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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの_1

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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの(1)   http://ex14.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1140092719/

1 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:25:19.36 ID:A90u5ulQ0
  作者まとめwiki http://www8.atwiki.jp/shihoaya/

  今の職場に入ってかれこれ半年、仕事もそこそこ身についてきたし……
  それに、好きな人も出来た。室尾誠36歳。私の上司。
  一生懸命で、ちょっぴりドジで……そして、既婚。

3 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:25:47.48 ID:A90u5ulQ0

  ――皆さん、おはようございます。私からの報告は一点……

  毎週月曜日始業前お決まりの全体ミーティング放送。
  営業2課メンバー全員がピンと背筋を伸ばしてスピーカーの方を向いている。

  彩華堂株式会社。昔っから、それこそ私のおばあちゃんがピチピチしてた頃から化粧品を取り扱ってる大手老舗メーカー。
  最近出来た新ブランド『ローズガーデン』シリーズも大ヒット、向かうところ敵なしのカリスマメーカー。
  そんなライバル多き狭き門をくぐりぬけ、私、木戸マユミは今ここに立っている次第なのだ。

4 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:26:19.97 ID:A90u5ulQ0

  ……ふぁ、あぁぁ。それにしても朝礼長いなぁ。

  「くすっ」
  隣で同期入社の香苗が小さく笑った。あくび我慢して変な顔になってんの見られた……?
  「またゲーム?子供なんだから」
  「そんなんじゃありませんっ」

  失礼しちゃう!寝る前にチャンネル回してたら、たまたま子猫物語の再放送やっててついつい最後まで見ちゃっただけです!
  まぁ、童顔ではありますけどね。

5 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:27:08.88 ID:A90u5ulQ0

  そして香苗に視線を向けるついでに(いや、むしろ香苗がついで?)一番奥にデスクを構える室尾課長の方へと視線を移す。
  うぁ、目合った!ってかなんかダメな子をしょうがないなぁって見守る目だしそれ!

  即攻で顔を正面に向けなおす。やば、顔赤くなってるかも。
  うん、ほら、とりあえずアレだよね、ダメな子ほど可愛いっていう……

  ギャー!ますますほっぺがカッカしてきた!

6 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:33:38.57 ID:A90u5ulQ0

  ――体ミーティングを終了します。始業まであまり時間が残っておりませんが、各部……
  あら、いつの間にやら全体ミーティング終了してたみたい。

  「それでは先週の結果報告を行います」
  書類を手にテキパキと外回り部隊に指導をする室尾課長。
  はぁ、やっぱりステキだなぁ……でもね課長、

  靴 、 左 右 反 対 で す よ ?

7 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/02/16(木) 21:36:56.52 ID:gSTM003KO
1
乙。
また、wktkしながら観させていただきますw

8 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:39:52.23 ID:A90u5ulQ0

  課内ミーティングも終了し、席についてあれやこれやの書類を引っ張りだし始業に備える。
  つんつん、隣の席から香苗が脇腹を突付いてきた。
  椅子をちょっぴり動かし、背もたれに大きくよりかかるようにして頭を向ける。

  「なに?」
  「課長のアレ見た?靴」
  「う、うん……」
  「ありえないわよねぇ普通、いくらボーっとしてるからって」

  まぁ確かにそういう所あるけど……人から指摘されると気分悪いわね。

9 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:43:54.13 ID:A90u5ulQ0
(>>7ありがとうございます)

  「それでさ、大鳥製薬の連中来るって言うから期待してたんだけど」
  「うんうん」

  あのですねぇ……

  「もうそろいもそろってオタクばっか、見た目に騙されたわよ」
  「はいはい」

  始業まであと2分なんですけど……

  「かと言って手近な所で妥協するのもアレだしねぇ」
  「クマクマ」

  その情熱を仕事にも向けてください、香苗さん。

10 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:49:55.81 ID:A90u5ulQ0

  ピンポロポンポロ♪

  ほ~ら言わんこっちゃ無い、9時になっちゃった。

  「大体さぁ将来性の無い男捕まえても……」
  それより先にウチらの将来性が無くなりそうなんですけど、このままだと。
  ほらほら、課長向かいの席で打ち合わせしながらこっちチロチロ見てるし。

  そして外回りに出る部下を見送って、課長が私達の方に体を乗り出して一言。

  「あのね、北村君。せめて他の連中が外回りに出てからにしてもらえないかなぁ」
  そら見ろ、言わんこっちゃ無い。

11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/02/16(木) 21:53:45.16 ID:iSZMXenpO
綿矢りささんですか?

12 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 21:56:15.33 ID:A90u5ulQ0

  「はぁい、すいませんでした」
  香苗がやる気無さげに言いながら始業準備に取り掛かった。今更ながら。

  「あ、木戸君ちょっとちょっと」
  課長が小声で私を呼びながら、揃えた指先をちょこちょこ動かす。

  「あい、何でしょうか」
  あいって何よあいって、もぅ……私は寿司屋か。
  「悪いんだけどコーヒー買ってきてもらえないかな、自分の分も買ってきて構わないから」
  そしてポケットから100円玉2枚を出し、私に手渡す。

13 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:03:43.44 ID:A90u5ulQ0
(>>11いえ、根本的に違う生き物です。一緒にしたら怒られます。主に親に)

  自販機に100円玉を放り込む。
  ブレンドコーヒー、砂糖ミルク両方多め、ピッピッピッと。
  私も同じのでいいや。

  そして自分の席で書類とにらめっこしている課長の下に、
  マユミオリジナルブレンドコーヒーをお届けする。
  「はい、お待たせしました」
  「ありがとう、すまないね」

  その笑顔、プライスレス……いや、お持ち帰りでお願いしますそのスマイル。

14 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:10:57.06 ID:A90u5ulQ0

  ずずっ
  お揃いのコーヒーを一緒にすする……あ、いや訂正。
  課長は普通に飲んでます。音立ててんの私だけ。

  「木戸君、断りにくいのも分かるけど、ああいう時は適当に聞き流しなさいね。
  自分の業務にも差し支えてくるし」
  「はい」

  「もちろんやるべき事をやった上で、休憩を取ると言うのであれば問題無いんだけどね」
  しょうがないなぁといった感じの微笑みを浮かべ、コーヒーを机の上に置く。
  やっぱりステキだなぁ、ハァ……

15 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:15:43.24 ID:A90u5ulQ0

  そしてコーヒーの入った紙コップを持つ左手、もっと厳密に言うと薬指。
  どうしてもそこに目が行ってしまう。
  鈍く輝く銀の指輪。

  そりゃね、結婚してなければどうにかなるとかそういう単純な話じゃ無いのは分かってるけど。
  ハァ……

  「ところで課長」
  「ん?」
  「靴、左右反対です」
  「ぅえっ!?」
  あ~あ~、そんな急に立ち上がらないで下さい。そうでなくてもそそっかしいんですから……
  ほら、コーヒーこぼした。

16 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:22:18.89 ID:A90u5ulQ0

  とりあえずさっと書類をどかして危険回避。
  ポケットティッシュで水分吸収。
  香苗、笑うな。心底立腹。

  「いや、ゴメン。いつもの事ながら手際がいいな木戸君は」
  「いえいえ慣れ……ゴホッゴホッ」
  ある意味息はピッタリ合うんだけどなぁ。
  「ウチの女房に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ」

  いやいや爪の垢などと言わずどうぞ私ごとお持ちになって下さいませ。
  ……うん、むなしくなんて無いんだから。それから香苗、笑うな。

17 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:29:52.94 ID:A90u5ulQ0

  「香苗、笑いすぎ」
  仏頂面で自分の席にドカッと腰掛ける。
  「だってぇ~、アンタら絶対事前に打ち合わせしてたでしょ!息合いすぎ!」
  いや、そんな事言われたら……口元ニヤけてしまいますから。

  「相変わらずにぎやかだね~、二人とも」
  後ろから声がした。

  「あら大泉関」
  「あら大泉君」
  香苗と同時に振り向きながら、これまた同時に名前が口をついて出る。
  ……さすがに大泉関はあんまりだと思うけど。確かに少しぽっちゃり系ではあるけど。

18 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:38:04.36 ID:A90u5ulQ0

  そんなあだ名にも顔色一つ変えない大泉君。
  「ところでさ、社食に新メニュー出たの知ってる?」
  「え、なになに?」
  「きのこスパゲティー、320円。今日からやるみたいだよ」
  「へ~そうなんだ」
  ……ところで香苗さん、ちょっとは反応したげなさいよ。彼も同じ同期仲間なんだし。

  「それじゃ今日のお昼3に――」
  「私、先約あるから」
  香苗がスパっとぶった切る。それでもちょっと肩をすくめるだけの大泉君。
  「……木戸さんは大丈夫?」
  「うん」
  弁当作ってきてるけど、まぁ夜食べればいっか。

19 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:43:59.16 ID:A90u5ulQ0

  「ちょっとぉ、露骨すぎ」
  ドアから出て行く大泉君を尻目に香苗に軽く注意を促す。
  「だってアイツ暑苦しいし、それ以前に社食とかありえないし」
  軽くウェーブのかかった髪を掻き揚げながらさらっと言い放つ。
  ……ダメだこりゃ。

  「あ、もしかして……」
  ん?
  「ナンパのつもり?やだぁ~っ!!」
  んなアホな、どう見ても自意識過剰です。ホントにもぅ。

20 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:50:33.45 ID:A90u5ulQ0

  「正直、言いすぎだと思うのよねあの子」
  「いいっていいって、別に気にしてないし」
  社員食堂の白い丸テーブルを挟み、二人でスパゲティをクルクル巻く大泉君と私。

  「ちょっとはさぁ……あむっ……おおっへおひひんへはい?」
  「とりあえず、食べるか喋るかどちらかに絞ったら?」
  まぁそりゃもっとも。
  にしても大根おろしがいい具合にさっぱりしてて美味しいわねこれ……ごっくん。

  「怒ってもいいんでない?そうで無くても調子乗ってる所あるし」
  「う~ん、でも何言っても聞かないと思うよ。北村さんの性格から言って」

21 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 22:56:23.33 ID:A90u5ulQ0

  「それよりもさ、木戸さん」
  「なんじゃらほい?」
  「本人のいない所であまり悪く言うのはどうかと思うよ?
  あ、いや、こうやって忠告してくれるのはありがたい事なんだけどさ」

  あぁもうホントいいヤツだわコイツ。
  どっかの誰かさんに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたわ。

  「……木戸さん?」
  「感動した!よし!ここはお姉さんがおごっちゃる!」
  「いや、俺のが年上だし……そもそもここ前払い……」
  「細かい事を気にしているようでは大きくなれないぞぉ青年っ!」

22 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 23:02:39.21 ID:A90u5ulQ0

  「でもさホント、どうして大泉君みたいないいヤツに彼女出来ないんだろね~」
  「まぁこればっかりは縁のものだし」
  そう言いながらも小さくため息をつき、テーブルの上で腕を組みうなだれる。

  「そりゃそうだけ……ど……?」
  あら、大泉君が邪魔で今まで見えなかったけど、あそこにいるのって……
  間違いない!
  室尾かちょうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!

24 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 23:08:27.61 ID:A90u5ulQ0

  「木戸さん?」
  「ん~?」
  何食べてんだろ、スパゲティ?それとも好物のお蕎麦?

  「そろそろそれ食べちゃわないと時間が……」
  「ん~」
  ざる蕎麦だぁ。あらあらお蕎麦がハシからするするって……

  「はぁ、しょうがないなぁ……」
  もぅ~、何だったら私が食べさせてあげよ……
  パンッ
  「うをっ!?」

  ×木戸大海―大泉○ 決まり手:ねこだまし

25 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 23:13:25.47 ID:A90u5ulQ0

  「び、びっくりしたぁ~」
  「お昼休み、あと10分なんですけど」
  「え、もうそんな時間なの!?」
  って、あ、ちょ、課長、かちょぉぉぉぉぉっ……行っちゃった。

  「……どうすんの、コレ」
  なにやら大泉君が頬づえをつきながらフォークの先で指差してる。
  半分近く残ってるスパゲティ……半分近くぅ!?

  「うぇっ!?これもしかして私のっ!?」
  「もしかしなくてもそうです」
  「ゴメ、大泉君、半分手伝って!!」
  「はいはい……」
  やばっ!あと7分しか無いぃぃぃぃっ!!!

26 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/16(木) 23:19:49.56 ID:A90u5ulQ0

  「ぜぇ、ぜぇ……」
  「何やってんのよアンタ……」
  「か、軽く、食後の運動を……」
  香苗の目がモロにバカと言っている。
  無理も無いか、いいかげん秋口で涼しくなってきてるって言うのに
  こんな汗だくになってんだから。

  「私にまで暑苦しいのうつさないでよね」
  ぐったりしてる私をファイルケースでパタパタとあおぐ。
  「あ゙~すずしぃ~」
  「あ~暑苦しい暑苦しい……」
  パタパタパタパタ……おかげさまでだいぶ汗、ひいて参りました香苗様。

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