真「おやめなさい・・・水銀燈!」
翠「そんな事止めてこっちにくるですぅ!!」
嗚呼―
私を呼ぶ声が聞こえる・・・
けれどそちらには行けない・・・
もう・・・戻れない・・・
水「ごめんなさい・・・」
どうして・・・こんな事になってしまったのだろう・・・
始まりは・・・いつもと変わらない日常・・・
水「空が・・・綺麗だわぁ・・・」
真「水銀燈・・・お昼・・・一緒にどうかしら?」
水「しつこいわよ・・・あなたたちと一緒に食べる気はないわ・・・。」
翠「言うだけ無駄です、さっさと行くです!」
薔「水銀燈・・・。」
水「あなたも行きなさい・・・。」
薔「・・・・・・。」
屋上で昼食を摂る・・・一人で・・・。
真紅たちが誘ってくれるが、いつもそれを断っていた・・・。
水「暇ねぇ・・・」
空を見上げる・・・
?「水銀燈さん・・・?」
聞き覚えの無い声が自分を呼ぶ・・・
水「誰・・・?」
?1「ちょっと良いかしら?」
水「・・・何か用?」
?1「用・・・用かしらね・・・ふふふ。」
妙な雰囲気に相手を見る・・・
水「・・・穏やかな雰囲気じゃないわね・・・」
?1「分かる?」
水「ああっ!」
?1「あはははは!良い様だわ!」
水「一体何・・・がっ!」
?2「黙れよてめぇ!」
?3「立場分かってるのか!?」
女一人に男二人・・・そいつらが自分を痛めつけている・・・
殴り返してやってもいいが、一回目は様子見に限る・・・
殴り返すと、逆にややこしいケースになる可能性がある。
水「・・・見覚えあるわ・・・その顔・・・。」
?1「・・・ひどいわねぇ・・・そうやって人を見下してきたんでしょ!」
ドスッ!
水「うぐっ・・・」
名前は・・・一宮、二木、三沢・・・だ
一「ずっと前から気に入らなかったの・・・。」
水「何がよ・・・。」
二「強いて言うなら・・・」
三「全部だな。はははは!」
一「一学期の初めに声かけたの覚えてる?」
水「忘れたわ・・・」
ゴスッ!
水「!!!」
一「それが気に入らないのよ・・・!私が声を掛けても無視して・・・頭にくるわよね?」
水「だから何よ・・・。」
一「私ね、いつでもクラスの中心だった・・・皆が私を慕ってくれた・・・けれどあなたは何?相手にもしてくれない・・・。」
二「その癖、能力では残念だがあなたのほうが上・・・。」
三「一宮様のプライドはボロボロだ・・・。」
男二人はこの女の取り巻きのようなものらしい・・・女は下卑た笑みで話しつづける
一「殺してやろうかと思ったわ・・・けど、それはいけないじゃない?だ・か・ら、もっと良い事考えちゃったの・・・」
一「虐めて、虐めて・・・ボロボロにしてやろうって・・・あはははは!」
水「・・・馬鹿じゃ・・・ぐぅっ!」
一「勝手に喋らないで・・・あなたは今日から私の奴隷・・・いい?」
水「・・・そんなの素直になる訳無いでしょ・・・第一・・・このこと私が誰かに言ったら?」
一「言ってみればぁ?」
二「真紅・・・雛苺・・・翠星石・・・蒼星石・・・金糸雀・・・薔薇水晶・・・。」
三「みんな・・・綺麗だよなぁ・・・?」
一「私・・・ここじゃ優等生だけど・・・悪い人たちにも顔が利くのよ・・・?あ、パパには内緒よ?結構偉い人だしそのお陰で、いろいろ出来るしねぇ・・・。それでぇ・・・その娘たち・・・皆処女みたいねぇ・・・。」
二「嫁入り前に全員傷物と言うのは・・・避けたいだろ?」
水「口だけなら・・・何とでもいえるわよねぇ・・・?」
ガスッ!
水「うぐっ・・・いい加減に・・・。」
一「本当にそう思う・・・?」
二「どうなっても知りませんよ?」
水「・・・・・・」
一「そろそろ・・・時間だから行くわね・・・?そうねぇ・・・返事はそのうち聞かせてもらうわ・・・あはははは!それじゃ、授業に遅れないように。」
水「・・・ずいぶんやってくれたわね・・・痛・・・。」
主に腹をやられている・・・顔や腕など見える部分には傷が無い・・・。
痛む体を無理に動かし教室に戻ると・・・・・・
水「・・・冗談じゃないわよ・・・」
同一人物とは思えない顔で周りと話す一宮がいた・・・
水「・・・二重人格なんじゃなぁい・・・?」
それから数日・・・一宮は同じクラスにも関わらず声をかける事すらしなかったが・・・
水「ただいま・・・。」
真「遅かったわね・・・水銀燈。」
水「どうでもいいじゃない・・・。」
翠「まったく・・・雛苺みたいに浚われたらどうするです!!」
・・・『本当にそう思う?』
水「どういうこと・・・?」
蒼「あれは危なかったね・・・。」
真「偶々薔薇水晶が近くにいたから良かったものの・・・。」
水「・・・顔とかは?」
蒼「・・・みんな覆面してたから・・・はっきりわからないって・・・。」
水「・・・雛苺は・・・?」
翠「よっぽど怖かったのかショックで寝込んでるです・・・。薔薇水晶がついてるです・・・。」
真「直接見たのはあの娘だけだから・・・話を聞くといいわ・・・。」
水「入るわよ・・・。」
薔「水・・・銀燈・・・。」
水「雛苺・・・」
ベッドでは雛苺が横になって眠っていた。
水「・・・詳しく話して・・・。」
薔「・・・雛苺が・・・誰かに連れて行かれそうになって・・・私が・・・叫んだら・・・。」
水「雛苺を離して逃げたの?」
薔「・・・うん。」
水「・・・(おかしいわね・・・どうして薔薇水晶に見られたくらいで・・・)・・・薔薇水晶?」
薔「・・・水銀燈・・・怖い・・・。」
見ると、薔薇水晶が自分の服を掴んで震えている・・・
水「・・・大丈夫よ・・・薔薇水晶・・・。」
水「あなたたちは・・・私が守るわ・・・。」
翌日―
一「水銀燈・・・妹さん、雛苺だったかしら?・・・大丈夫だった?」
水「本当にするなんて・・・・・・何処まで腐ってるの・・・?」
二「何て口聞いてるんだ!!」
ボグッ!
水「ッハ・・・!・・・ゲホッ・・・ゲホッ・・・一体何が望みなの!?」
一「昨日言ったでしょ?あなたを虐めて、虐めてボロボロにするの・・・楽しそうでしょ?」
水「で・・・言う事聞かないときは・・・真紅たちを・・・とことん腐ってる・・・キャァッ!!」
三「だから、余計なこと言うんじゃねぇ!!」
一「こらこら、顔はダメよ・・・虐めてるの・・・ばれるでしょ・・・服に隠れるところじゃなきゃ・・・こんなふうに!」
ドグッ!
水「カッ・・・ケホッ・・・ゴホッ・・・!」
一「それで・・・どうするの・・・?そう・・・逆らうとどうなるか・・・分かってるわよね?」
・・・真紅たちを・・・守る為には・・・
水「本当に・・・手は出さないんでしょうね・・・。」
一「約束するわ・・・私が虐めたいのはあなた・・・他を虐めてもしょうがないもの・・・。」
水「・・・分かったわ・・・だから・・・あの子達には手を出さないで・・・」
一「じゃあ・・・その証として・・・舐めなさいよ・・・靴・・・。お決まりでしょ?」
水「・・・・・・」
一「そうよ・・・あはははははは!決まりね!よろしくね・・・奴隷ちゃん!」
水「・・・う・・・・・・うわああああ!」
一「あははははははは、何泣いてるの?あははははははは!」
水「・・・・・・」
真「おかえり・・・今日も遅いのね・・・。」
翠「一体何をしてるです・・・?」
水「・・・て・・・だい・・・。」
蒼「何?なんだい、水銀燈・・・?」
水「ほっといてちょうだい!!」
真「ずいぶんご機嫌斜めね・・・。」
水「うるさいわねぇ・・・どうでも良いでしょ?」
薔「・・・・・・・・・」
水「なんで・・・私があんな女に・・・!!」
誰かに話してみようか・・・だが、もしあの女の耳に入れば真紅たちが危ない・・・
それに、これは自分で撒いた種みたいなものだ・・・絶対に他人を巻き込みたくない・・・。
水「どうすれば・・・」
コンコン
水「誰よ・・・」
薔「水銀燈・・・。」
水「薔薇水晶・・・何の用?」
薔「水銀燈・・・元気ない・・・。」
水「・・・そんなのじゃないわ・・・。」
そっと・・・柔らかな手が頬に触れた
薔「水銀燈が元気ないと・・・私・・・悲しい・・・。」
水「・・・・・・」
薔「だから・・・無理しないで・・・困った事が合ったら何でも言って・・・。」
その言葉を聞いて泣きそうになる・・・
この場で全部話してしまえばどんなに楽だろう・・・
けど・・・それは・・・できない・・・。
水「ありがとう・・・優しいのね・・・。」
薔薇水晶に笑顔を向ける・・・。
薔薇水晶・・・姉妹の中ではみ出しものの自分をいつも気に掛けてくれる・・・。
他の姉妹に嫌われてるわけではない・・・翠星石は嫌ってるかも知れないが・・・。
薔薇水晶だけは・・・特別だ・・・
雛「水銀燈~薔薇水晶~ごはんなの~。」
水「行きましょう・・・。」
薔「・・・うん。」
そして・・・決して気付かれてはいけない。
水「また来た・・・。」
一「ご機嫌いかが・・・水銀燈?」
水「良いわけ無いでしょ・・・。」
ドスッ!
水「ケホッ・・・くあ…っ!」
ニ「いい加減に口の聞き方覚えな・・・。」
一「本当にダメな奴隷ね・・・ほら?」
水「何をしろって・・・?」
ボグッ!
水「くはぁ!うう・・・。」
一「本当に・・・いちいち頭に来るわね・・・貴女は素直に私の言う事を聞いていればいいの・・・。ほら、口付けでもしなさいよ・・・。」
水「あんた・・・人が来たらどうするつもり・・・?」
一「その時は・・・大変・・・!水銀燈さんが・・・だれか・・・だれかぁ!!って演技すればいいわ・・・見張りがいるからここに来る前に分かるし・・・。きっと先生たちも信じるわ・・・伊達に優等生やってないもの・・・。」
どうやら、取り巻きは横の二人だけではないらしい・・・。
話を聞く限りでは・・・目撃者を望むのも無駄だろう・・・。
一「そんなことどうでもいいでしょ?あなたに勝ち目は無いの・・・何をしても・・・ね?だから・・・」
水「ろくな死に方・・・」
ゴスッ!
水「!!!!・・・」
一「反抗的ね・・・。しょうがないわ誰か一人に犠牲になってもらうしかないわね・・・。そうね、この写真の娘はどうかしら?」
水「・・・翠星石・・・!」
三「可愛い娘だな・・・。それが姉の態度次第で・・・。」
一「逆らうのは・・・いいけど・・・見捨てちゃうの?」
水「・・・・・・・・・」
一「は・や・く。」
水銀燈は差し出された靴に顔を近づけ・・・
一「そうよ・・・そうよ、そうよ!!よく出来たわ!あぁ・・・人の上に立つのって何て気持ちのいいことなの・・・!」
涙は出なかった・・・
事あるごとに、暴行を受け・・・屈辱的な行為を強要される・・・。
毎日ではなく・・・数日おきに・・・。
そのことが一層神経を衰弱させた・・・。
雛「うゆ~水銀燈何だか元気ないの~。」
水「そりゃ疲れるわよ・・・あなたたちのクラスと違って・・・結構大変だもの・・・。ごちそうさま・・・。」
金「あら・・・?あんまり食べてないのかしら~?もしかして、ダイエット中かしら?」
水「そうねぇ・・・翠星石みたいにはなりたくないから・・・。」
翠「きぃぃぃぃ!いちいちうるさい奴です!!」
真「食事は静かにするものよ・・・水銀燈もいちいち突っかかるのはやめてちょうだい・・・。」
水「はいはい・・・。」
声を荒げる気力もない・・・
水「・・・・・・ふぅ・・・。」
コンコン
水「・・・薔薇水晶?」
薔「大丈夫・・・?」
水「そんなに心配しなくても大丈夫よ・・・寝ればスッキリするわ・・・。」
薔「・・・これ・・・あげる・・・。」
水「・・・何かしら・・・?」
包みを開けると・・・羽を模った飾りのついたネックレス
薔「プレゼント・・・安物だけど・・・元気になって欲しいから・・・。」
水「・・・いいのに・・・こんなことしなくても・・・」
薔「ほんの・・・気持ち・・・。」
水「・・・そう・・・ありがとう。」
薔薇水晶は何か知ってるのだろうか・・・。
元気が無い・・・というのは見て取れるようだが・・・その位ならごまかせる・・・。
水「また・・・頑張るわ・・・。」
耐えるしかない・・・。
真紅や翠星石達が自分をどう思っているかは知らない・・・。
でも・・・自分は彼女たちが好きだ・・・何よりも・・・。
だから・・・
水「・・・我慢・・・するしかない・・・わ。」
薔薇水晶が出たあと一人・・・もらったネックレスを眺めていた・・・。
それが・・・自分と・・・姉妹たちを繋ぐ鎖のように思えた・・・。
そう考えて・・・少し幸せな気分になった・・・。
それからは、そのネックレスだけが・・・水銀燈の支えだった・・・。
見えない絆が・・・形になったもの・・・。
薔薇水晶が自分を想ってくれたもの・・・。
水「ぐっ・・・うっ・・・!」
一「あははは、もうすっかり奴隷が板についたわね・・・。」
ニ「多少・・・物足りなくはあるけどな。」
痛い・・・けれど・・・何も出来ない・・・。
出来るのは耐えること・・・。
一「あらぁ・・・あなた何時からそんなの着けてたかしら・・・?」
三「ちょっと前からだな。」
一「ふぅん・・・。可愛いネックレスじゃない・・・」
水「何よ・・・あっ・・・。」
一「これ・・・どうしたの?。」
水「・・・触らないで・・・。」
一「大事なものなんだ・・・?」
水「・・・離しなさ・・・!」
ブヂッ!
水「・・・!!」
無理やり引きちぎられ小さな鎖が散る・・・。
水「あ・・・あ・・・」
さらに、飾りの部分を踏みにじる・・・
足が退けられた後には・・・
一「あ~あ・・・。」
歪んでボロボロになった羽が・・・
水「ああ・・・そんな・・・」
一「あはははは!あなたのそんな顔久しぶりに見た・・・!それよそれ!!」
歪んだ羽を拾い握り締める・・・。
・・・絆が・・・切れてしまった・・・。
水「・・・たい・・・。」
一「え・・・?何?」
水「いったい、何時までこんな事をすれば気が済むの!?もう充分でしょう!!」
それは怒りでなく深い悲しみ・・・自分の拠り所を壊された悲しみ・・・。
一「まだまだよ・・・言ったでしょ・・・虐めて虐めてボロボロにしてやるって・・・。大丈夫・・・殺したりしないから。」
水「・・・殺し・・・。」
一「今日は貴女のそんな顔が見れたし・・・これくらいにしてあげる・・・じゃあね?」
立ち去る三人に目を向けず・・・座り込んだまま泣きつづけた・・・。
何時になったらこの地獄から開放されるのだろう・・・。
・・・死ぬまで・・・だろうか・・・?
水「・・・死ぬ・・・?」
ふと、自分のいる場所を見る・・・
水「・・・屋上・・・。」
フラフラと歩いて端の手摺に体を預ける・・・夕焼けが綺麗だ・・・。
下を見ると結構な高さがある・・・
水「・・・そうね・・・この手があるわね・・・。ふふふ」
そう・・・そうすれば良い・・・。
このまま、楽になってしまおうか・・・そう思った瞬間・・・
水「・・・あれは・・・薔薇水晶・・・。」
向こうも偶々上を見て自分に気付いた・・・手を振ってきた・・・。
歩きを止めたのを見ると自分が降りてくるのを待つつもりのようだ・・・。
薔「何をしてたの・・・?」
水「・・・景色を見てただけ・・・。」
ふと・・・さっき目にした夕焼けを思い浮かべた・・・
その先は何処に繋がるのだろうか・・・
薔「水銀燈・・・明日・・・暇・・・?」
水「・・・どうして・・・?」
薔「明日は、土曜日だから午前中だけだから・・・その後皆でお勉強・・・。だから・・・。」
水「明日・・・?」
そう・・・生きていれば明日は来るの・・・
さっきまで正反対のことを考えていた水銀燈には実感が湧くまで時間がかかった
水「・・・・・・明日・・・。」
薔「ダメ・・・?」
水「・・・・・・・・・」
最後くらい・・・付き合ってやってもいいかもしれない。
水「いいわよ・・・。」
薔「本当に・・・?」
水「ええ・・・。」
そう答えると、薔薇水晶は嬉しそうに笑った・・・。
けれど・・・その笑顔に心が痛んだ・・・。
―土曜日
蒼「ほら、そこはそうじゃないだろ?」
金「・・・カナの頭脳にも不可能があったのかしらぁ・・・?」
ガラッ・・・
翠「誰です?」
水「おじゃまして良いかしらぁ?」
真「珍しいわね・・・あなたも来るなんて。」
蒼「薔薇水晶が声掛けたらしいんだ。」
翠「明日、雪でも降るですか?」
水「テストも近いし・・・いいでしょう?・・・勉強会なんて・・・感心ねぇ・・・。」
蒼「学習室のほうががちゃんとできるしね・・・ね?雛苺」
雛「むぅ~・・・いつもちゃんとしてるの~。」
水「・・・・・・」
一緒に座ってる姉妹を見る・・・真紅、雛苺、翠星石、蒼星石、金糸雀、薔薇水晶・・・。
皆・・・ちゃんとやれているみたいだ・・・。
水「(良かった・・・)」
きっと・・・自分はいなくても大丈夫だ・・・
真「日も落ちてきたわね・・・そろそろ終わりにしましょう・・・。」
翠「ふい~。つかれたです~。」
雛「雛もう、くたくたなの~。」
金「うう~頭がいたいのかしら~。」
薔「水銀燈・・・かえろ・・・?」
水「・・・先に帰ってて・・・する事があるから・・・。ほら、ここの鍵・・・返さなきゃいけないでしょ?」
薔「え・・・でも・・・」
水「大丈夫・・・すぐに行くわ・・・」
薔「分かった・・・早く来てね・・・?」
図書室を出ようとした薔薇水晶・・・しかし・・・
薔「水銀燈・・・?」
水「・・・ごめんなさい・・・すぐに・・・行くからね・・・。」
水銀燈に後ろから抱き締められ・・・笑顔でそう言われた・・・
蒼「あれ、薔薇水晶?水銀燈は?」
薔「することが・・・あるって・・・言われた。」
金「なにか、あったかしら?」
雛「うよ~。水銀燈どうしちゃったの?」
翠「あいつの考えてる事なんて分からんです。」
真「そうね・・・いつものことだわね・・・。」
薔「すぐに・・・来るって・・・。」
真「そうだと良いけど・・・分からないわよ。」
いつものことだと・・・暫く歩いているとそこに・・・
笹「し・・・真紅さん!!」
真「どうしたの・・・?そんなに慌てて。」
笹「水銀・・・水銀燈さんが・・・」
蒼「水銀燈がどうしたんだい?」
笹「・・・とにかく・・・早く学校に!!」
翠「笹塚はとりあえずそこに立ってるです。」
―学校―
水「・・・綺麗だわ・・・」
真「水銀燈・・・!お・・・屋上!?ど・・・どうして?」
雛「雛ね、何かでみた事あるの・・・!」
金「飛び降り自殺・・・かしらぁ!?」
真「・・・!!」
翠「真紅・・・!ちょっと待つです!」
蒼「二人とも・・・!雛苺、金糸雀、薔薇水晶・・・僕らも・・・」
雛「・・・薔薇・・・水晶?」
薔「あ・・・・・・・・・・・・あああ・・・・・・」
金「しっかりするのかしら、薔薇水晶!」
薔「いや・・・いや・・・いやあああああああああ!!」
・・・さっき・・・笑顔で言ったばかりなのに・・・
蒼「薔薇水晶・・・!(二人に任せるしかないか・・・)」
真「水銀燈!」
水「あら・・・真紅そんなに慌ててどうしたの・・・?」
真「水銀燈・・・何があったの?」
水「・・・さぁ・・・」
真「・・・変なこと・・・考えてないでしょうね・・・」
水「変なこと・・・?ここから飛び降りるとか・・・そうねぇ・・・死ぬ前に意識を失うみたいねぇ・・・」
翠「真紅・・・待つで・・・す・・・水銀燈・・・!」
水「来ないで・・・!」
翠「一体何なんです!?何でこうなってるです!!」
真「・・・・・・」
水「ほおって置いて欲しいわぁ・・・ね?」
真「何をするつもりなの・・・水銀燈・・・」
水「・・・もう・・・疲れたの・・・」
翠「何を言ってるか分からんです!ちゃんと話すです!!」
水「いいじゃない・・・これで全部終わるんだから・・・」
そう・・・全てが終わる・・・
真「一体何があったの?お願いだから話して頂戴・・・」
水「何だっていいでしょ・・・もう終わらせたいの・・・私一人いなくなっても・・・何も変わらないわ・・・」
翠「変わりまくりです!!何でそんな事言うです!?」
だって・・・絆は消えてしまったのも・・・
水「まあ・・・私が気づかれないようにしてたんだけどぉ・・・。」
真「さっきから何言ってるか分からないわ・・・お願い・・・話して!」
水「やけに必死なのねぇ・・・」
翠「当たり前です!!そりゃ、普段は何考えてるのか分からないですし、合わない所もありますけど!」
真「・・・大切な・・・人・・・だもの・・・」
分からないものね・・・姉妹なのに・・・
水「・・・ありがとう・・・真紅・・・。あなたからそんな言葉が聞けるとは思わなかったわ・・・」
真「・・・だから・・・お願い・・・そんな馬鹿な事しないで・・・!」
翠「そうです・・・止めるです!!」
・・・ありがとう・・・大切な・・・妹・・・そして・・・
水「さようなら・・・」
水銀燈の体が宙に舞う・・・それは美しくさえあった・・・。
真「水銀燈ーーーーーー!!」
体が重力に惹かれ堕ちてゆく・・・意識が無くなる直前・・・その目に映ったのは
涙でクシャクシャになりながら叫ぶ妹の姿・・・
薔「・・・銀ねえさまーーー!!」
悲しませてしまったわね・・・ごめんなさい・・・薔薇水――
――――
水「・・・ここは・・・」
一面白の世界・・・
水「死後の世界・・・とでも言うのかしら・・・。」
歩いても歩いても景色が変わらない・・・
水「やなところね・・・。」
しかしそこに、人影が見えた
水「誰か・・・いる・・・?」
それは・・・最後に見た顔だ・・・
水「薔薇水晶・・・。」
泣いている・・・これ以上ないくらいの涙を流して
水「薔薇水晶・・・泣かないで・・・。」
近づこうと駆け寄るが逆に遠くなっていく・・・
水「・・・薔薇水晶・・・まって・・・!」
薔薇水晶―
水「―・・・・・・」
?「水銀燈・・・!」
水「・・・え・・・?」
?「良かった水銀燈・・・。」
聞きなれた声がする・・・もう・・・二度と聞けないと思っていた・・・
水「・・・真紅・・・?」
真「・・・よかった・・・気がついて・・・本当に・・・。」
私は・・・生きてる・・・?
翠「真紅~花持ってきた・・・」
バサッ・・・
水「翠星石・・・」
翠「この大バカ野郎です!!!!!」
声を張り上げながら抱きついてきた・・・
その目からはぽろぽろと涙がこぼれている・・・
真紅も、次から次へ流れてくる涙を必死に拭っていた・・・
翠「私たちが・・・ヒック・・・どんな思いをしたか・・・グス・・・分かってやがるですか!!」
真「まったくだわ・・・あんな・・・バカな事をするなんて・・・本当に・・・バカなのだわ・・・。」
水「・・・・・・・・・」
どういうことだろう・・・私は死んだはずだ・・・。
なのにどうして・・・どうして生きているのだろう・・・。
真「流石に・・・グス・・・もうダメかと思ったわ・・・。」
翠「良かったです・・・本当によかったですぅ・・・水銀燈・・・。」
私の為に・・・泣いてくれているの・・・?
水「そんなに・・・泣く事じゃないでしょ・・・死ねばよかっ・・・」
真「貴女・・・まだそんな・・・」
パシイッ!
翠「まだそんな事言ってやがるですか!!誰だってこんな時は泣いてしまうに決まってるです!!自分の姉妹が死んだら誰だって嫌に決まってます・・・!だから、死ぬとか言うなです!!」
真「・・・翠星石・・・。」
自分を嫌ってるはずの翠星石まで泣いている・・・。
死に損ねた・・・にも関わらず・・・・・・どうしてこうも幸せなのだろう・・・。
水「・・・ごめんなさい・・・。」
翠「今更謝ったってしょうがないです!!悪いと思ってるなら二度と言うなですぅ!!」
水「でも・・・どうして・・・生きているの・・・?あの高さからなら・・・。」
真「・・・それは・・・」
翠「あいつのおかげですぅ・・・」
真紅と翠星石が目をやった方に自分も目を向ける。
隣のベッドに誰か寝ている・・・
水「薔薇・・・水晶・・・?」
真「あなたが地面に激突する前に・・・薔薇水晶が受け止めたのよ・・・。」
水「嘘・・・でしょ!?」
翠「正確に言うと飛びついていっしょに落ちて転げたですぅ。」
真「でも、そのおかげでアスファルトでなく・・・ギリギリだったけど・・・植木のところにおちたのだわ・・・。」
翠「それでも、死んでしまう事はあるですのに・・・奇蹟としか言いようがないですぅ。」
水「・・・それで・・・薔薇水晶は・・・?」
真「・・・医者が言うには・・・貴女も薔薇水晶も・・・打撲と傷程度で済んで命に別条はないといってるわ・・・。」
翠「けど・・・意識が戻らないのです・・・。」
水「・・・私は何日眠ってたの・・・?」
真「3日よ・・・けど、薔薇水晶がそうだとは限らないわ・・・。」
翠「こういうのは体だけでなく精神的なものもあるらしいです・・・。」
自分のせいだろうか・・・あんな薔薇水晶は初めて見た・・・
真「いつ目が覚めるかは分からないそうよ・・・。」
翠「せっかく水銀燈が無事ですのに・・・薔薇水晶がこれじゃ・・・。」
おそらく、自分も同じだったのだろう・・・けれど・・・薔薇水晶が・・・その想いが引き戻してくれたのだ・・・。
水「・・・そうなの・・・くぅ・・・。」
真「!何をすつもり?」
翠「まだ動かない方がいいです!」
水「大丈夫よ・・・たかが・・・全身打撲なんでしょ・・・?」
ベッドの上の薔薇水晶はとても静かに眠っていた・・・
薔薇水晶・・・私の身代わりになってくれたの・・・?
水「私が・・・起こしてあげなくちゃ・・・。」
翠「・・・水銀燈・・・。」
下手をすると・・・自分まで死んでしまう・・・。
現に、今はいつ戻るか分からない意識不明の状態・・・。
それなのにこの娘は・・・
水「薔薇水晶・・・助けてくれてありがとう・・・。私はこの通りちゃあんと生きてるわ・・・。そうね・・・元気になったら皆で遊びにいきましょう・・・だから・・・」
水「早く起きなさぁい・・・。」
薔薇水晶の頬をそっと撫でる・・・前に自分がされたように・・・。
目を覚まして欲しい・・・謝らなければ・・・。
薔「――・・・・銀・・・ねえ・・・」
水「そうよ・・・私よ・・・。」
ゆるゆると瞼を開けたかと思うと、強い力で引っ張られた・・・
薔「本当に・・・本当に・・・銀ねえさま・・・?」
水銀燈を横になったまま抱き寄せて泣いている
水「うん・・・ごめんねぇ・・・。」
薔「良かった・・・良かった・・・死んでない・・・。」
水「大丈夫よ・・・貴女のおかげで・・・。」
薔「銀ねえさま・・・銀ねえさま・・・。」
銀ねえさま・・・そう呼ばれるのは初めてだ・・・。
蒼「なんだか騒がしいけど・・・。」
雛「・・・どうかしたの~?」
金「何かあったのかしら・・・」
水「皆―・・・」
その後は大変だった・・・。
あの蒼星石まで泣き出し、雛苺と金糸雀は騒音とも言えるでかさで泣き出す・・・
おまけに、さっきまで意識不明だった薔薇水晶は自分を離す気配が無い・・・。
その場が落ち着くまで少しかかった・・・。
蒼「でも・・・本当に良かった・・・。」
雛「水銀燈が・・・落ちてきて・・・。」
金「とっても、驚いたかしら~・・・。」
水「ほんとうに・・・ごめんなさい・・・。」
真「薔薇水晶は薔薇水晶で目を覚まさないし・・・。」
薔「・・・・・・・・・ごめんなさい」
穏やかな時間・・・いつ以来だろうか・・・
真「雰囲気を壊して悪いけど・・・水銀燈・・・誰の仕業なの?」
蒼「お腹の痣・・・どうしてこんなに・・・?」
さすがにもうごまかす事は出来ない・・・
水「一宮・・・って知ってる。」
真「一宮・・・ええ・・・結構有名よ。親がIT会社の社長で、学校に多額の寄付をしてて、教員も頭が上がらないらしいわ・・・。」
翠「そいつ・・・ですか?」
水「そう・・・。」
蒼「理由は・・・?」
水「・・・気に入らなかったって・・・それだけ・・・。」
真「・・・たったそれだけの理由で・・・」
雛「仕返ししなかったの?」
水「雛苺・・・あなた前に浚われそうになったでしょ?あれ・・・あの女が仕組んだ事よ。」
薔「でも・・・あの時は4人くらいいた・・・。」
水「優等生やってる傍ら・・・結構悪い事してるらしいわ・・・なんだか慣れてたもの。きっと、金でその辺の不良でも従えてるんじゃない?」
金「もしかして・・・私たちは人質かしら・・・?」
水「そんなところね・・・逆らったらあなた達をって」
翠「なんて汚い奴です!正々堂々勝負しやがれです!!」
水「だから・・・どうしょうもなかったのよ・・・。」
心の中に黒いものが広がる・・・けれど・・・
薔「水銀燈・・・私たちを・・・守ってくれたの?」
水「そういうことになるのかしらね・・・。」
蒼「何で・・・話してくれなかったんだい・・・?」
水「私が原因なんだから・・・、あなた達を巻き込みたくなかったのよ・・・。」
薔「違う・・・。」
真「薔薇水晶・・・?」
薔「水銀燈は悪くない・・・悪いのはその人・・・。だから・・・一人で抱え込んじゃダメ・・・。」
水「けれど、何の関係もないあなた達を・・・危ない目には・・・。」
蒼「それも違うよ・・・水銀燈。」
水「え・・・?」
翠「私たちは姉妹です・・・何の関係もないなんて・・・寂しすぎます・・・。」
水「そういう事じゃないわよ・・・!」
真「そういう事でしょ・・・。姉妹の一人が苦しんでるのに・・・何もしてあげないなんてそんなの姉妹じゃないわ・・・。」
水「真紅・・・」
金「例えクラスが違うとはいえ、毎日顔を合わてるのに気付いてあげられないなんて・・・姉妹失格かしら・・・。」
雛「ごめんなさいなの~・・・。」
真「そうね・・・気付いてあげられなかった私たちにも罪はあるわ・・・。」
それこそ違う・・・真紅たちは悪くない・・・気付かれないようにしたのは自分の意志だ・・・。
薔「けれど・・・もう過ぎてしまった事・・・なら・・・これから正せばいい・・・。」
翠「そうです・・・くよくよしてても仕方ないです!」
蒼「その通りだね・・・大切な事はこれからだ・・・。」
雛「雛も頑張るの~!」
金「負けてられないのかしらー!」
真「だから今度は・・・」
真「一緒に闘いましょう・・・?」
水「・・・・・・」
真紅・・・金糸雀・・・雛苺・・・蒼星石・・・翠星石・・・薔薇水晶・・・
嗚呼―
水「・・・ううっ・・・ひくっ・・・ぐすっ・・・。」
何故・・・気付かなかったのだろう・・・
あの時・・・ネックレスをちぎられた時・・・消えてしまったもの・・・
そう錯覚したもの・・・けど・・・
それは・・・今ここに在る・・・。
水「・・・ありがとう・・・皆・・・。」
―数週間後
水「来たわね・・・。」
一「退院おめでとう・・・。早速奴隷再開・・・」
バシィッ!!
水「悪いけど・・・もう貴女には従わないわ・・・。」
一宮は自分がなにをされたか理解できなかった・・・。
暫くして、思いっきり頬をぶたれたと分かると体を震わせ・・・
一「どういうつもり・・・!」
水「聞こえなかったかしら・・・貴女には従わない・・・。」
一「・・・何を言ってるのかしら!」
自分めがけて蹴りが出される・・・
しかし、難なく交わすともう一発
パシィッ!!
水「その気になればこのくらいどうってこと無いの・・・ただ、相手によっては妙な因縁つけられて厄介な事になるから・・・最初は黙ってるのよぉ?」
ニ「よくもっ!」
ゴッ!
ニ「ぐええぇぇぇ・・・」
相手の拳を交わし顔面に膝を決める・・・腕力は無いので足で勝負だ・・・
水「結構・・・喧嘩は強いのよ・・・?一番、強いのは怒った時の蒼星石だけど・・・。ふふふ」
一「な・・・な・・・!」
水「ほら・・・来なさいよぉ・・・何度でも引っ叩いてあげるから・・・。」
一「分かってるの・・・あなたがそういう態度で来れば・・・。」
取り出したのは黒い携帯電話・・・おそらく裏専用・・・。
一「これで、あの娘たちは・・・」
水「好きにすれば・・・もう、あの時とは違うわ・・・。私は一人で頑張る必要は無いの・・・。」
一「本気なの?どうなっても知らないわよ・・・。」
水「言ったでしょ・・・私は一人じゃない・・・貴女と違ってねぇ・・・。」
一「私が一人?いったい・・・」
水「独りでしょぉ?それが分からないうちは・・・ずっと独りよ・・・きっと。」
一「・・・・・・。」
水「もう・・・前の私とは違うの・・・だから貴女なんかに負ける気はしないわ・・・」
一「・・・はは・・・あはははははっ!あ~もう!!せっかく良い気分だったのに・・・だいなしじゃない・・・。見てなさい・・・あなたも含めて皆ボロボロにしてあげる・・・!」
水「貴女こそ・・・いつか必ず報いを受けるわよ・・・。こんなふうに・・・」
パシィッ!
一「!!!!!!」
水「さっさと行きなさぁい・・・。」
一宮は取り巻きを率いて屋上から去った
水「・・・はぁ・・・。」
真「良かったのあれくらいで?」
翠「もっとギタギタにしてやれば良かったんです!!」
給水タンクの陰から、真紅たちが出てきた
水「そんな事してもしょうがないわ・・・あの女と一緒にしないでぇ・・・?」
蒼「そうだね・・・偉いよ・・・君は・・・。」
金「かっこよかったのかしら~!」
水「でも・・・これから少し危なくなるわよ・・・?」
真「そうかもしれないわね・・・けど、あなた一人で頑張る必要はないのだわ・・・。」
蒼「皆で・・・力を合わせれば何とかなるよ・・・。」
雛「ジュンも何とかしてみるって言ってたの~。」
水「そう・・・。」
ジュン・・・最近見ていないが・・・今度合った時はお礼を言わなければ・・・。
真「さて・・・お昼にしましょう・・・」
雛「わ~い!お腹ペコペコなの~!!」
翠「水銀燈・・・この期に及んで・・・」
水「まさか・・・ご一緒させてもらうわぁ・・・。」
薔「水銀燈と・・・お昼食べるの初めて・・・。」
何日ぶりだろう・・・空に・・・笑い声が響いた・・・。
一宮は一週間ほど後・・・家の都合で転校・・・取り巻きも親玉がいないと静かなものだった。
また、誰も浚われたりすることもなく穏やかな日々を過ごしていた・・・。
しかし・・・その時期に人々の間で妙な噂が飛び交った・・・。
謎の拳法をつかう少年と兎がこの辺りの怪しげな集団を締めてまわっていたとか・・・
締めてまわったのは兎と少年でなく・・・金色の髪をしたサイヤ人の王子とかいう男だったとか・・・
真「急に転校だなんてどうしたのかしらね・・・。」
水「親に何かあったんじゃない?」
真「聞いた話によると・・・あの娘の個人情報とか・・・親の会社の事とか・・・ネット上でやり取りされてたらしいわよ・・・。」
水「あらあらぁ・・・怖い人たちもいるものねぇ・・・。」
真「アンダーグラウンドを舐めちゃいけないということね・・・ふふふ・・・。」
水銀燈と真紅は二人・・・屋上にいた・・・。
真「・・・夕日が綺麗ね・・・。」
水「あなたもそう思うのぉ?珍しく意見が合うわね・・・。」
二人は微笑みながら夕日を眺める・・・
真「そのネックレス・・・薔薇水晶にもらった物なのでしょ・・・?」
水「そうよ・・・。」
水銀燈の胸に千切れたはずのネックレスが下がっていた。
水「綺麗に直ったわ・・・。」
真「あの娘は知ってたの・・・?」
水「・・・はっきりとは知らなかったと思うわぁ・・・けど・・・何となく感じてたのでしょう・・・。」
真「あの娘だけだったのね・・・。」
二人の間に沈黙が流れる・・・
真「正直に言わせてもらえば・・・少し感謝してるの・・・あの一宮とか言う人に・・・。」
水「・・・珍しいわね・・・私もよ・・・。」
真「あの事がなければ・・・こうやって話すことなんて出来なかったと思うわ・・・。」
水「許せるわけじゃないけど・・・そう考えると複雑よねぇ。」
下を見ると、翠星石、蒼星石、金糸雀、雛苺、薔薇水晶がこちらに向かって手を振っている。
真「ほら・・・皆待ってるのだわ・・・。」
真「行きましょう・・・ねえさん・・・。」
水「あら・・・貴女がそう呼ぶなんて・・・本当に今日は変な日ねぇ・・。」
真「ただの気まぐれなのだわ・・・。」
真紅の後ろ姿を追う・・・
水「そうねぇ・・・今度の休み・・・何処にお出かけするか決めておかなくちゃぁ・・・。」
end
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