放課後の教室、オレンジと黒の交じり合った静寂、そこにJUMは居た。
J「そろそろクライマックスだよな・・・」
JUMはマシンからマガジンを外し残弾を確認する。
J(あと3発か、パワーで劣ってるって言うのに、弾はもうない。
発見されないうちに長距離射撃でしとめるしかないな)
コツコツ、廊下から響く足音。JUMは慎重に廊下を覗き込む。
J(・・・よりによってお前か、お前とは戦いたくなかったんだけどな・・・
てか、何でこんなことやってんだっけ・・・?)
/遡ること1時間。
真「もう我慢できないわ、全面戦争よ!」
銀「おもしろいわねぇ」
珠「イエーイ!!!」 翠「蒼星石は翠星石の味方ですよね」
蒼「えっ、あ、うん」
真「くっ、蒼星石がそちらに行ったらこっちには雛苺と金糸雀だけ、一人少ない分不利だわ
ジュン、あなたはどっち!?」
J「どっちでもいーよ」
真「どっちでもいいということはこっちでもいいということね、ジュンはこっち側だわ」
真「さぁ、始めましょうか」
J「ちょっ、ちょっと待てよ 全面戦争って何する気だよ ここは穏便にトランプゲームとかで・・・」
真「そんなものじゃ気持ちがおさまらないわ!」
銀「同感ねぇ」
翠「でもどうするです、暴力は嫌ですよ?」
薔「サバイバルゲーム・・・」
一同「えっ?」
薔「どっちかのチームが全滅するまで戦う・・・」
J「サバゲーって、エアガンだって結構危ないし」
薔「問題無い・・・コレを使う・・・」
薔薇水晶はカバンの中からある物を取り出した。
雛「うゆ?」
金「コレは何かしら?」
J「ビーダマン・・・?」
薔「正解☆・・・」
ビーダマン、お腹からビーダマを発射することができる玩具である。その汎用性と競技性の高さは他の玩具とは比較にならない。
薔薇水晶は紙風船を足にくくりつけターゲットとし、ビーダマで打ち抜かれたら脱落というサバイバルゲームを提案したのだ。
真「いいわ、コレで行きましょう」
珠「私が勝ちますわ!」
蒼(良かった、物騒なのじゃなくて)
薔薇水晶がカバンを差し出した。
薔「中から選んで・・・」
薔薇乙女達が勝手に選んでいったのでJUMは結局残り物を取ることになった。
J(ワイルドワイバーンか・・・ パワータイプじゃない僕には丁度いいかな。
他のみんなは・・・
真「どうせなら赤いマシンが良かったのだわ」 真紅はファイティングフェニックスか、真紅にお似合いのパワー型だな。
金「角が金ぴかでカッコいいかしら♪」 金糸雀はスタッグスフィンクスか、こいつにトリックボールが使いこなせるかな・・・
雛「お腹がおっきいのー♪」 ご、ゴーレムボンバー! しかもジャイアントボム用に改造してあるとは、恐るべし薔薇水晶。
味方はこんなもんか、さて敵さんは・・・
銀「黒いし、気に入ったわぁ」 水銀燈はケーニッヒケルベロスか、似合いすぎだな。ダブルバーストに注意しないと。
翠「蒼星石とお揃いですぅ♪」 ライトイーグル! しかもお揃いってことは、蒼星石は・・・
蒼「うん、そうだね・・・」 やっぱレフトレオンか、双子にはお似合いだけど厄介だな・・・
珠「♪」 なんだあのデザインは!?見た事無いぞ!? 薔「ふふ…」薔薇水晶はアイアンサイクロプスか
つーか、向こうは水銀燈以外PIビーダマンじゃないか! 戦力差が相当あるぞ!
いや、マシンの性能だけで勝敗が決するわけじゃない。性能の差は燃えるビー魂で・・・!
・・・って、ガラじゃないな)
フィールドは1階の教室廊下全て、階段や外はNG、持ち弾は各自30発。両チームは端と端に分かれて、ゲーム開始の時間を待った。
3・・・2・・・1 スタート!
真「一気に行くのだわ!」
J「待て、この距離ならまだ撃って来ないだろうけど一人で行くと危険だ。
まず俺が行くから、その後ろに着いてきてくれ。あと金糸雀、しんがりを頼む」
金「了解かしら」
そっと教室を出るJUM達、廊下に人の気配は無い。一同ゆっくり敵の方に向かって進んでいく。
J(そろそろ仕掛けてきてもおかしくない・・・ !)
突如廊下に水銀燈が飛び出してきた。
真「出たわね水銀燈!」バンッ!
銀「ふふふっ」バン!
ガキンッ! 空中でビーダマ同士が激突し弾け飛ぶ。
銀「甘いわねぇ、真紅ぅ!」バンッ!
水銀燈のショットは横に逸れている。
真「どこを狙ってるのかしら」
J「違う! 避けろ真紅!」
水銀燈のショットは壁に当たった途端軌道を変え、まっすぐに真紅のターゲットへと向かう。
真「えっ!」
ギリギリで避ける真紅。イングリッシュボール、水銀燈のマシンは壁の反射を変化させる特殊な回転のショットを放てるのだ。
いきなりの事に戸惑う真紅達、その隙を突いて翠星石蒼星石薔薇水晶真珠も教室から飛び出した。
ダダダダダダダッダッダン!! 弾幕、チーム全員で放たれたそれは真紅達に冷静さを失わせた。
真「くっ!」バンバンッ! 雛「イヤーなの!」ドンッ! 金「来ないでかしら~!」バンバンバンッ!
ガキュイン、ガキン、キィィン!
JJ「(あのバカ!)はぁ!」バンバンバンバンッ!
JUMのショットをかわす水銀燈と薔薇水晶。
真「遅いわよ」バンッ!
J「そりゃ悪かったね」バンバンッ!
薔「ジュン・・・」バンバンッ!!
薔薇水晶は撃ちながら廊下に出る。
J「真紅、薔薇水晶は僕が引き受けるからお前は水銀燈を頼む」バンッ!
真「言われるまでも無いわ」
真紅の視界からJUMと薔薇水晶が消える
銀「言うわねぇ、真紅。ここでは私のほうが有利だってわかってるでしょぉ」
そう、教室のように障害物が多い場所ではイングリッシュボールで多角的な攻撃ができる水銀燈のほうが有利なのだ。
真「そうね、でも。薔薇水晶が居なくなったからとっておきが使えるわ」
真紅は腰を下ろし膝を立てて、足で手ごとビーダマンを締め付けた。
そう、ホールドパーツを締め付けることでパワーショットを放つしめ撃ちの最終型、キャノンショットである。
銀「・・・真紅」
真「何?」
銀「パンツが丸見えよぉ・・・」
真「(///////)うるさぁい!!」ドギュュュュウゥゥゥ!!
ビュュュュウ! ズゴガァ!!
真紅のキャノンショットは空気を切り裂いて壁にめり込んだ。
銀「っっ! 面白いじゃない、真紅ぅ!!」ババンッ!!
真「水銀燈!!」ドギュュュュウゥゥゥ!!
ビュュュュウ! クゥィイン!
真紅のキャノンショットは水銀燈のショットを弾き飛ばして水銀燈のターゲットに向かう。
真紅は勝利を確信した、が・・・
真(え?)
パァンッ! パァンッ! 破裂する二人のターゲット。
真(一発目の軌道に隠れたもう一発の弾!?)
そう、ダブルバーストである。
真紅はJUMからそのことを聞いていたにもかかわらず水銀燈が今まで使用しなかったために忘れていたのだ。
いや、ここは決め球を隠していた水銀燈を褒めるべきか。
銀「どうやら、相撃ちみたいねぇ」
真「・・・そのようね」
脱落者 真紅、水銀燈。
一方、雛苺と金糸雀はJUMの予想通り同じ教室に居た。そこで翠星石蒼星石真珠と交戦中だった。
雛「やぁ!」ドンッ!
雛苺のショットを難なくかわす蒼星石。
蒼「君のショットは強力だけど、直線的過ぎる。その上連射もできない」バンバンッ!
雛「やぁ~」
何とか逃げる雛苺。それを金糸雀がフォローしようとするが。
翠「お前の相手はこっちですよ!」バンバンバンッ!
金「うぅ~(これじゃ雛苺を助けにいけないかしら)」バンバンッ!
雛苺のマシンはジャイアントボムと呼ばれる巨大な弾を撃ち出せるよう改造された特殊なマシンである。
だが、他のマシンと違って連射ができないため、牽制や防御に向かない。
つまりこのバトルにおいて、仲間のフォロー無しでは生き残ることが難しいマシンなのだ。
金(うぅ~、こうなったらとっときを使うしかないかしら!)
真正面から翠星石を見据える金糸雀。