ホントはオマエが大嫌いだったんだよぉぉぉ~!!@まとめ 某スレ投下分:後半


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「つーことで、明日から大いに遊ぶので、今日は皆さんおつかされんした!」
大輔の音頭で(ジュースだけど)乾杯する。
今日は、適当にして、明日……クリスマス・イヴから遊んで勉強して…
「ぁふ…」
私は小さくあくびをする。
「じゃあ、寝よっか、ユウキ」
風香に促され、私もジュースを飲み干し、流しに置いて2階へと上がっていく。
事前にお願いしたとおり、私と風香は同室になっていた。

私たちの部屋は、ベッドが二つあり、外の景色がいい部屋だった。
「おやすみなさい、ユウキ」
「うん、おやすみ風香」
私たちは電気を消して、睡魔に身をゆだねる。

「……はぁ……ぁ……ぅ」
息が…苦しい…
ぴちゃ…ちゅ……くにゅ…
湿った音がする……何?私…どうし……
「!!?」
薄く開けた目に飛び込んできたのは、はだかれたパジャマと、私の胸を舐める…風香。
「風香?な……にして…」
「ユウキ……好きだよ。ユウキぃ」
風香の声は甘い。夢を見ているような声だ。
「風……香…?んっ」
私の両肩の横に手をつき、私の目の前に顔を持ってくる風香。
唇も目も濡れ、官能的だった。
「ユウキ…ごめん。でも…一度だけ…ユウキが欲しい。
 ユウキと触れ合いたいの。ごめんね…変態で……」
私は、そんな泣きそうな風香を前にし……風香にキスをした。
「風香。もう、私は風香を選んであげることは出来ないけど…風香を受け止めることはしたい
 大丈夫だよ、風香。おいで」
私は風香を引き寄せる。風香の鼓動が、熱が、吐息が…私に伝わってくる…

風香は、私の胸を両手で優しく包む。
そして、顔を私の足の間にうずめ、熱い吐息をついていた。
「ぁ…だめ。そこは…汚い…ょぉ」
「ユウキは…私のも汚いって思っちゃう?」
「風香のは…綺麗…だよ」
「じゃあ、ユウキのも……ん」
風香が舌を出す。私に…風香の舌をあてがう…
「ぅぁっ!んっ」
風香の暖かい舌が、私を刺激する。出そうになる声を手で塞ぐ。
「ふふ。ユウキのクリトリス」
──一際激しく、体に電気が流れるような…
「~~~~!!!!あ…はぁ…」
イっちゃった…頭の中、真っ白…
「ふふ。次は、指、入れてあげるね。もっとユウキのかわいい声、聞かせて」
今度は、指で触る…そして、くちゅ、と水音を立てながら、風香の白い指が…私に…
「熱い…ね」
そのまま、指を外にだし、口に咥えた。
「ユウキの…味だね」
私は、ただでさえ熱い顔が、火が出るくらいに赤くなっていた。
風香の唾液で、ヌラヌラとした指を、再び私にあてがい、今度は2本、入れた。
「ふぁっ!?ぁ……くぅ」
初めての感じに私は…何も考えられずに、風香を受け止めていた。
「このまま…動かすね」
風香は指を、初めはゆっくり…次第に速さを増して。私の中をかき乱した。
「あぁ!ぁっふっ…ああぁんぁっはぁっ」
声が、我慢できずに出る。まるで私の声じゃないような声が響く。
微かに目を開け、風香を見ると、彼女は左手で自分を慰めていた。
私は、そんな風香に声をかけようとし───
「あっ!ああぁぁっ!イク……イっ!……ぁ…は…はぁ…はぁ…」
盛大にイってしまった。

「かわいい、ユウキ。でも…まだ…」
「風香…違う……今度は…」
私は体を起こし、風香をベッドに押し倒した。
「風香…濡れてるね…私がしてあげる…」
私は風香にされたように、指をゆっくりと風香へと挿入していく。
「ぁ…ユウキぃ…」
人差し指と中指を、風香の綺麗なピンク色の間に入れる。
指を左右に動かしてみたり、指先を曲げてみる。
「あっ…ぁぁん…んんっ!ふぁぁ…らめ…ぇ」
風香の目も潤んできている。
私は、指を上下に動かし、風香の膣を刺激する。
「はぁぁん。んっ……あっ…ぁぁっ……あ!あ、イ、イク…」
そうして私は指を止める。
「ユウキぃ……」
「ふふ。朝、Mだって言われたからしかえしだよ。イきたい?風香」
私は舌先で風化の乳首を弄ぶ。左手に触れる風香の胸は、弾力があり、さわっていて気持ちがよかった。
「イきたいよぉ…いじわるしないでぇ…」
「うん。わかったよ。風香」
私は風香にキスし、再び指を入れる。そして、左手で風香のクリトリスをこする。
「あっ!?あああっ!そこは…ひぅ…ぁぁ…ぁん…ぁああああ!
 イ…イク!イクよ!ユウ…キ、イ……ぁ!ぁぁああああぁぁあっ!!」
風香の体がビクんとはねる。そうして、3回くらい小さく揺れ動き、風香はベッドに体を預けた。
「…?風香?」
風香は、定期的な寝息を立てていた。
私は、風香の愛液と汗をティッシュで拭き、掛け布団と毛布をかけてベッドから出た。

「汗…かいちゃったなぁ…」
私は、換えの下着を持って脱衣所に行き──ギンギンにそそり立った大輔の一物を目の当たりにした。
「え…ユウキ…?」
「ごごごごご、ごめんなさい、わ、わわわた、しししあ、あのね」
そのまま、下着も放って私は逃げ出していた。
「はぁ、はぁ……ふぅ。まさか…大輔に会っちゃうなんて…あんな後に……」
思い出し、私の顔はさらに真っ赤になって行った。
「~~~!と、とりあえず……そう、お手洗いにでも…」
私は、置いてあるスリッパや、ついてる電気に気づかずドアを開け──通常時にはあり得ない長さのを握っている俊介に出くわした。
「な…ユウキ…?」
「なななごご、ごめんなさいです!」
流石に二回目、私も即座に逃げ出してしまった。

「……はぁ。おどろいたぁ」
台所で冷えた水道水を飲み干す。
次第に思考がクリアになっていく。
「えーと…ユウキ」
突然声をかけられ、恐る恐る振り向いてみると…やっぱり大輔と俊介だった。
「…えーと…さっきは……悪かった。
 その……お前と高根の…その、声が聞こえてきたんだよ」
「私と…風香…の………!!!」
私たちの部屋を挟むように、二人の小部屋がある。確かに聞こえる可能性は考えられたはずなのに…
「その…なんだ」「…つまり…」
「「すいませんでした!」」
二人は一斉にあやまり、そして脱兎の如く逃げ出していった。
一人残された私は、恥ずかしい思いでいっぱいだった…

目を覚ますと、見慣れない天井があった。
「うー…」
寝起きに弱いのは男でも女でもあまり変わりは無いらしい。
「今…何時ぃ?」
目覚ましへと手を伸ばす──
──ふにゅ。
…ずいぶん柔らかい目覚ましだね。そう、まるでマシュマロのような、ぬいぐるみのような……
「……そ う い え ば !」
光の速さで覚醒する。予想通り。
私は風香の胸をつかんでいた。
「OK。まだ風香は起きてな──」
「きゃー。ユウキにおかされるー」
明らかに棒読みなその悲鳴に、私はあわててベッドから転げ落ちる。
「わ、ユウキ?大丈夫?」
後頭部をかるく打ったが、あんまり痛くはない。
「大丈夫だよ…それより……ごめん」
私は体を起こしながら謝る。風香が手を差し伸べてくる。
その白い手に、私はふと、昨夜のことを思い出してしまう。
「ユウキ、昨日はごめんね。もう大丈夫だから。
 …私に負い目とか感じてたら、今度は本気で犯すからね」
少し頬を膨れさせる。友達──親友となった今でも、やっぱり風香はかわいいと思う。半ば性的な意味で。

「おはよー二人とも起きてたんだ」
洗面所に行くと、大輔と俊介が顔を洗っていた。
「あ…二人とも…おはよう…」
私も挨拶をする。ああ…昨夜のことがフラッシュバックする…
「あぅお…おはよう、ユウキ、風香さん」
「えーと…おはよう。ユウキに高根」
大輔も俊介も、やはりどこかぎこちない。
風香は、そんな二人…と私を見て、首をかしげている。

朝食は簡単に、トーストとベーコンとレタスにトマト。
それから、俊介のこだわり珈琲でまったり。
『…と、真っ向から対立する図式になっています。これに対し日本政府はコメントを出さず…』
ニュースは相変わらず、あまりテンションの上がる内容じゃない。
「っていうか、二人ともすごい形相なんだけど…?」
風香は二人の顔色を指摘する。
確かに、疲れているような表情だ。
「眠れなかったの?あの後」
私は珈琲をすすりながら聞いてみる。
二人は、うっ。と体をやや引かせ、その通りであることを無言で証明した。
「ふーん……まぁ、夜中騒ぐのなら、お昼に眠ったらどうかな?
 その間、私たちでケーキ作ってるから」
「ケーキ…?クリーム……ミルク………!!!」
「大輔?鼻血!ちょ…俊介も!?」
私は二人の鼻にティッシュをあてがう。
「ふむふむ。重症ですな。わかった。ユウキ、マッサージするよ」
「マッサー……それは逆にヤバイかと…」
「そ、そうそう。だだ、大丈夫だから…さ」
大輔も俊介もあわてる。風香は、つかつかと今まで歩いていき、カーペットの上を指差した。
そこに寝ろ。と、目がその筋の人を思わせるくらい怖さを含んで物語っていた。

うつ伏せになった二人にマッサージしてから5分。
小さい子を寝かしつけるかのごとく、二人は寝息を立て始めた。
「流石に、2階まで連れて行くのは重いから、ソファーに寝かしましょう」
風香の提案で、二人がかりで一人ずつ、ソファーの上に寝かせ、毛布をかぶせた。
「エアコンはどうする?暖炉も使えると思うけど…」
私はリモコンと薪を持って風香に尋ねる。
「うーん…陽の当たるところだし、大丈夫…だと思うわ。寒い?ユウキ」
私は首を振る。
「風香は?寒くない?」
「大丈夫よ。それより……あの二人、どうしたの?もしかして、何か進展があったの?」
進展……アレを進展と言うべきか。いや、一部の部位が伸展しはしたが…
「教えてよ~ユウキ~」
…こうして親密に相談に乗ってくれる風香だから。隠し事は良くない…か。
「実は……」

「あ……はは…」
風香は苦笑いだ。まぁ、昨日のあの声が漏れてた。ってのは…恥ずかしいよね…
「…ごめんね。ユウキ」
何度目になるかわからない、風香のごめんね。
「ううん。あの時、私も風香を抱きたいって思ったし、その後だって、私が二人に会わなければ、……して普通に二人とも寝てただろうし。
 風香は何も悪くないんだよ」
風香は、自分のあえぎ声が聞かれたことより、私を気遣ってくれる。本当に優しくて、嬉しい。
「風香。ケーキ…作ろ。とびっきりおいしいの」
私は風香の手をとる。
風香は…笑顔でそれに答えてくれた。

結局、二人が起きたのは午後3時を過ぎたころだった

荷物が多いから、と、みんなで買い物に行った。
外はやや雲が出始めていたが、降らないだろう、という予報を信じ、私たちは家から離れた。
スーパーで、それぞれが必要だと思うものを買う、ということで別行動を取った。

「ユウキ」
ふと、声をかけられる。声の主は、俊介。
「ユウキは…ずいぶん真っ当なのを選んでるんだな…」
籠の中を見て、俊介は素直に感心してるようだった。
「風香と事前に買うものは協議したから。分担してるんだよ」
「そっか。ユウキさ、下手な女子より女の子っぽくなってるよな」
「…それは、褒めてるの?それともけなして…?」
私が眉をひそめて言うと、俊介はあわてて取り繕う。
「あ、いや。その……改めて、かわいいな。って…そう思っちゃって…」
…目の前で、そういうことを言われると……顔が真っ赤になるよぉ…
「じ、じゃあ、また後でな、ユウキ」
あわてながら俊介は立ち去る。途中、つんであったダンボールを蹴飛ばすが、幸い、中の商品がこぼれたり。ということは無いみたいだった。

「あ、ユウキ」
籠を手に持った大輔と、ばったり出会った。
「って、それ、お酒じゃない」
私でも分かる。缶ビールにチューハイ、カクテル。それにワイン。
「ユウキを信頼してるから、食べ物系は任せちゃおう。と思ってね。
 ユウキさ、かなり家庭的っぽいから、安心できる存在だし」
「…って言っても、私、今まで台所に立ったことなんてほとんど無いんだよ?」
「そうか?まぁ、俺はユウキの手料理だったら何でも平らげる自身はあるぞ」
…って、凄くときめく発言…嬉しいけど…やっぱり恥ずかしい…
「まぁ、今日は楽しむぞ。じゃ、ユウキ、またな」
そのまま、おつまみコーナーに消えていく大輔。
お酒かぁ……のめるかなぁ?

スーパーを出るころには、白く曇った空がどこまでも広がっていた。
「…寒」
冬の冷たい風が身にしみる。
みんな、白い吐息を吐きながら、4人そろって家路に着いた。
重い荷物を玄関に降ろし、私たちは床に倒れこんだ。
「…ちょっと買いすぎたかな?」
私が苦笑いまじりに言うと、みんな苦笑。
「ま、まぁ。あまったら明日、明後日に使えるしさ。結果オーライだって」
とっさに大輔がフォローを入れる。
とりあえず、悲鳴を上げてる両腕をさらに使い、私たちは冷蔵庫前まで買ったものを運んだ。

「えー、というわけで。今日は無礼講ということでございまして…」
「元々、礼なんて無いですよー」
大輔の音頭に俊介の合いの手である。
「ごほん。えー…中略。今日は楽しみましょう、かんぱーい!」
一斉にプルタブを開ける音が鳴る。そして、中空でアルミ缶同士がぶつかり合う。
「───苦っ!」
私は、缶ビールを一口飲み……その独特の味に顔をしかめた。
「ユウキ、こっちにしてみたら?」
風香が、カラフルな缶を手渡してくれる。
ああ、あの某総理(大嘘)のいる二人組みの芸人や、結構なお年の双子のオカマさんがCMやってる缶カクテルだ。
「んく…んく………ふぅ。うん、こっちは飲みやすいかな」
風香は小さくピースする。
「えーじゃあ……Mパーティするか?Sブラザーズするか?」
…活字だと卑猥な感じがする……が、TVゲームの話だ。
しかも、ハードがゲーム^3ではなく、N6.4である。一つ…いや、もう二つも前の世代のハードなんだけど…
まぁ、問題はハードでもゲームでもなく、一緒に遊ぶ友人だから。
1時間もすればみんな、大はしゃぎだった。

「あー。また負けたー。あーずーまー。手加減しろー」
風香はかなり出来上がりつつあった。
「ユウキ。気持ち悪くないか?」
少し心配そうな顔で私を見てくる大輔。大輔は、少しだけ顔が赤かった。
「うん。大丈夫…だよ。ちょっとふらふらするけど、今はジュースにしてるから」
「そっか。苦しくなったりしたら、ちゃんと俺でも誰でもいいから言うんだぞ」
大輔の心配に、私はうんと首を縦に振る。そんな肩を、後ろから抱きつかれた。
「ユウキぃ。もう私が勝てるのはユウキだけぇ」
風香だった。
私が振り向くと、風香は缶チューハイをこくこくと飲み───そのまま私にキスを…した。

「んん!?んー」
私の口に流し込まれるアルコールと風香の唾液。
少し舌を出し、糸を引きながら私から顔を離す風香。
「な…風香?」
一気に熱が頭にくる。
「ユウキ、ゲームしよ。ゲームぅ」
要するに、風香は酔っ払っていた。
「だ、大丈夫か?ユウキ」
俊介があわてて私に寄ってくる。
「う、うん。量はそんなに無かったから平気」
むしろキスされたことで、昨夜のことを思い出したが、よく見れば、風香はその辺においてあったぬいぐるみにもキスをしていた。
「…風香って、酔うとキス魔になるんだ……」
私は風香に促され、彼女の近くまで歩み寄り──窓の外の景色に目を奪われた。
「うわー。ねぇ、雪だよ。ホワイトクリスマスだよ」
私が指差す窓に、みんなは視線を向ける。そして、おおっ。と声を漏らす。
白く降り注ぐ結晶。街にいるときには、2月に時々降るくらいの冬の景色。
その綺麗な白色を、私は決して忘れないよう、深く記憶に刻み込んだ…

12/28。クリスマスも終わり、安くなったケーキも買って食べて。
そうして大晦日までぽっかり開いた空白の時間。
私たちは、宿題や街探検、雪合戦や雪だるま作りで時間を費やしていた。
そんな中、風香が私に一言。
「ユウキ。御節つくろ」
…おせち?私たちだけで…?
「そんなに豪華にしなくてもいいけど、とりあえずは形だけでも…ね?」
「うーん、作ることには反対しないけど、問題は、何をどうすればいいか、って分かるの?」
「えっと、ある程度分かるから、それだけでいいと思う……だめかな?」
反対…なんて出来るわけ無い。私は笑顔で首を横に振る。否定の否定──つまり、元に賛成である。

「材料、ギリギリだったね…」
流石に年末商戦である。おせちに必要なものはかなり数を減らしていた。
それでも、紅白かまぼこや数の子が買えたことは喜ばしいことだった。
「ああっ!」
突然風香が叫ぶ。
「な、何?」
ものすごくびっくりした。真横にいるだけに、声もよく響く。
「じ……重箱…忘れてた」
御節といえば重箱……って確か…
「確かこのあたりで……あ、あったよ風香」
私は和紙に包まれた重箱を、椅子の上に乗って棚から取り出す。
「──え?」
そのまま、私は背中から落ち……なかった?
「ユウキ。大丈夫?」
私を抱きとめてくれたのは俊介。
「こういうときは呼んでくれればいいのに」
確かに、私たちでは椅子に乗らなければ届かないが、俊介、大輔であれば手を伸ばせば届く…でも
「ごめんね。自分でできるコトはなるべく自分でしたいの。受け止めてくれてありがとう」
…私はそう答えていた。

夕食後、私は風香に相談していた。
「…なるほど。要するに、断り方やタイミングが難しい。と」
「うん……私なんかに好きだ。って言ってくれる人を拒否するのって、凄く…自己嫌悪」
「タイミングかぁ。ちょうど節目のときだからね…新年直前に言うのもばつが悪いし、明けて帰っちゃうと言い出しにくい。
 おまけに新年最初がそれだとテンションも下がりっぱなし。難しいわね…」
「でも、ずっとこのまま。ってわけには行かないよ。二人に失礼だし…そんなうじうじグダグダの女の子なんてきっと嫌いになっちゃうし」
風香はクッキーを一つつまむ。
「あの二人はなかなか嫌いにならないと思うけどね。ユウキにぞっこんだし。
 まぁ、だからユウキみたいな、他人の気持ちをまず考えるような子は、こうして悩んじゃうんだろうけどねー」
他人の気持ちをまず考える……そうかな。いつだって私は自分のことばかり考えてる嫌な子だと思うけど…
風香は決して、人の嫌がることを言わない。まぁ、悪いところを直すように、と注意することはよく言ってくれるけど。
「とりあえず……ふーかちゃん珈琲飲みたいなー」
要するに、気分転換しよう。という、風香の気遣いである。
半分くらいは、クッキーのお供が欲しいというのもあるだろうけど。
「わかった。淹れてくるから少し待っててね」
…どちらにしろ、インスタントコーヒーだ。ポットのお湯を注ぐだけ。
「ごめんねー。ありがとー」
風香の明るい声で、私の重い気分も心なしか軽くなる。
私は風香に感謝しながら、一階の台所に駆けていく。

台所でばったり。私は俊介に出くわした。


私を抱きしめる手を離す。
外の窓や廊下のドアがカタカタ音を立てていた。
「あ……じゃあ、ユウキ。おやすみなさい」
俊介は、そのまま私に手を振り、台所から立ち去っていった。

「お帰りなさい。遅かったね?」
部屋に戻ると、私は風香のベッドの上、風香の目の前に座った。
「…そう、何か、あったのね」
風香は真剣な表情になる。私は、真っ直ぐと風香の目を視る…
「うん…あのね…」


「……なるほど。それは…」
私が全て言い終えると、風香は大きく息をついた。
「よしよし…ユウキ」
私の頭を撫でる風香。私は、そんな風香に手を伸ばし、胸に顔をうずめた。
「風香ぁ…私……私ね」
私は何を言おうとしたんだろう。ただ、私はそのまま眠ってしまっていた。
風香の匂いと、もう一人…誰か分からないけど、女の子の匂いがしたような気がした…

「大晦日。はい、大晦日といえば?」
風香から俊介。
「大掃除?はい、大晦日といえば?」
俊介から私。
「えと、紅白歌合戦?はい、大晦日と…いえば…?」
私から大輔。
「……除夜の鐘」
最近、大輔がどこかよそよそしく感じられる。
原因は……やっぱり私なのかなぁ…
「さて、じゃあ…ユウキと風香さんは御節作り。俺らは大掃除いってきまーす」
そういって、大輔は見た目は明るく居間から出て行く。
俊介は、私たちをちらっと見て微笑してから大輔の後についていった。

「ユウキ?本当に大輔君のこと、わかんないの?」
「うーん…何か悪いことしちゃったのかなぁ…わかんないよ」
風香はお煮しめを、私はかまぼこを切っている。
「やれやれ…ね。でも、本当に手伝わなくていいの?」
「うん。ごめんね。これは私が決着つけることだから。
 今まで散々風香に頼ってきたのに、この体たらくで…本当にごめん」
風香は首を横に振る。その目は、本当に私を信用してくれている瞳だった。
私は、切り終えた紅白かまぼこを重箱につめていると──大輔の、怒った声を聞いた気がした。

「…相変わらず派手な衣装だよね、K林S子さんって」
時刻は午後10時を回ったところ。今年も後2時間を残すだけ。
「あー……来年の大河って何だっけ?」
大輔が頬杖をつきながら聞いてくる。
「覚えてないけど、江戸時代の末期の奥の話。かな」
私はそれに答える。すると大輔は、そう。とだけ言って再びTVに目を向けた。

『さぁ。今年もトリを飾るのは、北島先生です、北島S朗で祭!』
気がつけば11:40。司会者が熱のこもった声で演歌界の大御所を紹介する。
「もうすぐ今年が終わるのかぁ」
俊介が時計を見ながら口にする。
画面の中は凄い紙吹雪だった。
「とりあえず、年を越したら、体を清めてしばらく休んで、近くの小さい山の頂上で日の出を見る。だな」
大輔がスケジュールを確認する。
そういえば私、初日の出って見たことないなぁ。
ふとTVを見ると、僅差で赤組が勝利するところだった。
そうして、年末の風物詩は、波が引いていくようにフェードアウトしていった。
──…ン。ゴーン……ゴーン。
「あ、除夜の鐘」
108の煩悩を打ち消すという、除夜の鐘。
でも、私の中には、来年に持っていかなければならない煩悩が、一つだけあった…

「んじゃ、山の上までしゅっぱーつ」
午前4時、かなり早めに私たちは山に行こうとする。
「あ、ごめん忘れ物しちゃった。先、行ってて」
「悪い、トイレっ。ふう…高根と一緒に行くから二人で先行ってくれ、スマン」
そう言って、二人は靴を脱ぎ捨て、二階とトイレに駆け込んだ。
「……大輔?」
大輔は少しだけ渋い顔をしたが、すぐにやれやれとため息をつき、私を見た。
「しゃーない。じゃ、行くか。ユウキ」
私は、大きく、力強くうなづいた。

対して高くも広くもない山。
私たちは、その山道を、おそらく15分くらいは歩いていた。
「大丈夫か?ユウキ。疲れたら休憩するぞ?」
一歩先を行く大輔は、私に優しく振り返る。
「大丈夫…だよ。後、半分…くらいなんで…しょ?」
流石に、息も上がってきたが、筋力としては大丈夫である。そんな時…
「雪?……って、めっちゃ吹雪いてきやがった!」
白く冷たい雪が横殴りに、たくさん降り注いだ。
「ユウキ。大丈夫か?手、つなぐぞ」
大輔は私の手を取る。手袋越しだけど、確かに大輔の暖かさが伝わってきた。
「くそっ。駄目だ。これじゃ前に進めねぇ」
一般的な冬の雪山。ではない。急いで降りればすぐに民家はあるし、何日も吹雪くことはない。
だけど、私たちは横殴りの雪にさらされていた。
「…大輔、あれ…」
私が指差す方向に、小さな洞穴が見えた。
大輔は、私の手を引き、洞穴まで一気に走った。

洞穴はそこそこに広く、奥行きは少ししたら行き止まりだった。
「とりあえず…ユウキ、ちょっとお前はここで待ってろよ」
「大輔?どこに行くの?」
「焚き木拾ってくる。心配すんな。すぐそこでかき集めるだけだから。
 目がいいお前の、目が届く範囲にいるから」
大輔はそう言って、再び吹雪の中に突っ込んでいった。

「…あったかい」
2分もしないうちに、大輔は拾ってきた焚き木と、持っていたライターで焚き火を作った。
焚き火を挟んで向こう側。洞穴の外はまだ吹雪いていた。
「…風香たち、大丈夫かな」
私がポツリとつぶやく。それが、始まりだった。
「風香、じゃなくてお前が心配のなのは東だろ?」
トゲのある口調。何でそんなコト、言うのかなぁ。大輔。
「俊介も心配だけど…どうして?何でそんなこと言うの?」
「じゃあ、何で俺にはっきり断らない!どうして黙っている!」
「何?大輔が何の事言ってるのか、わからないよ」
「俺はな!お前と東が抱き合ってるのを見たんだよ!」
──それは、3日前の………でも。違う。
「違うよ…違う…」
「何がだ!ああ、もう俺も自分自身に腹が立ってきた!何でユウキにばっかり文句言って──」
「違う!私……私、俊介とは付き合わないの!」
…音が止まった。外の吹雪も、側の焚き火も。
……大輔の怒号も呼吸も…時間が止まったように、全ての音が消えた──
「私、あの夜、俊介に偶然会ったの。それで……『答えを聞かせて欲しい』って言われて…
 私、気づいたの。大輔が好きだってことに。だから…俊介に、ごめんなさいって…
 そうしたら、俊介は、『せめて一度、抱きしめさせて欲しい』って言って…それで…」
「…俺が見たのは、その光景…ってことか?」
大輔の声が…聞こえた。
私はうなづいて答える。
「でも…次の日の夜、東の部屋から…その……喘ぎ声が…」
「あれ、風香よ。風香、俊介のことが好きで…私が断ったからって、俊介の部屋に行って…
 暫定的だけど、恋人になったんだって」
大輔はポカーンと、口を開いたまま固まってしまっていた。
そして、私は、二人の転機を告げる一言を言ってしまった。

「そのさ…声で、私じゃないって。分からなかったかな?」
「…分かるわけねーだろ」
「そ、そうかな。元の声も結構違うと思うし…大輔だったら分かるかなぁって…」
「…分かるわけねーよ!誰とヤったこともねーのに!」
………え?
…16歳の誕生日に寝て起きたら女体化する。
私の誕生日が12/7で、私は女になった。大輔の誕生日は確か……1月の…7日…
「って、あと一週間じゃない。何で?だって大輔…」
「そうだよ。童貞だよ。だから誰の声なんてわかんねーんだよ」
…私は息を呑む。ドキドキする心臓を抑え…私は上着を脱ぐ。
「じゃあ……確かめよ?私が処女か。あの声が私のだったか。私の想いが嘘か…本当かを」
上着を全て脱ぎ、ブラジャーだけになる。不思議と寒くない。
「…それでお前がヤってたら。俺はいい笑いモンだな」
大輔は動かない……私は、知らず知らず涙を流していた。
「大輔……馬鹿!何が私のこと信頼してるよ!私のどこが好きになったって言うのよ!
 馬鹿!馬鹿!そんないくじなしの大輔なんて大嫌い!私を泣かせる大輔なんて…大ッ嫌い!」
叫んでいた。力の限り、声の限り。泣きながら叫んでいた。
そんな私の、露出した肩に…手が触れた。
「ごめん…ユウキ。俺が…本当に馬鹿だった…その…すいませんでしたっ!」
私は首を振る。
「ううん。ごめんね。大輔。大輔のこと、考えてあげられなくて」
私が笑顔になると、大輔もつられるように笑顔になった。
「あー…えっと……それで…」
大輔は、私の(あまりない)胸に目を向けている。
私はそっと、大輔に口づけた。
「え……」
大輔は、何度も瞬きをしている。
私は、自分がかなり大胆になってるな。って思いつつ、冷えた岩肌に背中をあずけ、仰向けに寝そべった。
「大輔……私で…いいかな?」

「…その前に。そら、これ敷け」
そういって、大輔は私の服と自分の服を手渡してくる。
「冷たいだろうし、それに…痛いだろ。今から…するんだったら」
照れてる大輔が可笑しく、私は笑いながら二人分の服を敷く。
「ユウキ。する前に確認するぞ。
 ……後悔はしないな?」
「うん。大輔こそいいの?一ヶ月前は男だった私でいいの?私、貴方のこと離さないよ」
「今、目の前のお前は、どこに出しても恥ずかしくない……俺の、女。だ」
そうして、私たちは。恋人のキスをした。

「やっぱり、大輔も胸は大きいほうがいい…よね?」
丁寧に胸を揉んでくる大輔に、私は聞いてみる。
「ユウキ、かわいい」
「ひゃぅ!?吸っちゃ…ぁん」
暖かい感触が、胸の先から体の隅々まで快感を与えてくる。
「ひぅっ…ぁ…ぁぃ…いぃよぉ…だっ…めぇ」
無言のまま舌で私の乳首を弄ばれる。
「ユウキ…もう濡れてる」
大輔は私のショーツの上から、大事な部分を触ってくる。
「ぁんっ。ぁ…はぁ…ぁぅ」
「…脱がすからな。ユウキの、女の子の部分。俺に見せて…」
ショーツを下ろされ、大輔は私の股の間に顔をうずめる。
「はぁん!舌ぁ…だめぇ……そこ…はぁ……ぁああ…ぁぁああああぁぁ!」
凄い勢いで私の体は跳ねる。
「イっちゃったな。エロエロだな、ユウキは」
「だいすけぇ……んっ…は…ぁん」
「次は指、入れるからな」
キスをされ、さらに指──2本の指が入ってきた。
「はぁ…ん!くぅ……ぅぁは…ぁ」
「ユウキの中…熱いな。もっと入れるよ」
私の中がかき回されるような感覚。痛さとその快感が駆け巡る──
「はぁっ!?くっぅ…ぅぅぁああ…ああぁぁあ!」
ものすごい速さでピストン運動され、指先を曲げられ。私は2回目に達する。
「ユウキ…凄い…溢れてる」
私は体を起こし、顔を大輔に向ける。
「ユウキ?って、おい、お前…」
私は、大輔の制止も聞かず、そそり立った大輔の『男』に舌を這わせていた。

「ぴちゅ…ちゅる…くちゅ……はぁ…ん…はむ」
舌を這わせ、口に咥える。舌先を、『大輔』の先端にあてがう。
何度も顔を行き来させる。両唇で、強く離さないように咥える。
「っ!ユウキ!」
「ん…んん!…んく…こく…ん……ちゅる」
出されたそれを、私は全て口で受け止めた。
「お、おい…ユウキ?無理するな、ほら、ティッシュ…」
私の喉が、ごくっ。と、音を鳴らした。
「は…ぁ。えへへ。大輔の、飲んじゃった」
大輔は呆れたような顔をしたが、すぐに私を丁寧に押し倒す。
「あ…しまったぁ…」
そうして、ふと大輔が落胆する。
「え?どうしたの…?」
「…いや……ゴム、忘れてた。って」
「…いいよ。二人とも初めてだもん。二人の初めてだもん。大輔…」
「っても…もし、俺が暴発して中に出して、おまけにそれが運がいいのか悪いのか、出来ちゃったとしたら…どうする?」
「…うん。私、学校やめてその子を育てるよ。もちろん、大輔が面倒見てくれるならだけど」
次第に大輔のものが萎えていく…
「そういう問題じゃないんだけど…いや、もちろん将来、お前の面倒は見るけど、やっぱり倫理的に…」
「大輔は……私としたくないの?」
「そんなコトは無いぞ。でも……いや、いいな、ユウキ。決めた。出来ちゃったら俺が責任持つ」

「…大輔……ねぇ、もう一回、お口でしたほうがいいかな?」
私は、小さくなった『大輔』を見る。
「え…いや……キス、すれば……いいか?」
と、大輔は顔を近づけてくる。しかし、私は…
「駄目。待って!」
「え…」
大輔を止めた。私は、手を伸ばし、鞄から水筒を取り出し、冷たいお茶で口をゆすいだ。
「ごめんね。せっかくの雰囲気、壊しちゃって。でも、さっき大輔の精液飲んじゃったから、大輔が気持ち悪いんじゃないかな、と思って…」
大輔は、目を見開いて私を見たが、すぐにキスの続きをする。
「ユウキ、お前…こんなときでも他人を気遣える。俺、お前と恋人に……恋人、でいいんだよな?」
「うん。恋人…だね」
「恋人になれてよかったと思うよ。
 …じゃあ……行くからな」
そう言って。大輔は、ゆっくりと『私』に侵入した。
「ん!あう!あ…ああぁ……いっ…」
「ユウキ…もう少し……っく……っ」
熱い……痛いっ…………
「!!くぅぅっ…か…ぁ…」
「ユウキ…全部、入ったよ。痛い…か?だったら…このまま…」
私は首を振る。下を見ると、私は──ちゃんと、処女を…捧げていた。
「だい…すけぇ。つづ…けて。痛い…けど、我慢…する、から」
大輔は、申し訳なさそうな顔を見せたが、すぐにゆっくりと動き出す。
私は、熱さと痛さと、そして嬉しさを感じながら、大輔に体を預けていた。
次第に、私の中に、痛さと同じくらいの悦びがこみ上げてきた。
「あっ……ぅあん……あん…ぁ」
「ユウキ…俺…」
「ぁん。私…も、ぁ……あ…あ、あああぁぁ!イっ……イク…っぅ!」
「ユウキっ!」

…頭の中は真っ白だった。体に、熱いものが…大輔の精液がかけられる。
そうして…私たちは……一つに…なった……

「えーと…」
ものすごく…気まずい。
あの後、吹雪もやんで、時間も押してたから私たちは服を着て無言のまま山頂に着いた。
「あ、大輔──」
「ユウキ、ほら。初日の出」
大輔が山の向こうを指す。
そこには、昇ってくる、白い太陽が…あった。
それは、まるで私たちを祝福してる。そう錯覚するに十分な…一生忘れられない、朝陽だった。
「ユウキ…その…これからも、よろしく」
「大輔……うん。こちらこそ、えと、ふつつかものですが、よろしくお願い…します」
私たちは目を合わせ笑いあう。
「暑いわ。まるで周りの雪が解けて洪水になるくらい」
「うわぁ!……ふ、風香。ぶ、無事だったんだ」
そこには、重箱を持った風香と、
「最近の技術は凄いねぇ。何時から何時まで吹雪くとかも分かって。
 まぁ、それを見越し、さらにあの洞穴に逃げ込むことまで予測した風香も凄いけど」
一升瓶を持ってる俊介がいた。
「ってことは……お前ら、謀ったな!」
「まぁまぁ。さ、お節とお屠蘇でパーッといきましょ」
風香は、ビニールシートを引き、御節を真ん中に置く。
俊介が紙皿と紙コップを置き、一つずつにお酒をついで行く。
「あ、東。その…昨日のことは、悪かった…なんか…誤解だったのにお前に当たって…」
大輔が俊介に謝っていた。
「昨日?何のことだ?俺はな、年が明けたら終わった年の都合が悪いことは忘れる性格なんだ。
 悪いが覚えてないから、俺が七瀬から謝られることは無い。さ、準備完了。食おうぜ」
そうして二人は、朝陽を浴びながら、固く握手を交わした。

私たちは、お節とお屠蘇を、誰もいない、静かな山頂で食べた後、下山した。
その後、近所の神社に初詣をして、大輔が凶を引いたのをみんなで面白がって笑っていた。
そうしたら私も凶で、大輔に笑われた。
お昼になって来てくれた、圭一さんの車に送ってもらい、街に戻って残りの冬休みを過ごした。

1/6。始業式を明日に控え、私は大輔に呼び出された。
もちろん、終業式前に大輔に買ってもらった服を着て。
指定された喫茶店に行くと、そこに居たのは…あのとき、私に不満を言ってた子たちだった。
その中の一人が、私に近づいてくる。
「二ノ宮。今までごめん!」
……頭を下げられた。
「え?あ、あの…」
私はどうしていいか分からなかった。
「あたしら、ずっと考えてたの。この冬休み使って」
「今までの人生から、まるっきり変わっちゃって、一番困ってるのは貴女だった、って気づけなくて…」
「それなのに…嫉妬ばっかりで…本当にごめんね」
次々に、私の前にやってきて、謝ってくれるみんな。
「その…ものすごい、都合のいいこと言ってるって分かってる。分かってるけど…
 あの…あたしらのこと……許して欲しいの。ごめんなさい」
最初に、私の前にやってきた子が、みんなを代表するように言った。
「…許すって…そんな…私、そんなに偉いわけじゃ…」
「じゃあ何?あたしらの存在なんてどうでもいい。道端に転がってる石みたいにしか感じなかったって言うの?」
「ち、違うよ。そんな…違う。けど…許すとか、そういうのじゃなくて…その。
 仲直り…友達に……っていうの、駄目…かな?」
私は、凄く胸が締め付けられる思いだった。
友達、親友、恋人…口にして言うと、どこか安っぽく聞こえるそのフレーズ。
だけど、生きていくうえで、何にも『変え』がたい、大切な存在。
「…あれだけ酷いことを行ってきたあたしらを…友達って言ってくれるの?」
声が震えているようだった。だから、私は、彼女たちと正面から向き合いたかった。
人を…信じたかった。
「あの……私と…友達に、なってくれますか?」

「…貴女ね。お人よしもいいところよ。
 いい?あたしらはついこの間まで貴女をハブってたのよ?いじめみたいにしてたのよ?
 陰湿で数に頼んで。最低の性格してたのよ?」
突然、別の箇所で声が上がる。
「そんな連中をつかまえて、『気にしないで、友達になろう』?なんていい人なの?
 あたしらを疑わないの?怒らないの?軽蔑しないの?」
凄い勢いでまくし立てる。
…でも、どう聞いても自分たちを責めてるような物言いだ。
「だ、だって…そんなことしても、誰も嬉しくないよ」
「甘い…甘いわ!いい、女の子ってのはね、平気でクラスメイトの男寝取るし、
 友達だって騙すし、集団になると酷いことも出来るの。分かる?」
「で、でも、今だって集団だけど、酷いどころか…私に謝るとか…
 凄い、勇気がいることだと思うし、そういうのって、思いやりとかがないとできないと思う」
すると、みんなは突然黙ってしまった。
私、何か嫌なこと言っちゃった?
「全く。なんていい子なの。だからお願いします友達になってください」
……え?
もう、怒られてるのか説教されてるのか謝られてるのか…分からなくなってきた。
私は、出されたその手を、ゆっくり取った。
すると、その女の子は、私に抱きついてきた。
「ごめんね。二ノ宮。本当にごめんね」
それを契機に、その場にいたみんなが、私に駆け寄ってきた。

「それで二ノ宮、ごめん!宿題見せて」
あの後、私たちは喫茶店をほぼ占領し、雑談を楽しんでいた。
「うん。あ、だから大輔、電話で『宿題全部持ってきて』って言ってたんだ」
「…二ノ宮さぁ。どうして東君じゃなくて七瀬君を選んだの?」
…選んだ。私が、大輔のほうを好きになった理由…それは、
「二人とも優しかったんだけど、大輔は、より私を理解してくれてる優しさだったから。かな」
…そう。馬が合うと言うのが適当かな。
大輔は、私に近い。自然体で私の傍にいる。そんな感じだった。
だから私は、彼に──気がつかないうちに惹かれ続けていた。
「ふーん…深いねぇ」
私の話を聞くみんなは、どこか、愛読する連載マンガのコミックスの新刊が出たときの喜び。そんな感じの表情だった。
「…あのさ。それで、一つ聞きたいことがあるんだけど…いいかな?」
今度は私。これで駄目なら風香に聞こう、と思ってたもの。
「何?あたしらで答えられるならなんでもいいよ」
「…ありがとう。あのね……その……せ、生理って……どうすれば、いいかな?」
──一瞬、店内が凍りついた。
「くっ…あははははは。二ノ宮、かわいい」
何故か、笑われてしまった。
「な、何で?」
「~~!ごめんごめん。そっか、二ノ宮は生理、初めてなんだ。あははははは。
 16歳の少女が、恥ずかしそうに『生理』って言うの、ちょっと、犯したいくらいかわいいから…」
「~~~!」
顔、真っ赤。ちなみに、怒ってるのではなく、恥ずかしいから。
「OK。あたしが教えるよ。二ノ宮、こっちおいで。とりあえず…タンポンでいいかな」

こうして私は…『僕』ではなく、『私』の、新しい人生を、スタートした…
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