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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの(6)   http://ex14.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1140092719/

211 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:28:20.11 ID:vfh5xFPS0

  震える指でキーボードを叩く私の横顔を、室尾課長が真横で見ている。
  「もうじき終わりそうだね」
  「ええ、まぁ……」
  他に誰もいない部屋の中、二人っきり。

  残り3枚、2枚、1枚……よし終わり。
  「お疲れ様」
  「課長こそすいません、付き合って頂いてしまって」
  「ちょっと待ってて」
  そう言うと、香苗の席から立ち部屋から出て行ってしまった。

  何だろか?

212 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:32:42.20 ID:vfh5xFPS0

  「ほら、これでも飲んで」
  あらコーヒー。
  「あ、ありがとうございます。残業に付き合っていただいた上にこんな……」
  「いいからいいから」

  静まりかえった部屋の中で向き合ってコーヒーをすする。
  「木戸君」
  「はい」
  不意に、課長が口を開いた。
  「いつもありがとう。どうにも昔っからそそっかしい性分でね、僕は」
  「いえいえそんな、当然の事をしているだけですから」
  だって……好きなんだもん。

213 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:38:54.67 ID:vfh5xFPS0

  「でもすごく助かるよ、いつもいいタイミングでフォローしてくれて」
  だって……ここでドジるなっての手に取るように分かるし。
  「だって……分かりますから、課長がドジるタイミングとか」
  「はは、まいったな」
  照れる顔、可愛いな……

  「あの、課長……」
  「ん?」
  胸の奥がきゅぅんとなる。
  「なんだい?」
  好きです、大好きです、ドジな所も、一生懸命な所も、照れた顔も、仕事に打ち込む姿も、
  全部、全部、全部、全部……

214 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:43:32.74 ID:vfh5xFPS0

  「なんでも……無いです」
  目に入ってしまった。左手の指輪。

  「そっか」
  小さくため息を吐き、肩をすくめる課長。
  「困った事があるならいつでも相談してくれよ、力になるから」
  「はい」
  そして、コーヒーを一気に飲み干し。
  「それじゃ、お先に失礼するよ。帰り気をつけてね」
  「はい、お疲れ様でした」

  分かってる。あの人にとって、私はあくまで……一人の部下。

215 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:48:52.89 ID:vfh5xFPS0

  誰もいない更衣室で一人着替える。
  『ありがとう』『すごく助かるよ』
  頭の中で、さっき聞いた課長の言葉が何度も繰り返し再生される。

  そして、運動会の時に見たあの2人の姿も。

  なんで、なんでこんなに好きなのっ!
  振り向いてもらえないって分かっているのにっ!!
  課長を苦しませるだけだって分かっているのにっ!!!

  なんでなのっ!!なんで!!
  ――なんで、結婚、してるのよ……

216 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:56:15.95 ID:vfh5xFPS0

  「それじゃよいお年を~」
  「ほ~い、また来年ね~」
  今年最後の仕事を終え、コートを着てまんまるになってる大泉君に小さく手を振る。
  「さて、ウチらも帰りますか」
  「ますか」

  課長にあいさつをし、先に更衣室に向かった香苗を追いかける。
  「おやまぁ、なんともセクシーですこと」
  ロッカーの前で、すでにブラウスを脱いでブラ姿を披露しているお隣さんに感嘆の声をあげる。
  「ふふ~ん、これからデートなのよ」
  ぽよんぽよんのおっぱいを、ラメ入りレースの黒いブラが覆っている。
  いいなぁ、ぽよよんおっぱい……

217 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 22:59:37.97 ID:vfh5xFPS0

  香苗に背中を向け、いそいそと着替えを済ませる。
  そしてバッグの中の携帯を……あら、着信アリ。
  志穂さんからだ。
  『ねぇねぇ今日ヒマ?一緒に飲みにいこ~』
  はい、ヒマです。
  ピッピッピっと。

  さて、制服持って返って洗わないと……
  ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ
  返信早っ!

219 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:02:38.81 ID:vfh5xFPS0

  『それじゃ7時に駅前待ち合わせでいい?』
  いいですよ……っと。

  さて、制服をたたんでバッグに……
  ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ
  あの志穂さん、もしかしてヒマなんですか?

  『じゃあ急いで仕事終わらせるから待っててね~、もし遅れちゃったらゴメンね』

  仕事中だったのかよっ!!

221 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:07:55.06 ID:vfh5xFPS0

  駅前、階段脇で志穂さん待ちっと。

  さて、7時になりました。
  ……来ませんねぇ。
  7時5分。
  まだ来ません。

  ……う~寒っ。
  すいませ~ん、肉マン一つ。10、20……たんないや。それじゃ、500円玉で。

  7時10分。
  来ないし連絡も無いし。
  あむっ、美味しい美味しい。

222 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:12:48.39 ID:vfh5xFPS0

  「ごめ~ん、待ったぁ~?」
  あ、来た来た。
  「いえいえつい36分前に来たばかりですから」
  「ゴメンゴメン、ついおしゃべりに夢中になっちゃって」
  はいはい、あなたはそういう人ですよ……っと、そう言えば。

  「薔薇っ子達は?」
  「いないよ」
  「じゃ、2人っきりで?」
  「うん、2人っきりで」
  まぁいいですけどね。でも暴走はしないで下さいね。

223 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:18:00.49 ID:vfh5xFPS0

  それにしても……
  多分カシミアかな?茶色いストンとしたコートに黒っぽいチェックのロングスカート、
  ベロア地のショートブーツにバーバリーのマフラーぐるぐる巻き……
  あ、オフの時はメガネ無しなのね。
  見た感じはいい所のお嬢さんって感じだなぁ、見た感じは。

  「ん?どしたの?」
  「いえいえ何でもございませんお嬢様」
  少なくとも、32歳には見えないよなぁこの人……20代でもいけそうだわ。

  「ほら行こ~」
  「おっとっと」
  そんな手を引っ張らないの、ほらほら階段気を付けて。

224 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:23:57.73 ID:vfh5xFPS0

  「はい、どうぞっ」
  志穂さんが切符を買い、手渡してくれた。
  「電車で行くんですか?」
  「うん。いい店知ってるの」

  さすが年の瀬の山の手線、洒落にならないギュウギュウぶりだわ。
  「マユちゃ~んぐるじい~」
  志穂さんが私にしがみつく。と言うか、しがみついて無いとどっか行っちゃいそうだしこの人。
  「はいはい押しつぶされちゃわないようにね~」
  何て言うか、保護者みたいな気分になって来たわ。うん。

225 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:28:01.76 ID:vfh5xFPS0

  「次で降りるの~!」
  「はいはい分かってます」
  志穂さんがはぐれないようにしっかり抱え込んでっと。

  ぷしゅぅぅ……

  「ほら頑張って!」
  「ゔに゙ぃ~!!」
  何の鳴き声ですか、そりゃ。

  「あ~苦しかった」
  「怪我しませんでした?」
  「うん」
  保護者確定だわこりゃ。

226 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:34:26.57 ID:vfh5xFPS0

  「で、どこなんです?お店」
  西口から表に出る……うへ、寒ぅっ!
  「さむいぃ~」
  志穂さんも白い息を吐きながら私の腕にしがみつき、鳴き声をあげる。
  「あ、お店ね。あっちの方」
  とりあえず志穂さんが指差した方に、2人くっついたまま歩いていく。

  「それにしても……」
  「ん?」
  「おっぱい大きいですね、志穂さん」
  さっきから、しがみつかれている腕にむにゅむにゅと当たりまくってる。
  「マユちゃんはぺたんこだね」
  ……そういう事言う子は外に放り出しちゃうわよ?いやここも外だけどさ。

227 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:40:32.09 ID:vfh5xFPS0

  「ほらほらあそこ!」
  雑居ビルの一つを指差す。
  「あそこの地下1階なの」

  地下1階の店名を示す看板に目をやる……創作居酒屋多流男。
  「……たるお?」
  「あれでだるじゃんって読むの」
  創作しすぎでしょそりゃ。
  「昔はイタリア料理のお店だったんだけど、数年前にリニューアルしたの」
  なるほどね。でもダルジャンてどっちかって言うとフレンチぽいような……まぁいっ

  カランカラン
  そして女2人店内へと転がり込む……しっかし色気の無い話だわ、年の瀬だってのに。

228 名前: ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/18(土) 23:44:50.56 ID:vfh5xFPS0
(>>227『フレンチぽいような……まぁいっ』の後『か。』が抜けちゃいましたorz
そして一旦休憩です。12時頃にまた再開します。足シビレタorz)

229 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/02/18(土) 23:46:13.59 ID:qeYqr03K0
おつかれさまっす っ旦~
足がしびれたときはオデコにつばを三回つけると治るってばっちゃが言ってた!

230 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:09:40.65 ID:uQBT4wlq0
(>>229ありがとうございます っ旦~
お菓子パワーで回復しました。スーパーのチョコ売り場で見つけた『プチチーズケーキ』\100-チーズケーキ好きには結構お勧め。
では再開します)

  黒を基調にした、控えめの照明とパーテションで細かく区切られた店内。
  なんかカップル向けって感じだなぁ……てか志穂さんがこんな店知ってるとはこりゃ意外。

  店の奥の方、壁沿いの4人がけの席へと案内される。
  壁側の席にそれぞれの荷物を置き、向かい合うような形で座った。
  「とりあえずビールでいい?」
  「うん……飲みすぎないでくださいよ、志穂さん」
  「大丈夫大丈夫。あ、ビール2つお願いしますね。」
  こんな所で暴走されたら、それこそ洒落にならないわ……

231 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:13:21.36 ID:uQBT4wlq0

  「今年も一年お疲れ様でしたぁ~」
  「お疲れ様でした~」
  カチンッ
  小さく、乾杯の音色を鳴らす。

  「んぐ、んぐっ」
  おいおい、一口で半分近くいきますか。
  「はぁ~、おいしい~!」
  とりあえず私はメニュー見よっと。
  なるほど、さすが元イタリアン。パスタ系やグラタン系が充実してるわ……
  「あ、私明太グラタンっ!」
  太るよ?志穂さん。

232 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:18:05.49 ID:uQBT4wlq0

  「でも想像してたイメージと全然違ってびっくりしましたよぉ」
  「どんなのイメージしてたのよぉ、もうっ!」
  「ん~と、PTA?」
  グラスを2つ3つ空け、すっかりいい気分になってしまった。
  「ひっどぉい!」
  う~ん、ふくれっ面の志穂さんも可愛いなぁ。

  これが課長だったらなぁ……はぁ。
  「……マユちゃん?」
  志穂さんが心配そうな目でこっちを見てる。
  「あ、何でも無いです何でも無いです」
  うん、無いものねだりしちゃいかんわ。

233 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:21:22.22 ID:uQBT4wlq0

  「……本当に?」
  まだ心配そうな目で見てる。
  「……」
  「……一人で抱え込まない方がいいよ?」
  「……」

  まぁ志穂さんになら……いっか。
  「やっぱり……ダメですよね、結婚してる人、好きになるなんて」
  「そんな事無いよ」
  え?

234 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:25:40.09 ID:uQBT4wlq0

  「マユちゃんは、その人が結婚してるから好きになったんじゃないでしょ?」
  「うん……」
  「たまたま、好きになった人が……結婚してた」
  「うん……」
  「誰かを好きになるのに、いいも悪いも無いよ。
  室尾さんだから好きになったんでしょ?」

  え……?

  「知ってた……んですか?」
  「ううん、でも多分そうなんじゃないかなって」
  やっぱりすごいな、志穂さんは。

235 名前: マユミ ◆mWaYx4UM2o 投稿日: 2006/02/19(日) 00:31:08.04 ID:uQBT4wlq0

  「マユちゃん見てたら分かるもん。本当に、真剣に悩んでるんだって」
  「そう……でしょうか」
  「……本当に大好きなんだね、室尾さんの事が」
  「は……い……」
  好きです、すごく好きなんです、でも……

  不意に、髪を撫でられる感触。
  「いい子だね、今まで我慢してきて辛かったね」
  「だって、だって、課長苦しませたく無いから」
  「いい子いい子……頑張ったね、マユちゃん」
  涙が止まらなかった。
  誰にも、分かってもらえるなんて思っていなかったから……