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紅 「ジュン・・・」
真紅がジュンを愛おしそうに見上げる。
ジュン「姉ちゃんは・・・・今日はいないから。」
言いながらジュンはツインテールにした真紅の髪留めをゆっくりと外していく。
ジュンのベッドの上、そこに二人だけの空間が形成される。
紅「ジュン、私・・・・怖い・・のだわ。何かが・・・変わってしまいそうで。」
真紅が制服を握りしめて微かに体を震わせる、まるで雨に濡れた仔犬のように。
ジュンは優しい手つきで真紅の手の上に自分の手を乗せる。
ジュン「僕もだから・・・・だから・・心配するなよ。」
詰まらせながら発する言葉、もっと良い言葉があるはずなのに、ジュンは心の中でひとりごちる。
紅「ありがとう・・・ジュン。貴方は・・・私の・・騎士だわ・・。」
解かれてベットに放射状に広がる髪を揺らし、真紅はジュンの頬に手を添えた。

お互いがお互いの身体をまさぐり合う。二人の制服の上に指が這う。
ジュンの手が真紅の胸の上に移る。と、真紅の身体がピクンと跳ねる。
真紅は紅潮した顔を両の腕で隠しつつ、言葉を途切らせながら答える。
真紅「駄目・・・私の胸は・・・・小さいのだわ。だから触っても・・何にも・・・。」
ジュンは真紅の言葉を受け首を横に振る。
ジ「言っただろ?・・・僕は胸で選んだ訳じゃない、真紅だからって・・。」
紅「・・・」
ジュン「だから、悲しい事は言いっ子なし。今の時を大切にしよう・・・。」
紅「ジュン・・・・分かったわ・・・お願い、来て・・・ちょうだい。」
ジュンはその言葉を合図にゆっくりと真紅の制服に手をかけていった。
制服のボタンを一つずつ外す度、真紅の素肌がジュンの目の前に晒されていく。

カッターシャツが取り払われ、真紅の半裸体がジュンの目の前に現れる。
女の子らしい、華奢な体つき、白磁のような白い肌に、ほのかにさす朱。
恥ずかしさで息を荒げる真紅の呼吸音がひどく良く聞こえる。
恥ずかしい、恥ずかしいとつぶやく。ジュンはそんな真紅の胸に耳をつける。
真紅の高鳴る心音がジュンの耳から体へと伝わる。
紅「・・・ジュン・・・貴方も・・。」
その言葉に顔を上げると、朱のさした真紅の両腕がジュンの制服へ震えながら近づいていた。
ジュンの制服が、カッターシャツのボタンが、真紅の手で一つ一つ外される。

上半身の衣着を取り払い、半裸体となった二人はまたお互いの身体をしっかりと抱き寄せ、
お互いの手を、指を這わす。今にも壊れそうなものに触れるかのように優しく撫でていく。
ジュン「真紅・・・・綺麗だ・・好きだ・・・。」
紅「ジュン・・・私もだわ・・・私も・・・。」
いつも強気で我がままな少女は優しげに微笑み、いつも無愛想な少年は素直な言葉を発す。
いつも内に隠したままの本音が表露した。
二人は確かめあうように永い、永いキスをした。


気付けば二人は何も見に付けず、一糸纏わぬ姿で向かいあっていた。
ジュン「良い・・・か、真紅?」
紅「ええ・・・大丈夫だわ・・・大丈夫、大丈夫だから・・。」
ジュン「・・・分かった・・・優しく・・するから。」
窓から傾き始めた陽の光が差し込む。光が二人を照らす中、お互いの身体は隙間がないように近づいていき、そして・・・・

二人は一つになった・・・。

紅「あ・・・・・っぅぅ・・!」
ジュン「大丈夫か・・・真紅?痛いのか・・・止めようか?」
紅「お願い・・・・やめないで・・!大丈夫だから・・・大丈夫だからっ。」
激痛に目に涙を浮かべながらも耐える真紅、
その激痛に耐えようと深く背中に食い込んだ真紅の爪の痛みに耐えるジュン。
痛みはある・・・・けどお互いを想えば耐える事ができた・・愛が・・あったから。

全てが終わり、二人は身体をつがいの鳥のようにぴったりと抱き寄せ天井を見上げていた。
無言のまま時を過ごすうち、いつのまにか群青色に染まっていた空は
真っ暗な闇のベールで覆われ、部屋の中も闇で満たされていた。
ジュン「もう、帰らないとな・・・。」
紅「・・・・ええ。」
『帰る』という言葉に真紅の身体がピクリと微かに揺れ、繋いだ手からそれが感じられる。
紅「ねえ、ジュン・・・?」
真紅がゆっくりとジュンに身体を向けていた。目の悪いジュンの視界に
闇に包まれた真紅のシルエットがぼんやりと映る。
ジュン「・・・どうかしたか真紅?」
紅「今、私達は一つだけど・・・・いつかは離れてしまうのかもしれないわね。」
闇の中で表情は読めないが真紅の声の拍子は深く沈んでいる。
ジュン「なんだよ、それ?」
紅「今は確かに繋がりあえている・・・だけど私達はまだ若いのだわ。
何かのきっかけでこの関係が終わってしまうのかもしれないのよ。」
外を車が通り過ぎる。部屋の中にヘッドライトの光が走り、真紅の顔に交錯する。真紅は泣いていた。
ジュン「真紅・・・。」
紅「とても・・・悲しい事なのだわ、とても。」

紅「ジュンとの出会いも、今過ごしているこの時間もいつか色褪せ、全てを忘れる。
  そして今私が感じている悲しみもセピア色の写真のように過去の一地点になる。
  これが悲しくなくて何だと言うの・・・?」
抑揚のない悲しみだけの声がジュンの胸に突き刺さる。真紅の鳴咽が部屋に響く。
ジュン「かもしれない。僕も真紅もいつかは大人になって今日の事も過去になるかもしれない。
だけど・・・それでも今を生きていかないと駄目なんだ。」
ジュンはやや闇に慣れてきた目で真紅の頬を探り当て、涙をぬぐってやる。
紅「そんなの・・・今を生きても過去になってしまうのなら意味がないのだわ。」
真紅は目を伏せ、呟く。
ジュン「違う、それは違うぞ真紅。」

ジュンの強い口調に真紅は顔を上げ、ジュンの顔を見つめる。
ジュン「中学の時・・・僕が引き篭っていた時、今を生きる事の大切さを教えてくれたのは
  真紅・・・・・・お前じゃないか。そんなお前が・・・そんな事言うなよ・・。」
悲しそうな顔でジュンは真紅の頬を撫でる。思い出した、中学時代
引きこもっていたジュンの家に行き、生きる事は戦いだと、今を生きる事の大切さを説いた自分を。
真紅は悲しみで満ちたジュンの顔に手を伸ばした。
紅「・・・・そうね、私が間違っていたわ。未来の私達は離ればなれになるかもしれない、
  でも・・・・それでも、今というこの時を精一杯に生きる事の方が大切なのだわ。
  ありがとう・・・ジュン。」
ジュン「・・・良いんだ、間違ってはいないから。でも生きよう、今を・・・精一杯。」
ジュンと真紅はしっかりと抱き合い、そして口づけした、今を、今この時を大事にして。



紅「・・・・・それじゃ、帰るわ。」
玄関でジュンに微笑む真紅、ジュンもまた真紅に微笑み返す。
ジュン「・・ああ。」
紅「また・・・明日ね。」
そう言うと真紅は家路についた。ジュンはその後ろ姿をいつまでも見ていた。
真紅の姿が闇の帳に消え、ジュンは家に入ろうと玄関を開けた。
その時一陣の風が吹き抜けた。


秋にしては優しく、暖かい風だった