど、とてもやさしいお母さん、生まれたばかりのかわいい弟。友達もたくさんいた。欲しいと思うものは何でも手に入った。ピアノが好きで、絵を描くのが得意で、まだ十五だった。
あの日突然に、僕の世界が崩壊した・・・そう、あの日から。僕があの日あんなに泣いたのは、痛かったからじゃない。また傷痕一つなかった僕の体(と心)に、初めて傷がついたことが、悲しかったのだ。
世界は・・・もはや僕のものではない。魔法も使えない、僕の願いを叶えてくれる神様もいない。
気がついたら、僕は子供の頃の僕になっていた。でも、別に不思議には思わなかった。そして夢の中で・・・また僕は先生に会った。
「キミ、逃げてるだけ・・・でしょ?」・・・・・あのさ、あなた誰?
「逃げてるだけ、だよね」・・・・・僕は逃げてなんかいないよ。ちゃんと、やるべきことはやってるよ。
「そうかな。ホントにそうかな?」・・・・・だいたいさ、逃げちゃダメだなんて、公共の電波使って言うことじゃないよね。
「キミは自分の心に、嘘ついてる。世界から逃げてるだけでしょ?」・・・・・だから!僕は自分が何が出来るか考えて、ちゃんとやってるよ!
「ちゃんと出来てたら、いいの?」・・・・・僕はそれでいいと思ってるよ。
「魔法は、使えないと思ったら使えないよ」・・・・・別に使わなくたって、生活できるだろ?
「神様は、信じなくちゃ答えてくれないよ」・・・・・別にいいよ、叶えて欲しい望みなんてない。
「そうかな。ホントにそうかな?」・・・・・そんなこと、キミには関係ないだろ!?
「会いに行ってみたら?」・・・・・え?なんのこと?
「会えるよ、もうすぐ、会えるから」・・・・・ちょ、ちょっと待って!
「オイ、着いたぞ起きろよ」石坂に揺り起こされて、僕はようやく目を覚ました。僕はバスの中で、眠ってしまっていたらしい。眩しくて、目がよく開けられないまま、僕は慌てて立ち上がった。
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