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「MYFAIRFRAGMENT」第5話「急展開!?そうは問屋がおろさない!」


前回より時をさかのぼること約45分。

翠星石は、自分がこんなに怒っている理由を聞きたい、とのたまった酔狂な二人…
水銀燈と、薔薇水晶を連れて、廊下をズンズンと歩いている。
昼休みももう少し。あと少しの間に、見つかりづらいところに暫くは隠れていないと…
本鈴が鳴ってから先生に見つかるのは何かとマズい。
蒼星石にも迷惑がかかるだろう…いや、何を考えているのだ。
蒼星石にはさっきアレだけ啖呵を切ったのに。もう蒼星石のことなんて知らない!って言ったのに。
要らないことを考えるたびに、気持ちはどんどん乱れていく。不快だ。むかつく。そして怒り。
それを振り切るかのように、翠星石はドスドスと足音を立てて歩いていく。
今後を歩いている二人に大見得を切って歩いてきたのに、しかし行く先なんてまったくわからない。
普段は、本当はサボりたい、と思っていた授業も蒼星石が…出ようっていうから…
だから、殆ど休んだことなんてない。サボる場所なんて知らない。蒼星石が……!
むかつく!むかつく!蒼星石なんて大嫌いだ。大嫌いだ……!

銀「…ねえ。ここの近くに、私が普段サボる時に使ってる場所があるのよぉ。
  良かったらそこに行かなぁい?」

唐突に、後ろを歩いていた水銀燈がそんなことを言い出した。
ばっと後ろを振り向く翠星石。

銀「翠星石の行きたい場所さ、遠そうだし。」

にっこり笑いながらそう提案する。
水銀燈は気が付いていた。翠星石は授業をサボる時の隠れ場所なんて、
てんで思い付いていない。ということに。
しかし、負けず嫌いで意地っ張りの翠星石は、それを指摘してもへそを曲げてさらに迷走するだけだろう。
だから、提案として、控えめに言ってみるのだ。

翠「わ、わかったです。しかたねぇからそこにしてやるです!」

翠星石としても、「気を使われた」ことがわかっていないわけじゃない。
にっこり笑った水銀燈の顔を見れば嫌でもわかる。
わかっているけれど、自分から負けを認められないのだ。だから、悔しいけれどその誘いに、
さも引っかかったように、乗ってやる。
本当に引っかかったんじゃない。さも引っかかったように、乗ってやっているのだ。
そう思うことが自分のこのちっぽけなプライドを守るために必要なこと。
…そんな小さなものにいつも拘る自分が、たまにに嫌になる。
そう、蒼星石に同じように助けられた時も…ううん、今はもうあんな蒼星石のことなんて考えないんだ!
翠星石は、水銀灯の後ろを歩きながら振り払うようにおおきくかぶりを振るう。

薔「…飲む?」

そんな彼女の目の前に差し出されたのは青い飲み物。
片目に眼帯をしている薔薇水晶は、眼帯があるからというわけではないけれど、基本的に何を考えているかわからない。
言動もよくわからない。どこまでも良くわからない子。翠星石がもつ彼女のイメージはそうだった。
しかし、そんな彼女も「人を気遣う」という行動はきちんと辞書にのせているらしい。
何処までも体に悪そうな、鮮やかな青色の飲料とにらめっこをしつつ、翠星石は、とっさにそんな失礼なことを考えてしまった。
普段だったら、何の嫌がらせか、と考えてしまう所だけれど。やっぱりこんな時に限って、
気遣う蒼星石の顔がうかんで…

翠「ダーーーーー!!!」
薔「…いのき?」
翠「ちがうです!ちょっと、嫌なことを思い出したのです!」
薔「…疲れたときには甘いものが一番…」
翠「それはいらないのです」
薔「…ショボーン」
銀「二人とも、こっちよぉ」

少し遅れていた二人が呼ばれて前を見た。
すると、水銀燈は、非常口の鉄製の扉を開いて手招きしている。
小走りに近寄り、水銀燈の後を追って外に出た瞬間。
広がったのは、青。何処までも続く、空の青。
思わずその青さに見とれて足を止めた。
冬になり、今は枝しか残らない木々の間から見える空は、とても青くて。
まるで、あの子の名前のように。蒼星石…
今までの鬱屈した気持ちが、いつの間にか、少し軽くなっていた。

薔「…通れない」

後から控えめな声が聞こえ、翠星石は現実に引き戻される。
思いなおしてみてみれば、ただの空、ただの林。何を見とれていたのだろう。
慌てて扉の前から退くと、その横を一直線に走り出していく薔薇水晶。
向かう先を目で追えば、少し先には水銀燈の広げた小ぶりなレジャーシート。
翠星石がゆっくりとそちらへ向かう間に、薔薇水晶は、
まるでここが私の指定席です、と言わんばかりに水銀燈の隣にすっぽりと収まった。
その無邪気な様子に、翠星石はクスリと笑う。

銀「ここよぉ。結構良い場所でしょぉ」

薔薇水晶の後からゆっくり歩いてやってきた翠星石に向かって、水銀燈は手招きする。

銀「ここなら、まず見つからないわぁ。」
翠「用意周到なのです。シートなんて何処から取り出したのです?」
銀「ああ、いつでもサボれるように、いつも持ってるのよぉ」

傍まで来て、先ほどより表情が柔らかくなっているのが見えた。

銀(…もう、聞く必要あんまりないかもね)

くすっと笑う。そしてそれを見上げる薔薇水晶。
シートの空いているところにどっかと腰掛けるた翠星石は、
二人に向かってあらためて宣言した。

翠「さあ、いうですよ!二人とも耳の穴かっぽじってよぉぉぉぉくきけですー!」


<次回予告>
とうとう明らかになる真実!二人の間に一体何があったのか!
揺れ動く二人の思い、そして橋渡しとなる5人は一体どう動く!
悩むのやめて、次は明るくいってみよう!
紅「私が雛苺に手紙を投げつけられている時に…!」
雛「酒は人の感性をもおかしくするの~」
金「雛苺、一体何の話をしているかしら~…? あ、そうそう。
  次回「MY FAIRFRAGMENT」!第6話「発端!二人の心はどこにある?」次もよろしくかしら~♪」

注:次回予告を鵜呑みにすると、鬼が笑います

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