牙の本能

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牙の本能



廃屋同然の朽ちた小屋は、変に小奇麗なだけの建物より余程落ち着いた。
保養所を目指す途中たまたま目に留まっただけの粗末な木製の家屋である。黒く変色した外壁が、過ぎ去った年月の長さを伝えている。
中は酷く散らかっていた。錆び、朽ち、同じく長期間放置されていたのだろう道具達は、専門の知識がなくとも農具の類だと知れる。
一時代昔を感じさせるそれらの風物も、ガドルにとっては「リントの道具」で一括りにされるものでしかなかった。リントの風俗に詳しいグロンギなど、居るはずもない。

腐食し、ところどころ抜け落ちている床に気絶したままの牙王を横たえる。寝かせる、と言える程の優しい所作ではない。
体力の回復を図るならそれこそ保養所等の整った設備を使うべきなのだろう。だが、勝算も考えずに嬉々としてダグバに立ち向かったこの男にそのような清潔感は無用であるように思えた。
牙王の性質は人間よりグロンギに近いのではないかとさえ思える。そんな事を考えたとき、クウガ以外のリントを個として認識したのは初めてだと気付いた。
腰を下ろし気を静める。堂々とした姿勢が軍服姿と相まって疲れを知らぬ歴戦の戦士を思わせた。
休息は牙王が目覚めるまでのしばしの間だ。
手当てまでしてやるつもりはなかった。そんなことより、突きつけられた事実の重さを考えたい。
ダグバは究極の闇の力を使うことなく、リントの道具だけで牙王を倒した。牙王程度の実力ではダグバを本気にさせることはできなかった、ということだ。
それはそのままザギバス・ゲゲルの成功の難しさを物語っている。
直接相対して良く分かった。思ったとおり、ダグバを倒すには新たな力が必要だ。
宣言したとおり、リントの戦士達と戦い、強くなる。
どれだけの強者が生き残っているかは知らないが、悲壮感はなかった。できないこととは思わない。
最強種族と謡われたゴ族にあって、頂点を極めたゴ・ガドル・バである。

牙王が目を覚ました。いかにも寝たりないと言った乱暴な所作で身を起こそうとし、苦しげに呻く。

「骨が折れているようだな」
「野郎はどうなった……。ここはどこだ」

わざわざリントの言葉を用いたガドルの僅かな気遣いさえ無視して牙王が首を振った。
ダグバと戦った地点からそれほど離れていないことを伝え、さらにガドルは淡々と事実を述べる。

「お前はダグバに負けた。ダグバに本気を出させることさえ、叶わなかった」
「ち……食いそびれた上に、勝ち逃げか」

密かに抱いた予想に反し、牙王は敗北を知らされてもそれほど悔しい様子には見えなかった。
負けたこと、戦士としての実力が下回ってしまったことについて思うことはない。それよりも決着が付かなかったことが重要だ、ということらしい。
刹那的だ。その辺りはガドルとは違う。決定的に違う。
牙王は体の調子を確かめているのか、あちこちを曲げたり触ったりしては顔を歪めている。腕は立っても所詮肉体は脆弱なリントのもの、そういうことだろう。
ガドル、ダグバとグロンギの中でも屈指の強者との連戦を経ているのだ。ガドルと会うまでのことは知らないが、性格からして似たようなことをやってきたに違いない。
生きていることが既に、奇跡に近いのだ。
そんな幸運も牙王の興味を引くことはできないらしい。どうやら動けると判断した牙王は立ち上がろうとし、そこで少しよろめいた。
心なし、顔が白い。

「休まなくていいのか」

心配ではなかった。明らかに不調を訴える体を平然と無視する、その無謀への興味だ。
自身の体の不調さえ、あたかも使い捨ての効く道具であるかのように突き放すその態度は何に由来するものか。

「必要ねぇなあ。そんなことしてる内に獲物が逃げちまう」

なるほど、とガドルは声に出さず得心する。
つまるところ、ガドルにとってのザギバス・ゲゲルのような目的はこの男にはないのだ。いや、ガドルにとっては手段でしかない戦いそのものが、牙王の目的と言うべきか。
牙王はダグバのことを聞いたときに「全てを喰らいつくす牙」と己を評した。その表現の適切さに今更になって気付く。
その通り、牙王とはまさしく牙なのだろう。食欲と言う欲望に直結し、あらよるものを喰らいつくすために振るわれる道具だ。
この男自身が本能であるなら、意思も、目的もあろうはずがない。
己の体の崩壊すら、関知するところではない。

「どうした。何をぼさっとしてる。やる気がねぇなら置いてくぜ」

ダグバとの戦いの後、移動を始めたときから考えればそこそこの時間が立っている。休養としては十分だろう。
いや、ととりあえずの否定を返す。本心は隠したまま、さりとて嘘ではない言葉を続けた。

「よくもそこまで無理をする、そう思っただけだ」

ニヤリと牙王が笑う。その意を告げるよりも早く、風化に任せていた小屋の壁を突き破って現れた怪物が、牙王に飛びかかった。
文字通り二人の間に割って入った怪物は牙王と絡まり合うように反対側の壁から外へと飛び出す。幾度か転がった後、突き出された牙王の足に怪物が弾き飛ばされ、やっと両者の間に距離が生まれた。
獰猛に体を震わせる化物は二本の足で立ちながらもその姿にはサイに似た特徴があった。メタルゲラスという名を二人は知らない。

対峙する牙王もまた既に人の姿ではなくなっていた。一目で相当な重量があると知れる怪物を蹴り飛ばした力は変身後の姿、ガオウフォームによってもたらされたものだ。
荒々しい化物の立てる足音はガドルにも察知できていたし、牙王が気付かなかったはずもない。
知っていてギリギリまで変身しなかったのだ。自らを焦らし、楽しむために。
ガオウがベルトの左右に取り付けられたパーツを乱雑に放り上げた。金色の光によって連結されたそれらは鮫の刃を思わせる凶悪な剣、ガオウガッシャーとなりガオウの手元に吸い寄せられるように落下した。
抵抗の意思を察知した怪物が跳躍し、ガオウに襲いかかる。
決着は一瞬だった。

化物の着地に合わせて身を引いたガオウが牽制の一撃を与え、よろけた所を下から切り上げ完全に体勢を崩す。
がら空きになった胴へ腰だめに放たれた大振りの一撃が決め手となり、吹き飛ばされた怪物は爆発炎上した。
後には、若草に燃え残ったちろちろとした小さな火だけが残る。それだけだった。
熱せられた空気が陽炎を作り視界を揺らす。それを背に飢えた牙は仮面越しにガドルを見据えた。

「誰が無理してるって……?行くぜ」

疲労を感じさせぬ正確な判断力。
真の獣さえ凌駕する狂暴性と、卓越した戦闘センス。牙王の持つそれらは全て一級のものだ。
一流の戦士と呼ぶに差し支えはない。それなのに。
次がこの男の最後の戦いになる。ガドルはそう思った。



状態表


【D-3 地図に載らない程度の小屋】
【1日目 午後】
【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:最終決戦前。
【状態】:全身打撲、疲労大、あばら3本骨折、腹部に重度のダメージ、2時間変身不可(ガオウ)
【装備】:ガオウベルト
【道具】:マスターパス、基本支給品一式×2、ランダム支給品1?(牙王、ゾル大佐分。共に未確認)、
     コンビニから持ってきた大量の飲食料(中量消 費)
【思考・状況】
基本行動方針:全て喰らい尽くした上で優勝
1:ダグバを喰らう。
2:ガドルを連れ、人が集まりそうな施設を適当に目指す。
3:餌(人質)が確保できたら放送局を利用して死にたがりな獲物を誘き寄せるか?
4:機会があれば煩わしい首輪を外す。
5:ガオウライナーを取り戻す。
備考
※会場のどこかに時の列車(予想ではガオウライナー)が隠されていると推測しています。
※木場の生存には未だ気づいていません


【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:ゴ・ジャーザ・ギのゲゲルを開始後
[状態]:全身打撲、疲労中、右目と左腕に違和感、右足部装甲破損、
[装備]:首輪探知携帯
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:強き者と戦い、強くなる。
1:リントの戦士を倒す。
2:再びあの二人と戦う。
3:桜井侑斗と決着をつける。
4:戦闘を繰り返し、強くなる。
5:最終的にダグバを倒す。
6:クウガの異変に僅かの恐怖。何れ再戦する
備考
※ガドルは自分にルールを課しているため、抵抗しないただのリントには攻撃しません。

【 メタルゲラス@仮面ライダー龍騎  消滅 】



102:この言葉を知っている(後編) 投下順 104:大切な人は誰ですか
102:この言葉を知っている(後編) 時系列順 105:病い風、昏い道(前編)
099:激突! 二人の王 牙王 106:龍哭(前編)
099:激突! 二人の王 ゴ・ガドル・バ 106:龍哭(前編)
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