「21歳新米OL、課長に恋しちゃったの_4」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「21歳新米OL、課長に恋しちゃったの_4」(2006/02/21 (火) 12:26:39) の最新版変更点
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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの(4) http://ex14.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1140092719/
123 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:34:59.28 ID:yHWm9Xl20
そして当日。
ちょっぴり雲がかかってる程度の、まぁ運動するには返って丁度いい空模様。
「ジャージよし、お弁当よしっと……」
少し寝不足でぼんやりしている頭ながらも支度を整えていく。
「あ、いかん。ジャージ値札付いたまんまだ」
チョキンっと。
そして鏡の前で最終チェック。
眉毛オッケー、髪型……なんかちょい浮いてるなぁ。
ブラシとドライヤーを取り出し、短めの髪にグイグイ押し当てる。
よし準備オッケー。それじゃいってきまーす!
124 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/17(金) 21:41:52.91 ID:yHWm9Xl20
本日グラウンドを貸してくださっている桜中学校。
これまたお貸しくださっている、更衣室代わりの教室でジャージへと着替える。
「うわお」
私がグラウンドに出る頃には開会式が目前になってた訳だけども、
そこに並ぶ人、人、人の山に思わず声が出てしまった。
やっぱり、彩華堂てデカい会社なんだなぁとしみじみ。
125 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:45:28.66 ID:yHWm9Xl20
えっと課長、課長、室尾課長っと……
人の山を見渡し、憧れの君を探してみるけれどさすがに見当たらない。
ざっと見渡しただけでも3~400人はいるもんなぁ。
いやいや、でも愛さえあればっ!!
……ゴメン、やっぱ無理。
仕方無いので、適当な所に紛れ込んで開会式に臨む事にした。
126 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:51:18.79 ID:yHWm9Xl20
「お~い、木戸さ~ん」
開会式を終えキョロキョロしていると、どこからか私を呼ぶ声が。
「あ、大泉君」
黒いTシャツに紺のジャージ下と言ういでたちで、手を振りながら向かってきた。
「いやぁ、探した探した。もしかして来てないんじゃないかって」
「ゴメンゴメン、ウチの課どこなのか分からなくって」
もうちょっと早く来るべきでした、反省反省。
そして大泉君の後について人ごみの外へと出て行く。
……課長いたーーーーーーーーーーっ!!
127 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:57:45.51 ID:yHWm9Xl20
「木戸君おはよう、姿が見当たらないから心配したよ」
「お、おはようざいます!」
アディダスの白いジャージの上下にこれまた白のスニーカー。
はぁ、まぶしいなぁ……それにスラッとしていてス・テ・キっ、はぁ。
ってか心配してくれてたのですね、もうそのお言葉だけでワタクシは、ワタクシはっ!!
「あ、見つかったの?」
ふと聞きなれない女性の声。ん?
128 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:03:17.87 ID:yHWm9Xl20
声の出所、課長の後ろの方を見ると知らない女性が。
そして振り向いた課長へと手を振る。
「そういえば木戸君にはまだ紹介してなかったね」
いや、いいですから、検討ついてますから。
……などと言える訳も無く、黙って課長の後ろについていく。
そしてその女性の前で課長が立ち止まり、私の方に向きなおして一言。
「紹介するよ、彼女ウチのカミさんなんだ」
「始めまして、いつも主人がお世話になっております」
そんな、頭下げないでくださいってば。
129 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:08:50.98 ID:yHWm9Xl20
「始めまして、木戸と申します」
課長が36歳だから30代前半ぐらいだろか……
肩のところですぱっと切りそろえた黒髪、ほっそりとしたアゴ、くりっとした柔らかな瞳、
すらっとした指、白いカーディガンに白いスカート……何気にお揃いって訳かぁ。
気がついたら課長と二人、並んで、腕組んで、向こうの方へ……
ダメ、やっぱり……勝ち目、無いや。
130 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:12:18.81 ID:yHWm9Xl20
一生懸命走る室尾課長、現在3位。やっぱりカッコいい。はぁ。
「木戸さん木戸さん」
「何?」
この声は、大泉君か。
「ほらもう並ばないと、次出るんでしょ」
「うん」
「木戸さん、頑張って」
応援なんてしないでくださいよ、奥さん。
131 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:16:27.86 ID:yHWm9Xl20
パーンッ!
空砲の音がした、走らなきゃ。
このコーナー曲がったらウチの課の連中が見えてくるな。
よりにもよって、最前列ですかお二人さん。並んで手を振って。
応援なんていいから、お願いだから、これ以上……あっ
ズザザザッ!
132 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:22:09.93 ID:yHWm9Xl20
「木戸君、大丈夫か?」
ビリの列に並んで体育館座りしている私の所に課長がやって来た。
「膝すりむいてるじゃないか!ほら、こっち来て」
そして私の手を握り、本部テントの方へと連れて行く。
「ああ君、悪いけど救急箱を……ありがとう」
白い、救急箱が運ばれてきた。
「ほら、そこに座って」
「はい……」
パイプ椅子に、課長と向き合って座った。
133 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:28:01.59 ID:yHWm9Xl20
「ごめん、ちょっと裾まくってもらえるかな」
言われるままにジャージをまくり、右足を膝まで露わにさせる。
課長が消毒液を脱脂綿に染み込ませ、血のにじむ膝にそっとあてる。
手にまだ、さっきの課長の手のぬくもりが残っている。
丁寧に、私の怪我を治療してくれている。
ちょっぴりドジだけど、いつも真面目で、かっこよくて……
「あ、ご、ごめん!痛かった?」
お願いだから……
「ほら、これで涙を拭いて」
これ以上、優しくしないでください……
134 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:35:44.35 ID:yHWm9Xl20
次の競技に出るため本部テントを後にした課長を見送って、
一人パイプ椅子の上に座り、ぼーっとしていた。
「マユミさん大丈夫だった?派手に転んでたけど」
あ、ローズガーデンの……開発室の人達も来てたんだ。
「うん、大……丈夫」
喉の奥ら辺に力を入れて、涙をこらえる。
「あの、そちらの席に行かせてもらってもかまいませんか?」
「いいよ。みんなもマユミさんの事心配してるし、おいでよ!」
さすがに今はあの席には戻れないしね。
あの人の前では……泣き顔なんて、絶対見せられないし。心配もされたくないし。
135 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:56:21.30 ID:Kh8at6MhO
(携帯から失礼。VIP臭いと表示され書き込み出来なくなってしまいました。
お待ち下さっている皆様、申し訳ございません…)
137 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:25:37.67 ID:Kh8at6MhO
(とりあえず携帯から頑張ってみます)
「派手に転んでたけど大丈夫?」
「うわ、膝んとこ穴空いてるじゃん」
「ほらほら、クッキーあるから一緒にたべよ?」
やっぱりこの人らと一緒にいると、ほっとするな~でも何か足りないような…
138 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:30:13.27 ID:Kh8at6MhO
「そう言えば志穂さんは?」
うん、肝心な人がいなかった。
「会社でお留守番。志穂ちゃんもチーフだし色々忙しいのよ、あれでも」
そうなんだ、ちょっとがっかり。
まぁでもここならリラックス出来るし、気持ちが落ち着くまでお邪魔させてもらっちゃおっと。
出なきゃならない競技も無いし。
139 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:38:05.15 ID:Kh8at6MhO
「…でね、タマゴ爆発させちゃったんだって」
「確かにやりそうですね~、志穂さんなら」
クッキーやら、もなかやらをつまみながら薔薇っ子達とダラダラお喋り。
と、そこへ毎度見慣れた大きい体。
「やっぱりここだったか」
「あ、大泉君」
140 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:46:21.41 ID:Kh8at6MhO
「ねね、彼だれ?」薔薇っ子の一人がツンツンつつきながら、コソッと聞いてきた。
「ウチの課の人ですよ、同期の」
「ふ~ん、ただの同期なの?」
「ただの同期です」ほらそこ、つまんなそうな顔しないの。
「で、どしたの」
ビニールシートに手をつき振り向きながら、ぽっこりお腹を見上げる。
「いや、そろそろ閉会式だから迎えに来たんだよ。また迷子になられてもアレだし」
141 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/02/17(金) 23:48:00.31 ID:ByOHa7+zP
(励ましの言葉ありがとうです&志穂さんは携帯からお疲れさまです。
でもなんでVIPに書いてるのにVIP臭いが出るんだろう?私の認識不足かなぁ?)
143 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:57:16.38 ID:Kh8at6MhO
(>>141ありがとう。
何やらPCからの書き込み全般に規制がかかってるぽい。よく分からないけど)
「迷子ってアナタ…」
「これはアレね」
「うん、アレだわ」
薔薇っ子達が円陣を組んでヒソヒソ…そして、声を揃えて――
「志穂ちゃんの呪いよ!」
「んなアホな」
速攻ツッコミを入れる私。
「ほら漫才やってないで帰るよ」
ありゃ、私も一緒にされちゃってるよ。
「それじゃまたね~」
「またいつでも遊びにおいで~」
でも薔薇っ子達のおかげで、大分落ち着いたかな。
144 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:08:14.89 ID:stfpiCJJO
大泉君の後ろについて歩いて行く。
…まぁついていけば大丈夫だよね。
「ところでさぁ」
「ん?」
前方をゆく大きな背中が、振り向かず前を向いたままで話しかけてきた。
「打ち上げするみたいだけどどうする?課長の発案なんだけど」
そりゃ行くに決まって…あ、そうだよ、あの人も来るんじゃ…
「…奥さんは先に帰るみたいだよ」
「行く行く!」
そう言う事ならモチのロンよ!
145 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:15:41.99 ID:stfpiCJJO
…ちょい待て、何でそこであの人の事が出てくる。まさか、バレて……?
「……ねぇ、大泉君」
「何?」
今度は肩越しに振り向きながら返事を返す。
「……」
黙っている私を肩越しに見つめている。気が付いたら二人とも立ち止まっていた。
「……何でも無い」
「そっか」
そして何事も無かったように歩き出す。
まぁ大泉君なら……もしバレてたとしても大丈夫か。
146 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:28:33.71 ID:stfpiCJJO
閉会式を終え、着替えを済ませてそそくさと駅に向かい電車に飛び乗った。
車窓からビルの谷間に沈んでいく夕日が見える。
会社の側のいつもの居酒屋かぁ……
こういう所、ホントワンパターンな人なんだよなぁ……ふふっ
でも……どうすればいいんだろ。
やっぱり諦めないとダメなのかなぁ……課長も迷惑……だよね……
夕日が、少しにじんで見えた。
147 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:38:47.45 ID:stfpiCJJO
会社の最寄り駅に着いた……はいいんだけども、打ち上げまで2時間近くあるや。
仕方なくブラブラとその辺を散策してみる。
信号を渡り、角を曲がって……
ふと、大きな石にはめ込まれた金属製のプレートが目に止まった。
彩華堂株式会社。
そう言えば志穂さん出てきてるんだっけ。
社員証定期入れに入ってるし、寄ってこっと。
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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの(4) http://ex14.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1140092719/
123 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:34:59.28 ID:yHWm9Xl20
そして当日。
ちょっぴり雲がかかってる程度の、まぁ運動するには返って丁度いい空模様。
「ジャージよし、お弁当よしっと……」
少し寝不足でぼんやりしている頭ながらも支度を整えていく。
「あ、いかん。ジャージ値札付いたまんまだ」
チョキンっと。
そして鏡の前で最終チェック。
眉毛オッケー、髪型……なんかちょい浮いてるなぁ。
ブラシとドライヤーを取り出し、短めの髪にグイグイ押し当てる。
よし準備オッケー。それじゃいってきまーす!
124 名前: マユミ ◆Z2KySTSpOo 投稿日: 2006/02/17(金) 21:41:52.91 ID:yHWm9Xl20
本日グラウンドを貸してくださっている桜中学校。
これまたお貸しくださっている、更衣室代わりの教室でジャージへと着替える。
「うわお」
私がグラウンドに出る頃には開会式が目前になってた訳だけども、
そこに並ぶ人、人、人の山に思わず声が出てしまった。
やっぱり、彩華堂てデカい会社なんだなぁとしみじみ。
125 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:45:28.66 ID:yHWm9Xl20
えっと課長、課長、室尾課長っと……
人の山を見渡し、憧れの君を探してみるけれどさすがに見当たらない。
ざっと見渡しただけでも3~400人はいるもんなぁ。
いやいや、でも愛さえあればっ!!
……ゴメン、やっぱ無理。
仕方無いので、適当な所に紛れ込んで開会式に臨む事にした。
126 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:51:18.79 ID:yHWm9Xl20
「お~い、木戸さ~ん」
開会式を終えキョロキョロしていると、どこからか私を呼ぶ声が。
「あ、大泉君」
黒いTシャツに紺のジャージ下と言ういでたちで、手を振りながら向かってきた。
「いやぁ、探した探した。もしかして来てないんじゃないかって」
「ゴメンゴメン、ウチの課どこなのか分からなくって」
もうちょっと早く来るべきでした、反省反省。
そして大泉君の後について人ごみの外へと出て行く。
……課長いたーーーーーーーーーーっ!!
127 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 21:57:45.51 ID:yHWm9Xl20
「木戸君おはよう、姿が見当たらないから心配したよ」
「お、おはようざいます!」
アディダスの白いジャージの上下にこれまた白のスニーカー。
はぁ、まぶしいなぁ……それにスラッとしていてス・テ・キっ、はぁ。
ってか心配してくれてたのですね、もうそのお言葉だけでワタクシは、ワタクシはっ!!
「あ、見つかったの?」
ふと聞きなれない女性の声。ん?
128 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:03:17.87 ID:yHWm9Xl20
声の出所、課長の後ろの方を見ると知らない女性が。
そして振り向いた課長へと手を振る。
「そういえば木戸君にはまだ紹介してなかったね」
いや、いいですから、検討ついてますから。
……などと言える訳も無く、黙って課長の後ろについていく。
そしてその女性の前で課長が立ち止まり、私の方に向きなおして一言。
「紹介するよ、彼女ウチのカミさんなんだ」
「始めまして、いつも主人がお世話になっております」
そんな、頭下げないでくださいってば。
129 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:08:50.98 ID:yHWm9Xl20
「始めまして、木戸と申します」
課長が36歳だから30代前半ぐらいだろか……
肩のところですぱっと切りそろえた黒髪、ほっそりとしたアゴ、くりっとした柔らかな瞳、
すらっとした指、白いカーディガンに白いスカート……何気にお揃いって訳かぁ。
気がついたら課長と二人、並んで、腕組んで、向こうの方へ……
ダメ、やっぱり……勝ち目、無いや。
130 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:12:18.81 ID:yHWm9Xl20
一生懸命走る室尾課長、現在3位。やっぱりカッコいい。はぁ。
「木戸さん木戸さん」
「何?」
この声は、大泉君か。
「ほらもう並ばないと、次出るんでしょ」
「うん」
「木戸さん、頑張って」
応援なんてしないでくださいよ、奥さん。
131 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:16:27.86 ID:yHWm9Xl20
パーンッ!
空砲の音がした、走らなきゃ。
このコーナー曲がったらウチの課の連中が見えてくるな。
よりにもよって、最前列ですかお二人さん。並んで手を振って。
応援なんていいから、お願いだから、これ以上……あっ
ズザザザッ!
132 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:22:09.93 ID:yHWm9Xl20
「木戸君、大丈夫か?」
ビリの列に並んで体育館座りしている私の所に課長がやって来た。
「膝すりむいてるじゃないか!ほら、こっち来て」
そして私の手を握り、本部テントの方へと連れて行く。
「ああ君、悪いけど救急箱を……ありがとう」
白い、救急箱が運ばれてきた。
「ほら、そこに座って」
「はい……」
パイプ椅子に、課長と向き合って座った。
133 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:28:01.59 ID:yHWm9Xl20
「ごめん、ちょっと裾まくってもらえるかな」
言われるままにジャージをまくり、右足を膝まで露わにさせる。
課長が消毒液を脱脂綿に染み込ませ、血のにじむ膝にそっとあてる。
手にまだ、さっきの課長の手のぬくもりが残っている。
丁寧に、私の怪我を治療してくれている。
ちょっぴりドジだけど、いつも真面目で、かっこよくて……
「あ、ご、ごめん!痛かった?」
お願いだから……
「ほら、これで涙を拭いて」
これ以上、優しくしないでください……
134 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:35:44.35 ID:yHWm9Xl20
次の競技に出るため本部テントを後にした課長を見送って、
一人パイプ椅子の上に座り、ぼーっとしていた。
「マユミさん大丈夫だった?派手に転んでたけど」
あ、ローズガーデンの……開発室の人達も来てたんだ。
「うん、大……丈夫」
喉の奥ら辺に力を入れて、涙をこらえる。
「あの、そちらの席に行かせてもらってもかまいませんか?」
「いいよ。みんなもマユミさんの事心配してるし、おいでよ!」
さすがに今はあの席には戻れないしね。
あの人の前では……泣き顔なんて、絶対見せられないし。心配もされたくないし。
135 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 22:56:21.30 ID:Kh8at6MhO
(携帯から失礼。VIP臭いと表示され書き込み出来なくなってしまいました。
お待ち下さっている皆様、申し訳ございません…)
137 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:25:37.67 ID:Kh8at6MhO
(とりあえず携帯から頑張ってみます)
「派手に転んでたけど大丈夫?」
「うわ、膝んとこ穴空いてるじゃん」
「ほらほら、クッキーあるから一緒にたべよ?」
やっぱりこの人らと一緒にいると、ほっとするな~でも何か足りないような…
138 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:30:13.27 ID:Kh8at6MhO
「そう言えば志穂さんは?」
うん、肝心な人がいなかった。
「会社でお留守番。志穂ちゃんもチーフだし色々忙しいのよ、あれでも」
そうなんだ、ちょっとがっかり。
まぁでもここならリラックス出来るし、気持ちが落ち着くまでお邪魔させてもらっちゃおっと。
出なきゃならない競技も無いし。
139 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:38:05.15 ID:Kh8at6MhO
「…でね、タマゴ爆発させちゃったんだって」
「確かにやりそうですね~、志穂さんなら」
クッキーやら、もなかやらをつまみながら薔薇っ子達とダラダラお喋り。
と、そこへ毎度見慣れた大きい体。
「やっぱりここだったか」
「あ、大泉君」
140 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:46:21.41 ID:Kh8at6MhO
「ねね、彼だれ?」薔薇っ子の一人がツンツンつつきながら、コソッと聞いてきた。
「ウチの課の人ですよ、同期の」
「ふ~ん、ただの同期なの?」
「ただの同期です」ほらそこ、つまんなそうな顔しないの。
「で、どしたの」
ビニールシートに手をつき振り向きながら、ぽっこりお腹を見上げる。
「いや、そろそろ閉会式だから迎えに来たんだよ。また迷子になられてもアレだし」
141 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/02/17(金) 23:48:00.31 ID:ByOHa7+zP
(励ましの言葉ありがとうです&志穂さんは携帯からお疲れさまです。
でもなんでVIPに書いてるのにVIP臭いが出るんだろう?私の認識不足かなぁ?)
143 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/17(金) 23:57:16.38 ID:Kh8at6MhO
(>>141ありがとう。
何やらPCからの書き込み全般に規制がかかってるぽい。よく分からないけど)
「迷子ってアナタ…」
「これはアレね」
「うん、アレだわ」
薔薇っ子達が円陣を組んでヒソヒソ…そして、声を揃えて――
「志穂ちゃんの呪いよ!」
「んなアホな」
速攻ツッコミを入れる私。
「ほら漫才やってないで帰るよ」
ありゃ、私も一緒にされちゃってるよ。
「それじゃまたね~」
「またいつでも遊びにおいで~」
でも薔薇っ子達のおかげで、大分落ち着いたかな。
144 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:08:14.89 ID:stfpiCJJO
大泉君の後ろについて歩いて行く。
…まぁついていけば大丈夫だよね。
「ところでさぁ」
「ん?」
前方をゆく大きな背中が、振り向かず前を向いたままで話しかけてきた。
「打ち上げするみたいだけどどうする?課長の発案なんだけど」
そりゃ行くに決まって…あ、そうだよ、あの人も来るんじゃ…
「…奥さんは先に帰るみたいだよ」
「行く行く!」
そう言う事ならモチのロンよ!
145 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:15:41.99 ID:stfpiCJJO
…ちょい待て、何でそこであの人の事が出てくる。まさか、バレて……?
「……ねぇ、大泉君」
「何?」
今度は肩越しに振り向きながら返事を返す。
「……」
黙っている私を肩越しに見つめている。気が付いたら二人とも立ち止まっていた。
「……何でも無い」
「そっか」
そして何事も無かったように歩き出す。
まぁ大泉君なら……もしバレてたとしても大丈夫か。
146 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:28:33.71 ID:stfpiCJJO
閉会式を終え、着替えを済ませてそそくさと駅に向かい電車に飛び乗った。
車窓からビルの谷間に沈んでいく夕日が見える。
会社の側のいつもの居酒屋かぁ……
こういう所、ホントワンパターンな人なんだよなぁ……ふふっ
でも……どうすればいいんだろ。
やっぱり諦めないとダメなのかなぁ……課長も迷惑……だよね……
夕日が、少しにじんで見えた。
147 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 00:38:47.45 ID:stfpiCJJO
会社の最寄り駅に着いた……はいいんだけども、打ち上げまで2時間近くあるや。
仕方なくブラブラとその辺を散策してみる。
信号を渡り、角を曲がって……
ふと、大きな石にはめ込まれた金属製のプレートが目に止まった。
彩華堂株式会社。
そう言えば志穂さん出てきてるんだっけ。
社員証定期入れに入ってるし、寄ってこっと。
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